花組公演 はいからさんが通る | 続アメマのおとしもの

続アメマのおとしもの

鉄道・吉本・宝塚のことなど・・・。

2020年10月9日~11月15日 東京宝塚劇場・花組公演

●ミュージカル浪漫「はいからさんが通る」 原作/大和和紀 脚本・演出/小柳奈穂子

 

大正浪漫華やかなりし東京を舞台に、眉目秀麗で笑い上戸な陸軍少尉・伊集院忍と、はいからさんと呼ばれる快活な女学生・花村紅緒が繰り広げる波乱万丈の恋物語。2017年にシアター・ドラマシティと日本青年館において、柚香光と華優希を中心とした花組で上演され、この度は大劇場公演でトップお披露目公演として再演。しかし新型コロナウイルス感染拡大で、3月13日の初日を開けずに中止。7月17日にようやく再開されたものの、舞台上の人数規制、客席数の制限など様々な感染対策を実施。しかし8月に入って、舞台関係者と花組生がコロナに感染し再び公演中止。9月に数日だけ再開して千秋楽となってしまいました。

私は8月27日のチケットは取ってたのですが、当然払い戻しに。なので東京公演を観劇することになりました。

 

11月4日13時30分公演、1階20列目で観劇。※ネタバレ注意。

ドラマシティ上演時にはダイジェスト版みたいに感じ、小柳氏の相変わらずの原作のキャラと生徒の個性に頼り過ぎてる感があって、脚本の薄っぺらさが出てしまいました。長い原作を2時間程度の上演時間でまとめるのは大変だとは思いますが、そう思うと「花より男子」は上手く出来てたなと思います。

今回は本公演なので、少し時間に余裕があり、前回で物語のキャラクター設定の理解は出来てるし、豪華なフィナーレもあるので、ちょっとは安心して見れるかな? 役の変わってる生徒や、初めて出演の生徒もいるし、そこらへんも楽しみのひとつ。

 

主演柚香光は、陸軍少尉伊集院忍とミハイロフ侯爵。

二番手で主演とトップで主演とでは、見る側も柚香自身も気分的に違いますし、なんせコロナで再開一発目の初日映像なんて、もう感動モンでしたからね。そこへ中止があって、再開しての千秋楽と波乱の大劇場公演を経て、まだコロナ禍ではありますが、ようやく東京で落ち着いて役に集中できていたように見えました。

当時の日本人男性にはない優しさと柔らかさ、ですが軍人としての強さ。女性に対しての紳士さなど、見ていて非常に気持ちが良かったです。特に「~ですよ」という口調がホントに優しい。歌はだいぶんマシにはなってますが、まだまだがんばってもらわねば。フィナーレの黒燕尾のダンスはビシッと決め、デュエットダンスでは、新郎新婦のような衣装で初々しさに溢れてましたね。パレードでは余裕も感じられました。

 

相手役華優希は、はいからさんと呼ばれる花村紅緒。

初演時に比べてただ賑やかでない、人間的な部分がかなり出ていたと思いますが、やはり忍との対比でコミカルにガサツに演じる分、動きが大きくなってました。しかしそこで下品になりすぎず、活発でしっかりとした考えを持った女の子というところは華の品の良さかな。彼女も歌がねぇ・・・パレードの歌なんて酷かった。ビジュアルだけでいくトップコンビにも限界があるので、よほど良い作品に巡り合わないとキツイかも。

 

二番手瀬戸かずやは、初演時に鳳月杏が演じた青江冬星。

スター路線に乗るとは思ってなくて、別格路線を歩むのかと思いきや、二番手ですから驚きです。しかしそこはトップより先輩なだけあって、芝居を締める効果は抜群でした。出番は二幕からがほとんどですが、その存在感は流石で、コミカルさもさることながら、ラストで紅緒を譲る潔さにカッコよさを感じました。フィナーレでの銀橋ソロは、なんとなく音程を外し気味な気もせんでもないですが・・・。あれで合ってるのかな?

 

軍曹鬼島森吾は初演同様に水美舞斗

熱い野郎ですが、ロシアや日本へ来てからもそんなに活躍する訳でもないのに、環に惚れられるのが説明不足。原作は読んでないので分かりませんが、もっと美味しい場面があるはずです。スピンオフを見てみたいぐらい。ただ同期柚香を支える強さは、鬼島の忍に対する信頼とダブる感じがありました。

今年の初めに雪組から組替えになった永久輝せあは、作家の高屋敷要。

ようやく花組に馴染んた感が出てきましたね。役的には反政府運動にも加担してて、なのに忍と学友でというややこしい役。そこを重くなり過ぎず、明るく演じたのは良かったです。

紅緒の幼馴染で歌舞伎役者の藤枝蘭丸を聖乃あすか

真面目にナヨナヨしてるのが、初演同様に面白く。だけど紅緒への友情は熱くって・・・。

初演時に天真みちるが演じた車引きの牛五郎。これ演技過剰であんまりいい印象がなかったんですが、飛龍つかさは、結構上手くやってたと思います。天真はコメディエンヌを意識し過ぎてたように感じます。

 

芸者の花乃屋吉次を次期雪組トップ娘役が決まっている朝月希和

マスカレード・ホテルとこれに出るためだけに、花組に帰ってきたの?(笑) 初演のべーちゃんは粋な姐さんって感じで好演。ひらめは粋さもありましたが、キリッとした気風の良さも感じました。

紅緒の同級生北小路環を音くり寿

普通にいい子なんですが、音がやると「花男」の時みたいに、嫉妬に狂う気がして怖い(笑)

ミハイロフ侯爵の妻ラリサを華雅りりか

病魔が彼女を悲劇のヒロインにしてて、ここが初演時はなんだか納得できなかったのですが、今回ようやく役に共感出来ました。

 

専科の英真なおきは紅緒の祖父伊集院伯爵。ま、何をやっても英真さんだわな(笑)

伯爵夫人を美穂圭子。ここがやんわりと存在感を出してくれたので、英真さんの頑固ジジイの清涼剤になってました。

 

 

全体的に初演時よりは楽しく観劇できましたし、それぞれの生徒も熱演・好演していました。ただやっぱりトップコンビの歌が弱すぎる。次作は海外ミュージカルだとか、大丈夫なんですかね・・・。