下巻目次
第三部 時空間における時間変化
あとがき





第三部 時空間における時間変化



統合理論においてもやはり時間変化は記述する。僕はタイプは固定的だと思っていない。時間変化による信念や欲求の変化があると思っているからだ。ここではそれぞれの時間変化を記述する。
エニアグラムには統合および退行といった時間変化があるが、心理機能にはなぜこれがないのか僕は前々から不思議に思っていた。


1.クワドラント内流転

クワドラント内でIP→EP→EJ→IJと秩序化していくというのは説明したが、まさしくこの通りにクワドラント内でタイプが流転するという説である。
ここでは根底的信念は変化せず、根底的信念に対する信頼度が変化する。


クワドラント内流転は各クワドラント内において起こると思われる時間変化で、IP→EP→EJ→IJ→IPと流転する。この流転説の根拠は現実界から想像界、象徴界、現実界への移行であり、やはり統合理論においては16タイプにおいてもエニアグラムにおいても「界」がキーとなる。

アルファ
TiNeSiFe(INTP) 現実界(T5)
↓Ne重視、Si軽視
NeTiFeSi(ENTP) 想像界(T7)
↓Fe重視、Ti軽視
FeSiNeTi(ESFJ) 象徴界(T2)
↓Si重視、Ne軽視
SiFeTiNe(ISFJ) 象徴界(T6)
↓Ti重視、Fe軽視
INTP

ベータ
TiSeNiFe(ISTP) 現実界(T5)
↓Se重視、Ni軽視
SeTiFeNi(ESTP) 想像界(T7)
↓Fe重視、Ti軽視
FeNiSeTi(ENFJ) 象徴界(T2)
↓Ni重視、Se軽視
NiFeTiSe(INFJ) 現実界(T4)
↓Ti重視、Fe軽視
ISTP

ガンマ
FiSeNiTe(ISFP) 現実界(T4)
↓Se重視、Ni軽視
SeFiTeNi(ESFP) 想像界(T7)
↓Te重視、Fi軽視
TeNiSeFi(ENTJ) 想像界(T8)
↓Ni重視、Se軽視
NiTeFiSe(INTJ) 現実界(T5)
↓Fi重視、Te軽視
ISFP

デルタ
FiNeSiTe(INFP) 現実界(T4)
↓Ne重視、Si軽視
NeFiTeSi(ENFP) 想像界(T7)
↓Te重視、Fi軽視
TeSiNeFi(ESTJ) 想像界(T3)
↓Si重視、Ne軽視
SiTeFiNe(ISTJ) 象徴界(T6)
↓Fi重視、Te軽視
INFP


上記は順当な時間変化の方向、つまりエニアグラムでいう統合にあたる。つまりもちろんこの逆も有り得る。


2.クワドラント外流転

根底的信念が変化し、クワドラント外のタイプに時間変化することも考えられる。これがエニアグラムの統合退行にあたり、またソシオニクスで言うストレス時の意識無意識の入れ替わりにも相当すると考えられる。


[INTP流転]
T5 TiNeSiFe(INTP)
↓TiSi不信(ソシオの意識無意識の入れ替わり)
T8 TeNiSeFi(ENTJ)
↓Fi不信
T2 FeNiSeTi(ENFJ)
↓TiNi不信(ソシオの意識無意識の入れ替わり)
T4 FiNeSiTe(INFP)
↓FiSi不信/Si不信
T1 NiFeTiSe(INFJ)/NiTeFiSe(INTJ)
↓TiNi不信/FiNi不信(ソシオの意識無意識の入れ替わり)
T7 NeFiTeSi(ENFP)/NeTiFeSi(ENTP)
↓Fi不信/NeFe不信
T5 INTP

[ISTP流転]
T5 TiSeNiFe(ISTP)
↓TiNi不信(ソシオの意識無意識の入れ替わり)
T8 TeSiNeFi(ESTJ)
↓Fi不信
T2 FeSiNeTi(ESFJ)
↓TiSi不信(ソシオの意識無意識の入れ替わり)
T4 FiSeNiTe(ISFP)
↓FiNi不信/Ni不信
T1 SiFeTiNe(ISFJ)/SiTeFiNe(ISTJ)
↓TiSi不信/FiSi不信(ソシオの意識無意識の入れ替わり)
T7 SeFiTeNi(ESFP)/SeTiFeNi(ESTP)
↓Fi不信/SeFe不信
T5 ISTP

上記はそれぞれN型とS型における、制圧機能及び保持機能(つまり5→8→2→4→1→7→)の統合である。
受容機能(つまり9→3→6→)の統合退行については、T9は傾向としてIxFx、T3は傾向としてExTx、T6は傾向としてxSxJということは分かっているが、どのような時間変化を辿るかはまだ言及できない。


クワドラント内流転(心理機能の時間変化)においては、表面的意識は変化したが根底的信念は変化しなかった。
クワドラント外流転(エニアグラムの時間変化)においては、根底的信念は変化したが、表面的意識は特に知覚機能は変化しなかった。N型はN型を保ち、S型はS型を保つ。


3.表面的意識の形成要因

N型というのは、根底的信念がSiにせよNiにせよ、表面的意識はNつまりNiもしくはNeである。つまりN型の人々は、「世界は不変である」と意識する。

S型というのは、根底的信念がSiにせよNiにせよ、表面的意識はSつまりSiもしくはSeである。つまりS型の人々は、「世界は変化する」と意識する。

表面的意識ふくめ、世界観や根源的欲求が形成されるのはやはり幼少期であるというのが現時点での見解である。

N型は「世界は不変である」と意識する環境で育った。
S型は「世界は変化する」と意識する環境で育った。
という仮説を立てることができるだろう。

N型の人口比率は統計データでは3割を切っている。以前これに関しては仮説をツイートした。






根底的信念がTiかつSiにおいて、「世界は不変である」と意識する環境で育つとNTPになる、などの仮説も立てられる。つまりこれはある種フロイトの発達段階説の否定的意見である。フロイトの発達段階説では、各段階において適切に欲求を処理できたかどうかが、どの発達段階の性格となるかの決定要因としている。しかしこの表面的意識形成説では、まず根底的信念があり、それに表面的意識が付随することでタイプが決まるというものだ。根底的信念がSiなのに、表面的意識がNとなれば自然と葛藤が生じてNTPとなる、などだ。


4.幸福度との関係性

これに関してもツイートした。






なぜこうなるか、の現時点での見解は
Fiであれば自己の物理的身体を中心に考えるから、生物として、生存本能に順当に従うことができているため。
Niであれば世界および自己を不変と考えるから、生物として自己を保ち力強く生きることができるから。である。

この他、今回の統合理論を通して相性論を含めて諸説思いついている。これらもまとまればまた発表したい。


あとがき

それにしても我々はなぜ今の世界観を有するに至ったのか。それは使う「言葉」による形成だと考えている。
家族のタイプ構成を調査した時に気が付いたが、たいてい子の持った心理機能は親の持つ心理機能と一致していた。ENTPとISFJのように、タイプが真逆であれば持つ心理機能は全く同じ、つまり同じクワドラントに属する。
我々は幼少期に、家族から言葉を通して世界観及び心理機能を授かった。だとすれば、これから言葉を通して他の世界観を享受することは可能と思う。αクワドラントの人々はαクワドラントの言語を使う。γクワドラントの人々はγクワドラントの言語を使う。
僕は類型論界隈に来て、心理機能という言葉を通してさらに自身のより鮮明な世界観を獲得していった。また、あらゆる人々と交流することで、あらゆる心理機能及び世界観を享受した。そして今僕は読者の皆様に、言葉を通して複数の異なる世界観を提供したい。
そしてさらに言えば僕は多読を勧める。膨大な読書をすることであらゆる人の世界観を享受することができる。他人の人生は借りられるし買えるのだ。
我々は意識がある限り何らかの信念を有すると思うのだが、言葉やその他の対象物をより多く知ることで、信じる対象もより多くから選ぶことができる。知の豊かさ、つまりは世界観の豊かさは人生の豊かさと言っても過言ではないと思う。