おかしなシスター 『屍』『人工知能』『協会』 from.鈴虫 | 30分小説?いいえ駄文です。

30分小説?いいえ駄文です。

『テーマに沿って、決められた時間で小説を書く』をルールにして、更新します。
たぶんおそらくきっと駄文量産になりますが、よろしければ閲覧ください。
テーマに沿えばジャンルは不問なので、2次創作を含みますご注意ください。

時間
30分

テーマ
『屍』『人工知能』『協会』

タイトル
おかしなシスター

 薄暗い教会の中に、うつ伏せに倒れている人影が一つ。その肩を規則正しく揺すり、声をかける人影がもう一つ。
「もし、もし。生きているのなら返事をしてください」
 そう声をかけているのはシスター姿の女性。しかし相手が全く反応を示さないことを知ると、何かに落胆したかのように肩を落とす。そして何かに気づいたように後ろを振り向く。
 後ろにはいつの間に現れたのか、男が一人壊れかけた椅子に座っていた。黒ずくめの神父服を着たその男は、何か品定めをするような目でシスターを見ていた。
「返事がありません。ただの屍のようです」
 シスターがそう男に告げると、男はカクンと力が抜けたようにうなだれた。
「お前はどこで覚えたんだ、そんなセリフをよー」
 男の力の抜けた声に首をかしげながら、シスターは答える。
「ドクターが教えてくれました。もしかして、こういうシチュエーションで使う言葉ではなかったのですか」
「ドクター? あー、お前の製作者のことか。あいつ一応博士様だもんな」
 ずるずると椅子に座ったまま器用に床に伸びていく男を前に、シスターは別の質問をすることにした。
「それで、この後私は何か手伝うことはあるのでしょうか」
 あーそうだな、と言いながら男はゆっくりと立ち上がり、両手で服の誇りをはたく。
「とりあえずその死体を運ぶ。この教会の裏で処理しなきゃならん」
「処理とは?」
「簡単なことだよ、ただ焼くだけだ」
 そう言って男は死体を持ち上げようとするが、それをシスターが手で制する。
「私が運びます」
「運ぶって、おまえ一人で――」
 訝しがる男の目の前で、シスターは軽々と死体を持ち上げ、肩に担いでしまった。
「はぁ、なんかお前すごいのな」
 驚くのも面倒だと首を軽く振り、案内するため男は先に歩き出した。
「それにしても、ぱっと見じゃわからないよな。お前が人工知能搭載のロボットだなんて」
「ノン、ロボットではなくアンドロイドです。ドクターは特にその定義については拘ってます」
 死体を担ぎ歩くたびに床をミシミシと音たてながら、シスターは表情を変えることなく訂正する。
「そいつは失礼」
 男はどうでもいいとばかりに、気の抜けた形ばかりの謝罪を口にした。
「一応聞いておきたいが、お前重量はどれくらいあるんだ?」
 抜けそうな床の音を気にしながら男が尋ねると、
「160kg丁度で、身長も160cm丁度です。胸囲も160cmにしたかったと、ドクターはボヤいてました」
「ドラえもんかよ」
 男とシスターの姿が暗闇の中に消えるまで、気の抜けた二人の会話はいつまでも教会の中に響いていた。