*書名 漱石の夏休み帳
 *著者 関 宏夫
 *定価 2100円(本体2000円+税)
 *判型 四六判
 *頁  264頁
 *コード ISBN978-4-8455-1152-5
 *紹介 明治25年(1888)夏、夏目漱石は房総を訪れて房総漢文紀行『木屑録(ぼくせつろく)』を書いた。このとき、漱石は第一高等中学校の学生で、同級生の正岡子規とは「おれとおまえ」の仲であった。漱石が房総に旅にでたのは、子規が前年の夏に書いた墨江僑居記『七草集』を読んでからである。漱石は『七草集』によって一旦は放擲した漢学の世界に火がつき、一つの作品をまとめたいと考えた。そのための舞台がたまたま房総旅行となったのである。正岡子規は『木屑録』を一読三嘆、漱石の文筆の手腕は千万年にひとりだ、と讃えた。『七草集』も『木屑録』も第一高等中学校の夏休みに書かれたいわば「夏休み帳」である。これを交換し批評しあうことによって、ふたりの絆は一層強くなった。のちのち、漱石はこのときの房総での印象を『こころ』を始めとする小説の舞台にたびたび取り上げている。子規も房総紀行の記憶をたぐって、その地名を読み込んだ句を数多く遺している。房総は漱石と子規の青春まっ盛りの地であった。・・・著者「はしがき」より