初めて出会ったときは、びっくりしてしまったものでも、人は、何度も出会ううちに、だいたい慣れてしまう。
"取締役"は、取り締まりをする公務員などを指す言葉ではないし、"自動車"は、アクセルを踏んだら自動的に動く車という意味ではない。
会社の従業員を指揮し、従業員に命令を与え、会社を運営する人を、取締役と呼ぶ。自動車が発明される前は、車は、牛や馬や人によって、引っ張ってもらって動かされるものだった。Autoとmobileをつなげてautomobile、つまり、何者かに引っ張られるのではなく、自ら動力源を備えている車を、自動車と呼ぶ。
先人の訳語にケチを付ける気は全くない。次から次に移入される外来の語と格闘し、それらを日本語に訳すことに尽力された先人の苦労が忍ばれる訳語だと思っている。全てに完璧な人など、いない。
印税を得て邸宅に住み、高級外国車に乗り高価な宝飾品を身にまとうためではなく、近代化を進めて日本を世界で最も住みよい国にするために尽力された先人の苦労を、忘れてはならないと思う。
先の大戦後、連合国の連合軍(大半は米国人)の占領下において、日本国憲法は制定された。その憲法の第八章の表題は、地方自治である。"自治領"、"自治州"という言葉がある。なんとも怪しげな言葉である。"チベット自治区"というのも、ある。
民(たみ)が主権者であることが当然のことであれば、わざわざ、"自治~"と呼ぶ必要は全くない。余談であるけれど、わざわざ、"民主主義"や"人民"という言葉を採り入れて朝鮮民主主義人民共和国と自称する地域や、わざわざ、"人民"という言葉を国名の中に含めた中華人民共和国という名の国も、ある。
前置きが長くて、日本の地方自治までたどり着けなかったです。申し訳ないです。きょうは、ここまでにします。