おはようございます。

ZigZagです。

「カルト的人気！」っていう表現が最近嫌い。

その“カルト的”という言葉だけで、内容がどれだけアレでも「分かる人には分かる面白味！」的な意味合いになり、学芸会以下の映画でも許されるみたいな風潮が気に入らない。

そこは「クソだけど人気！」とか「幼稚園のお遊戯の方が良いけど人気！」という表現の方が許せる。

……という益体の無い話はここまでにして本編始まり始まり。

とってんぱらりのぷぅ。

※個人的感想＆ネタバレなしです。

ジョン・ウィック：コンセクエンス

前作にて瀕死の重傷を負いながら辛くも生き延びたジョン。

傷が癒えるまでの間、地下犯罪組織の王バワリーの下に身を寄せつつ、主席連合への復讐を準備していた。

そして遂に主席連合の首長の殺害に成功するも、新たな首長となったグラモン侯爵はジョンへの報復を開始。

手始めにジョンが懇意にしていたニューヨーク・コンチネンタルホテルを廃棄、爆破した上に、コンシェルジュのシャロンを殺害する。

更にグラモンはジョンを確実に抹殺するべく、すでに暗殺稼業を引退していたジョンの旧友である盲目の暗殺者ケインを呼び出し、娘の命と引き換えにジョンを殺害するように命じた。

加えて、ジョンに掛けられた多額の懸賞金目当てに、様々な暗殺者らが虎視眈々と彼の命を付け狙う。

常に誰かに狙われ続けるという極限の環境の中、ジョンは報復を成すことが出来るのか──

【簡単な説明】

・超超超濃密＆ド派手なアクションが目を引く

・個性的なキャラの個性的な戦闘は秀逸

・見てて少し疲れる

キアヌ・リーブス主演のアクション映画『ジョン・ウィック』の4作目です。“コンセクエンス”の意味は“（よくない）結果、帰結”ですが、本作では“報い”と訳されています。

まず最初に、ジョン・ウィックシリーズのアクションの何が良いか＆他のアクション映画と大きく異なる点と言えば、主人公であるジョンも思いっきり被弾することでしょう。

それを可能にしているのが、本シリーズの暗殺者が軒並み着ているスーツです。戦いの場にそぐわない格好にも見えますが、このスーツは防弾仕様の優れたスーツであるため、銃弾が直撃しても致命的なダメージには至らないのです（衝撃をゼロには出来ないので痛いのはそのまま）

そのため、大抵のアクション映画に見受けられる「主人公に弾が当たらない」というご都合展開を防いでいます。

更に敵も同様のスーツを着ているので、数発程度の被弾では倒れません。なので「銃撃で決着がつかない！」→「格闘でケリをつける！」と、格闘シーンへの移行も自然。

更に更に、「渋い顔のツワモノ達」が「洒脱なスーツ姿」で戦うというケレン味＆華は格好いいことこの上ない。

このように、“防弾スーツ”という小道具1つで『ご都合展開の防止』『格闘の必要性と説得力』『映画の華』を見事にカバーしているのです。

いやはや。本当に良い設定だ。

……と、熱く自論を述べてしまいましたが、本作も例に漏れずアクションシーンの密度がすごい。

ジョン役のキアヌ氏は言わずもがな、盲目の暗殺者ケイン役のドニー・イェン氏、コンシェルジュ大阪のオーナー・シマヅ役の真田広之氏等々が織り成すアクションには目を見張るものがあります。

戦闘の描写も単一にならないように工夫されており、ケインは音を駆使し、シマヅは日本刀を絡め、トラッカーは犬＆お手製と思しき道具を用いてと、各キャラの個性を活かした戦闘を見せてくれます。

何よりも驚いたのは、変態弾“ドラゴンブレス”が用いられていたこと。

これは散弾銃用の弾ですが、マグネシウムのペレットが封入されており、発射時の火花でマグネシウムが発火、宛ら“龍の息吹”のように広範囲に炎を撒き散らす、ド迫力の弾です。

まさか映画でこの弾を拝めるとは……スタッフによほど武器が好きな方がいらっしゃるようで……（褒め言葉）

……しかし残念ながら、本映画にも欠点があります。

それはそのアクションの濃密さにより、見てて結構疲れること。

2時間と50分という長丁場の大半をアクションが占めるので、見てるこっちがジョン並に疲れます。

あと、ジョンを執拗に狙うトラッカーの軸がブレてしまっており、せっかくの個性が無駄に終わっている印象も受けました。

かなりキャラ立ちしていたので、もっと話に絡んでほしかった。

同じく本作が初出のケインもいたので、仕方ないと言えばそうですが。

長々と書き連ねてきましたが、アクション映画の中でも際立った作品ということに違いはありません。

ジョンはどこに向かうのか。報いは誰に与えられるのか。

気になる方はぜひ見てみて下さい。

ネットフリックスなら無料で、U-NEXTはポイントで見ることが可能です。

クライムズ・オブ・ザ・フューチャー

人工的な環境に順応するよう進化を遂げた結果、人類からは“痛み”の感覚が失われた。

そんな中、加速進化症候群と呼ばれる“体内に臓器が生えてくる”病に罹った芸術家ソールは、パートナーのカプリースと共に「生えた臓器にタトゥーを施してから摘出する手術」をショーとして行っており、連日チケットが完売になるほどの人気を誇っていた。

ある日、ソールのもとに少年の遺体が持ち込まれる。

ただの少年かと思われる遺体……だが話によるとその少年は、生前プラスチックを食べていたと言う──

【簡単な説明】

・鬼才クローネンバーグ監督の作品

・グロテスク＆難解な内容で万人受けは絶対しない

・奇妙な機器の造形や世界観は見事

御年81歳の鬼才デヴィッド・クローネンバーグ監督の映画です。

クローネンバーグ氏といえば、「ザ・フライ」「ヴィデオドローム」等で有名ですね（浅い解説

さて、そんな氏が手掛ける本作は「進化を遂げた人類」のお話。

進化と言っても“空が飛べるようになった”とか“超能力が使えるようになった”とかではなく、「痛みを感じなくなった」というもの。

加えて主人公ソールが抱える『新しい臓器が生えてくる』奇病や、それを利用するパフォーマンスは、作中の多くの人々から羨望の眼差しを集めています。

ですが、当の主人公は自身の進化に否定的である上に、他の人々も痛みの喪失や新しい臓器の誕生を進化と宣いながら、恋人同士で傷付け合うことに喜びを見出したり、手術をパフォーマンスと崇めているという皮肉的な世界観が描かれています。

作中に登場するデバイスの造形も凝っていて素敵。

寝返りを促すベッドや食事を補助する椅子、手術に用いる機材は、生物の肉や骨と機械が綯交ぜになったかのような奇怪なデザインであり、その斬新な見た目は非常に興味を唆られます。

~~でも食事補助椅子は絶対食べ辛そう。~~

ただ、作中に登場する手術シーンはパフォーマンスと謳っていながらも内容は地味。

内臓は見えるのでグロテスクと言えばそうですが、血液ブッシャーや内臓ドゥルンドゥルンといった過激な内容ではなく、かといってアーティスティックな魅せ方もありません。なのでそこら辺を期待して見ると、大きな肩透かしを食らいます。

とはいえ、逆にそんな地味なものでもパフォーマンスとして信奉されるという、作中世界の歪さを垣間知れる場面でもあるので、短所でもあり長所でもあります。

内容が内容だけに、ストーリー展開が殆ど平坦なのも好みが分かれます。アクションではないのでドンパチシーンはなく、先述した通り手術シーンも地味。“痛みが無い”件に関しても、大してクローズアップはされていません。

更には「なぜこんな世界になったのか」は明確に語られず、「主人公が何かする」というような話でもなく、「何か驚きがある」内容でもありません。徹頭徹尾、クローネンバーグの創造した世界に浸るお話です。

現在はU-NEXTにてポイントで見ることが可能。

鬼才が創り上げた奇々怪々な世界に興味がある方はどうぞ。

ジグソウ：ソウ・レガシー

ジョン・クレイマー……かつて数多の人間を死に追いやった連続殺人鬼“ジグソウ”が死亡してから10年が経った。

ある日、警察に追われていた男は、謎のスイッチを片手に叫ぶ。

「ゲームが始まる！」と。

その頃、5人の男女が見知らぬ部屋で目覚める。

頭にはバケツのような被り物。鎖で繋がれた先には複数枚の丸鋸。状況を飲み込めぬ男女の耳に、スピーカーから発せられる声が響く。

「さあ、ゲームをしよう──」

【簡単な説明】

・SAWシリーズの正統続編

・シリーズを追ってきた人には少々物足りない

・SAWにしては珍しくサッパリした話

グロテスクかつ奇抜なゲーム、そして度肝を抜く展開で話題となったソリッドシチュエーションスリラー映画『SAWシリーズ』の続編です。

どの作品にも面白味溢れるゲームやトラップの数々があり、私の大好きなシリーズの1つです。7作品目にしてファイナルを迎え、堂々の完結を果たしたSAWですが、まさかの正統続編ということで小躍りしました。

あ、踊ったのは嘘。喜んだのは本当。

さて、そんな本作はジョンの死後10年が経過した世界が舞台。

既に死亡したはずのジグソウの手口に酷似したゲームが開始され、ゲーム参加者らは自らの生存のために足掻き、警察らは彼らの救出に奔走していく中、ジグソウの正体を捜査する……といった内容です。

まず全体的にシンプルな話。

もちろんSAWシリーズの例に漏れず、きちんと驚きを提供してくれるのでそこまで不満はないのですが、これまでの作品に比べるとどことなく話が安っぽく見えてしまいました。ダークさやグロテスクさ、えげつなさも控えめで、良くも悪くもサッパリした内容です。

これまで同様のものと思って見ると、物足りないかもしれません。

肝心のゲーム内容ですが……こちらはあまり詳しく言うとネタバレになってしまうのでヒミツ。

シリーズを見てきた人は、恐らく違和感を抱くかもしれません。ですがその違和感こそ伏線ですので、最後まで見ることをおすすめします。

色々と物足りない味付けであり、シリーズを追ってきた人には「こんなのSAWじゃないっ！」と憤る人もいるかもしれません。

しかし一映画としてはしっかり出来ていると思います。

興味のある方はどうぞ。

まとめ

見たい映画は山ほどありますが、仕事柄この時期は忙しく、なかなか纏まった休みを取ったり、仕事終わりに見ようとする気力が湧きません。

うへぇ。歳ですなこりゃ。

並行してゲームもしたいし、本も読みたいし、何か色々創作したいし……

やりたいこともいっぱい。でも体は１つしかない。

パーマンのコピーロボットが非常に欲しくなる今日この頃です。

それでは本日はこの辺で。

おしまい。

映画紹介：その１１