企業で経営責任を負ってる偉い人とたまたま話す機会があって、何となく雑談をしているとこんなような事を言ってた。
「世間は景気いいとは言ってるけど、まだまだ厳しいよ。利益確保するために費用削るって言っても、日々の活動を維持する為に必要なものも考えると削れる費用もたかがしれてる。なんとかして新しい収益源を確保しないといけないから、金をやりくりしてどうにかマーケティングと商品開発をやってるよ。」
当たり前のようだけど、つい感心してしまった。この「日々の活動を維持する」為に何がどのくらい必要かというのが分かっている人って意外と少ないから。
こういう人がリストラとか経営改革に取り組めば、きっとそれなりにいい結果が出せるだろうなあと何となく思った。
こんな風に思ったのは、一つ理由があってこの前にこんな事を言ってる経理部長がいたからだ。この人はこう言ってた。
「人件費が経費の○○%だから、これを○○円減らせば黒字化する。だから、社員を○○人リストラして、穴があいたところは海外に外注しよう。」
なんだか危ないなーと思ってたら案の定。
信じられないくらい業務がめちゃくちゃになってしまって、結局コストダウンどころか、コストが増えたのか減ったのかすらも経理部門で把握できなくなっちゃった。
メチャクチャになるのは当たり前。リストラされた人は5年、10年その業務を続けてきたベテランばかり。そんな人の代わりを突然日本語もままならない海外のワーカーにやらせようとしたんだから。
海外のワーカーじゃなくても、突然そんな人たちの代わりを務められる人がそんなに沢山集められる訳が無い。しかも、今までより遥かに安いコストで。。。
結局、その会社は海外への外注をあきらめて新たに人を雇ったり国内の外注業者に依頼をしたわけだけど、この会社が以前の業務とコスト水準を取り戻すのに一体度くらいの金と時間が必要なのか。。。
この二人は同じように利益が出ない状況でなんとかしなきゃと思ってた訳だけど、一人は費用を削れないと思って、もう一人は(削れないのに)削れると思った訳だ。
結果論でしかないかもしれないけど、二人の違いは企業は生き物だという事を体験で知ってたかどうかかもしれない。
例えば、太った人がいるからって、何の考えもなしに脂肪をメスで切り取ったりしたらあっという間に死んでしまうように、勘定科目の残高だけをみて数字が大きいところからむやみに切り取っていったら企業も死んでしまう。
財務諸表はパーツでしか出てこないから、人の体や手足のように、それらが全部結びついて一体になって機能しているってことを教えてくれない。
私は会計士なんで、当然そんな事は常識として知ってる訳だけど、決算が組める程度の中途半端な会計素人が経営に口出しするのは本当に恐ろしい。
やはり、経営は経営を知っている人がやらなきゃいけない。
経営を知っている人が、ツールとして経理を十分に利用するというのが理想の形であり当たり前の形なのだ。
悲しいかな、両方が分かる人はなかなかいないし、数字という客観的に見える(数字は客観的な根拠なんかじゃないけど)ものを持ってる人の意見が通りやすい訳だけど。。。
