春の大型連休が終わった。いつの頃からか、五月病という言葉が使われるようになった。もともとは、4月に入学した新入学生が、新しい生活環境に早く慣れようと、4月のうちにがんばり過ぎて、5月になって連休が明ける頃に、気力や自信を失って、閉じこもってしまうことを指す言葉のよう。もちろん、気力や自信を失ってしまうのは、新入学生だけではなく、新入社員も同じだと思う。
警察庁生活安全局の統計(pdfファイルの第4ページを参照)によると、1998年(平成10年)に日本の年間自殺者数は3万人を超え、以後、3万人を超える状況が続いている。いわゆるバブル経済がはじけた後、雇用に深刻な影響を与え始めたのが、この頃だと言われている。
総務省が発表している『労働力調査』(xlsファイル)によれば、1998年失業率が4%を超え、以後、2007年と2008年を除き、4%以上の状況が続いている。
また、同じく警察庁の統計によると、自殺者は、一年間の中で3月・4月・5月に、特に多い。
第二次世界大戦後、日本は、経済的に大きく成長し、経済大国になった。その過程で、農村漁村を中心とした、深い人間関係を維持した地域社会が少なくなった。人間関係が深い地域社会というのは、窮屈でうっとうしいと感じる部分もある社会のことである。しかし、自殺者数の現状を顧みれば、地域社会が今のままでいいということはない。
現代は職業が細分化しているので、村の住民の大半が農業に従事していたときと比べれば、地域社会において人間関係を深めることは、難しい。インターネットという網を、補助的な手段として活用しながら、健全な地域社会の再生を目指すのが、もっとも自然な道のように思う。