新必殺仕置人 生命無用 | 俺の命はウルトラ・アイ

新必殺仕置人 生命無用

『新必殺仕置人』「生命無用」

(『新・必殺仕置人』「生命無用」)

テレビ映画 トーキー 54分

カラー(一部白黒)

昭和五十二年(1977年)十月七日放送

 

製作国 日本

製作言語 日本語

    ◎

 

 オープニングナレーション

 

 のさばる悪を なんとする

 天の裁きは 待ってはおれぬ

 この世の正義も あてにはならぬ

 闇に裁いて 仕置する

 南無阿弥陀仏

 

 吉野家は材木問屋の大店である。主人喜

左エ門は愛息双六の放蕩三昧に悩んでいる。

 双六はやくざ者の青年銀平らを引き連れ

遊んでいる。

 島帰りの初老の男銀造は双六の遊興を親

不孝と注意する。銀平は銀造に対して怒る。

 銀造は銀平の実父であった。質屋大黒屋

七兵衛のもとで銀平が働いていることを銀造

は心配している。

 

 吉野家の人足時代に事故の責任を負って銀

平は流刑に遭った。人殺しの息子と呼ばれ銀

平は苦労し心が荒んだ。銀造は父と名乗るこ

とが出来ず焦る。

  

 七兵衛や彼の番頭九助の狡猾な商法で沢山

の人々が苦しむ。

 

 岡っ引きの熊吉と七兵衛の毒牙は双六に向け

られる。

 

 己代松は銀造・銀平の二人と出会い、親子で

あることを確かめ合うべきだと語る。

 銀平は銀造から父だと告げられても過去の傷

を思い心を開かない。銀造は自身の島帰りの経

歴が銀平を苦しめていることを感じ右腕を斬り

落とす。

 

 父の心に銀平は強く打たれ、親子は語り合い、

心と心で交流を交わす。

 

 七兵衛の企みで双六は無残に殺害される。

 

 熊吉の奸計で銀平は殺されて、双六殺しの罪

を着せられた。

 

 銀造は命を売る事を紙に大書し自身の着物に

かざした。

 

 命を売ると言う銀造の紙を死神が取った。

 

 鉄は仕置きを競り落とし九助を骨外しで仕置

する。

 

 主水は鎧を着た七兵エと戦う。

 

 

 キャスト

 

 

 藤田まこと(中村主水)

 

 

 中村嘉葎雄(巳代松)


 

 

 火野正平(正八)

 

 

 河原崎建三(死神)

 

 

 天津敏(大黒屋七兵エ)

 

 

 垂水悟郎(銀造)

 

 

 高峰圭二(銀平)

 平野康(双六)

 

 鶴田忍(九助)

 五味龍太郎(熊吉)

 

 藤尾純(吉野屋喜左エ門)

 マキ(屋根の男)

 

 藤村富美男(元阪神タイガース)(元締虎)

 

 

 新郷隆(勘太)

 柳川昌和(石松)

 

 島米八(勝次)

 上田ひとみ(八重)

 日高久(番頭)

 表淳夫(職人)

 

 

 広田和彦(大工)

 小西由貴(質草の女)

 小林加奈枝(老婆)

 黛康太郎(同心)

 北村光生(吉蔵)

 

 

 藤沢薫(闇の俳諧師)

 原聖四郎(闇の俳諧師)

 沖時男(闇の俳諧師)

 秋山勝俊(闇の俳諧師)

 堀北幸夫(闇の俳諧師)

 

 

 菅井きん(中村せん)

 

 

 白木万理(中村りつ)

 

 

 山崎努(念仏の鉄)

 

 

 スタッフ

 

 制作    山内久司(朝日放送)

       仲川利久(朝日放送)

       桜井洋三(松竹)

 

 

 脚本    松原佳成

 

 

 音楽      平尾昌晃

 編曲      竜崎孝路

 

 

 撮影      藤原三郎

 製作主任    渡辺寿男

 

 

 

 

 美術      川村鬼世志

 照明      中島利男

 録音      木村清治郎

 調音      本田文人 

 編集      園井弘一

 

 

 助監督     服部公男

 装飾      玉井憲一

 記録      野口多喜子

 進行      佐々木一彦

 特技      宍戸大全

 

 

 装置      新映美術工芸

 床山結髪    八木かつら

 衣装      松竹衣裳

 小道具     高津商会

 現像      東洋現像所

 

 殺陣      美山晋八

         布目眞爾

 題字      糸見渓南

 

 ナレーター   芥川隆行

 

 

 

 オープニング 

 ナレーション作     早坂暁

 

 

 主題歌     あかね雲

 作詞      片桐和子

 作曲      平尾昌晃

 編曲      竜崎孝路

 唄        川田ともこ

 東芝レコード

 

 

 制作協力     京都映画株式会社

 

 監督      高坂光幸

  

 制作      朝日放送 

         松竹株式会社

 

 ◎

 藤田まこと=はぐれ亭馬之助

 

 中村賀津雄→中村嘉葎雄

 

 二瓶康一→火野正平

 

 河原崎建三=河原崎健三

 

 

 白木万理=松島恭子=白木マリ

 

 山崎努=山﨑努 

 

 

 山内久司=松田司

 

 野口多喜子=嵯峨忍

 

 平尾昌晃=平尾昌章

 

 ◎

 早坂暁はノークレジット

 ◎

 念仏の鉄 山崎努

 

 この字幕は起こしで表示される。

そのムードを想い、大きな活字で

表記してみた。

 ◎ 

 相互理解と別れ

 ◎

 第三十七話「生命無用」は父と子の情の

物語を松原佳成脚本と高坂光幸演出がじっく

りと描いた。

 

 銀造・銀平父子と喜左エ門・双六父子と

いう二組の親子で息子達が殺され父親達は

悲しむ。

 

 

 高峰圭二は昭和二十一年(1946年)七月六日

大阪府に誕生した。本名は高橋政彦である。

 昭和四十七年(1972年)四月三日から四十八

年(1973年)三月三十日まで放送されたTBSの

テレビドラマ『ウルトラマンA』で主人公北斗星

司を繊細に演じ当たり役とした。

 「善意無用」では冷酷非情な徳之助を粘り強く

演じた。一転して短気だが情が豊かな銀平を熱く演

じた。

 

 垂水悟郎は昭和二年(1927年)五月二十九日

岡山県に誕生した。

 平成十一年(1999年)一月二十一日、七十一

歳で死去した。

 愛する息子銀平の覚醒を呼ぶために苦闘する父

銀造を渋い芸で見せた。

 

 銀平と銀造が対立を通して相互理解を親子で成

り立たせる。その直後に熊吉の刃で銀平が殺され

る。和解成立から悲劇への道のドラマは強烈であ

った。

 

 平野康は「貸借無用」では猟奇的殺人鬼の若旦

那重吉を演じた。放蕩息子という点では似ている

が重吉のような殺人鬼ではなくて遊び人で人の良さ

を利用されて犠牲になる。双六の坊ちゃんの性格を

繊細に見せた。

 

 『必殺仕業人』で出戻り銀次を爽やかに演じた

鶴田忍は本作では冷酷非情な九助を粘り強く演じ

る。

 

 鉄に仕置されるクライマックスのやれっぷりも

光っていた。

 

 悪役名優天津敏は鎧甲冑姿を大詰で見せる。

 

 中村主水相手に鎧を着て奮戦して斬られる七

兵エは、凄みがあり悪の存在感があった。

 

 

              南無阿弥陀仏