ネット時代の博覧会は、地域振興策に過ぎない | 佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

変わらぬ理念の実現を目指し、しくみを修正する。
実態に合わなくなった諸制度を見直し、日本国を良くすることを目指す、政治ブログです。

 かつて、東京・お台場において都市博を開催することが計画されたが、中止された。都市は流行を作り出し、人々を惹き付ける。インターネット時代の現在、流行はあっという間に広がり、人々は流行を追いかける。わざわざ、都市において博覧会を開く必要は無い。都市は、常に『博覧会場』のようなもの、祭りでない日にも人だかりができる。
ネット時代における博覧会は、地域振興のための祭りのようなものである。

 コロンブスの新航路発見以後、北米から始まった植民地経営は、南米、アジア・アフリカへと広がっていった。欧州から見て、東のさらに東である極東を、植民地化すべく、欧米列強や日本は、上海に乗り込んだ。各国が租界を作り、上海は、かつて魔都と呼ばれた。その上海において、世界博覧会(万博)が、開幕した。

 私は若い頃、野暮用で、30回弱、上海を訪れたことがある。まだ浦東に空港ができる前、虹橋機場が、国際空港だったころである。当時、一旅行者の目で見ても、不動産の供給が過剰であると感じることがよくあった。ショッピングセンター(購物広場)を併設した高層ビル群が、次々に建設されていたので、行ってみたが、ショッピングセンターには、テナントの空きが多く、数年後に再訪してみると、ショッピングセンターが閉鎖されていることもあった。

 上海は、社会インフラも整備された大都市である。「より良い都市、より良い生活」というテーマの博覧会を、その大都市で開催する。屋上屋を架しているような危うさを感じている。私も、不動産バブルの崩壊を心配する者のうちの一人である。