アッティラ名演は悪役至宝 ドナルド・サザーランドは永遠 | 俺の命はウルトラ・アイ

アッティラ名演は悪役至宝 ドナルド・サザーランドは永遠

 

 

 ドナルド・サザーランド

 

 

 本名はDonald McNichol Sutherlandである。

 

 1935年7月17日にカナダに誕生した。2024

年6月20日に88歳で死去した。

 

 昭和六十年(1985年)六月二十九日(土曜日)、

京都教育文化センターにおいて、映画『1900年』

を鑑賞した。

 

『1900年』

 Novecento

映画 トーキー 316分 カラー

1976年5月21日 フランスカンヌ映画祭上映

昭和五十七年(1982年)十月二十三日

イタリア語版日本公開

 

製作国  イタリア 

      フランス 

      西ドイツ

      アメリカ合衆国

製作言語 英語(オリジナル版)

     イタリア語(イタリア語版)

製作会社 20世紀フォックス

       ユナイテッド・アーティスツ

       パラマウント映画

 

出演

 

ロバート・デ・ニーロ

(アルフレード・ベルリンギエリ 孫)

 

ジェラール・ドパルデュー(オルモ・ダルコ)

 

ドミニク・サンダ(アダ・ポーラン後にアダ・

         ポーラン・ベルリンギエリ)

 

フランチェスカ・ベルティー二(デゾラータ尼)

ラウラ・ベッティ(レジーナ)

ヴェルナー・ブルーンス(オッタビオ・ベルリンギエリ)

ステファニア・カッシーニ(洗濯女ネーヴェ)

スターリング・ヘイドン(レオ・ダルコ)

アンナ・ヘンケル(アニタ 娘)

エレン・シュヴィールス(アメリア)

アリダ・ヴァリ(ピオッピ未亡人 イダ・カンタ・エリ)

ロモロ・ヴァリ(ジョバンニ・ベルリンギエリ)

 

パオロ・パヴェージ

(アルフレード・ベルリンギエリ 孫 少年時代)

ロベルト・マッカンティ(オルモ・ダルコ 少年時代)

ジャンカルロ・キエーザ(レオ二ダ少年)

アンナ・マリア・ゲラルディ(エレオノラ)

アントニオ・ビオヴァネッリ(トゥーロ)

パオロ・ブランコ(オルソ・ダルコ)

リュウ・ボジィジョ(ネラ・ダルコ)

マリア・モンティ(ロジーナ)

デミズィオ・ルサルディ(モンタナ―ロ)

ピエトロ・ロンガーニ・ポンゾーニ(ピオッピ)

アンゲロ・ペレグリーノ

ジョゼ・クアリオ(アヴァンズィーニ)

クララ・コルジーモ

マリオ・メニコーニ

カルロッタ・バリーリ(農民)

オドラルド・デアグリゴ

ピエロ・ヴィーダ

ヴィットリオ・ファンフォーニ

アレサンドロ・ボジーオ

セルジオ・セラフィーニ

パトリツィオ・デ・クララ

エダ・フェロナオ

ウィニ・リヴァ

ファビオ・ガリバ

ナザレオ・ナタレ

カテリーナ・コザック

カドローシャ・オナ・カローレ

フランセスコ・ダーダ

サルヴァトール・ムレデュ

ミモ・ポリ

ティジアナ・セナトーレ(レジーナ 少女時代)

ピッポ・カンパ二ーニ(神父ドン・タルキシオ)

ビアンカ・マグリアッカ

ギアコモ・リッツオ(リゴレット)

 

ステファニア・サンドレッリ(アニタ 母)

 

ドナルド・サザーランド

(アッティラ・メランキーレ)

 

バート・ランカスター

(アルフレード・ベルリンギエリ 祖父)

 

製作 アルベルド・グリマルディ

 

脚本 フランコ・アルカッリ

    ジュゼッペ・ベルトルッチ

    ベルナルド・ベルトルッチ

 

美術監督 エズィオ・フリゲリオ

装置 マリア・パオロ・マイオ

衣装 ジット・マグリーニ

メイクアップ ジャンネット・デ・ロッシ

大道具 ジャンニ・クアランタ

小道具 ジャンニ・シルヴェストリ

結髪  ヨーレ・チェッキーニ

録音 クラウディオ・マイネッリ

編集 フランコ・アルカッリ

スクリプト シュザンヌ・デュランベルジェ

助監督 ガブリエレ・ポルヴェロージ

     クラーレ・ぺプローレ

     ピーター・シェーファード

     シュザンヌ・デュランベルジェ

撮影技師 エンリコ・ウメテッリ

 

 

音楽 エンニオ・モリコーネ

 

撮影監督 ヴィットリオ・ストラーロ

 

監督 ベルナルド・ベルトルッチ

 

 

 

 

 1945年4月25日「解放の日」のポー河流

域の農村において陽気に歌っていた青年が、

潜んでいた兵士に銃撃される。

 「戦争は終わったのに」と青年は無念を感

じ致命傷を負いながら解放の日の光景を見る。

 

 レジスタンスがファシストアッティラを

追い詰める。アッティラは妻レジーナや子

供達と逃げつつ笑みを浮かべる。

 

 

 ベルリンギエリ一族当主で地主の中年男ア

ルフレードは、レジスタンスで農民オルモ・

ダルコを尊敬しているレオニダ少年に捕えられ

た。

 

 

 

 「オルモを知っているのか?」とアルフ

レードはレオニダに問う。

 

 

 1901年。ジュセッペ・ベルディが亡くなり、

道化のリゴレットが深く悲しむ。

 大地主ベルリンギエリ家に孫の男の子が誕

生し、当主アルフレードは大喜びし、孫に自身

の名を付けた。

 

 ベルリンギエリ農園の小作農レオ・ダルコ

の家庭に赤ん坊が誕生し、オルモと名付けら

れた。

 

 少年となったアルフレード(孫)とオルモ

は親友になる。

 オルモは蛙を捕え帽子に巻いて、土に向か

って、性の営みをするんだと、アルフレード

に告げる。少年時代からオルモは社会主義に

熱中した。

 

 アルフレードは祖父アルフレードの愛情を

受ける。

 冷徹な父ジョバンニの指導に息子は悲しむ。

祖父アルフレードは村の若者達が、華麗にダ

ンスを踊る姿を見て、自身の老いを痛感し、

深い悲しみを覚える。勃×することもない

自身の肉体の衰えを祖父アルフレードは痛感

する。

 

 祖父の死後、父ジョバンニが遺言状を偽造

して、自身が遺産を独占した。孫アルフレード

は祖父の死を利用する父の非道に悲しみを覚え

る。

 

 

 ジョバンニは小作人達の賃金をカットして、

ストライキに遭う。

 少年オルモと少年アルフレードが、勃×力遊

びに夢中になる頃、祖父レオは静かに息を引き

取る。

 港湾労働者の招きでジェノヴァに行き、第一

次世界大戦に従軍したオルモは逞しい若者に成

長した。

 アルフレードは従姉妹レジーナと遊ぶが、オ

ルモの帰還を喜びます。レジーナはアルフレード

との遊びで喜びを感じる事はなく、「本物の男が

欲しい」と求める。

 

 

 ベルリンギエリ家の農園管理人のアッティラ

が挨拶しオルモは返事をした。

 

 1921年、アルフレードは、叔父オッタビオの

屋敷で絶世の美女アダ・アダ・フィアストリ・ポ

ーランと出会い一目惚れする。

 「21歳。最悪の年齢」と語るアダは詩を読んで、

アルフレードに聞かせ、彼の感嘆を呼ぶが、詩の

紙を破る。アルフレードが吃驚すると、アダは「二

人も読んだら詩の役目は終わり」と告げる。

 

 オルモと恋人の教師アニタは、老人四人と親し

くしていた。残忍なアッティラは老人達を襲って

殺害した。その凄惨な事件があった時期の夜に、

乾草小屋でアルフレードとアダは衣服を脱いで

抱きしめ合い、愛し合う。

 アルフレードが、愛の行為をすると、アダは叫

ぶ。

 

   「どうして処女だと言わなかったの?」

 

   「言っても信じた?」

 

    「君は叔父の愛人じゃないの?」

 

    「オッタビオと私が?」

 

 大人で妖艶に見えつつ、実はヴァージンだったアダ

をアルフレードは深く愛する。

 

 数日後、無残に焼き殺された老人達を哀悼して、

オルモとアニタはアッティラとその仲間のファシスト

の罪を糾弾した。

 

 アッティラは猫を縛り上げてこの猫を共産主義者

だとすると仮定し、頭突きで殺害し、黒シャツ隊を

率いて行進した。

 

 第二部ではアルフレードとアダの愛の生活は始め

幸福一杯だったものの、次第に陰りが出てくることを

語る。

 アッティラの共産主義者弾圧は激しくなり、オルモ

は逃亡した。殺人事件を犯すアッティラの蛮行を知っ

ても、雇い主のアルフレードは怯え忖度してしまう。

 アダはアルフレードの弱腰を悲しみ、アルフレード

は孤独を噛みしめる。

 

 1985年6月29日に『1900年』イタリア語版を京都

教育文化センターで鑑賞し、ベルナルド・ベルト

ルッチ監督が明かした映画美に感激した。

 七十数年に渡る男二人の義と友情の心を打たれた。

 

 

 美男のロバート・デ・ニーロ。

 

 屈強なジェラール・ド・パルデュー。

 

 絶世の美しさのドミニク・サンダ。

 

 若手スタアであったとはいえ、5時間16分の超大作

の主役に若い3人を迎え抜擢したベルナルドの直感

は凄い。

 

 イタリア現代史を描いた、歴史的大傑作であり、地球

のトーキーカラー映画を代表する一本であると確信して

いる。

 

 ドナルド・サザーランドは老人達を焼殺し、猫を

突き殺し、少年を惨殺し、人妻も無残に殺し、レジ

スタンス達を虐殺するという極悪非道のアッティラ

を重厚に勤めた。

 

 一度スクリーンで見ると忘れられない怖さがある。

 

 1993年11月15日朝日シネマでオリジナル英語版

を鑑賞した。

 

 本日2024年6月24日は撮影監督ヴィットリオ・

ストラーロの84歳誕生日である。

 

 

 

 

 

 

 

 史上最強の悪役アッティラを憎たらしさ

いっぱいで演じきったドナルド・サザーラ

ンド。

 

 心身を挙げての名演に深謝する。

 

 私生活では一貫して反戦平和に生きたひと

であった。

 

 『1900年』フィルムの中にドナルド・サ

ザーランドは生き続ける。

 

 

                合掌