寒すずめ    | ヒロシマ平和公園の四季 第2部

ヒロシマ平和公園の四季 第2部

原爆投下により広島の街は「ヒロシマ」に変容しました。その悲劇から70年あまり平和な町に復興しました。しかし、平和公園には「ヒロシマのこころ」が息ずいています。四季の移ろいとともに語り継ぎます。


寒雀と言えば、やはり太宰治を思い出す。短編小説の「チャンス」に出てくる。「人生はチャンスだ、結婚もチャンスだ、恋愛もチャンスだ、としたり顔で教える苦労人が多いけれど、私はそうではないと思う」。こんな書き出しで始まる、ちょっとおかしな短編小説。その中ほどで、芸者同士が料亭で言い争いになり、次第に気色ばむ太宰治は、料理として出された"雀の焼き物"に心を奪われ、子供の頃に経験した寒雀を回想する。私も若いころ、恩師と居酒屋で"雀の焼き物"を食したことがある。今年がその恩師の30回忌・・・。昭和も遠くなりました。