広島市中央公園の中にあるゲートパークの北側に、高さ9メートルの塔に吊り下げられたベル型の鐘が、ひっそりとたたずんでいます。昭和24年(1949年)8月6日の第3回広島平和祭(現在の平和記念式典)で鳴らされた、現存する最古の「平和の鐘」であり、借り物でない初めての自前の「平和の鐘」でした。
この鐘は、その年に広島銅合金鋳造会(13業者)が焼け跡から集めた金属を溶かし込んで鋳造し、広島市に寄贈したものです。
しかし、第3回広島平和祭で一度だけ鳴らされた後使われることがなく、ながく忘れられた存在でした。戦後すぐの混乱と資材不足のなかで、「原爆死没者の霊を慰めるため」「命をかけて」鋳造した鐘です。中央公園の片隅で、戦後の広島の復興を見守ってきた生き証人でもあります。