笑顔のむこうの心の支え1 | ノーマライゼーションという言葉がなくなる日

ノーマライゼーションという言葉がなくなる日

障害者施設で働いてる私のドタバタな日常、利用者さんたちとの悲喜交々、障害者施設の雑学なんかをお届けできたらと思います。

前回支援計画について書いていて、思い出したことがあります。

(今回はショッキングな内容が含まれます。苦手な方はご注意下さい。)

 

就労Bに入職したての時、利用者の皆さんのことを知るために、

一人一人のケース記録を閲覧していました。

その時に、あるー人の個別支援計画に目が留まりました。

個別支援計画は公的書類に分類されるので、いい加減な事を書くことはできません。

そこに書いてあったのは・・・✨

 

ほどなくしてその方「さなえさん」(と皆からフランクに呼ばれていました)

と会う機会がありました。

 

さなえさんは20代後半くらい、知的障害がありながらも、簡単でゆっくりなら言葉を介してのコミュニケーションができる方です。しかし全盲でもありました。

彼女に初めて会った日、私に子供がいる事を知ったさなえさんは自分から話しかけてくれました。「私も子供がいるんだよ。」と3才くらいの女の子の写真を見せてくれたのです。

 

あとから担当の職員に、さなえさんお子さんいるんですねと話を振ると、驚くべき話が告げられました。

 

さなえさんはここに来る前、ホームレスだったんだよ、と。

そしてその時に乱暴されてしまい、父親不明の子供ができてしまったとのこと。お子さんは今、必要とされているご家庭で養子として迎えられ、元気に幸せに暮らしているとのこと。

さなえさんは、子供のことをずっと忘れず、自分が見ることのできない写真を、誰か話を聞いてくれる人に見せるために持ち歩いているのだということでした。

 

彼女の朗らかで愛嬌のある笑顔は、心に支えがあるんだな、と感じました。

そして、自分よりずっと多くの経験をし、痛みを知り、それでも尚前向きにチャレンジしようとする姿を尊敬するのに、障害のある、なし、は関係ないのだと知りました。

チャレンジ。

そう、目の見えない彼女の個別支援計画は、「手話を覚える」だったのです。