一部の方々の間で話題沸騰中の「ザ・グレイテスト・ショーマン」を観て来たのですが、ウワサに違わず、ストーリーは本当はすんごーく深いのにダイジェスト版っぽくなってしまっていて、映画としては正直「う~ん」という印象。
で、逆に劇中歌は腕によりをかけた渾身の作品が目白押しで、皆さん仰る通り、劇中歌にストーリーがオマケでくっついたような感じでした。
でもね、本当に、題材そのものは深いのよ。
だからこそ、あえてダイジェストっぽく軽く流した事で歌を引き立てたのかな。
堀り下げると、映画として深みが出る反面、歌が邪魔になりかねないから。深いテーマだけに、ショーマンっていう雰囲気じゃなくなっちゃうし。
そういう意味では、バランスの取れた良作だったと思います。
曲は本当にどれもこれもカッコイイから、CDとして聞くのにも最適!
1曲1曲がちゃんと独立しているのも良いです。
で、さっきからストーリーは深いの、と言っていますが、本作の代表曲「This is me」という曲がその深さを象徴している名曲なのです。
お話には、髭の生えた女性や、アルビノ、多毛症、小人症、結合双生児や、全身刺青、空中ブランコ兄妹など、ちょっと他の人とは違う人が登場するのですが、彼らが歌うのが「This is me」なんです。「これが私」という題名からも想像つくように、超要約すると「皆は”欠陥のある”自分を隠したがったり無視したり疎んだり傷つけたりするし、自分自身もそれを恥じて隠れるように生きてきた。でも、そんなものには負けない。私には、私がありのまま輝ける場所がある。私だって愛されて良いし、その価値があるの。これが、私」みたいな、そんな歌詞なのですよ。
これはねぇ、良い曲ですよ、ホント。歌詞も素晴らしいし、曲も力強いの。
是非一度聞いていただきたい。ストーリーとか知らなくても、グッときます。
そしてね、日本語版の歌詞が無いのかなぁと思って調べてみたのですが、どうやら公式には発表されていないようで、作っちゃいました(笑)
なんかね~、たまたま「When the sharpest words wanna cut me down,」という歌詞を「心無い言葉の槍が」と訳せて、わぉ、これはなかなかのセンス、と自画自賛して、そのノリで全部作ったという、例によって勢いだけで突っ走ってみたのです。
結局「槍が」じゃなくて「槍も」になりましたが、このフレーズはそのまま採用で。
普段は勿論訳詞なんて作りませんが、決められた音節の中で、いかに日本語に置き換えていくかというのは、難しくもあり、面白くもあります。
英語の表現を直訳すると、途端に魅力が半減してしまう言い回しもあるし、逆に英語の表現をそのまま活かしたい表現もある。そして、なんと言っても日本語と英語の単語と音節の差がありすぎてツライ。「This is me」は「これが私」ですが、音にすると日本語、二倍ですからね(苦笑) だから「わたし」とか、そんな風にしか入れられない。
んで、苦肉の策で、英語の歌詞が全く繰り返しでも、日本語の歌詞では違う文言を入れてみたりするわけです。
でも、今回は、私はそれをあえてしたくなかった。
同じ歌詞でも、1回目と2回目、3回目で伝わってくる感情が違ったから。
1つだけ「勇敢、そして傷だらけ」の部分を3回目だけ「勇敢、だけど傷だらけ」に変えたぐらいです。
これにも意図がありまして。英語では「I am brave. I am bruised.」なので、接続詞が無いのです。これをどう捉えるか。最初見た時、なぜに「勇気」と「傷ついた」が並列?と思いましたからね~。字幕では「勇気がある、傷もある、」となっていましたが、そう、これは果たして「and」だけなのか。
そこでキアラさんが1人で歌う3回目の歌い方に注目したわけです。震えるように、搾り出すように歌う彼女の「This is brave. This is bruised.」は刺さりますよ。特に、もう「bruised」ね。こんな表現ってアリ!?ってぐらい気持ちがビンビン伝わってくるもの。これはズルイよ~涙腺が…。というわけで、私もここだけは意図的に「だけど」にしたのです。
なんて、あれやこれや考えて和訳を作成したので、お披露目。
と、同時に、めっちゃ細かい私の和訳制作秘話も下の方に公開。
超長いです。てへ。
I'm not a stranger to the dark.
(私は暗闇に慣れている)
暗がりに生きてた
※「暗闇」ではなく「暗がり」にする事で、ひっそりと目立たないよう隠れて生きてきたかんじを表現してみました。
Hide away, they say 'Cause we don't want your broken parts
(隠れていろと人々は言う。壊れた部品は要らないから、と)
お前など要らないと言われて
※先の「暗がり」で隠れてる感を演出したので、ここでは「要らない」を強調
I've learned to be ashamed of all my scars
(自分の傷を恥じるようになってしまった)
この身の傷を恥じたわ
Run away, they say No one will love you as you are
(どこか言ってしまえと人々は言う。誰もありのままのお前なんて愛さない、と)
ありのまま愛される事なんてない
But I won't let them break me down to dust
(でも私は誰にもゴミ扱いなんてさせない)
そう、でも奪えやしない、
※Butはズルイね。「でも」だと2音節になるので入れられず…やむなく「そう」として次に「でも」を持ってきました。ゴミ扱いのくだりはやむなくカット。
I know that there's a place for us For we are glorious
(私たちのための場所があると知っているから。私たちが輝くための)
私の居場所を。輝くための
When the sharpest words wanna cut me down
(鋭い言葉が私を切り裂く時)
心無い言葉の槍も
※自信のワンフレーズ(笑)
I'm gonna send a flood, gonna drown them out
(洪水を起こして、押し流してやる(かき消してやる))
洪水起こして押し流す
※ここは悩みました。Drown outには「かき消す」という意味があって、多分本意は「自分を傷つける鋭い言葉をかき消す」という事だと思われまして、しかし「槍」をかき消すというのもなぁ、と。でもここで盾とか持ち出して「槍を跳ね返す」とか変に創作するのもなぁと思い、なるべく言語に寄せました。意訳にするか直訳を生かすか、最も迷ったフレーズです。
I am brave, I am bruised I am who I'm meant to be, this is me
(私は勇敢、私は傷ついてる。これが私のあるべき姿。これが私)
勇敢、そして傷だらけ。それが私
※音節数が少ないYo!!という事で、無理くり押し込めた結果こうなりました。
Look out 'cause here I come
(気をつけろ、私が行く)
今、光の中へ
※ここもねぇ、迷ったのですが、暗がりに生きていた私が「I come」だから、光の中に進み出るって事やんなぁ、という事で、こんな歌詞に。
And I'm marching on to the beat I drum
(自分で叩くドラムに乗せて行進する)
脈打つ鼓動に歩調合わせ
※このフレーズは結構お気に入り。
I'm not scared to be seen I make no apologies, this is me
(見られることは怖くない。謝る事もない。これが私)
怖れ捨てて胸をはるのよ、見てて
※本当は「I make no apologies」の意味合いを入れたかったのですが、上手い言い回しが見つからず、apologiesはここではおそらく「自分は何も悪いことをしていないのに、申し訳なさそうにする」事を指すんじゃないかなぁと思い「胸をはる」という表現にしました。
最後の「見てて」は、また「私」でも良かったのですが、なんかこの歌通して「暗がりから出てくる」というニュアンスを感じ取ったので「これが私じゃい!見るがよい!文句あんのか!?」というメッセージを込めてみました。
Another round of bullets hits my skin
(また別の銃弾が肌に当たる)
この身を貫く銃弾
※Another roundとかが入るスペースは当然無く…
Well, fire away
(それなら撃てば良い)
撃てば良い
※これはスッキリ収まりました
'cause today, I won't let the shame sink in
(今日はもう恥ずかしさに沈んだりする事はないから(うーんちょっと無理ある…))
今こそ恥を捨てる時
※なかなか音節にはまる言い回しが思い浮かばず苦労しました。
We are bursting through the barricades
(バリケードを突き破って)
バリケードを突き破り
※多分ここが一発でハマッた大賞w
And reaching for the sun (we are warriors)
(太陽に手を伸ばす(私たちは戦士))
太陽のもとで(立ち上がれ)
※これもねぇ、「太陽に手を伸ばす」という訳にしなかったのには、例の「暗がりから出てくる」という意味合いがありまして。押し込められていたバリケードを突き破って太陽の下に出ようぜ!という意味を込めて、こんなかんじに。
Yeah, that's what we've become
(そう、これが私たちがなるべき姿)
そう、戦士のように
※んで、warriorsという単語が好きすぎて(いいですよね、soldiersじゃなくてwarriorsでっせ!)是非入れたいという事で、ここに。
~繰り返しが色々あって~
And I know that I deserve your love
(私はあなたの愛を受けるに値すると知ってる)
愛される資格もあるの
There's nothing I'm not worthy of
(私がふさわしくないものなんて何もない)
価値の無い人なんていない
※この2つも、まあ割とそのままの訳ですな。
というわけで、色々、色々考えて、和訳詞が出来上がりましたとさ。
長々とここまでお読みいただき、ありがとうございました。
ふぅ。