Arⅼetty  アルレッティ 126歳誕生日 | 俺の命はウルトラ・アイ

Arⅼetty  アルレッティ 126歳誕生日

Arletty

アルレッテイ

 

(画像上段の女性)

 

 

 

 本名 Leonie Marie Julie Bathiat

        レオニ・マリー・ジュリー・バティア

 女優

 1898年5月15日生まれ。

 

 1945年3月9日フランス封切『天井棧敷の

人々』においてギャランスことクレール役で

主演した。日本では1952年2月20日に公開

された。


 

 『天井桟敷の人々』

 (てんじょうさじきのひとびと)

 

 Les enfants du Paradis
 (レザンファン デュ パラディ)
 

 

 Le Boulevard du Crime

 (ル ブルヴァール デュ クリム)

 「第一部   犯罪大通り」

 

 L'Homme Blanc

 

 (ロンム ブラン)

 「第二部   白い男」

 

 映画 195分 トーキー 白黒

 

 

 

 

 製作国       フランス

 製作言語       フランス語

 製作         フレッド・ブラン

 脚本         ジャック・プレヴェール

 音楽         モーリス・ティリエ

             ジョゼフ・コズマ

 撮影         ロジェ・ユペール

 美術         アレクサンドル・トローネル

 

 出演  

 

       

 アルレッティ(ギャランスことクレール 無言劇の女神)

 

 

 ジャン=ルイ・バロー(バチスト・ドゥビュロー

              無言劇のピエロ)
 

  ピエール・ブラッスールフレデリック・ルメートル

  無言劇のアルルカン 劇中劇『アドレの宿屋』の

  ロベール・マルケール 劇中劇「オセロー』のオセロー)

 

 

 ピエール・ルノワール(古着屋ジェリコ)

 

 

 マリア・カザレス(ナタリー)

 

 

 

 ファビアン・ロリス(アヴリル)

 エチエンヌ・ドゥグルー(アンセルム・ドゥビュロー)

 リヴェール・カデ(ブルジョアの中年男)

 ジャーヌ・マルカン(マダム・エルミーヌ)

 ジャン=ピエール・デルモン(バチスト坊や)

 ジャン・ラニエ(劇中劇『オセロー』のイアーゴー)

 アルベール・レミー(スカルピア・バリニ)

 マルセル・メルロー(巡査)

 ポール・フランクール(警視)

 ガストン・モドー(絹糸)

 
 

 ルイ・サルー(エドゥアルド・ド・モントレー伯爵)

 

 

 マルセル・エラン(ピエール・フランソワ・ラスネール)

 

 監督        マルセル・カルネ

 

 ☆鑑賞日時 場所☆

 昭和五十九年(1984年)四月二十日・二十二日

 祇園会館

 

 平成十三年(2001年)四月二十八日

 シアター1200(後の京都劇場)

 

 平成二十二年(2010年)七月十九日

 TOHOシネマズ二条

 

 令和二年(2020年)十一月八日

 京都シネマ4K修復版2K上映
 

 ☆

 

 第一部 犯罪大通り

 

 19世紀のフランスパリの犯罪大通りでは沢山の人々

が歩みにぎわっている。大道芸人たちは芸を競いあって

客を集める。老いた古着屋ジェリコは「古着屋でござい」

と叫ぶ。

 

 呼び込み男は、「一糸まとわぬ裸の美女。目の保養」

と述べる。小屋では鏡を持った美女ギャランスが入浴

するが、客の視界に入るのは、美女の肩先から顔まで

であった。

 

 芝居小屋に演劇志望の若者フレデリック・ルメート

ルが来た。ウィリアム・シェイクスピアの戯曲を演ず

るという大夢を持っている。ギャランスを見てフレデリッ

クは惹かれて声をかける。

 

    「君は笑った。人生は美しい。君も美しい。」

 

 ギャランスはフレデリックの誘いを断る。フレデリッ

クは名乗り、彼女の名を聞く。「犯罪大通りに置き去

りとは」と嘆くフレデリックに、ギャランスは「恋する

二人にパリは狭しよ」と慰める。

 

 ギャランスは友人の代書人のピエール・フランソワ・

スネールを尋ねる。ラスネールは復縁を求める男性の手紙

を書く。ギャランスは肩を露出する仕事は、お客が集まら

ないことを報告した。

 

 ピエール・フランソワ・スネールはギャランスの裸を

目当てにした男達に敵意を語る。

 ジェリコはラスネールの下にも出入りして小遣いを

貰っていた。

 

 フュナンビル座の前では、四人の踊り子が踊り、口

役の男性が語り、ピエロの扮装の男性が樽に座っ

て澄み切った瞳で一点を見つめていた。

 

 口上役は彼の父親で役者のアンセルム・ドゥビュロ

ーである。アンセルムは息子を「木偶の坊」と呼んで棒

で打擲し、舞台に戻ることを告げ、劇場に来ない見物

人の為に、バチストと名付けた息子を残す。

 

 ブルジョアの中年男が冷やかしの罵声を語り、「間

け面」と侮蔑したが、ギャランスは「綺麗な目をし

てるわ」と語る。その隙にラスネールはブルジョアの

中年男から時計を掏り逃げる。

 

 

 バチストの瞳が大きくなった。

 

 中年男は掏られて、隣にいたギャランスを犯人だと

主張し、彼女の手を掴んで巡査を呼ぶ。巡査の尋問に

ギャランスは無罪を主張する。巡査は目撃者がいるの

かと彼女に問う。

 

   「私だ!」

バチスト

 バチストはパントマイムの無言劇でギャランス・

中年男・口髭の男を示し、口髭の男が中年男の懐

から懐中時計を掏り取って逃げたことを明かした。

 

 野次馬の人々は大笑いしつつ感嘆する。

 

 バチストの芸に、ギャランス・中年男・巡査は

共に瞠目した。

 

 犯人ラスネールが逃走したことを知り、中年男は

ギャランスに謝罪する。無実を明かしてくれたお礼

にギャランスはバチストに一輪の薔薇の花を投げる。

 

 。

 

 フュナンビル座では美しい娘ナタリーが恋煩いで

一途な思いを胸に秘めていた。バチストを慕ってい

た。

 ジェリコは此処へもやってきて、「儂は縁結び屋

じゃ」と自称して、ナタリーの手相を見て、「素晴

らしい運勢。愛しい人と結ばれる」と語る。

 

 フレデリックはナタリーに一座に入りたいという

希望を伝えた。

 

 舞台では、アンセルムが共演者のスカルピア・バ

リニと喧嘩しパニックになる。

 

 バチストとフレデリックが抜擢され、舞台は成功

する。

 

 若き役者二人は、夢を語り合う。

 

 バチストは無言劇、フレデリックはシェイクスピア

劇で、御客を感激させたいというそれぞれの夢を語る。

フレデリックは下宿先が決まっておらず、バチストは

自身の下宿グラン・ルレーを紹介した。

 

 バチストは目が不自由な老人絹糸と知り合う。絹糸

は一杯奢りたいと申し出て、前の主人が咽喉を斬られ

て血を流したということから「赤い咽喉」と名付けら

れた居酒屋に案内した。鑑定を頼みに来た者の依頼を

聞き、絹糸は目を開いて鑑定する。目が不自由なこと

は嘘だった。

 

 ジェリコは此処にも表れる。バチストに対して、

「ナタリーのように無垢な娘はいないぞ」

と語るが、「お前は嫌いだ!」と怒鳴られ

る。

 

 店には、ラスネールがギャランス・子分のアヴリ

ルと飲みに来て、残酷なジョークを語る。

 

 バチストは、ギャランスとの思わぬ再会に感動

する。

 

 

 ギャランスはラスネールと離れて踊りたい気持ち

を語る。


 

 

 

 バチストは熱視線で、じっとギャランスを凝視

する。絹糸は、前の主人の喉笛を斬って殺害したの

は、ラスネール一味だと語り、そのラスネールが誘

っているギャランスに近づくのは危険だから諦める

ようにと忠告した。

 

 

 ジェリコはギャランスの手相を見て、「綺麗な手じ

ゃ」と讃えるが、ラスネールから「蝙蝠」と在り方を

指摘され、「お前はお役人に仲間を売っているんじゃ

ないか?」と指摘され、震えるように去る。

 

 バチストはギャランスに踊って欲しいと頼み

諾して貰う。アヴリルがバチストをギャランスから

引き離し、店の外に叩き出した。ガラスが割れたこ

とを主人が悲しむと、ラスネールは「赤い咽喉でお

楽しみだぞ」と語る。

 

 バチストは店に帰ってきて落ちた薔薇の花を胸

にさした。アヴリルが尚も腕を掴もうとすると、バ

チストは胸倉を蹴り倒し、ギャランスを送ること

宣言し二人はいっしょに店を出る。

 

 

 ラスネールは「女のことで騒ぐな」と部下達に

語り、集金人襲撃の強盗計画について話し合う。

 

 夜の街路でバチストとギャランスは語り合った。

ギャランスの父は母を捨て、母は洗濯女をしていた

が、亡くなり一人になった彼女は十五歳で男達と

出会ったことを語る。

 

  バチストは「私の命はあなただ」と愛を告白し

た。二人はキスをした。ギャランスは「恋なんて簡

単よ」と語る。

 

 二人は下宿屋グラン・ルレーに到着した。バチスト

はギャランスの新しい就職先としてフュナンビル座を

紹介する。

 

 妖艶なギャランスは「私はあなたの夢見るような

女じゃない。単純なの。単純な女よ。愛してくれれ

ば、私も。好きなら好き。それだけなの。」と語る。

 

 純情なバチストは「あなたも同じ愛し方で私を愛し

て欲しい」と宣言して部屋から出て行く。

 

 隣室では、フレデリックが『オセロー』を読んで

いた。オセローが愛する妻デズデモーナが不貞を働

いたと思い込んで絞殺する意志を確かめるが、フレ

デリックはオセローの言葉を噛みしめるように読む。

 

 ギャランスの歌声が響いた。

 

 窓際からフレデリックは再会を喜び、「恋する二人

にパリは狭しさ」と語り、彼女を誘い快諾してもらう。

 

 

 物語はここから、ギャランス・バチスト・フレデリック

・ナタリーの男女四人の愛の物語を壮麗に語る。

 

 無言劇では、バチストの道化がギャランスの女神

に愛を告白し、フレデリックの道化に奪われる物語

が上演される。しかし、フレデリックはベッドでギャ

ランスがバチストの名を呼んでいる言葉を聞き、彼女

が一番恋している人が誰であるかを知る。

 

 実力者のモントレー伯爵はギャランスに一目惚れ

して、楽屋に花束を届け、宝石と馬車のゴージャス

な生活を届けると言って、金の力で口説く。

 

 ギャランスは救出者・保護者気取りで驕るモントレー

の求愛を拒絶する。モントレーは一目惚れで取り乱し

てしまったと述べ、希望を持たせて欲しいという

意志から、「災難の時は身命を擲ってお力になり

す」と言って名刺を渡す。

 

 バチストが現れ、モントレーが贈った花束に、嫉妬か

怒りを露にした。

 

 ギャランスは、モントレーの花は「お葬式みたい」と

言ったことを語り、「誰が愛していないと言ったの?」

と問う。

 

  「私よ」

 

 ナタリーが現れた。ギャランスに恋の宣戦布告を宣言

した。

 

  「よせ、ナタリー」

 

  バチストは冷静さを取り戻して、今度はナタリーを

諌める。

 

 

 ラスネールはフォレスチエという変名で下宿グラン・

ルレーに入居するふりをして、集金人が来た時に襲

撃しようという計画を立てる。

 

 計画の当日、ラスネールとアヴリルは、集金人に

殴りかかりますが、叫ばれて逃げる。

 

 

 グラン・ルレーにギャランスが帰室すると、警視・

巡査たちが捜査・尋問していた。

 

 グラン・ルレーの主人マダム・エルミーヌは警視に

「あの女です」と語り、フォレスチエ(実はラスネール)

とギャランスが親しかったことを告げる。フレデリック

と恋仲になったことから、女主人はギャランスに対して

否定的な見方をしていた。

 

 ギャランスは、警視の尋問を聞き、ギャランスとは

渾名で、本名はクレールであることを語り、洗濯女

として働いた過去を語り、フォレスチエは知らないと

告げ、集金人襲撃事件とは一切関わりないと無実を

宣言する。

 

 時計掏摸事件の巡査が、偶然にも、警官の部下と

して共に捜査をしており、フォレスチエの人相の聞き

書きから、時計掏摸事件の犯人であり、「この女も

側にいました。グルだったんだ」と言い出した。

 

 巡査が態度を豹変したことにギャランスは落胆し

ますが、警視が顎に触れてくるので、「触らないで」

と気丈に言い放つ。

 

 無実を主張するギャランスに、警視は「荷造りしろ」

と命令し、逮捕・連行しようする。

 

  「取扱いご注意よ」

 

 ギャランスは、一枚の名刺を取り出して、警視に渡す

した。

 

 第二部 白い男

 

 フレデリック・ルメートルはガールフレンドの女性

二人と戯れていた。一人にセクハラして去られ、もう

一人と抱擁を交わした。

 

 主演作品『アドレの宿屋』の稽古で眼帯をして、三

人の作者と対立した。

 

 芝居の幕が開き、ロベール役のフレデリックは名を

問われる場面で「フレデリック・ルメートル」と答え、

ロベールが射殺される設定を変えた。客席からは大受

した。作者三人は激怒しフレデリックに決闘を申し込

む。

 

 フレデリックが楽屋に戻るとラスネールが簪を手に

していた。ギャランスの髪からそっと抜き取った簪

だった。

 

   「触るな。私にとって思い出の品なんだ」

 

 ラスネールは「俺にとっても思い出の品ならどう

なる?」と問いす。

  二人は意気投合する。

 

 強かによって千鳥足で決闘場に来たフレデリッ

クは、相手の作者達の銃弾を受けて右腕を負傷し

たが、放った弾丸が作者を射殺した。

 一命を取り留めた彼は『古着屋』を見に行く。

完売でチケットは買えない。切符係が機転を利

かせる。お忍で見に来る貴婦人のお客様に頼ん

でお座りになっているボックス席の隅をお借り

しましょうと申し出る。

 ベールを付けた伯爵夫人は、負傷者を休ませ

て頂きたいという切符係の頼みを快諾してくれ

た。

 

    「ギャランス」

 

 フレデリックは貴婦人を見てその名を呼ぶ。

 

   「フレデリック様!」

 

   「恋する二人にパリは狭しさ。デズデモー

    ナよ。不実な女よ。ある日突然姿を消し

   て再会したら、『フレデリック様』か!」

 

   「変わってないわね」

 

 舞台ではバチストのピエロが舞踏会会場に行き、

恋する伯爵夫人を探すが警官に捕まれ放り出され

る。父アンセルムが演じる古着屋から礼服を買お

うとしするがピエロは金がない。古着屋に服を取

られる。怒ったピエロは古着屋を刺殺した。

 

 ギャランスはバチストが殺人の芝居で見せる凄み

に悲しみを覚える。フレデリックはバチストの入魂

の芸に感嘆する。

 

   「まだ彼の事を?」

 

   「旅立ってからあの人のことを思わない日は

    一日も無かったわ」

 

 フレデリックの胸に燃える炎があった。

 

   「嫉妬だろうか?不愉快だ」

 

 ギャランスはすぐに治まるでしょうと見る。

 

   「そう簡単に治まるか。これぞ天の助けだ。この

    嫉妬こそ役に立つ。君らのおかげで遂にオセロ

    を演じることが出来る!」

 

 今も愛している昔の恋人ギャランスはずっとバチスト

を恋している。

 バチストの鬼気迫る無言劇演技に圧倒された。フレ

デリックは胸の中に沸々と起こり燃え上がった感情が

オセロ役を演じる根拠になると確信した。

 

 

 フレデリックはオセロが最愛の妻を取られたと嫉妬し

てその妻を殺してしまう感情を、遂に確かめた。

 バチストにも礼を言いたいと考え、ギャランスに伝言

を聞き、「すぐに発ちますが挨拶に来てくれたら嬉しい」

というメッセージを確認する。

 

 

 バチストとフレデリックは再会を喜ぶ。

 

 ナタリーは今バチストの妻になり、二人には坊やバチス

トがいた。

 ジェリコはナタリーにギャランスが来ていることを報

告する。

 

 

 

 ボックス席に息子バチスト少年が来て、ギャランスに

「ぼくたちは幸せにくらしているよ」というメッセージ

をママの伝言を語った。ギャランスは「いい子ね、坊や」

と述べる。

 

 フレデリックは今ギャランスは来ていて「挨拶に来てく

れたら嬉しい」と望んでいるとバチストに伝えた。

 

 『古着屋』の芝居中にバチストは演技が出来なくなり、

楽屋に帰る。

 

  伯爵夫人役のナタリーの胸に切なさがわく。

 

 ギャランスが伯爵邸に戻るとピエール・フランソワ・

ラスネールが来ていた。ラスネールはギャランスに「君

が誰と暮らしているかは知っている」と述べ、「俺の天

使は豪華な檻に飼われている」と見る。

 

   「昔は良かったわ。幸福な日々。甘い生活。」

 

   「気をつけろよ。振り返ると過去は狂犬のように噛み

    つくぞ」

 

 ギャランスの昔と変わらぬ優美さにラスネールの心は乱れ

る。

 

   「せめて君が金に汚され身も心も腐り果て堕落してい

    てくれたならば、俺は心乱さず社交界を憎むことも

    なかっただろう!」

 

 帰り際の階段でラスネールは帰宅したモントレー伯爵とすれ

違う。二人は対立する

 妻ギャランスを愛し独占したい思いから、少しでも親しく

する男性は決闘で殺害するという方針を伯爵は決めている。

 バチストは相談相手の中年女性マダム・エルミーヌの下宿

で彼女に悩みを打ち明ける。「恋なんて簡単よ」と語ったギ

ャランスに抱くこともなく部屋から去った自分の決断が幼い

ものだったと恥じ入る。

 エルミーヌは食事をとるようにと語り宥めて部屋から出る。

ナタリーが一階に来ていました。

 

 

 

 『オセロ』の舞台が開幕する。

 

 オセロ役のフレデリックは全身を黒く塗ってムーア人の肌を

見せる。妻を愛するあまり不貞の疑惑を真に受けてしまい、旗

手イアーゴーの役者に気持ちを語る。

 

  「俺は悔しいのだ」

 

 オセロの台詞を、ボックス席の伯爵夫妻の妻ギャランスを

見つめながら熱く語る。

 伯爵は「シェイクスピア等くだらん」と冷笑する。ボック

ス席に花束が届けられた。「デズデモーナよ、ありがとう。

オセロより」のメッセージを読み、伯爵はオセロ役者の妻

への想いを察して覚悟を決める。

 

 舞台ではフレデリックのオセローがデズデモーナ役者の

女優に「死の床だ」と絞殺を宣言する。

 デズデモーナ役者がせめて半時間待っての台詞を語り、

フレデリックのオセロが「もう遅い」と叫ぶ。

 

 

 劇場に来ていたバチストはモントレー・ギャランス夫妻

の姿を見つめる。

 

 伯爵は「名優に挨拶したいのです」と楽屋に向かい、

ギャランスは「それなら貴方とお別れします」と告げる

が、伯爵は「あの男ともな」と冷厳に述べた。

 

 ギャランスは沢山の観客の中にバチストの姿を発見

した。

 バチストも彼女と目を合わせた。

 

  伯爵とフレデリックは対面した。フレデリックの

前で伯爵はシェイクスピアを侮辱する。

 

 

  

 ベランダではギャランスとバチストが抱きしめあっ

てた。

 

   ギャランス「もう会えないかと」

 

   バチスト「私こそもう永久に」

 

 

 劇場ロビーで伯爵は仲間達とフレデリックを囲み挑発を

続けるが、そこへラスネールがやってきてフレデリック

のオセロ演技を讃える。伯爵はどんなことに才能を御使

いかなと問う。

 

 ラスネールは「芝居を書いております」と述べる。

 

 

 「寝取られ男の滑稽譚だ」

 

 伯爵の顔は青ざめる。伯爵の友人貴族は「上演されま

い」と冷笑した。

 

 ラスネールは「上演されます。いや、上演中だ」と

述べ、自身が書いている芝居は「殺人がありますぞ。幕

が降りても死者は立ち上がらない」と宣言した。

 

 

   伯爵「うるさい男だ。叩き出しましょう!」

 

  二人の貴族がラスネールの腕を掴む。

 

 

  ラスネール「俺は屈辱に甘んじる男ではないぞ!

        通俗喜劇の道化役者は俺ではない!

        貴様だ!見せてやる!」

 

 ラスネールはカーテンを引く。ベランダで熱く深い

キスを交わしているギャランとバチストの姿があった。

 

 伯爵は溺愛している妻が昔の恋人バチストとキスして

いる光景を見てショックを受ける。

 

 フレデリックと伯爵は決闘を確約し去って行く。

 

 ギャランスとバチストは思い出の部屋に行く。

  

 

 「恋なんて簡単よ」とギャランスはバチストに

伝えた。二人は結ばれる。

 

 ☆絶対の美☆

 

 

 

 アルレッティは47歳であった。美しさは

輝いている。

 

 

  昭和五十九年(1984年)四月二十日、こ

の映画を鑑賞して映画の生命が生きていること

を実感した。

 

 二日後の四月二十二日にもう一度見て改め

て感激した。

 

 

 

 平成十三年(2001年)四月二十八日シアター

1200(現・京都劇場)における三度目の鑑賞

では感涙の涙を流してしまった。男が泣く時

はある。泣いたのは永遠の美を明かすフィルム

に出会い、自己の汚さを恥じたからだったの

か?三十三歳になっても永遠美を示す師映画

への言葉や文字が探せない自己への悔しさだ

ったのか?

 

 平成二十二年(2010年)七月十九日TOHO

シネマズ二条では午前十時の映画祭で上映さ

れた。この日は暑かった。TOHOシネマズ二

条における195分一挙上映においても大感激

を覚えた。

 

 

 

 La vie belle.

 

 2020年11月8日京都シネマにおいて、4K修復版の

2K上映を鑑賞した。鮮明な映像で映像芸術美に息を

呑んだ。

 

 しかし、お客さんが少なかったことは残念だった。

 

 1984年4月20・22日祗園会館上映はほぼ満員で

あった。

 

 

 

 

 

 アルレッティは1992年7月24日に94歳で死去した。

 

 ジャン=ルイ・バローは1910年9月8日に誕生した。

1994年1月22日に83歳で死去した。

 

 ピエール・ブラッスールは1905年12月22日誕生し

た。1972年8月14日66歳で死去した。

 

 ピエール・ルノワールは1885年3月21日に誕生し

た。1952年3月11日に66歳で死去した。

 

 

 マリア・カザレスは1922年11月21日に誕生した。

74歳誕生日翌日の1996年11月22日に死去した。

 

 ルイ・サルーは1902年4月23日に誕生した。194

8年10月12日に46歳で死去した。

 

 マルセル・エランは1897年10月8日に誕生した。

1953年6月11日に55歳で死去した。

 

 マルセル・カルネ監督は1906年8月18日に誕生し

た。1996年10月31日90歳で死去した。

 

 わたくしが『天井棧敷の人々』を祇園会館において

鑑賞した1984年4月20・22日は、アルレッティ、ジャ

ン=ルイ・バロー、マリア・カザレス、マルセル・カ

ルネは健在だった。

 

 ヴィシー政権のフランスにおいて製作された作品

である。ナチスドイツに占領されている時代に、フ

ランス映画芸術の底力を見せようというスタッフの

精神を感じる。

 

 ジャック・プレヴェールの脚本は精緻・精密であ

る。

 

 物語の美しさは言葉・文字を超えて完璧である。

 

 マルセル・カルネの演出は映画芸術の絶対的な美を

明かした。

 

 初鑑賞昭和五二十日から二十日から四十年二十五

日間、永遠不滅の美を示す本作に心を奪われている。

感想をどのように述べ、どのように書いたらよいか?

焦り迷い悩んでいる。

 皆様のお時間を頂戴して読んで頂いてる当ブログは

『天井棧敷の人々』の絶対美を明かしたいという大夢

を四十年間追いかけている男の模索記録である。

 

 

 

 犯罪大通りで「一糸まとわぬ全裸の美女」の惹句

に踊った男性客達は風呂に入るギャランスの肩のみ

見れた。絶世の美女をヌードを追って見れぬ男達の

無念は大きい。

 

 だが、ギャランスに出会って恋に命を燃やす男

達は一点の悔いもない。

 

 決闘に燃えるモントレーや刃物を使うラスネール

は、ギャランスへの愛に生きる道と死に場所を確か

めている。

 

 フレデリックは恋と共にオセロの心を教えてくれ

たデズデモーナ現代版の人と崇拝している。

 

 そして、バチストにとっては生き甲斐の人だ。

 

 絶世の美女ギャランスに命を吹き込んだひと。

 

 主演女優アルレッティの美しさは銀幕に輝いて

いる。

 

 126歳御誕生日

 

 おめでとうございます。

 

 

 

 

 

  

 

                            合掌