昨日最後の塾に行ってきた。もちろんもう高校卒業で、勉強なんてしてないんだけど・・・。あの塾には世話になったし、向こうに引っ越す前、最後に、もう一度ってことで。
俺の高校生活の恋愛は、全部あの塾から始まっていた。
1年生の時、同じ塾に通う2年の先輩を好きになり、俺が3年生の時、違う学校に通う同い年の子を好きになった。
昨日はその、同い年の子に、塾で会った。
後悔ばかりしていた高校生活の恋に、最後の最後でも、俺は何もしなかった。
上の二人には、告白はしてる。
先輩にはメールで、同い年の子には直接伝えた。
今はもう、未練なんて持たないように、好きにならないように、そんなふうに思ってきた。今でも。
好きになったとしても、頑張っても、願いが叶うなんてことはないから。
最後の最後、別れ際に「大好きだった」って言おうと考えていたことも、結局、考えていただけになった。
ただ、今、もう全部、終わったんだって思うと、ちょっとだけ涙が出てくる。
悔しくて? 切なくて? 悲しくて?
何か分からんけど、泣けてくる事実がそこにはあって。
今更二度目の告白したって、相手には迷惑なだけであって、自己満足しかそこにはないだろうと思って。
沙季(同い年の子)のことが好きだった。涙が出てくるのは、「もう会うこともない」って思うから。
こんな状態沙季に知られたら、また一つ嫌われる。
沙季は「泣くような男」は嫌いだから。
昨日も何もせず、強がってるフリをして、実は臆病だから何も言えなくて終わった。
沙季の好きな人は、理想の人は、俺の性格の全く逆の人だと思う。それでも諦めきれなかったのは、心のどこかでドラマのような、逆転を期待して、逆転にすがっていたから。
何もしてないのに、逆転という奇跡なんて起こるはずないのに。
言葉を伝えようとせず、相手に分かってもらおうという気持ちで、そんなふうに考えていた自分がいた。
沙季にしたことを、それ相応の見返りつきで返ってくると考えていた自分がいた。
「大切にする」っていうことが、今まで自分がやってきたこととは違うということを、今気付いた自分がいた。
でも、その本質はまだ分からない自分がいた。
沙季を想うことはもう、きっとないだろう。会うことも・・・いや、その時が来たら俺には会う勇気がないと思う。
笑って会える、けどそれは心から出す笑顔なんかじゃなくて、一区間空いたような作り笑い。
高校生活最後の恋が終わった。
卒業式で高校生活が終わって、昨日の最後の塾で、恋が終わった。
