担税力を越えて課税すること自体が、担税力を低下させる | 佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

変わらぬ理念の実現を目指し、しくみを修正する。
実態に合わなくなった諸制度を見直し、日本国を良くすることを目指す、政治ブログです。


厚生年金保険法82条1項
被保険者及び被保険者を使用する事業主は、それぞれ保険料の半額を負担する。
同法82条2項
事業主は、その使用する被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負う。


 国庫に納める金銭に関し、『負担』という用語と、『納付』という用語がある。この二つは、似てはいるが、別物である。
負担する者とは、身銭を切る者のこと。納付する者とは、国庫に着金するように送金の手続きを行う者のこと。なので、担税という言葉と、納税という言葉がある。

 専制国家は別として、国家は、通常、個人、法人の担税力に応じて、課税する。個人、法人の担税力を越えて課税すると、どうなるか。
一瞬、税収が増えるが、担税力を越えて課税すること自体が、個人、法人の担税力を低下させるので、結果的には、税収が減る。だから、まともな国家は、個人、法人の担税力に応じて、課税する。

 この国で活動する多くの個人、法人の担税力は、低下し続けている。個人、法人の担税力の低下傾向をそのままにして、消費税率を引き上げれば、担税力の低下傾向に、追い撃ちをかけるだけである。

 もし、不幸にも、この国の国会議員が、そういうことを理解せず、どうしても消費税率を引き上げるのであれば、間髪を容れず、来月から引き上げるべきである。1日でも早く失敗したほうが、実損が少ないし、周知期間を設ければ設けるほど、負のアナウンスメント効果が働き、税率引き上げ後の、税収減に転じるまでの期間が、より一層、短くなるからだ。

 個人、法人の担税力を向上させない限り、泥沼の底へと沈みゆくばかりで、この状況から脱け出すことはできない。


神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則