京都花月 昭和57年4月上席 吉本新喜劇「たんぽぽの花」 作・演出 中村進
※うめだ花月4月中席に続演。ポスター、プログラムでは「たんぽぽの唄」。
信雄は料亭「京の里」の勝手口を借りて、屋台のうどん屋を出させてもらうことになった。「京の里」のお内儀スミ子は信雄の小学校時代の同級生で、初恋の人である。スミ子はもともとこの「京の里」の若旦那太のところへ嫁いできたのであったが、太は女を作って家を出て行ってしまった。スミ子は離婚の手続きをして家を出ようとしたのであったが、大旦那の竜夫の頼みで「京の里」に残って料亭を切り回していたのだった。
そんなある日、借金取り一の介に追われた太が女の秋恵と二人の間に出来た子供を連れて、大旦那のところに金をせびりに戻ってくる。しかし一歩も家に入れようとしない竜夫。一の介らに痛めつけられる太を見るに見かねたスミ子は借金を立てかえてやる。
しかし、スミ子は秋恵の抱く赤ちゃんに、「初孫や」と目を細める竜夫を見て、「私さえこの店にいなかったら、あの人も奥さんも赤ちゃんも店へ帰って来られる」と店を出る決心をする。
この年の1月に座長になった室谷信雄に専科から桑原和男、マドンナに山田スミ子を配し、脇を高石太、島田一の介、井上竜夫、菊池大助、島木譲二らで固めて、中村進お得意の人情喜劇。