まえがき

これはこの春、私に起きたノンフィクションの事実である。

 

特定の企業に対する批判やクレームではなく、同じような状況に遭遇した時の対処方法として、少しでも参考になればと時系列にまとめたドキュメンタリーである。

 

 

  第1章 予約と到着

 

⏰《2024年3月9日》

それは嬉しいトキメキから始まった・・・はずでした。

 

ほぼ日課になっている“マテルクリエイション“のサイトを覗いたら、ホットウィールのRLC「1972 SKYLINE H/T 2000GT-R」の発売案内を見つけ「おおっ!」てうなったのを覚えています。

 

黒と赤に染め分けられたADVAN仕様のハコスカ。

カッコ悪かろうはずがない、誰もが欲しくなるキャスト。少し前からリリースの噂が

あったのでいよいよ来たか!と思いました。

 

 

でも、どうして案内メールがこなかったんだろう?

 

いぶかしげに思って、記事を読み進めると“自国以外の発送はしない“との文言。

 

その頃、システム障害なのかはたまた配送会社との契約かは知らないが、一部のマテルの商品がUSA以外の国への発送を制限していたのは知っていた。しかし、このハコスカも発送せずの対象になっていたのだ・・・う~ん残念無念。

 

 

マテルよ!これまで微力ながらも、経営に貢献してきたではないか。

それでもこの期に及んで、USA以外の全世界のコレクターの目の前に餌をぶら下げおいて、指をくわえて見てろ・・・と?!

 

「そんな馬鹿げた話はあるか!」

「何のためのRLC会員なんだ!」

 

そんな思いの丈をSNSやブログに綴ったものの、気持ちは治まるところか増々物欲は募るばかりで・・・↓

 

 

 

⏰《2024年3月12日》

いよいよ日本時間の13日午前1:00から予約が始まる日だ。

 

「ど~せ日本には送ってくれないし・・・」

 

九分九厘あきらめ切っていたものの未練がましくサイトを覗くと・・・

どうやら予約開始が1日延期になったようだ。

確かにカウントダウンのタイマーに日付が1日分増えているではないか!

 

さらに、昨日まで表示されていた『米国にのみ発送』の文言もなくなっている。

 

「これはきっと何かあるぞ!」

「もしかして本国以外にも発送してくれるのか?」

「希望を持っていいのか?」

 

都合のいい自分勝手な妄想を膨らませて、翌日を待った。

この時はまだまだ疑心暗鬼のまま、根拠のない望みを抱いていた。

 

 

  第2章  まさかまさかのハコスカが買えた!

 

⏰《2024年3月13日》

朝パソコンを開くと、夜中の内にやっとハコスカの予約案内のメールが届いていた。

 

今日こそは1日延期になったその答えがわかる筈と思いながら、サイトを開いた。

カウントダウンタイマーは昨日から順調に数字を減らしている。日本時間にすると14日の午前1時予約開始。例の米国のみ発送の文字も見当たらない。

 

「よし!夜中の1時まで待つか・・・」

 

そう思いながら時間まで待つと決めたものの、まだまだ何~んの確証もない。

 

 

⏰《2024年3月14日》

 

>>午前0時、予約解禁まであと1時間。

 

「頼むから、日本にも発送してくれーーーっ」

 

神にも祈る思いで残る1時間を待った。

 

 

>>午前0時59分30秒。

あと30秒・・・ドキドキタイム・・・完全に臨戦態勢!

 

まるで福男にならんと扉が開くのを待つ、元旦の青年達の如く鼻息は荒い。

 

>>カウントダウン開始。5・4・3・2・1・

 

>>午前1時。

サイト画面が更新されて、『お買物かごに追加』のボタンが表示された。

 

「よし、バトルの開始だ!」

「こうなったら何も構っちゃいられない」

「俺は脇目も振らずゴールに向かって突進するランナーだ!」

 

無駄な動作は少しもなく商品をカートに入れて、チェックアウトに並んだ時点では順番は3分待ちだったと記憶している。

 

やがて3分が経過して『私はロボットではありません』画面が表示された。

お馴染みの9分割の画像が小さすぎて判別が出来ないまま、取り敢えずチェックをしては送信、チェックしては送信を繰り返した。

無限ループにはまろうが、そんなことは知ったこっちゃない。

 

何回目のトライか分からなかったが、ようやく“人間”と認められてクレジットカードや発送住所などの確認画面になった。

 

「ここまで来たらあと少し・・・」

「頼むから途中でSOLD OUTにならないでくれ!」

 

実は過去に、ここからSOLD OUTになったことは何度も経験している。

祈る思いで、最小限の動作で手続きを進めていった。

 

 

 

そして、いよいよ・・・

 

 

マテルからの予約受理の返信が送られてきた。

 

「よっしゃーーー買えたーーーーっ!!!!!!」

 

思いっきり叫びたかったけど、夜中なので遠慮した www

 

 

まさかまさかのハコスカをゲット出来た!

USA以外には発送しない時点であきらめていたあのハコスカを!・・・

 

物を買って久々に興奮した。

 

 

  第3章 呆然、一体何が起きた?

 

⏰《2024年3月26日》

マテルクリエイションから商品発送のメールが届いた。

 

予約から12日目の発送メールには随分早いなとは思ったが、荷物の追跡調査を見たら、既に18日に現物は発送されていたようだ。発送連絡ってこんなにタイムラグがあったっけ?このとき何となく違和感を持ったのを覚えている。

 

これまでは発送連絡から2週間後くらいに自宅に配達されていたので、4月の頭には届くのだろうと思っていた。

この時は本当に届くのが楽しみで、楽しみで仕方がなかった。

 

 

 

そしてそして、ここからが今回の本題。

 

 

 

⏰《2024年4月3日》

そいつは突然私の前に現れた。

 

我が家のポストに通常郵便扱いの荷物が届けられていた。

茶色い袋の内側にエアクッションが付いた、主に書籍などを送る際に使われる最小限の緩衝材付の梱包バッグである。

 

たまたま同じ時期に、メルカリでミニカーの取引をしていて、外観上てっきりそれが届いたのだと思っていた。

 

その発送ラベルを見るまでは・・・

 

 

よくよく見れば、マテルからの荷物ではないか!

 

「えっマテルから?」

「これってハコスカなん?」

「にしては、何かおかしいくないか?」

 

瞬間的にそう思った。

 

通常、マテルからの荷物の梱包形態は、平たく長細い段ボールにエアクッションを入れてまずまず頑丈な荷姿で送られてくる。

 

 

・・・なのに何だこの無防備な梱包形態は?!

 

中身は大丈夫なんだろうか?

 

こんな梱包は、国内でちょっとそこまで送るとしてもあまり好まれない形態。

通販でミニカーを買った経験のある人ならば、誰でもそう感じる荷姿。

 

 

恐る恐る開封した。

 

「しまった、開封動画を撮っておけばよかった・・・」

 

 

いやな予感は的中した。

案の定、そこには無残な姿の商品が入っていて、私は呆然として言葉を失った・・・

 

 

「なんじゃこりゃー??!!」

 

ジーパン刑事以来の叫び!

 

 

あらためて今見ても、おぞましく痛々しい姿だ・・・

 

「そりゃこうなるわな!」

 

 

いくら海外クオリティといえど、こんな状態で工場から出荷されるわけがない。

この子は海を渡って私の家に来る途中で、一体どんなひどい目に合ったというのか?

 

発送ラベルとブリスターカード、シェルケースのダメージ箇所をよ~くすり合わせて分析すると、恐らく輸送中の何処かで箱ごとタイヤ状のものに右上角が轢かれる事故にあって、その後にラベルと商品が例のバッグに移し替えられて、フラフラの瀕死の状態でようやく我が家に着いたのだろう。

 

むしろ、よくぞこの程度のダメージで済んだものだ。

 

「肝心のミニカーは果たして大丈夫なのか?」

 

ブリスターにも多少の割れがあるので微妙、何ともいえない・・・

 

 

 

国内だろうが、海外からであろうが通販を利用する場合、こうしたリスクは当然あると考えてはきた。

 

わかってはいても、ど~してそれが今回のコレなんだ?

奇跡的によーやく買えたミニカーなのに・・・

 

「ワクワク」が「驚き」に変わり「唖然」「失望」へと落ちて「怒り」が沸騰。

私の感情は短い時間でこんな風に変化していった。

 

一体この怒りの矛先はどこにぶつけたらいいのか?

この時は全く冷静に考える思考回路は働いていなかった。

 

 

  4章 誰でも最初は初心者

 

⏰《2024年4月4日》

商品が到着して1日が経過した。

 

 

冷静になって、次にやるべき行動を考えてみた。

  1. USAマテルに直接連絡を取って交渉する
  2. 一旦、日本のマテルインターナショナルに連絡して対応してもらう
  3. 面倒なので、このまま泣き寝入りする
選択肢は以上の3つ。
 
 
まず、3の泣き寝入りはあり得ないとして、マテルと直接連絡をとるか、一旦マテルインターナショナルに連絡して、アドバイスを受けるのがいいのか?
2択になったが、結局最後はUSAマテルとの交渉になるわけだから、最初からそこへ連絡しようと決めた。
 
とは言っても、海外企業との交渉などやったことがないんだが・・・
 
 
ええーーい、ままよ!
 
どんなベテランも最初は初心者だ!めったにないこの状況を楽しんでやろう!
『ピンチはチャンス』と気持ちをポジティブに切り替えた。
 
 
 
まずは連絡の方法を考える。
 
電話で交渉?ムリムリムリムリ。
会話は到底自信がないので、連絡手段は“文字“しかない。
つまりメールだ。
 
しからばどんなツールで英語に翻訳するか?
 
色々調べて、面倒なダウンロードをしなくてもいい『Google翻訳』という心強いサイトを味方に決めた。
これなら日本語入力して、すぐ翻訳してくれてる。十分意思が伝えられそうだ。
 
さらに、海外の会社との交渉を進める基本をレクチャーしてくれているサイトを参考に、どんな順番でどんな文面がいいのかを学んだ。
 
重要なのは、『最初に目的を言う』ことと『感情的なことは言わない』『事実だけを伝える』ことのようだ。
 
はたしてどんな交渉で、どんな結末になるのか?
とにかくやるだけやってみよう!
 
 
善は急げ!
早速行動を始める。
 
マテルクリエイションのサイトの一番下の『お問い合わせ』から入って
 
すると、次の画面では『名前』『メアド』『トピックを選択』『コメント』を入力するように促される。
 

具体的な交渉内容はコメント欄に入力していく。

 

 

 

ここからは、実際に行ったマテルとのやり取りを綴ります。

 

 

拝啓、マテル クリエイション様

 

これは御社で購入した商品の代替えを送って頂く要望のメールです。

 

・商品名:Hot Wheels 1972 SKYLINE H/T 2000GT-R

・商品コード:●●●●●●●●

・注文ナンバー:●●●●●●●●

・国際郵便物追跡コード:海外●●●●●●●●

            国内●●●●●●●●

 

《状況と要望》

3月13日に購入した●●●(商品名)が4月3日に届きました。

しかし、Karkeepersとブリスターカードがボロボロに壊れていました。

ミニカーは無事のように見えますが、わかりません。

 

推察ですが、輸送途中で何らかのトラブルがあって段ボールと中身が破損して

エアークッション付きの袋に商品と伝票を移しかえられたものと思われます。

 

本来ならば、ミニカーも含めた完全な状態の商品の交換を要求したいのですが、ミニカーは既に完売しているようですので、karKeepersとブリスターカードだけを再度送っていただけないでしょうか?交換ではなく、そちらからあらためての再送を希望します。

 

今回、このような状況で御社とのやり取りはとても残念です。

 

一刻も早い回答と、誠意ある対応をお願いします。

 

敬具

 

名前:●●●●●●●●

住所:●●●●●●●●

Eメールアドレス:●●●●●●●●

 

 

 

以上の文章をGoogle翻訳に日本語入力し、英語変換したものをコメント欄にコピペして送信した。

 

果たして内容を理解してくれてどんな返信がくるのか?

 

 

 

⏰《2024年4月6日》(クレーム送信の2日後)

朝、パソコンを開いた。

意外と早く、登録したアドレスにマテルから返信が届いていた。

 

その時の内容はこうだった。

 

 

 

こんにちは●●●●(名前)!

お問い合わせいただきありがとうございます。ご注文の(商品コード)が破損していたと聞いて申し訳ありません。

心配しないで、私がお手伝いします。

都合のよいときに、破損した商品の写真を数枚添えてこのメールに返信してください。確認後、次のステップの詳細な説明を提供します。

あなたの応答を楽しみにしています!

頑張ってください。

 

 

マテルコンシューマーサポート

 

というものだった。

 

返信のタイトルには「問い合わせ番号」も付与されていて、全文引用方式でメールのやり取りが追跡出来るような仕組みで返信されてきた。

 

 

⏰《2024年4月7日》

要望通り、ありのままの写真を撮影してメールに添付、送信した。

 

 

⏰《2024年4月8日 PM23:51》

前日送った添付写真のフォーマットでは開けないのでjpgフォーマットでの画像再送して欲しい旨のメールが届いた。

 

 

⏰《2024年4月9日 AM1:11》

早速、jpgフォーマットに変換してあらためて画像を送信した。

 

 

⏰《2024年4月9日 AM1:23》

数分後、写真を確認したマテルから今回のトラブルに関する“正式回答”と取れるメールが届いた。随分と早いレスポンスで驚いた。

 

 

こんにちは●●●●

私はあなたの応答に感謝し、破損したアイテムのいくつかの写真を提供していただきありがとうございます。

Hot Wheels® RLC 1972 Skyline H/T 2000 GT-R が破損したと聞いて申し訳ありません。私たちは、各注文がお客様の満足のいくものになるよう努めています。

代金の一部690円を返金します。引き続きお楽しみいただけるよう、商品はそのまま保管してください。この返金は、注文の元の支払い方法に適用され、アカウントに反映されるまでに最大1週間かかる場合があります。

払い戻しが処理されるよう、できるだけ早く返信してください。

ご不便をおかけして申し訳ございませんが、この機会をいただきありがとうございます。

頑張ってください


 

というものだった。

 

返信された文面の裏読みすると

送った写真の検証結果、ミニカーは無事であるとの判断をしますので、破損しているKar Keepersとブリスターカード代690円だけをカード会社を通じて返金します。処理が完了するまでは最大1週間かかりますので出来るだけ早く“了承“の返事をください。

 

と、いうことのようだ。

 

自分としては最初に要望した通り、あくまでもKar Keepersとブリスターカードだけを完全な状態で再送して欲しかったわけなのだが、返信されたマテルの回答はそうではなく『一部返金』という“手札“を切ってきたわけだ。

 

なるほど、双方一番手間がかからない方法かもしれない。

実にドライなやり方だ。

 

 

⏰《2024年4月9日 AM1:46》

大方着地点は見えていたのだが、あと少しだけ遊んで(?)みようと確認の意味を込めて、ちょっとだけ意地悪な疑問を3つ投げかけてみた。

  • 返金されるのは690円だけですか?
  • 破損した商品は私が持っていていいのですね?
  • もしミニカーが破損していたらどうなりますか?
以上の3つ。はたしてどんな返信がくるのか?
 
 
⏰《2024年4月9日 AM1:58》

更に数分後マテルからの返信はこうだった。

 

 

こんにちは●●●●

ご注文(商品コード)についてご連絡いただきありがとうございます。

残念ながら、ホットウィールRLC 1972 スカイラインH/T 2000GT-Rのミニカーは、壊れていても交換できません。ですが、690円の代金を返金し商品はそのまま保管してください。

払い戻しが処理されるよう、できるだけ早く返信してください。

ご連絡をお待ちしております!


 

予想通り前回と同じ690円の返金と、たとえミニカーが壊れていても交換は出来ないです。出来るだけ早く了承してください。との回答だった。

 

 

8日のPM11:51から9日のAM1:58まで、わずか2時間くらいの間にまるでチャットのようにマテルとの間で数ターンのメールのやりとりが行われた。

 

海外とのメールのやりとりはこんなにもレスポンスがいいのに、意思の疎通は中々うまくはいかないものだ。

 

気が付けば深夜2時。

冷静な最終回答を送るために、少しの仮眠を取った。

 

 

  第5章 ドライでクールな結末

 

⏰《2024年4月9日 AM8:00》

仮眠を取って冷静な感情で最終の「了承」メールを送った。

 

 

 

親愛なるマテルクリエーション

 

お返事ありがとうございます。

今回の御社の処置内容を理解しました。

 

私はこれを了承いたします。

 

これで私は払い戻しを待つだけですね。

 

今回のトラブルはとても残念です。

なぜこのようなことが起きたのか?

再発防止のため、徹底調査してください。

 

迅速な対応に感謝します。

 

敬具

 

 

当初の思い通りにならずに、残念だったが大人の対応で納得しての終わりにした。

 

 

⏰《2024年4月9日 PM11:06》

690円の返金処理を行ったという内容のメールがマテルから入った。

これで今回のトラブルによる一連の交渉は終了した。

 

 

 

今回の一連のやりとりや決着のつけかたを振り返った時に、海外企業らしく実にドライでクールな処理の仕方だなぁと感じた。(返金という事務処理のみの処理)

 

もしこれが日本企業だったなら、もっと違った形で決着がつけられたのではないだろうか?日本流のおわびというか、特別なサービス欲しさに今回の行動を取ったわけではないのだけれど、正直心のどこかでそんなことも期待していたのかも知れない。

なのでより一層、日本と海外企業の対応の違いを感じたのだろう。

そうかといって日本の企業のサービスが過剰だとは全く思ってもいないが w

 

交渉事はフェイスtoフェイスが一番で、でなければせめて会話で行うべきと実感。

 

 

  あとがき

 

『壊れかけたハコスカ』の顛末記。いかがでしたか?

 

最初は「なんで俺のハコスカが?!」と思ったものの、おかげで自分の経験とスキルアップになったし、こうしてブログの記事にも出来ました。

 

冒頭に言った通り

もし今、RLCの会員になりたいけど海外とのやり取りに不安を抱いていて、その一歩を踏み出せないアナタ!安心してください。何かあったときは今回の私のこの経験をケーススタディとして思い出してください。

 

あって欲しくはないけれど何らかのお役には立つかと思います。

 

 

最後に肝心の『ハコスカ』はこの後ブリバリします。

もし無事であれば、必ずここでレビューします。

お楽しみに!

 

 

長文、最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

 

おしまい・・・

 

にほんブログ村 コレクションブログ ミニカーへ
にほんブログ村