30分小説?いいえ駄文です。

30分小説?いいえ駄文です。

『テーマに沿って、決められた時間で小説を書く』をルールにして、更新します。
たぶんおそらくきっと駄文量産になりますが、よろしければ閲覧ください。
テーマに沿えばジャンルは不問なので、2次創作を含みますご注意ください。

ようこそ、暇つぶしにでも読んでいってください。
訪れてくれた皆様に、感謝を。

記念すべき100話目の投稿を達成しました!
アクセスしてくださっている皆様方に感謝いたします。
目標は高く1000話目指して邁進する所存でございます。応援よろしくお願いします。

新しくコメントが出来るように設定しなおしました。
作者のモチベーションにも繋がります、よろしければ残していってくださいな。


日本ブログ村に登録しています、是非下のバナーをクリックしていってください。

にほんブログ村 小説ブログへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ にほんブログ村 小説ブログ ショートショートへ
にほんブログ村 にほんブログ村 にほんブログ村
Amebaでブログを始めよう!

今回の参加者

A→o
鈴虫

 

時間
30分

 

テーマ

『終末』『忘れられし』『非日常』

タイトル
終末、荒野疾走す

 その日、世界に終末が訪れ日常と非日常が逆転した。
 人類は平穏だった日常を取り戻すべく、少数精鋭を集め、フェニックス計画を遂行した。
 そして今数百年の時が流れた―――

 荒野を一台のバイクが疾走する。
 大量の砂煙とエンジンの爆音を響かせながら走行する姿は暴れ馬の様だった。
―――いやぁぁぁぁぁとまってぇぇぇぇぇぇぇぇぇ
 訂正。暴れ馬だった。
「あぁ、姉さんまたやってるのか」
 僕は見慣れた光景にため息を一つこぼす。
 今あの暴れ馬にまたがり悲鳴を上げてるのは僕の姉で、この荒廃した世界には珍しいエンジニアの一人だ。
「姉さーん。どうせブレーキ壊れてるんでしょー。早く飛び降りたほうがいいよー」
 そう大声で叫ぶと姉さんは聞こえていたのかどうかは定かではないが、爆走するバイクが跳ねたと同時に宙を舞った。
 くるくると一回転・二回転・三回転を決め、華麗に地面に落下した。
「大丈夫姉さん?べちょって音が聞こえた気がしたけど」
「………だ、だいじょ~ぶ~」
「流石姉さん、頑丈だけが取り柄!」
「ふぇ~酷いよー。姉さんこれでも世界に数人しかいないエンジニアの一人なんだよぉ」
 そんなこと言う前に、そのひっくり返って自分の股から顔を出している態勢をどうにかしてから言ってもらいたいものだ。まったくもって説得力ゼロである。
 しかしながら姉さんの言っていることは本当で、エンジニアとはこの荒廃した世界で旧文明の機械を発掘・復元を生業としている数少ない人たちの総評だった。
「姉さんは忘れられた日常を取り戻すべく日々研鑽を惜しまないエリート―――」
 丸まった体に反動をつけ立ち上がり「―――なのだ!」キメ顔でそう言った。
「で、姉さんあのバイクは?あっちの方で爆発炎上&飛散しているあの残骸はどうしたの?」
「え、嘘ぉ! あ・あ・あ…私のエンハンス号がぁあああ」
「名前つけてたんだ…」
「ぅー。昨日鉄くず売りのおっちゃんが持って来たんだよ。………高かったのに」
 地面にのの字を書く姉さん。絶望する僕。
「買った! 買ったの!? え、え? 今月ギリギリって言ったよね!」
「だってぇ………治せると思ったんだもん」
「あああああ―――」
 こんな日常もう嫌だ。数百年前に立ち上がった救世主たちはどうしたんだ。非日常に生まれ、偉人が言う日常を知らない僕は空想となって語られる非日常を切望する。
 いったい日常とは何なのか?それは………
「ねぇ、私お腹すいちゃった」
「………今日のご飯はラットスコーピオンの炒め物です」
「またそれー。私そのご飯嫌いなんだよね。苦くて、硬くて、ねちょねちょしてて…」
「誰のせいでこの献立になったと思っているの? え? お金なくて小麦買えないんだよ?」
 それは………この姉さんが少しでも真面になれば叶うのではないだろうかと僕は考えるのだった。

今回の参加者

A→o
鈴虫

 

時間
30分

 

テーマ

『終末』『忘れられし』『非日常』

タイトル

月見

 雲一つなく晴れ渡った、きれいな夜空だった。
「なんといい月見日和だろう」
 今宵は十五夜。空に浮かぶ大小二つの綺麗な満月を眺めながら、思わず感嘆の言葉が漏れる。
 そう、二つの満月だ。何を当たり前のことを普通は思うが、昔は違ったらしい。
 昔月は一つしかなかったと言われても、僕たちの世代にはピンとはこない。何せ月が二つになったのは今から百年以上前のことだからね。
 元々は大きい方の月一つだけだった。だけどある時、直径がその月の三分の一もある小惑星がこの星に接近していることが分かったんだ。その事実に当時世界中が大混乱に陥った。あの天体がこの星に、あるいは月に衝突して未曾有の大災害が起きるのではないか。そんな予測が瞬く間に世界中に広がったからだ。
 当時の天文学者や観測者たちは、様々な観測やシミュレーションの結果からそんな事は起こりえないと、それらの憶測を必死に打ち消しに回ったらしい。それでも世界中や不安や恐怖は無くならなかった。むしろ終末論がまことしやかに広がっていったようだ。
 世界各国の政治家たちも頭を悩ませたらしい。というのも、たとえ衝突せずにすんでも、通り過ぎるだけでどこにどれだけ影響が出るか予測しきれていなかったからだ。何より、無視できない程度の確率でこの星に衝突する可能性があったことだ。
 宇宙移民の計画や、小惑星の破壊計画など、色々な対策が議論された。が、結論から言えば、これらはすべて実行されることはなかった。
 それは、当初の観測データよりもずっと速く小惑星がこの星に接近してきたからだった。
 そうして世界中の人々が祈る以外に何もできない中、小惑星は近づき――なぜかこの星の衛星となる軌道に減速しながら移動するようになった。
 今でも学者たちの間で結論の出ていない謎だよ。あの小惑星は、どうして二番目の月となったのか。まあそれ以外にも多くの謎はあるんだけどね。予測よりも遥かに小さい影響しか、地表には出なかったから。もっとも、予測より小さかったからと言って被害が無かったわけじゃない。潮の流れは大きく変動したし、気候もそれまでとは一変したといってもいいからね。
 月が一つだけの世界は、今では違和感しかない世界だね。一度VRで体験したけれど、月が一つだけの世界は今とは大分違って、忘れられし世界、当時の日常は今の非日常といった感じだった。だって、まず星の見え方が全然違うからね。
 おっといけない、月の話になるとついしゃべり過ぎてしまう。今日はそういう小話は置いといて、一杯飲みながら月たちをめでるとしよう。ああやって二つ満月が並ぶのは年に一度だけなんだから。
 

 

今回の参加者

A→o
有人零畝
鈴虫

 

時間
30分

 

テーマ

『英語』『しょうゆ』『日本刀』

タイトル
牛丼

「えっと、醤油はソイソースで日本刀は……」
 辞書片手に宿題のプリントと向き合うが、どうにも内容が偏っていた。五十の英単語の内半分ぐらいが食べ物と調味料で残りはゲームにでも出て来るような単語ばかりだった。
 先生の意図はつかめないが宿題である以上はこなしておかないと後が面倒なことになる。居残りはもちろんのこと追加も有るだろうし、何より内申に響くかもしれない。一回提出をすっぽかした程度でどうにかなるようなことはしていないが。
 そう考えると俺達って内申点で良いように弄ばれてないか?
 その内申点とかなんのことだかわからないものに振り回されて先生の言いなりになってないか? 内申点を下げられたくないから媚びへつらい、ゴマをすりご機嫌取りをして。
 それができるのは『イイコ』できない奴はどれだけ勉強やスポーツができても『落ちこぼれ』。それで良いのか?
「………………知ったこっちゃないな」
 そもそも内申点は通知表の五段階評価の数字のことだし、やることちゃんとやっとけばそうそう酷い事にはならない。アホなこと考えてないで今は目の前の宿題を片付けて遊ぼう。
「えっと、塩はソルト。白米はライスで、牛肉はビーフ……」
 遊ぶ前にご飯だ。宿題で飯テロを食らうとは思わなかった。

今回の参加者

A→o
有人零畝
鈴虫

 

時間
30分

 

テーマ

『英語』『しょうゆ』『日本刀』

タイトル
朝ご飯

 いつもと変わらず俺は自室のベットで目を覚ます。
 首を左右に傾け朝の軽いストレッチをし、母が用意している朝ご飯を食べにリビングに降りた。
 朝食は白米と目玉焼きに香ばしく焼いたウィンナー、みそ汁に納豆というTHE・朝ご飯というメニューだ。殆ど毎朝変わらずにこの内容の食事が用意される。親父の拘りみたいなものだった。
「太郎、学校はどうだ?」
「特別どうってことは無いよ。いつもどうり平穏無事な学校生活をエンジョイしてるよ」
 そう、何も変わらない平凡な日常。俺は少しこの生活に飽き飽きしていた。漫画やアニメみたいな主人公になって毎日ハラハラドキドキのスリリングでマイノリティーな生活をしてみたいと夢に見ているが、中二病という言葉を知っているので表には出さないように心がけていた。
「そうか。それならいい。ああ、目玉焼きにかける『それ』取ってくれないか」
 それ?目の前には醤油と塩胡椒のボトルが置かれており、親父は気分によって使い分けているのだった。
「どっちだ?」
「嗚呼、すまんすまん。そこのソイソースを取ってくれ」
 ああ、今日はソイソースの気分だったか。そうかソイソースか……
「ソイソース!! はぁ!? ソイソース!! どうした親父気でも狂ったのか!?」
「何を言ってるんだ、ソイソースだよ、早く取ってくれ」
「親父、何に影響されたか知らねーけど、朝っぱらにかましてくるギャグにしちゃ程度が荒いぜ」
 醤油を親父に差し出すと台所から母さんが顔を出し
「お父さん今日はソイソースの気分なのね?じゃあそこの塩胡椒かたずけちゃうからこっちに持ってきて」
「母さん!! なんで親父のギャグに乗ってるんだよ! 醤油でいいだろ! つーかなんで英語なんだよ。俺の気が狂いそうだよ!」
「お兄ちゃんうるさいよ」
 いつからそこにいたのか、気が付いたら妹が隣の椅子に座って目玉焼きに醤油をかけているところだった。
「妹!お前もおかしいと思うよな、醤油のことソイソース、ソイソースって」
「お兄ちゃんのほうが可笑しいんじゃないの? ソイソースをソイソースと呼んで何が可笑しいっていうの?」
 オーマイシスターお前もか?もはや俺の家族もここまでか!
「ちょっと皆、ハッキリさせたいことがある。正直に俺の質問に答えてくれ」
 一同めんどくさそうな顔を見せるがそんなことは気にしちゃいられない、俺にとっては一大事なのだ。これは俺と家族の正気をかけた戦いなのだ。
「これはなんだ?」
 俺は醤油を指さしながら全員に問うた。
「ソイソース」「ソイソース」「ソイソース」
 糞っ! 目頭が痛くなってきたぜ。
「あれはなんだ」
 納豆を指さし問うた。
「納豆」「超小粒納豆」「腐敗させた豆」
 納豆に関してはいつもと同じ回答。ちなみに妹は納豆が嫌いだから、ああいった嫌な表現をしてくるのだ。
「じゃああれは?」
 家の床の間には親父の趣味で日本刀が飾られている。俺はそれを指さした。
「日本刀」「邪魔なオブジェ」「KATANA」
 よしよし。この流れならいける。きっとさっきまでのギャグのことは忘れてるはずだ。
「これは?」
「ソイソース」「ソイソース」「ソイソース」
「ふっざけんな! どういう頭してるんだよお前ら。醤油だろ醤油!? ドゥーユーアンダースタン!? 」
 皆が可哀そうな目で俺を見つめてくる。俺はいたたまれなくなって家を飛び出した。
 学校に行けば救われるはずだ。醤油のことをソイソースなんて呼ぶ友達は一人もいないのだから。
 俺は物語の主人公になりたいと願ったことがあった。
 退屈な日常におさらばして、勇気とか友情とかハーレムとかそんな生活を願った。
 しかしこれは何にかが違う。違いすぎる。異世界転生ものに憧れていたのに世にも奇妙な系の主人公になるとか正直心が折れそうである。神様の采配はなんて残酷なのだろうか。
「お! 太郎、今日はなんだか元気だな」
 声をかけてきたのは幼馴染のマサシだ。登校ルートが同じでいつも一緒に登下校している。
 どう見ても元気とはかけ離れた表情をしているんだが、そんなことに突っ込んでいる暇はない。
「これからお前の家に行くところだったんだぜ、今日はいつもよりも家出るの早いんじゃないか」
「ああ、そんなことより。お前は…お前は…醤油の事なんて呼ぶんだ?」
「醤油?」
 運命の瞬間だった。俺が可笑しいのか、家族の奴らが可笑しいのか、これでハッキリするのだ。
「馬鹿だな太郎は醤油とか、ソイソースだろう? ははは」
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
 ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
 終わった。終わったんだ。俺は迷い込んでしまったのか、この不思議な世界に。
 ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
――
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
「あああああああああ。あ?」
 気が付くとベットで俺は叫んでいた。
「あ…あ…あ…夢か。夢だったのか」
 一回から母さんから朝ご飯の用意ができたと声が聞こえる。
 俺は眠気眼で一階に降りると食卓には白米と目玉焼きに香ばしく焼いたウィンナー、みそ汁に納豆が並んでいた。
「どうしたんだ太郎。叫び声が聞こえたが」
「いや。すまない。悪夢を見ていて…。あれそういえばどんな夢だったっけな」
「太郎。早くご飯食べて用意しなさい。マサシ君が来ちゃうわよ」
「わかった。あ!親父、そこのソイソース取ってくれ」

今回の参加者

A→o
有人零畝
鈴虫

 

時間
30分

 

テーマ

『英語』『しょうゆ』『日本刀』

タイトル
一見さん

 細い路地を何とはなしに覗き込んだ先に、それはあった。『食事処』と書かれた小さな看板とこじんまりとした入口に掛けられた紫色の暖簾。どこかで昼食をと店を探し歩き回っていた男にとっては、まるで目の前に突然オアシスが現れたような感動を覚えた。
 やっと飯にありつける。急ぎ足で店の前まで歩きながらも、いやいやハズレの店かを見極めてからでなくてはとはやる気持ちを抑える。
 いざ店の前に立って改めて眺めてみれば、看板と同じく小さな入口に『海鮮』とだけ書かれた暖簾。それらに中々いい雰囲気を感じ取る。よしここだと、男は颯爽と店へ入っていった。最も、あまりにも腹が減っていたのでここでいいやという思いが混じっていたことは否定できない。
 さあ入って店内を見てみれば、中々良さそう。左側がテーブル席で右側がカウンター席か。カウンター側だと目の前で料理しているところがみられるな。
 ところが、ここで男にとって二つ誤算が。
 一つは、昼時だというのに客が自分以外一人もいない。街の端というわけでもないのにどういうこと? もしや味やサービスに何か懸念材料が。
 そしてもう一つが、カウンター席の向こう側で今しがたまで調理していた店主と思しき男。
 こちらに気づいて上げたその顔は、眼光鋭く古傷だらけ。睨んだだけで人が死んでしまいそうな人物だった。
 男が思わず体を硬直させながら「入る店ミスったかな」と考えた瞬間、まるで別人のような柔和な顔で、
「いらっしゃいませ。お一人ですか」
 と丁寧に聞かれてしまった。
 その後は、カウンターの奥の席を案内され、席に着くや「寒かったでしょう」と暖かいお茶と熱いおしぼりを出され。お茶を一口飲むことでやっと男は落ち着きを取り戻した。
 なんだか有無を言わさずに座らされたのではとの思いが湧き上がるが、いやしかしとても丁寧な人じゃないかとも感じる。
 ちらりと厨房に立つ店主を見れば、包丁を握る時の顔は真剣そのもの。最初に見た鋭い眼光をまな板の上に向けていた。瞬間、包丁ではなく日本刀を持って切り込むヤクザのイメージがよぎった。
 いかんいかん、何を考えているんだと男は頭を振る。
 店主から感じる独特の雰囲気にのまれているような気がして、店に入った時の空腹感は既にどこかに行ってしまった。とにかく何か食べてさっさと店から出ようと、既に撤退モードになっていた。
 ぱっと目についた海鮮丼を頼んで、お茶を啜る。なお注文を取るときも店主は常時にこやかな顔をしていた。店主に失礼とは思いながらも、強面の笑顔がこれほど奇妙に感じるとはと男は思わずにはいられなかった。
 しかしながら、どうぞと言って出された海鮮丼は盛り付けもきれいだしとても食欲をそそるものであった。小皿にしょうゆをさし、まずはネタからと食べようとした時である。ガラガラと音を立てて新たな客が来たのだ。
 男が顔を上げて入口を見れば、体格のがっしりした老齢の白人男性にスーツ姿の若いこれまた白人男性が二人。もっともスーツの二人はサングラスをしてるので若いというのは男の印象であったが。男にとって場違いに感じるこの三人組の登場によって、またもや男の食欲は萎み始めていた。やっぱり入る店間違えた、男はそう言いたいのを飲み込み、目の前の海鮮丼に集中することにした。
 ああ、でもこれおいしいな。味だけならまた来てもいい店なんだろうな。そう男が感じている横で流暢な英語で会話する店主と白人組。店主と老人が互いをウルフ、カーネルと呼び合っているのが聞こえてくるが、何も聞いてない、何も聞いていないと心の中で何度も呟きつつ食事をする男。店を出た時には結局ぼんやりとした味の印象と、店主の鋭い眼光のイメージしか残っていなかった。

今回の参加者

A→o
有人零畝
鈴虫

 

時間
30分

 

テーマ

『幻影』『山賊』『暗黒』

 

タイトル

本の虫と娯楽と同士?

「これで頼めないでしょうか」
 初老と見受けられる男はテーブルの上に袋を置いた。音からして硬いもの。開いた口からは金色に輝く物があった。
 青年は袋を掴むと壁に寄りかかっていたもう一人の男に投渡す。受け取った男は入っているものをみてそのうちの一つを投げ返した。
「純度九九・九九パーセント。間違いなく純金だ」
「これを換金して傭兵を雇ったほうが早いのではないですか」
 そう言いながら青年は袋を持った感覚から換金した場合の金額を思い浮かべた。その額は平気で小隊の一つを一月程度維持できそうな額だしかし。
「そうもいかない理由があるです。察してくだされ」
 そういう初老の目は泳ぎ下の方を向く。隠し事があるのは明らかだったが、これだけの金を簡単に諦めることはできない。
 青年は壁により掛かる男に目線を送ると男は軽く頷いた。
「わかりました。お受けしましょう」

 青年と男は車を走らせて依頼人の指示を頼りに現場に向かった。指定された場所に着く頃には日はとっくに落ちて暗黒が辺りを支配していた。
「ここですか? 見た所集落のようですが」
 青年が車から降りて見回すが、しん、と静まり返っていて他人がいる感じがしない。
「はい。山賊の夜襲を警戒して夜はこうやって扉や窓から明かりが漏れないようにして過ごしているのです」
 車からもう一人の男が降りるとその目が鋭くなった。
「血の臭いだ」
 そう言った途端に家の影から何者かが飛び出し青年たちに襲いかかった。
 青年は依頼人を押し倒し、男は後方へ跳躍。その間に剣を抜き追撃に備えた。しかし追撃どころか襲撃者の姿、気配まで幻影のように消えてしまったのだ。
 その間に青年は依頼者を車に押し込み、自分たちが良いと言うまで決して顔をあげるなと言い含め自身も剣を抜き相方とは反対からの攻撃を警戒。刀身に魔術の光を纏わせ構える。


「今日は何を読んでるんだい?」
 唐突の男声に少女は驚き顔を上げた。
 いつの間に来ていたのだろうか優しい笑顔の青年が椅子に腰掛けていた。
「い、いつの間に入ったのよ! っていうか鍵掛けてたはずなんだけど!」
「それはわたくしが開けはした」
 少女の背中側にはこれまたいつの間にかメイドが立っていた。
「今日は隣国の皇帝陛下と皇太子殿下がいらっしゃるとお伝えしていたのですが、何処にもいらっしゃらないようでしたのでもしやと思い来てみれば。案の定でしたね」
 そういうメイドの顔は笑顔なのだが、声にははっきりと怒声が含まれていてそのアンバランスさに少女の思考回路はパニック陥っていた。
「えっと、ね、陛下や殿下が来るまで時間があるなっておもって、昨日新刊出たし読みたかったから、ね、で、邪魔されたくなかったしだから、その…………ごめんなさい………………」
「謝る。と言うことは自分の行いが良くないことと言うことはわかっているようですね。しかし…………」
「ああ、君もこれ読んでるんだ」
 お説教ムード漂う部屋にそれを砕くような明るい声が通った。
 声の主は青年――皇太子――だった。
「君もって……貴方も好きなのこの本」
「うん。面白いよねこれ」
 そこからはさっきまでの意気消沈は何処へやら。メイドの事も忘れて時間の許す限りに本談義に花が咲いた。

今回の参加者

A→o
有人零畝
鈴虫

 

時間
30分

 

テーマ

『幻影』『山賊』『暗黒』

 

タイトル

裏山の山賊

―――学校の裏山に山賊が出る。
 そんな噂を生徒が話しているのを耳にすることが増えていた。
 二十一世紀も半場に差し掛かり、ほぼ完成された法治国家である現在には稀有な話だった。
 受験の忙しさから逃避するための作り話だと耳にも留めていなかったが、今朝方の先生会議の内容により事態は一変したのであった。
「意識不明で入院していた伊藤君が目を覚ましたそうです。それで、いまだに行方不明の佐伯君は山賊に襲われたんだと……話しているそうです。」
 校長が神妙な顔つきで淡々と語った内容は、生徒の悪ふざけで作られたあの噂に酷似していた。
 私以外の先生方の意見としては「馬鹿らしい」といった否定的なものが大半であり、校長もそれに倣って本気にはしていないようだった。
 しかし私はどうにも死の淵を彷徨っていた伊藤君が、そんな安易な嘘を言っているようには思えなかったのであった。

 その日の夜。
 暗闇のはびこる山道に私は来ていた。田舎の町ゆえに夜になると少ない街灯のせいもあいまって数メートル先は何も見えない。ましてここは森であり、木々が少ない光を遮り完全なる暗黒だった。
 頼れる武器は手にした懐中電灯の一本だけ。それでも私にはここを訪れる理由があった。
 生徒の証言を信じてやりたい教師心と行方不明の佐伯君の安否が心配での行動というよりも、噂の真意を確かめたいという好奇心が私を動かしていたのだった。 
 足元を照らしながらの散策に、体力をガリガリ削られていくのを感じながらも私は、必死に蒼白い光を探していた。
 噂によれば山賊は青く発行する幽体のようなものだそうだ、科学を教えることを生業としている私は信じ固い話であったが、もしあるのならこの目で見てみたい。そして私が知り及ぶ知識以上の何かを知ってみたい。私の心は踊っていた。

 裏山の中腹あたりに来ただろうか。
 突然懐中電灯の明かりが消える。電池は新品の物を入れてきたので故障したに違いない。
 何度かパンパンと叩いてみたがうんともすんとも反応はなかった。
 あきらめた私は近くの突き出した木の根の上に腰を下ろし、夜空を見上げた。
 星がキラキラと輝いて私の頬を照らした。
「結局。山賊なんてものは、生徒たちが作り出した幻影にすぎなかったのか」
 疲れ交じりに呟いた私の言葉は凛とした山中に霧散していく。先ほどからやけにちらちらと視界が眩しいが、どうせ星の光が私の涙に反射して映るからだろう。目をぎゅっと瞑ると私は睡魔に身を委ねるようにして眠りについた。

―――ニュース速報です―――
―――行方不明になっていた佐伯君が今朝方見つかり―――
―――科学の先生が行方不明とのことです―――
―――学校の生徒たちによれば山賊が人質に連れて行くのは一人だけだと―――
―――警察は噂の真意も含めて、慎重に捜査を進めていくようです―――

今回の参加者

A→o
有人零畝
鈴虫

 

時間
30分

 

テーマ

『幻影』『山賊』『暗黒』

 

タイトル

夜闇の怪物

 荒い息遣いがずっと聞こえる。これは自分のだ。今にも息が止まりそうなほど苦しい。
 全力で走っているのだから当然か。走り始めてまだ僅かばかりだというのに、もう長い事走っているかのように感じられる。
 いや、今は余計なことを考えてはいられない。とにかく走って走って、逃げなければ。
 ああ、くそっ。どうしてオレがこんな目に――。

 寂れた街道を、夜道に護衛もつけずに走る馬車を見つけたのが数刻前。自分達のような山賊が居るとも知らずに通ったのかはわからないが、そんな絶好の獲物を逃すはずもなく。僅かな時間で馬車は転がり御者と乗員は殺され、後は積み荷などの金品を持ち去るだけだった。
 その時だ、ヤツが現れたのは。
 新月の夜。その夜空の色さえ吸い込むような黒いマントに全身をすっぽりと包み込んだ人影が一つ、いつの間にか暗闇の中に立っていた。幻影か何かかと思い松明をそっちへ向ければ、確かにそいつはいた。そして信じられないことに、そう、今思い出してもまるで信じられないが、松明を向けている自分達の方にヤツの影が一気に伸びだしたんだ。
 ああそうだ。そしてその影がお頭の足元まで伸びた途端、その影から突然アレが飛び出したんだ!
 気づいたらお頭は松明を持った腕ごと、そいつに上半身丸々喰われたんだ。暗黒の塊とも言うべき化け物! 巨大な闇の塊が、飛び跳ねながら次々と仲間を悔いやがったんだ。
 オレは一番離れたところにいたからすぐには喰われなかったんだが、そのせいで見て気付いちまった。その闇の濃淡から、そいつが巨大な口だけの、ただ食うだけの化け物だってことに。

 ああ、それで松明も投げ捨ててすぐに逃げたんだった。他のやつがどうなったかなんて知るか。兎に角死にたくない、ただそれだけだ。
 しかし、くそっ。松明を捨てたのは失敗だった。恐怖と暗闇のせいで、今どこにいるのかも分からなくなってしまった。
 そして、限界を超えて走ったからか、あるいは暗闇で足元が見えなかったせいか、木の根に足を取られて転がるように倒れ伏してしまった。
 もう、息をするのも苦しい。罵倒の言葉さえ出せないほどだ。
 しかしまずい。アレが何か分からないが、ものすごくヤバい。こんなところに留まっていたら、すぐにでも――。
 そう考えた瞬間。上から降ってきた何かに再度、体を押しつぶす様に地面に叩きつけられる。
「グェッ」
 と蛙が潰れるような声が響いたが、それが自分の声だと気づく余裕もなかった。
 ミシミシと自分の体が音を鳴らす中、オレはもう一度自分の上に乗ったアレの姿を目にしてしまった。
「くそ、なんでこんな――」
 その先の罵倒を口にする間もなく、大口を開けた化け物飲まれたオレは、骨の砕ける音と共に永遠の闇に落ちていった。

 

今回の参加者

A→o
有人零畝
鈴虫

 

時間
30分

 

テーマ

『犯罪者』『黄金』『アルパカ』

 

タイトル
探しもの

「アレはどこだ」
 そう静かに問う男の手には拳銃が握られ、地面にうつ伏せに押し倒され動けないよう押さえつけられた男の後頭部に向けられている。
 銃を向ける男の目はどこまでも冷たく、人を殺すのに何の迷いも無い。
 押し倒された男もまた犯罪者だったが、ケタというか経験というかその身から滲む死線を潜り抜けてきた者だけが出せるオーラとでも言うのか、とにかくそんなものからして違う。
「わーったよ! アレは……」
 それをようやく感じたのか、諦めたのか地に伏せる男は観念したように『ソレ』の在り処を吐いた。
 それを聞いた男は何の躊躇いもなく引き金を引いた。

 男は電車に揺られていた。
 つい数時間前に消した男からの情報を頼りに。
 目的地付近には観光資源になりそうなもの、事は無かったように記憶していたが平日にもかかわらず乗客が多い。特にカップルや女のグループが目立つ。
 それは目的地に近づくに連れて増えてゆき、一つ手前の駅ではとうとう満員になった。そして男が目的地に着くと人の波は一斉に降りていき男もその波に流されるよう降り立つ。流されながらも辺りに少し目をやると降りた乗客と同じ程度の人間が電車に乗り込むのが見えた。
 おかしい…………
 そう思いながら改札を抜けて駅前に出るとその答えの一端を見た。
「美術館へのシャトルバスはこちらでーす!」
 そう声を上げる美術館のスタッフのジャケットの背中に何か動物を愛らしく親しみやすい姿にデフォルメした所謂ゆるキャラが描かれていた。それは一見では何の動物かわからないがその色から察しがついた。
 それを確かめるためシャトルバスに乗り込む。揺られること数十分。美術館についた。
 その道中もそのゆるキャラが街中で見かけられてそれを見つける度に同乗している集団が声を上げていた。
 男はほ収蔵されている美術品に目もくれること無くガイドに従い歩を進め、とうとうソレを見つけた。
 ガラスケースに入れられ、四方を警備員に守られた黄金のアルカパ像を。
 バス乗り場にいたスタッフジャンパーに描かれていたのはこの像デフォルメしたものだったのだ。それを確認するとただ静かに人混みに消えていった。

今回の参加者

A→o
有人零畝
鈴虫

 

時間
30分

 

テーマ

『犯罪者』『黄金』『アルパカ』

 

タイトル
金のアルパカ

 どこかの南米大陸に金を生み出す黄金のアルパカがいるという噂があった。
 噂によれば、その黄金のアルパカは排せつ物の全てが純金という極めて異常な体質ということだ。
 そして、所有者はその稀有な能力の悪用を恐れ所在地の一切を秘匿していたのだった。
 しかし、情報というものはどこからかは必ず漏れる物で、現在地を突き止めた盗賊たちがそのアルパカに迫っていたのだった。

 男たちを乗せた荒野をジープが進む。独特の重低音を鳴り響かせ土埃を舞上げながら噂のアルパカが居るとされる目的地へと。
 後部座席には銃器が数丁と剃りあがった刀――シミターの類――が数本搭載されており、襲撃の常備は万端の様だった。
「兄貴! そろそろ目的地に着きそうでっすよ」
 運転していた男――イントネーションに変な訛りがある、小柄でひげもじゃの男――が一軒の農家を指さしながら言った。
「おめぇら! 準備はできてるだろうな!? 話によると外見に似合わずにかなりの警備だと言う話だ。油断せずに挑むぞ! 」
 兄貴と呼ばれた男が高揚の叫びをあげると、後部座席の野郎どもは一斉に唸りを上げた。
 ジープをドリフトさせ弾除けできそうな建物の横につけるど盗賊たちはいっせいに装備していたフードを被り、銃火器を手にして展開する。
 そして、ドリフト音に誘われて出てきた警備員達にに銃弾を掃射した。
 農場は一瞬にして地獄に変わる。大地を血で赤く染め。人だったものは悪趣味なオブジェを化していく。
「兄貴… ジャスとリーがやられっちまいました」
「気にするな。どうせあいつらただの傭兵崩れの犯罪者だ。悲しむものは当にいない。それよりも敵の数がだいぶ減ってきたみたいだ、もう少しで俺たちの勝ちだ」
 そして、戦況は盗賊たちに不利だったが、仲間の命と引き換えに辛くも勝利を収めたのだった。

 ぼろぼろになった兄貴と子分が黄金のアルパカの前に立った。
 アルパカは見知らぬ顔の二人に怪訝の表情を浮かべる。
 もしくは鉄臭い血の匂いのせいかもしれない。
「やったぞ。これで俺たちは億万長者だ! 」
「兄貴」
――パン
 兄貴はいつの間にか子分の手に握られていた小銃が硝煙を上げていることに気が付いた。そして自分の下腹部に赤い染みが広がっていくのを見た。
「俺たち… ではないっです。俺が億万長者になるんっですよ」
「お前…… 裏切るのか」
「裏切るとは心外でっす。あっしも兄貴も所詮悲しむものなんていないただの犯罪者っすよ」
「信頼していた俺が馬鹿だったのか…… 」
 裏切者は死んだ兄貴を一見し、アルパカに振り返る。
「さあって、愛しい愛しいアルパカちゃん。こっちに来るでっすよ」
 一部始終を見ていた怪訝そうなアルパカ。
「アルパカちゃん用のタクシーはこっちですよ」
 不快感MAXのアルパカは裏切者に手綱を引っ張られた瞬間に――痰を吐きかけたのだった。
「グェ。な…これは。あああああ。動けない。いったい俺に何を」
 続けざまに痰を吐きかける。アルパカの排泄物は全て純金、もちろん吐く痰も純金なのだ。
 裏切者の体は徐々に黄金に塗れていき最後は窒息してこと切れたのだった。
 最後に取り残されたアルパカは何を思うのだろうか。
 生まれた瞬間から人に飼われてきた動物は野生に帰ることはできない。きっとこのアルパカもその内に野垂れ死ぬだろう。
 吸い込まれそうな漆黒の瞳が涙を流した様にも見えた。