原尻の滝をながめていると川の本流に突然数十メ-トルの落差ある滝があらわれる.不思議に思い調べみると、阿蘇カルデラの大きな噴火に寄ることが判り非常に勉強になったのでご紹介したい。
阿蘇カルデラが生成される過程で、約9 万年前に発生した巨大噴火「Aso-4火砕流」が東方の竹田側に流れ込み、噴火の際に発生した高温の火砕流が厚く堆積し、圧密されて溶結凝灰岩となり、それが冷却する際に柱状節理が出来、豊後大野に平坦地を形成された。
その後、平原状の土地には大野川水系の緒方川が成形され、河床の下の柱状節理が水流に依り下流側から順次削剥されて、残った柱状の部分が滝となった。
こうして発生したのが原尻の滝です。巾120mのアーチ型、落差20mの滝を地元では「日本のナイアガラ」と呼んでいるそうですが、田園に囲まれた平地に忽然と滝が現れる不思議さに驚かされます。
この滝の下流部分の平地は河床より高く取水ができないので、江戸時代初期に滝の上流部分に堰を造成し、全長17kmの「緒方疎水」(全国疎水100 選)を開削して、下流の水田を灌漑しています。
阿蘇カルデラは、30万年前-9万年前に発生した4回目の噴火があり、そのなかでもAso-4 (9万年前)がは最も規模が大きく、噴出物は384 km3 DRE(見かけ体積600km3、ほぼ富士山の山体全部の大きさ)に達し、火砕流は九州の半分を覆ったと推定されている。特に厚く堆積した地域では火砕流台地となって残っている。この台地は九州中央部に広く分布し、緩やかに波打つ平原を形作っている。周辺自治体の熊本県高森町東南部、熊本県山都町北部一帯のほか、隣県の宮崎県五ヶ瀬町北部や、同県西臼杵郡高千穂町、大分県竹田市などもその中に入る。
一部は海を越え山口県秋吉台まで達し、火山灰は日本海海底、北海道まで達した。朝鮮半島でも確認されている
火砕流は九州のほぼ全域に達し、火山灰は九州から北海道南部の広範囲で15cm以上堆積している。


・約9 万年前に発生した阿蘇カルデラ巨大噴火「Aso-4」の 火砕流・火山灰の範囲  WEBより拝借 20180927SS00001
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阿蘇山と竹田市の位置関係 20180927SS00001
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■原尻の滝(はらじりのたき)


 緒方平野に現れる幅120m、高さ20mの原尻の滝は、緒方川の水流によって阿蘇―4溶結凝灰岩が崩落してできた滝です。
崖面には柱状節理を見ることができ、滝上の河床には多角形の亀裂が入った節理の上面を観察することができます。
また、滝上から滝壺を見下ろす崖の縁まで容易に近づくことができ、節理に従って崩落した凝灰岩が多数みられます。浸食作用に滝がどのようにできたかという形成過程に触れることができるジオサイトです。
なお、滝の上流には、緒方平野を灌漑する用水路の取水口が設けられています。また、滝の上流には原尻橋、長瀬橋、などのアーチ式石橋群を見ることができます。


GoogleEarth Proによる航空写真より 滝の上流部、下流部の柱状節理の様子や右岸には用水路の取水口が見える。20180926SS00025 紺色の線は自転車ル-ト(実績)
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WEBより拝借 20180926SS00018

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灌漑用水路 P9230086_R

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沈堕の滝も同じ生成経過でしょう。P9230146_R
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滝近く右岸に柱状節理 P9230149_R

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WEBより沈堕の滝、滝上流側に堰堤がもうけられている;旧発電所の取水のためか?(大分県豊後大野市大野町) 20180927SS00004
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WEBより 沈堕発電所跡 20180927SS00005
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WEBより 増水時の沈堕の滝 20180927SS00006
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GoogleEarthProによる航空写真より 竹田市街を抜けた直ぐの大野川 川底、溶結凝灰岩? 20180927SS00004
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以上です。