被爆アオギリ 芽吹く | ヒロシマ平和公園の四季 第2部

ヒロシマ平和公園の四季 第2部

原爆投下により広島の街は「ヒロシマ」に変容しました。その悲劇から70年あまり平和な町に復興しました。しかし、平和公園には「ヒロシマのこころ」が息ずいています。四季の移ろいとともに語り継ぎます。

アオギリは、樹皮が緑色で葉がキリに似ているので、青桐と名がつきました。幹や枝は緑色で小枝はやや太くなります。
枝先に30~50cmの枝分かれした花の茎を出し、6~7月頃、黄色い花を数多く咲かせます。
爆心地から約1.3km離れた、中区東白島町の広島逓信局の庁舎(現在の日本郵政グループ広島ビル。以前の中国郵政局)の中庭にありました。爆心地方向にさえぎるものがなかったため、熱線と爆風をまともに受けました。そのため枝葉はすべてなくなり、幹は爆心側の半分が焼けました。
枯れ木同然だったこの木は、翌年の春になって芽吹き、被爆と敗戦の混乱の中で虚脱状態にあった人々に生きる勇気を与えました。
中国郵政局の建替えに伴い、1973(昭和48)年5月、現在の場所へ移植され、原爆の被害を無言のうちに語り続けています。
移植で枯死するのではないかと心配されたアオギリは、その後も毎年、種子をつけています。これらの種子は国内外へ贈られ、多くの2世が元気に育っています。