マルメロの陽光 | 俺の命はウルトラ・アイ

マルメロの陽光

『マルメロの陽光』

El sol del membrillo

映画 トーキー 139分 カラー

 

1992年10月1日 アメリカ合衆国

        ニューヨーク映画祭上映

 

平成五年(1993年)四月十日 日本封切

 

製作国 スペイン

製作言語 スペイン語

 

製作会社 マリア・モレノ・P・C

 

原作 ヴィクトル・エリセ

脚本 ヴィクトル・エリセ

原案 アントニオ・ロペス

 

製作 マリア・モレノ

撮影 ハヴィエル・アギレサロベ

   アンヘル・ルイス・フェルナンデス

   ホアン・イグナシオ・サン・マテオ

音楽 パスカル・ゲーニュ

 

出演

 

アントニオ・ロペス・ガルシア

 

マリア・モレノ

 

エンリケ・グラン

 

監督 ヴィクトル・エリセ

 

鑑賞日時場所

平成十六年(2004年)八月二十六日

日本イタリア会館京都校

 

平成二十五年(2013年)十月十九日

京都シネマ

 アントニオ・ロペス・ガルシアは一

九九〇年マドリッドのアトリエに現れ

た。

 

 九月二十八日は「マルメロの陽光」

と言われている夏の太陽が秋に再び

来る日とされている。

 

 この時を大事にしてアントニオは新

しき画材を持ってアトリエに来て掃除

を為し準備をする。

 

 長く希望していた太陽の光がマルメロ

の身を金色に染める光景を描くという課題

にアントニオは情熱を燃やす。

 

 セッティングをして油絵を描く。

 

 雨が数日間降る。ビニール・テントでカ

ンバスとマルメロの木を雨から守る。

 

 エンリケ・グランが友アントニオを尋ねて

きた。二人は語り合う。

 天候が厳しくなり、マルメロは成熟を続行

し、実と枝にも変化が起こった。

 

 アントニオはその変化に応じて絵を描く。

雨は激化しアントニオは油絵を地下室にしま

った。

 

 十月二十六日、アントニオはデッサンに着手

した。

 

 十一月下旬、マルメロには葉が茂り実は隠さ

れているようにさえ感じられた。

 

 十二月十日、アントニオはマルメロの実を一

つ取った。

 

 アントニオは夢を見て、トメリョソの生家の

前に居る自身を見た。

 

 マルメロの実が視界に現れた。

 

 春を迎えた。

 

 マルメロの木には葉が繁り新しい実が成って

いた。

 

 

 ◎芸術家の情熱◎

 

 アントニオ・ロペス・ガルシア

 Antonio López García

  1936年1月6日、スペイントメジョーソに

生まれた。

 画家として活躍している。

 

 夫人のマリア・モレノも画家で本作のプロ

デュ―サーを勤めている。

 

 

 ヴィクトル・エリセ

  Víctor Erice Aras

 ヴィクトル・エリセ・アラス。

 

 映画監督・脚本家。

 

 1940年6月30日スペインバスク地方カラン

サに生まれた。本日2023年6月30日は83歳誕

生日である。

 

 

 1973年9月18日、スペイン・サン・セバス

チャン映画祭において第一回監督作品『ミツバ

チのささやき』が上映された。

 

 1983年5月19日第二回長篇監督作品『エル・

スール』がスペインで公開された。

 

 エリセはアントニオ・ルイス・ガルシアの絵画

創作の道を映像化する。それが『マルメロの陽光』

である。

 

 1992年10月1日、『マルメロの陽光』はアメリ

カ合衆国のニューヨーク映画祭で封切られた。

 

 ヴィクトル・エリセは、アントニオ・ロペス・

ガルシアのマルメロの実が陽光を浴び受けている

姿を描こうとする道を尋ねる。

 

 

 アントニオが丹念に実を負うが実は天候によ

って変化していく。この変化の事態を受けてア

ントニオは変化する実を描く。

 

 厳しい苦闘を引き受けアントニオは九月から

十二月のマルメロの実を絵として描こうと努力

し奮闘する。家族や友人は懸命に彼を支える。

 

 マルメロの陽光を受ける植物をエリセ監督

は撮る。

 

 主人公は勿論アントニオだが、相手役は植物

である「実」なのかもしれない。

 

 一枚の絵が描かれるまでの道の厳しさと険しさ

に圧倒された。

 

 絵画にも命があることを実感した。

 

 ヴィクトル・エリセは、画家アントニオ・ロ

ペス・ガルシアの絵の道を尋ねる本作において

命を静かに見つめている。

 

 陽光に実に絵に、それぞれの生命がある。

 

 静かで穏やかな視線なので観客の心には強く

響いてくるのだ。

 

 平成二十五年(2013年)十月十九日京都シ

ネマの上映は満席を越え、床に紙を敷き鑑賞

する人もいた。

 

 ヴィクトル・エリセ作品京都上映で満席を

越えた事は一ファンとしても嬉しい事柄であ

った。

 

 『瞳をとじて』に沢山のお客さんが来てく

れることを希望している。

 

 私自身が映画館で鑑賞する日を熱い心で待

っていることは言うまでもない。

 

 『瞳をとじて』公開前ということもあって、

自分の心中のヴィクトル・エリセ映画への緊張

が胸に再燃している。

 

 

 

 

 

 

                  合掌