「30分ミニ社員研修教材」

 残業代問題(労働時間・管理監督者・固定残業)
についての研修教材です。

残業代問題(労働時間・管理監督者・固定残業)

こちら,A部長です。A部長は,建設会社に勤務しています。工事部長として部下のメンバーをまとめあげて,毎日,工事現場でがんばっていました。



 ふー、毎日、忙しいなあ。

 でも、仕事って、すごいやりがいがあるなぁ。

 うまく建物が建てられて,お客さんが喜んでくれたときって、本当にうれしいもんだよなぁ。



 こちらは,B社長です。B社長は,もともと,とび職をしていたところ,一念発起して建設会社を立ち上げ,いまでは50人の社員を抱えて毎日をがんばっています。

 B社長は,若いころに自分が苦労した経験から,社員をとてもかわいがっていました。

 おお,Aさん,今日もおつかれさま。毎日みんなをまとめあげてくれて,本当にありがとうね。

 このような,おだやかな人柄のB社長に,Aさんをはじめとする社員はみなB社長をしたっていました。



そんなある日のことです。

 こちらは,Aさんの奥さんのC子さんです。

 あなた,今,あなたの実家のお母様から電話があって,また最近,お父様の具合がよくないって連絡が入ったわよ。なんとなくだけど,お母様一人だと,お父様の介護を一人でするのはもう限界なのかもしれないっていう雰囲気だったわ。



 Aさんのお父さんは,もともと高齢であることに加えて,病気がちであり,体調不良になることが増えていました。

 Aさんのお母さんも,Aさんのお父さんほどではないですが,体調をくずすことがありました。

 そのため,以前から,Aさんは実家に帰ることを考えていました。



 そんななか,今回の連絡がはいったため,とうとうAさんは,会社を退職して実家に帰ることになってしまいました。



 Aさん,君には,本当に助けてもらったよ。このような形で君に会えなくなることは本当に残念だけれども,もちろん,お父様のお体が最優先だからね,名残惜しいよ。今まで本当にありがとうね。



 社長,私のほうこそ,本当にお世話になりました。毎日,とても充実していました。本当にありがとうございました。

 こうして,Aさんは,実家に戻り,お父さんの介護をするようになりました。



 そして,しばらくしてから,ある日のことです。

 急いで実家に戻ってきたけど,これから仕事どうしようか。

 介護しながらできる仕事を見つけないとな。

 これからの生活を考えると,ちょっと不安だなぁ。



 そんなある日ことです。

 Aさんの奥さんのC子さんがAさんのところにやってきました。

 ねえあなた,ちょっといいかしら。

 こないだね,ママ友から聞いたんだけど,ご主人が会社に残業代請求っていうのをしたらしいの。そうしたら,500万円支払ってもらったんですって。しかも分割ではなくて一括払いで。

 法律っていろいろ難しいらしくて,残業代の計算間違いとか,支払い漏れがあることってよくあることらしくて,正確に計算したらそういう金額になったんですって。



 え,それってすごい金額だね。そんなことってあるんだね。びっくりだねぇ。でも,うちの社長にかぎってそんなことは絶対ないと思うんだよ。

> 

 そうよね,社長はあなたに本当によくしてくれたものね。私もそう思うんだけど,万が一っていうこともあると思ったので,一応伝えてみたわ。もし,気になったら,いろいろと相談だけするっていうこともできるらしいわよ。



 それからしばらくしてからのことです。Aさんはなかなか次の仕事が見つからず,時間が過ぎてしまいました。ますます,今後の生活が不安になってしまいました。そんな中,先日,奥さんから聞いた残業代請求のことが,どんどん気になっていきました。



 それから三か月後のことです。



 こちらは,B社長の会社の事務員さんです。

 社長,いま,お電話よろしいでしょうか。

 いま,会社に,突然,Aさんの弁護士と名乗る方から,内容証明郵便というものが届きました。

 未払の残業代450万円を一括で支払えと書いてあります。



 え,ええー,450万円!!いったいなんで,そんなことになってるんだ。そんな大金,一括で支払ったら,もう資金繰りが一気に回らなくなってしまうくらいの大金だぞ。

しかも弁護士から内容証明郵便って,ただごとじゃないな。よし,私も弁護士の先生に相談に行ってみよう。



 こちらは,弁護士さんです。

こんにちは。B社長,今日はどういったご相談ですかな?

 B社長は,事情を説明しました。

 なるほど,そういった事情でしたか。

 では,先方から届いたこの内容証明について,検討していきましょう。



 まず,Aさんの弁護士は,Aさんが,朝,資材置き場に行って建築資材などを現場に運び,夕方は建築資材などを現場から資材置き場に戻す業務を指示されていたと主張していますが,これは正しいということですな。

 はい,それは毎日ありました。



 なるほど,それで,Aさんは,建築現場での労働時間だけでなく,朝の資材置き場から建築現場までの移動時間と,夕方の建築現場から資材置き場までの移動時間も労働時間に含まれると主張していますね。

そして,だいたい,毎日2時間から4時間分の残業代が発生していると主張していますね。これを一定期間過去にさかのぼって請求されていますので,かなりの金額になりますね。

 しかも,一時間あたりの時間給の1.25倍を請求されますね。



 ええー,そんな,現場についてからが労働時間だと思ってたのですが,資材置き場に行ってから資材を現場に運ぶまでの時間も労働時間になってしまうのでしょうか?



 いろいろなケースがありますが,そのような業務命令があったということであれば,そういった移動時間も労働時間だと判断されている類似のケースは,たしかに,ありますね。

 ええー,そ,そんなぁ。まいったなぁ。



あ,でも,先生,そういえば,うちでは,Aさんを部長として扱っていたので,残業代はいらないのではないのですか?部長にすれば残業代はいらないって聞いたことがありまして。



 その点については,法律上,管理監督者という立場であると認定されれば一部の残業代が発生しないことがあるのですが,お聞きした事情からすると,部長になる前と後で働き方や待遇が変わっておらず,労働時間の裁量や人事権もないとなると,なかなか,管理監督者とは認めてもらえない可能性が高いと思います。

 ええー,そ,そんなぁ。まいったなぁ。



じゃあ先生,もう一つ,建設業はどうしても突発的な残業が発生してしまう面があるので,残業代を固定額で払っているんです。

うちの会社では,この固定額以上の残業代は,どれだけ残業しても払わないというルールにしまして,これをみんなに口頭で説明したところ,みんな納得してくれたので,固定の残業代制度にしているんですけど,これはどうですか?



 それについては,いろいろなケースがありまして,いろいろな事情によって結論が変わるのですが,固定額以上はどれだけ残業しても払わないというルールを口約束で,約束した,というケースですと,そのような合意は裁判では無効とされてしまう可能性は大いにあります。



 え,え,ええー,そんなぁ,大変だー,なんてこったー




引用元:残業代問題(労働時間・管理監督者・固定残業):紙芝居型ブログ・・・
「30分ミニ社員研修教材」

 相続と生命保険の関係についての
研修教材です。

相続と生命保険

こちらは,A君です。A君の祖父,おじいさんは,昔,地元で建設会社を作り,現在は二代目であるA君の父親が建設会社の社長を務めています。

つい先日,この建設会社の会長を務めていたA君の祖父,おじいさんが亡くなり,相続問題が発生していました。



 こちらが,A君のお父さんのB社長です。なにやら,とても困っているようです。



 あー,困った困った。いったい,どうしたらいいんだろう。



 このとき,ちょうど,A君が帰宅しました。

お父さん,どうかしたの。とても大変そうだけど。



 おお,おかえり。いやぁ,父さん,ちょっと困っててさ。

 こないだ,おじいちゃん,亡くなっただろう。

 それでお葬式とか49日とかいろいろやってたらあっという間に時間が過ぎてさ,そしたら,税理士の先生から,突然,相続税の話を聞いてさ,

 びっくりしたんだよ。相続税って,すごい高いんだなぁって困ってたんだよ。



 そ,そうなんだ,とっても大変な状況なんだね。



 そうなんだよ,困ったよ。

 あー困った困った。まあしょうがない,なるようにしかならないから,今できることをがんばろう。



 A君は,こんなお父さんの姿を見て,こう思いました。

相続って,とても大変なことなんだな。僕も,いずれ,この会社をついで3代目になるかもしれないから,今から勉強しておこう。いったい何の勉強したらいいんだろう。



 A君はインターネットを見ていました。

へー,ファイナンシャルプランナーっていう仕事があるのか,へー,相続や事業承継の強い味方,そうなんだ,よし,ファイナンシャルプランナーの勉強をしよう。



 こうして,A君は,ファイナンシャルプランナーの勉強をして,めでたく資格をとりました。

 そして,お父さんとの間で,こんな会話をしました。



 お父さん,ぼく,ファイナンシャルプランナーの資格の勉強をして,めでたく,資格がとれたんだよ。だから,会社で仕事をしながら,同時に,相続や事業承継対策に取り組むよ。



 おお,それはいいな。いっぱい勉強して,父さんにも教えてくれよ。



 父さんが困ったことは,やっぱり,何といっても,とにかく,相続税額が高くて困ったことだな。相続税って,こんなにかかるなんてな。もっとかしこく,低く抑えられないのかなって思ったよ。



 それだったらさ,生命保険の保険金は,税務上は,相続税の計算をするときには,法定相続人の数に500万円をかけた金額の合計額分が,非課税になることがあるんだ。これはとってもお得だよね。現金で持っていたら全部課税されちゃって相続税が高くなっちゃうけど,これなら部分的に非課税にできるみたいだよ。



 しかも,特定の相続人が受取人になっている生命保険の保険金は,民法上は,受取人固有のものになって,相続財産からはずれて,遺産分割手続とかがいらなくなることがあるんだって。



そこで,この生命保険金を,相続・事業承継のための資金にすればよいと思うんだ。



 へー,そういう方法があるのか。なるほどなぁ,やっぱり,勉強とかして,『知ってる』と『得』することって,いっぱいあるんだな。それを痛感したよ。



よく調べてくれたよ。ありがとうな。よし,これで本業に集中できるな。がんばっていこう。



 うん,父さん,僕ももっとがんばるよ!!




引用元:相続と生命保険:紙芝居型ブログ ブログ#269
「30分ミニ社員研修教材」

 よく誤解されている破産についての
研修教材です。

<よくある破産の誤解>



 こちらは,A社長です。A社長は,もともと料理が好きでした。そのため,長い間,飲食店を経営していました。もともと真面目で勤勉な性格のA社長のお店は,一時期はとても繁盛していましたが,残念ながら,不景気の波にのまれ,経営が苦しくなってしまいました。

そのため,半年前にお店を閉店させました。そして,資金の借り入れをしていた銀行に相談に行ったり,支払いが遅れてしまっている不動産の賃料や,取引先への支払いについて,お詫びをしに回っているうちに,半年ほどの時間が経ってしまいました。



 はー,困った困った。お店の経営がもうどうしようもなかったから,お店は閉めたけれど,今までの借金や,支払いが遅れてる家賃や取引先の請求書,いったい,どうしたらいいんだろうか。困ったなぁ。 

 次の仕事をしたいと思ってハローワークにも通ってるけど,なかなか仕事も見つからないし,まいったなぁ。やっぱりもう破産するしかないのかな。

 でも,破産ってなんかすごい怖いんだよなぁ。いったい,どうなっちゃうんだろう。

 こわいけど,一度,弁護士さんに,相談してみよう



 こちらはB弁護士です。

 こんにちは。今日は,どうされましたか?



 あ,どうも初めまして。今日は,破産について相談させていただきたくて,お伺いしました。

 あー,そうなのですね。はい,なんなりとお聞きになってみて下さい

 ありがとうございます。実は,私は,半年ほど前まで,飲食店を経営していたのですが,この不景気で立ちいかなくなってしまってお店を閉めました。

 それで,銀行からの借り入れとか,不動産の賃料とか,取引先への支払いとか,なんとかしなければならないとは思っているのですが,どうしたら良いかわからなくて,今,破産することを考えています。



 先生,破産すると,無一文になるのでしょうか?手持ちのお金が全てなくなってしまうとしたら,もう明日からどう生活すれば良いかわからないんです。



 いえいえ,破産をしても,無一文になるということはありませんよ。そうなってしまったら全く生活できなくなってしまいますからね。そこで,たとえば,自由財産と言って,一定の範囲の財産は持つができて,それを上回る部分については,債権者への配当などに回されるのが原則ですよ。もちろん,不動産とか高価なものは手放すことにはなりますが。



 あ,そうなんですね,よかったです。無一文になるとしたら,どうしても躊躇してしまってまして。

 それと,先生,破産をしたら,公的な年金をもらえなくなったり,銀行の口座をもてなくなるのでしょうか?



 いえいえ,公的な年金はもらえますし,銀行口座もつくれますよ。

ただ,銀行から借金をすることは,一定期間は難しくなります。というのは,借り入れは審査がありまして,今回,借金の返済を遅滞していることや,破産の経歴などについては,信用情報機関のほうでそういったデータが保管されますので,金融機関は貸付をする際にそのデータを確認するのが通常ですので,そうすると,そのデータが保存されている間は,新たに借り入れをすることは難しくなるという面はあります。



 なるほど,そうなのですね。

 それと,先生,破産をすると周りにバレて,戸籍とか住民票にも破産者と書かれて,一生,破産者として扱われてしまうのでしょうか?

 破産をしても,戸籍や住民票に記載されることはありませんよ。借金の相手方など,迷惑をかけてしまう相手方には,破産手続きに関するやりとりをするので破産することは伝わりますし,そこからある程度広まることはあります。



あと,官報にも,破産についてお名前が掲載されます

 先生,官報って,なんでしょうか?

 官報というのは,よく,日本という国が発行している新聞のようなもの,などと言われていますね。県庁所在地の官報販売所というところで販売されていて,インターネットでも一部を見ることができます。例えば,新しい法律ができたときには,この官報に掲載されますし,その他いろいろな情報が掲載されています。ここに掲載されてからネット上で情報が広まることはありますね。

 一般の方が官報を見ることってほとんどないと思いますので,官報は知らない方も多いですよ。



 へー,そうなんですね,お恥ずかしながら,今まで生きてきて,初めて,官報について知りました。私の周りの人もほとんど知らないんじゃないかと思います。そう考えたら,官報に名前が載っても,おそらく私の周りの人は気づかないんじゃないかと思いました。

 それと先生,破産をしたら,選挙権がなくなるとか,資格がなくなるとか,そういったことって,あるのでしょうか?



 選挙権がなくなることはありませんよ。資格については,内容をその都度確認する必要がありますね。例えば,色々なケースがありますが,保険とか警備とか,人の財産に関わるようなお仕事の資格については,破産の手続きをしている間は一旦そのお仕事はできなくなり,破産の手続きが終了して一定期間経過したあとは,元に戻れる,というような,制限がなされることはあります。資格についてはいろいろなケースがあるので,その内容をその都度確認する必要がありますね。



 なるほど,そうなのですね。少し,安心しました,ありがとうございます。

 実は,お店がうまくいかなくなってしまって,いろんな人に迷惑かけてしまって,長く落ち込んでまして。もうどうして良いかわからなくなっていたのですが,今日のお話をお聴きできて,少しだけ気が楽になりました。



 そうだったのですね。不景気になったことは仕方のないことだと思います。ちなみに,私がいつも,こういったご相談にいらした方にお伝えしていることがあるんですけど,お伝えしても良いですか?

 はい,なんでしょう?ぜひ,教えてもらいたいです。



 はい,大変なときほど,どうか孤独にならず,孤立せず,いろんな人とコミュニケーション取ってみて下さい。一人になるとどうしてもネガティブなことを考えてしまいがちですし,いろんな人とコミュニケーションをとると良い情報が入ったり,アイデアが思い浮かんだりします。

 それと,みなさん真面目な方が多いですから借りたものを返せないことに思い悩む方が多いです。思い詰め過ぎてしまう方がいます。

もちろん約束を守ることはとても大切なこだと私も思います。ただ,お店の経営のように,リスクをとって挑んだこと,挑戦したことは素晴らしいことだと思います。それは誇れることだと思います。なので,必死に頑張って,努力したうえで,それでもダメだったときは自分を追い詰め過ぎないで欲しいと思います。 

そこで,破産といういわばフレッシュスタートする権利を,法律が認めている権利を,使って良いと思います。まじめな人ほど,優しい人ほど,自分を追い詰めてしまいますから,どうか,こんな考えもあるんだなっていうことを,少しだけ,覚えていてもらえたらと思いました。



 ありがとうございます。正直,毎日辛くて落ち込んでいたのですが,少しだけ元気が出てきました。

 ありがとうございます。




引用元:よくある破産の誤解:紙芝居型ブログ ブログ#268
「30分ミニ社員研修教材」

 経営難になったときにどうすべきかについて
意見交換・意識共有したい人のための
研修教材です。

<経営難に備えて>



 こちらは,A社長です。A社長は,もともと料理が好きでした。そのため,長い間,飲食店を経営していました。もともと真面目で勤勉な性格のA社長のお店は,一時期はとても繁盛していましたが,残念ながら,不景気の波にのまれ,経営がどんどん苦しくなってしまいました。

そんなある日のことです。



 はー,困った困った。昔は経営がすごい順調だったから,銀行からたくさん借り入れをして,店舗を増やして,設備投資もたくさんして,スタッフさんの人数も一気に増やしたけれども,最近,一気に,景気が悪くなってきたなぁ。

だんだん,借り入れの返済とか,設備投資のリース料金とか,スタッフさんの人件費の支払いが厳しくなってきてしまった。

いったい,どうしたらいいんだろうか。困ったなぁ。

そんなある日のことです。

たまたま,A社長の会社の顧問弁護士のB弁護士がお店にやってきました。

> 

 こちらが,そのB弁護士です。

社長,お久しぶりです。お元気ですか。最近,ご連絡ないので,私の方から来てみました。

今って,お邪魔しても大丈夫ですか?



おー,先生,もちろんです。どうぞお入りください。

実は,ちょうど,先生に相談したいと思っていたことがあるんです。

今,相談しても良いですか?

はい,もちろんです。どうぞなんなりと。

はい,実は,最近,急にお店の売上が下がってきまして。

このとき,A社長は,B弁護士に会社の状況を説明しました。



なるほどー,そうだったのですね。

もし,このままの状況が続くとしたら,考えなければならないことがあります。

まだ先のことになるかもしれませんが,経営難になったときに備えて,いつも,お伝えしていることがあるんですけど,今,お伝えしてもいいですか?

はい,ぜひ,お願いします。

承知しました。今からお伝えすることは,あらかじめ知っておいたほうが良いと思うのでお伝えしますね。



まず,会社が経営難になることに備えて,知っておいていただきたい事というのは,経営難になったときに,よく,検討されることとして,私的整理・民事再生・破産という言葉があります。

正確にいえばもっと多くのパターンがあるのですが,あえて,わかりやすさを優先して,今日は,この3つ,私的整理,民事再生,破産の3つに絞って,説明しますね。



説明する順番を逆にしたほうがわかりやすいと思うので,破産から説明しますね。

破産というのは,最悪の場合,借金などの債務の返済ができなくなってしまったとき,破産の手続をすることで,最終的にその借金などの責任を免除してもらう制度ですね。会社は破産によってなくなります。ちなみに,破産については,一般の方に誤解されていることが多く,過度に不安がられることが多いのですが,実際にはあり得ないことをイメージされてしまっていることもありますので,よく確認して過度に不安になりすぎないことが大切です。



これに対して,会社がなくならない方法として,民事再生という方法があります。これも裁判所に手続をするのですが,様々な手続きをしたうえで,事業を再建するための計画を作り,それを一定以上の債権者の方に賛成してもらうなどの手続きをすることで,法的に債務を圧縮してもらうことができます。債務を圧縮して借金などの金額を少なくしてもらえるので,これで会社を再建できればまた,軌道に乗せられるという手段ですね。

この方法によれば,債権者の方にとっても,破産されてしまうよりは,回収できる資金が多くなるというメリットがありますし,会社は消滅せずに,存続できます。



そして,最後に,民事再生のような,裁判所に申し立てをして,債務を圧縮するような方法まではとらない方法として,私的整理という言葉があります。民事再生や破産は「法的」な債務の整理になるので,その対義語のようなイメージで,法的ではなく私的な整理ということで,各債権者と個別に交渉をしたり,個別に合意をとるなどして,従前の約束を変更してもらって,事業を継続していくような手段を,私的整理と言います。



 なるほど,そうなのですね。私的整理,民事再生,破産,という3つの手段があるということ,わかりました。

 そうすると,順番としては,やっぱり,私的整理から検討するということでしょうか。



 はい,そうなんです。法的整理にはいろいろなルールや手続きがあり,時間も労力もかかりますし,関係者に与える影響も大きいです。そのため,もちろん,順風満帆が一番ではあるものの,このご時世,なかなか難しい時代ですので,ベストを尽くしつつも,状況によっては,今後のいろいろな可能性を見つつ,早め早めに色々な対策を検討していくことをオススメしています。



 そのために,事前に,経営難に備えて,こういった知識をもっておいてもらいたいと思いました。事前に知識があったほうが,安心しやすくなって,よりいっそう,集中できると思うんです。

このように,苦しくなってきたときは,私的整理を検討しつつも,民事再生や破産などの局面になった場合に,どのようなことが起こるとか,どのような可能性があるということも,事前に把握したうえで,今すべき行動をとれると良いですね。

 以上を,A社長に,事前にお伝えしたかったんです。



 なるほど,そういうことだったのですね。よくわかりました。ありがとうございます。




引用元:経営難に備えて:紙芝居型ブログ ブログ#267
「30分ミニ社員研修教材」

 失敗をおそれず挑戦すること
失敗したときにはそれをどう活かすかについて
意見交換・意識共有したい人のための
研修教材です。

<失敗をどう活かすか?>



 こちらは,商業施設などの建築デザインが得意な設計会社に勤務する新入社員のA子さんです。

 A子さんは,明るく元気で,まじめな性格でしたが,少し,おっちょこちょいな面がありました。

 やったー,やっと,あこがれの会社に入社できたから,もう,今日から目いっぱい,がんばろっと。

 しかし,A子さんは仕事の忙しさから,お客様の伝言を伝え忘れてしまったり,お客様とのアポイントを忘れてしまったり,ミスを繰り返してしまっていました。



はあーあ,アタシ,また今日も失敗しちゃった。自分の失敗だけならまだいいけど,先輩にも迷惑かけちゃって,ホント申し訳ない気持ちでいっぱい。

 このように,A子さんはとても落ち込んでしまっていました。

A子さんは,早く役に立てるようになりたい,早く失敗を挽回したいと,一人で,とても焦っていました。



 そんなある日のことです。

 こちらは,B社長です。

B社長は,A子さんの持ち前の明るさと,思い切った行動力に期待しており,A子さんならかならず大きく成長すると信じていました。

しかし,ここ最近,A子さんがミスを連発して,落ち込んでしまっている様子を心配していました。



うーん,A子さん,最近,落ち込んでるなぁ。最近のA子さんのデザインも,前みたいに,思い切ったデザインというより,無難なデザインが多くなってるなぁ。せっかくのA子さんの思い切りの良さを伸ばしてあげられたら,必ず大きく成長できると思うんだけどなぁ。いったいどうしたものか。なにか良い手はないかなぁ



 そんなある日のことです。

こちらは,営業部長のCさんです。

みなさん,大口のプロジェクトのコンペの話が入ってきました。大口のお客さんから,わが社も含めて,複数の設計会社に対して,新たに建築する商業ビルのデザインについてのプレゼンテーションの話が入ってきました。

わが社としては,なんとしても,このプレゼンテーションでライバル会社に勝って,このプロジェクトを受注したいと思います。

ライバル会社に負けるわけにはいかないので,プレッシャーも大きいと思いますが,誰か挑戦する人はいませんか?



 ・・・・・ だれも発言しませんでした

 このように,営業部長のCさんは,大きなプロジェクトのデザインを担当する人を募集しましたが,かなり大きいプロジェクトで,プレッシャーも大きいため,みな,尻込みしてしまって,手を挙げる人がいませんでした。

 それからしばらく沈黙の時間が続きましたがが,突然,A子さんが,手を挙げました。



 あのー,すみません,どなたも立候補されないのでしたら,私,やってみたいです・・・いいですか?



 このように,突然,A子さんが名乗り出ました。

 すると,まわりのメンバーたちが,小声で言いました。

 「いやいや,無理でしょ」「いやいや,早すぎるよ」「A子さんには無理よ」

 こんな声がぼそぼそ聞こえてきました。



そして,営業部長もこう言いました。

え,えっと,A子さんですか。うーん,いやーちょっと,まだA子さんには早いんじゃないですかね・・・。結構大変な仕事ですからね。



 すると,突然,社長が発言しました。

 いや,良いでしょう。誰も手を上げないなかで,A子さんが勇気を出して手を挙げたのです。であれば,私は,A子さんにやってもらいたいと思います。

 こうして,なんと,ビッグプロジェクトにもかかわらず,社長のこの一声で,A子さんが担当することに決まりました。

 ありがとうございます。がんばります。



 こうして,このビッグプロジェクトはA子さんが担当することになりました。それから,A子さんは猛烈にがんばりました。クライアントの情報やこれまでのプロジェクトをすべて調べ上げ,クライアントが好むデザインの分析を行い,また日本中の類似施設の建設物のデザインデータを収集しました。

 そのうえで,寝る間も惜しんで,デザイン案を20個作りあげました。



 あー,もうダメ,もうムリ,これ以上アイデア出ない!

あー,そろそろ,デザインの提出期限だわ。デザインの案は20個作ったけれど,どれに決めようかしら。はー,迷うな―。プレッシャーがすごいなぁ

うーん,いろいろ悩んだけど,最後,このA案かB案のどちらかにしよう。



A案は素直でストレートなデザインで,B案が思い切ったユニークなデザイン。

この二つのどちらかだと思うのよね。A案のほうが無難で,B案がチャレンジングよね。

うーん,迷うわー。はー,決められない。

よし,決めた。やっぱり,思い切ったB案でチャレンジしよう。B案じゃなかったらライバル会社に勝てないわ。

こうして,A子さんは,思い切ったデザインのB案をクライアントに提出してプレゼンをしました。



 それから,一か月後のことです。クライアントから,社長に,コンペの結果を伝える電話がかかってきました。

 はい,もしもし,はい,はい,はい,わかりました。

 あの,社長,今のお電話,コンペの結果の電話ですよね。

 どうでしたか?

 うん,A子さん,落ち着いて聞いてくれ,だめだったよ。ライバル会社に負けてしまったとさ。



 ええー,すみません,社長,申し訳ございません。自分から手を挙げたのに,結果を出せなくて,申し訳ございませんでした。



 すると,まわりのメンバーがまた小声で言いました

 「ほらね,やっぱりね」「あーあ,大口逃しちゃって」「だから早いって部長が言ってたのに」



 みなさん,さあさあ,いま,社長から発表があったとおりですから,本件は終了です。本件のことはもう忘れて,さあさあ,私語はやめて,各自,仕事に戻ってください。



 その後,A子さんはますます落ち込んでしまいました。まだ早いと思われるビッグプロジェクトに,無理をして自分から手を挙げたにもかかわらず,結果を出せなかったことを後悔していました。

 周りのメンバーからも,いつも,カゲでコソコソ言われていることが,耳に入ってきて,ますます,落ち込んでしまい,仕事のパフォーマンスが落ちてしまっていました。

 そんなある日のことです。社長がA子さんを打合せに呼び出しました。



 あー,A子さん,おつかれさま。調子はどうですか?

 社長,先日は結果を出せなくてすみませんでした。社長に推薦していただいたのに,結果を出せなくて悔しいです。

 いやいや,いいんですよ。もうあの件は気にしないでください。

 ところでA子さん,最近,仕事があまりはかどっていないですか?



 え,あ,はい,すみません。

なぜそう思いますか?

はい,やっぱり,どうしても,先日のことが気になってしまって。最近,力が入らないんです。

そうですか,どんなところが気になっていますか

 はい,やっぱり,明らかに自分にはまだ早いのに,無理して手を挙げて,結果をだせなかったところです。



 なるほど,そうなのですね。ただ,私は逆にそれがすごいなと思っています。

 考え方が真逆で,おもしろいものですね。

 みんなが尻込みして手を上げない中で,手をあげた,それってなかなかできないことだと思うんです。

 あの場で,あの瞬間,チャレンジしようと思ったA子さんをすごいと思うんです。

 もし,私が,A子さんだったら,手を挙げられたかわかりません。それくらい,すごいと思っています。



 そう言ってもらえると,救われます。ありがとうございます。



 実は,前から思っていたのですが,A子さんのデザインが大胆なのは,もともと,そういったチャレンジ精神を持っているからなのではないかと思うんです。それはA子さんの大きな強みであり,それを活かせれば大きく成長すると思っています。

 たしかに,今回のプロジェクトは受注できませんでした。この事実は,もう変わりません。過去のことはもう変わりません。

しかし,もし,これを糧にして,A子さんが大きく成長したら,別のプロジェクトで結果を出したら,この失敗が意味のあるものに変えられると思っています。



 ありがとうございます。そう言って頂けると,少し元気が出ますが,失敗をどう活かすか?っていうことですよね。

 はい,そうなんです。あの場でチャレンジをしたこと,失敗するリスクを背負って一歩踏み出したことに,ものすごい価値があると私は思っています。

 そして,誰でも,いつも良い結果を出せるなんてことはあり得ませんから,失敗したときは,それをどう活かすかだと思うんです。



 そして,誰も手を上げない中で,A子さんが挑戦して,涙が出るほど,悔しい思いをした,これは,挑戦しなかった人には得られない経験です。挑戦したA子さんだけが得られる最高の経験値になります。

 失敗を恐れて挑戦しなかった人たちに,大きく差をつける大チャンスが訪れたと思います。



 ありがとうございます。もうずっとネガティブになっていたんですけど,ポジティブになれそうです。



 それはよかった。そうしましたら,挑戦しやすくなるコツをお伝えしたいと思うんです。

 それは,二つあります。

 一つは,仲間を増やすという事です。日頃から周りとコミュニケーションを増やして,いざというとき,挑戦するときに支えてくれる仲間を増やしておくことです。

 仲間同士,お互いに助け合う関係ですね。



 もう一つは,報連相をしっかりすることです。プロジェクト前も,プロジェクト中も,いろんな人に報連相をしておけば,助けてもらいやすいし,ヒントやアイデアをもらえるかもしれません。

この二つをがんばると,よりいっそう挑戦しやすくなると思いますよ。



 ありがとうございます。そうですね。今回も,もっと応援してくれる人がいたらよかったなって,今,思いました。わたし,がんばります,ありがとうございます。




引用元:失敗をどう活かすか?:紙芝居型ブログ ブログ#265