ヴァイオラ・ド・レセップス 塚口サンサン劇場で五回目の出会い | 俺の命はウルトラ・アイ

ヴァイオラ・ド・レセップス 塚口サンサン劇場で五回目の出会い

 2024年6月8日14時10分 塚口サンサン劇場
 『恋におちたシェイクスピア』

 鑑賞した。
 
 ヴァイオラ・ド・レセップス
 トマス・ケント
 ロミオ
 ジュリエット
 ヴァイオラ
 
 グウィネス・パルトロウ
 
 
 美しかった!
 

 

 

 SHAKESPEARE IN LOVE

 恋におちたシェイクスピア

 映画 トーキー 137分 カラー

 製作国 アメリカ合衆国

 製作・配給 UIP

 製作言語 イギリス語

 製作会社 ユニバーサル・ピクチャーズ・

        ミラマックス

        ベッドフォード・フォールズ

        プロダクション

 配給    ミラマックス

 日本配給 UIP

 

 出演

 

 グウィネス・パルトロウ(ヴァイオラ・ド・レセップス

                トマス・ケント

                劇中劇『ロミオとジュリエット』

                ロミオ 

                ジュリエット

                『十二夜』ヴァイオラ)

 

 ジョゼフ・ファインズ(ウィリアム・シェイクスピア

              洗濯女に扮する男

              劇中劇『ロミオとジュリエット』ロミオ)

 

 コリン・ファース(ウェセックス卿)

 ベン・アフレック(ネッド・アレン

            劇中劇『ロミオとジュリエット』

            マーキューシオ)

 

 

 ルパート・エヴェレット(クリストファー・マーロウ)

 ジョー・ロバーツ(ジョン・ウェブスター)

 

 サンドラ・レイントン(ロザライン)

 バーナービー・ケイ(ノル)

 マーク・ウィリアムズ(ウォバッシュ)

 グレゴア・トラッター(ジェームズ・ヘミングス)

 ジル・ベイカー(デ・レセップス夫人)

 アンバー・グロソップ(メイド)

 ダニエル・ブロックルバンク(サム)

 

 サイモン・カロウ(ティルニー)

 ジム・カーター(ラルフ・バシュフォード)

 マーティン・クラネス(リチャード・バーベッジ)

 

 トム・ウィルキンソン(ヒュー・フェニマン)

 イメルダ・スタウントン(乳母)

 

 ジェフリー・ラッシュ(フィリップ・ヘンズロー)

 

 ジュディ・デンチ(エリザベス1世)

 

 脚本 マーク・ノーマン

     トム・ストッパード

 

 製作 デヴィッド・パーフィット

     ドナ・ジグリオッティ

     ハーヴェイ・ワインスタイン

     エドワード・ズウィック

 

 製作総指揮 ボブ・ワインスタイン

         ジュリー・ゴールドスタイン

 撮影監督  リチャード・グレイトレックス

         B.S.S.C

 

  プロダクションデザイナー マーティン・チャイルズ

 編集      デヴィッド・ギャンブル

 ヘア・メイクアップデザイン リサ・ウェスコット

 

 音楽 スティーヴン・ウォベック

 衣装デザイン サンディ・パウエル

 

 

 監督 ジョン・マッデン

 

 

 1999年12月3日 アメリカニューヨーク先行公開

 1998年12月11日 アメリカ公開

 1999年5月1日 日本公開 

 

 ◎鑑賞日時場所◎

 1999年5月1日・3日東宝公楽

 

 2015年8月3日 TOHOシネマズ二条

 

 2022年12月9日10時 京都シネマ2 H-1席

 午前十時の映画祭12版鑑賞

 

 2024年6月8日 14時10分 塚口サンサン劇場

 劇場2 I-7 DCP(デジタル)上映版

 

  

 1593年夏、エリザベス1世統治のイギリスロ

ンドンにおいて、市の北部カーテン座と南部ロ

ーズ座の二劇場が観客を集めていた。

 英国一番と言われる役者リチャード・バーベ

ッジが活躍しているカーテン座にとってローズ

座はライバルだ。

 

 フィリップ・ヘンズローが建てたローズ座は

経営面で苦しかった。

 会計係ヒュー・フェニマンは足焙りの拷問に遭

うヘンズローに為した。

 

 ヘンズロウはフェニマンから莫大な借金の取り

立てを迫られていた。仲間の劇作家・俳優ウィリ

アム・シェイクスピアに『ロミオと海賊の娘エセ

ル』という喜劇を書いてもらい、当てて借金は返

すと約束する。フェニマンは怪しみながらも、ヘ

ンズロウを縛から解き放つ。

 

 ウィリアム・シェイクスピアは、戯曲・詩の

執筆活動においてスランプを感じていた。

 

 カウンセラーモス博士から「あっちのほうはど

うか」と聞かれ、夜の営みの力も弱体化しているこ

とを確かめる。

 

 

 宮殿にエリザベス1世が貴族を率いて現れ、ウィ

ル作の戯曲『ヴェローナの二紳士』を鑑賞する。

 

 ウィルはW・シェイクスピアと署名した紙を蛇

の指輪に入れて、恋人ロザラインにプレゼントす

る。

 

 女王と共に観劇する25歳の貴族の美女がいた。

ヴァイオラ・ド・レセップスである。芝居を熱愛

している。

 

 

 芝居を深く恋する令嬢ヴァイオラ・ド・レセッ

プスは、女性が舞台に立つことが禁じられていた

為、男装してウィル作の芝居のオーディションを

受けることを決める。

 流血劇を愛する少年ジョン・ウェブスターも

ウィルとヘンズロウのオーディションに参加して

いた。

 

 

 ウィリアム・シェイクスピアは、トマス・ケ

ントと名乗って男装したヴァイオの朗読を聴く。

 

 

  

 「シルヴィアが見えなければ光

  に何の意味があろう。ただ美

  しい面影を偲んで心を癒すだ

  けだ」

 

 

 

 渡し船でウィルはトマスの後をつけ、船

頭からトマスの名を聞き追う。

 

 トマスはレセップス家に入った。ウィル

は「彼に会いたい」とトマスの叔母と名乗る

乳母に手紙を渡した。乳母は勿論ヴァイオラ

お嬢様の変装であることを知っている。

 

 ヴァイオラはモンタギュー家の息子ロミオを

主人公とする戯曲の案で、トマス・ケントに自分

自身を見たというウィルの言葉を聞き歓喜を覚

える。

 

 ロミオの恋人の名前をロザラインにしたいと

ウィルは望んだ。

 

 だが、ロザラインが儀典長ティルニーと浮気

をする現場を見たウィルは、「不滅のヒロイン

になれたのにな」と淋しさを語った。

 

 

 居酒屋でウィルは『フォースタス博士』等の

傑作戯曲を書き上演している劇作家クリストフ

ァー・マーロウにスランプを報告する。マーロ

ウはロミオをイタリア人青年の設定にして、家

の強敵の娘に一目惚れしたが、彼の親友マーキュ

ーシオが強敵の家の人間に殺されると言う設定

にしてはどうかと提案した。

 

 デ・レセップス家において当主ロバートは舞

踏会を催し、ウェセックス卿に自身の娘の美し

さを讃え、「お乗りになりたいなら」と政略結

婚を提案する。金銭欲と性欲を刺激されたウ

ェセックスは結婚したいと望む。

 

 女性の姿に戻ったヴァイオラとウィルは、ダ

ンスで踊り恋を感じ合う。

 

 トマスを俳優として迎え、ウィルはロミオ役の

演技を指導する。

 

 ウェセックスはご両親の許可を得ているとして

ヴァイオラに結婚を迫り、無理矢理キスしてぶた

れる。だが、親の決めた結婚の命令にヴァイオラ

は逆らえず、愛するウィルの求愛に断りの手紙を

書いた。

 トマス・ケントとしてヴァイオラは断りの手紙

をウィルに渡すことを決めた。

 

 

 ウィルはトマス・ケントの後を追いかけ、彼女

の帰宅の舟に同乗する。

 ヴァイオラ・ド・レセップス嬢に恋文を書いた

ので届けて欲しいと頼み当人とも知らず、令嬢の

美を讃え恋を語る。トマス・ケントは、ウィルに

ヴァイオラ嬢は君の愛を断ると記していることを

告げる。

 

 「ヴァイオラ嬢の美は言葉を超えている」

 

 「ナイチンゲールが羨む声」

 

 「胸は黄金の林檎」

 

 ウィルはヴァイオラを讃える。「伯爵夫人になれ

る女性が河原者の役者とするか」とトマス・ケント

は問う。ウィルは愛の前に貴族も貧乏人もないと強

調した。トマス・ケントはヴァイオラ嬢を妻にし

ようとしているウェセックスの権力は広大であるこ

とを指摘する。

 

 「一回のキスの為ならば

  千人のウェセックスと

  も戦う。」

  

 ウィルは確言した。

 

 トマス・ケントはウィルに接吻して、レセッ

プス家に駆けて行く。

 

 ウィルはトマス・ケント実はヴァイオラ・ド・

レセップスの変装である事をせん知る。

 

 レセップス家の草の蔦を用いてウィルは壁を

登り、バルコニーからヴァイオラの部屋に入る。

 二人は恋を確かめ抱きしめあい、結ばれる。

  

 

  「芝居よりも素晴らしいものが

  あったのね。」

 

 ヴァイオラは好きな人と愛しあうことの感動

を確かめる。

 

 

 『ロミオとジュリエット』のドラマがウィル

の心に湧きたつ。当時女優は禁じられていた。

 ヴァイオラがトマス・ケントの名で、ロミオ

役にの稽古に取り組み、ジュリエット役の男優

サムとキス・シーンがある。指導で作者ウィル

はトマス・ケントとディープキスを交わす。

 

 しかし、トマスが女性である事が、ジョン・

ウェブスターの告発でばれる。

 

 ヴァイオラは家が決めたウェセッスクス卿

と結婚することを甘受する。

 

 

 リチャード・バーベッジは儀典長ティルニー

に侮蔑されていることの腹立ちからライバルの

ヘンズロー・シェイクスピアにカーテン座を貸

すから演劇人の底力を見せてやろうと提案する。


 『ロミオとジュリエット』上演では、作者ウ

ィルが、サム青年のジュリエットを相手役にし

て自らロミオを勤める事を決定した。

 

 ウェセックス卿との結婚を甘受したヴァイオラ

は『ロミオとジュリエット』公演チラシを見て

新婚旅行から逃げカーテン座に行く。

 

 公演開幕ジュリエット役のサムが声変わりで

役を勤められない状態になってしまった。ウィ

ルは恐怖で震える。

 

 「何とかなる」と言いつつ震えるヘンズロー

は代役を探しに客席に向かい、「トマス・ケン

トよ」と語るヴァイオラに再会した。

 

(公開中なので物語要約はここまでにする)

 

 ☆永遠(とわ)に動く甘美☆

 ウィリアム・シェイクスピアがヴァイオラ・

ド・レセップスと恋をして、『ロミオとジュリ

エット』を二人で書いて上演しする。二人の愛は

ウィルの『十二夜』着想を呼び起こす。

 

 シェイクスピア戯曲への愛が溢れている。

 

 ジョン・マッデンの演出は美しい。

 

 脚本のストッパードとノーマンは、ウィリアム・

シェイクスピアの戯曲・詩が血肉化されている。

 

 

 戯曲・詩を全編に鮮やかに引用して鏤めている。

 

 シェイクスピア戯曲と詩を対応させながら、ドラ

マを書いた。

 

 

 シェイクスピア戯曲とシェイクスピア詩の引用

方法も又美しいのだ。

 

 

 

 『十二夜』『ロミオとジュリエット』に対する

尊崇が映画の根底にある。

 

 

 原作戯曲を熟読・精読・身読する。

 

 

 読んで読みまくって、シェイクスピア戯曲の

声を聞く。

 

 

 

 『十二夜』は甘美な戯曲なのだ。

 

 

 甘くない『十二夜』なんて存在しない。

 

 

 

 ハーベイ・ワインスタインのセクハラ事件・

強姦事件は裁かれるべきだし、しっかり反省

して欲しい。本作撮影現場においてグウィネ

ス・パルトロウにハーヴェイは迫った。当時

彼女の恋人であったブラッド・ピットがハー

ヴェイは怒られた。セクハラはいけない。こ

れは大原則だ。だが、彼が偉大なプロデユー

サーである事実は変わらない。

 

 グウィネス・ケイト・パルトロウ

 Gwynth Kate Paltrow

 1972年9月27日生まれ。

 

 父はプロデューサーブルース・パルトロウ、

母は女優ブライス・ダナーである。

 

  

 グウィネス・パルトロウのヴァイオラの

美しさは神々しい。

 

 

 

 1998年3月21日 ドロシー・チャンドラー・パ

ビリオン

 第71回アカデミー賞授賞式

 

 『恋におちたシェイクスピア』

 

 美術賞受賞

 マーティン・チャイルズ(美術)

 ジル・クオティーヤー(装置)

 

 ミュージカル・喜劇映画音楽賞受賞

 スティーヴン・ウォベック

 

 衣装デザイン賞受賞

 サンディ・パウアー

 

 助演女優賞受賞

 ジュディ・デンチ

 

 脚本賞受賞

 トム・ストッパード

 マーク・ノーマン

 

 主演女優賞受賞

 グウィネス・パルトロウ

 

 

 作品賞受賞

 プロデューサー

 ハーヴェイ・ワインスタイン

 ドナ・ジグリオッティ

 デヴィッド・パーフィット

 エドワード・ズウィック

 マーク・ノーマン

 

 7部門において受賞した。

 

 

 アカデミー賞を絶対化しないが、1999年3月2

1日の授賞式は当時NHKBSで実況中継されていて

視聴し、『恋におちたシェイクスピア』の助演女

優賞・主演女優賞・脚本賞・作品賞受賞は嬉しく

拍手した。

 

 

 

 グウィネス・パルトロウ。

 ヴァイオラ・ド・レセップス役。

 

 グウィネスが美女だから、『恋におちたシェイクスピア』

を絶賛している訳じゃないよ。

 ヴァイオラ・ド・レセップスの内面・容貌の美しさと深い

愛を演技において生きている事を絶賛している。

 

 

 

 

  サンディ・パウアーも素敵な方だ。

 トム・ストッパードの映像・肉声を始めてリアルタイ
ムで見聞させてもらった。
 
 アカデミー賞授賞式は歴史資料として貴重なのだ。
 

 ジュディ・デンチ。
 
 1934年12月9日生まれ。
 
 
 
 エリザベス一世役。
 
 貫禄豊かだ。
 

 

 

 

 1999年5月1日、池田屋事件跡地近くの東宝公

楽客席で『恋におちたシェイクスピア』を見聞し

た。

 

 2日後の1999年5月3日東宝公楽で2度目の

鑑賞をなした。

 2015年8月3日TOHOシネマズ二条で3度目

の出会いが成り立った。この日は吉田健一没

後38年の日であった。

 ジュディ・デンチ88歳誕生日当日に4度目の

鑑賞を為した。

 

 今ジュディ・デンチは目が不自由になり耳で

他者が読む台本を聞いて台詞を覚えて演技活動

を為しているそうである。

 

 

 

 

 

 

 グウィネス・パルトロウのヴァイオラは銀幕に

現れた女神である。

 

 ジョゼフとグウィネスが『十二夜』について

語り合いキスする場面に全身が熱くなった。

 

 現代日本の暗澹たる劇場状況を聞き、気持

ち悪い感触を覚えている時に甘美なフィルムに

改めて出会い、気持ちの良さは格別だ。

 

 幸福感で胸がいっぱいだ。

 

 気持ち良かった。

 

 単に「好き」を喚くだけでは面白くない。

 

 醜悪な出来事のニュースを知った後に味わう

フィルムの甘き香り。

 

 これこそ命の糧だ。

 

 劇中劇『ロミオとジュリエット』においてロミオ

(ジョゼフ・ファインズ)とジュリエット(グウィ

ネス・パルトロウ)の純愛を見て、ウィリアム・シ

ェイクスピア戯曲の現代上演は、グローブ座の舞台

形式で上演するのが理想と感じた。

 

 浜辺を歩むヴァイオラは美の女神である。

 

 

 

                  合掌