流れ者のジョーが、あるテキサスのバーにふらりと入った。
奥の一角に馬がいて、その前に、四角い木の箱がおいてある。
側面のひとつには、厚いガラスがはめ込まれ、箱の中が見える。
箱には、かなりのドル紙幣が山となって溜まっていた。
そして、箱の前に札が立ててあった。
「賭けに興味のあるかたは、バーテンダーに聞くこと。」
不思議に思って、ジョーは、バーテンダーに訊いた。
バーテンダーは、得々として答えた。
「馬は、普通、笑わない。」
「どんな方法でも、5分以内に、あの馬を笑わせたら、賭けは勝ち。」
「掛け金は10ドル。バーテンダーの手数料は2ドル。勝ったら、今まで負けた者が払った全ての金を、箱ごともらえる。」
「参考までに言うと、今まで、誰一人賭けに勝ったものは居ない。」
ジョーは、賭けることにして、バーテンダーに10ドル払った。
バーテンダーは手数料の2ドルを差し引いて、8ドルを、箱の上部の切れ込みから、箱にねじ込んだ。
「さあ、どうぞ!」
バーテンダーは、ジョーに向かって言った。
ジョーは、馬のたてがみを優しく撫ぜた。
そして、馬の耳に何かをささやいた。
すると、馬は、突然白い歯をむき出して、笑った。
あっけにとられているバーテンダーを尻目に、ジョーは箱を抱えてゆうゆうと出ていった。
一年後、流れもののジョーは、また、テキサスの同じバーに立ち寄った。
同じ馬が奥の 片隅にいた。
馬の前の箱の中は、ガラスを通して、ドル札が山となって積みあがっているのが見える。
バーテンダーは、ジョーを覚えていた。
「今度は、ちょっと賭けの趣向が違う。」
「あの馬を、5分以内に泣かせたら、賭けは勝ちだ。」
ジョーは、バーテンダーに10ドル払い、挑戦することにした。
バーテンダーは、8ドルを箱の切れ目から押し込み、ジョーを振り返って言った。
「さあ、どうぞ。」
ジョーは、馬の耳に何かささやいた。
それから、彼は、ズボンのチャックを下げて、一物を取り出した。
それを見て、馬は、涙を流して泣き出した。
あっけに取られる、バーテンダーを尻目にジョーは、ドル札の詰まった箱を抱えて出て行こうとした。
すると、バーテンダーが彼を呼び止め、一年前に、馬を笑わせ、今度は、馬を泣かせた理由を教えてくれと頼んだ。
ジョーは、言った。
「一年前、俺は馬に、俺のものはお前のものよりデカイとささやいた。」
「すると馬は、俺をせせら笑ったのさ。」
「じゃ、今度は、なぜ同じ馬が泣いたんだ?」バーテンダーは訊いた。
「実物をみせてやるからよく見ろよ、と馬にささやいたのさ。」ジョーは答えた。
馬は、ジョーの巨大なあそこを見て、悔し涙を流したのだった。
この後、ジョーは、畏敬をこめて、「ビッグ・ジョー」と呼ばれるようになった。