年画の水滸伝好漢は、ぽっちゃりだったり、老け顔だったり、
ゆるキャラか?と思うような、脱力系の絵になっていることも多いのですが、
この武松は、自分のイメージにぴったりなので、かなり気に入っています。
行者特有の切り髪をなびかせ、
右手は印を結び、左手には戒刀を逆手に握っています。
肩にはもう1本の戒刀を背負い、
腰には、舟の形の金塊の付いた、小さい太鼓型の飾り物を下げています。
青紫の衣の上にオレンジの袈裟、真っ赤なパンツ。
首には、長い大きなイエローの数珠。
「行者」って、日本の山伏とか修験者みたいなものですが、
そういう渋い修行僧のイメージを根底から覆す、コントラストの鮮やかさ。
武松本人の激しい生き様をも連想させる、この色彩センスには正に脱帽です。
説明文には、「武松夜走蜈蚣嶺」(武松、夜に蜈蚣嶺を走る)とあります。
「蜈蚣」(ムカデ)という意味にかけて、
足元には、まっぷたつに切られた小さなムカデが描かれています。
(切り絵、次作の予定)
連環馬三千騎を従えた怒涛の攻撃で、梁山泊に最大の危機をもたらした、
双鞭遣いの将軍です。