ウルトラセブン 恐怖の超猿人
テレビドラマ 30分 トーキー カラー
昭和四十三年（1968年）八月四日放送
製作国 日本
製作言語 日本語
放送局 TBS系
監修 円谷英二
プロデューサー 末安昌三
三輪俊道
橋本洋二
脚本 上原正三
市川森一
撮影 永井仙吉
美術 岩崎致躬
照明 新井盛
音楽 冬木透
録音 松本好正
効果 西本定正
編集 柳川義博
助監督 山本正孝
制作主任 高山篤
特殊技術
撮影 鈴木清
美術 池谷仙克
操演 平鍋功
照明 小林哲也
光学撮影 中野稔
助監督 円谷粲
製作主任 熊谷健
東京現像所
キヌタ・ラボラトリー
TBS映画社
出演者
中山昭二（キリヤマ隊長）
森次浩司（モロボシ・ダン）
菱見百合子（友里アンヌ）
石井伊吉（フルハシ・シゲル）
阿知波信介（ソガ）
古谷敏（アマギ）
増田順司（真山博士）
西朱実（助手）
滝恵一（ゴリー）
矢田耕司（ゴーロン星人の声）
西京利彦（ゴーロン星人 スーツアクター）
上西弘次（ウルトラセブン スーツアクター）
浦野光（ナレーター）
特殊技術 大木淳
監督 鈴木俊継
制作 円谷プロダクション
ＴＢＳ
☆
上原正三＝泉崎敬太＝木原光
冬木透＝蒔田尚昊
森次浩司→森次晃嗣
菱見地谷子→菱見百合子→ひし美ゆり子
石井伊吉→毒蝮三太夫
増田順司＝増田順二
☆
台詞の引用・ストーリーの要約・
シーンの考察は、研究・学習の為
です。
円谷プロ様・TBS様におかれまし
ては、何卒ご寛恕・ご理解を賜り
ますようお願い申し上げます。
☆
深夜巡回中の警察官二人はモンキーセン
ター飼育係ゴリーの挙動に不審を感じ争う。
ゴリーは二人の厳しい尋問に怒り、身体が
猿人に変わり警棒を破壊し出血するが、二人
を殺害する。
キリヤマ隊長は犯人の怪力と血液に注目
する。
ダンとアンヌがモンキーセンターを調査
する。ゴリーは二人の来訪に危機を感じる。
センターの真山博士はアンヌにとって信頼
できる学者であった。
猿たちを叱るゴリーは手に傷を負う。ア
ンヌはハンカチを包帯代わりにしてゴリーの
傷口を縛り手当てをする。美しいアンヌの
優しさにゴリーは一目惚れする。
ゴリーによってポインターのボンネットが
開けられ、電線が切られた。真山博士はダン・
アンヌに帰還は難しいから泊って行きなさい
と勧めた。ダン・アンヌは承諾しキリヤマに
報告する。
夜にダンはゴリーに襲われ気を失う。
博士の女性助手はゴリーを叱責する。アン
ヌは不審を感じ、女性助手に捕らえられ鞭で
脅かされる。真山博士と助手はゴーロン星人
に洗脳され、地球制服計画を手伝っていた。
二人は脳波を人から猿に交換した猿人間
にされていたのだ。二人はアンヌにも手術を
しようとする。ゴリーが現れ二人からアンヌ
を奪う。意識を取り戻したダンがアンヌを
奪還する。
アンヌは日本ラインの川下りの舟で逃げる。
ゴリーは船頭に扮してアンヌを追う。
かけつけたフルハシがウルトラ・ガンで
ゴリーを射殺する。
ゴーロン星人が姿を現した。
ダンはウルトラ・アイでウルトラセブンに
変身する。
セブンとゴーロンは激しく戦う。
セブンはゴーロンに引きずられる。
だが、セブンの逆襲が始まった。
ゴーロン星人は翻弄される。
ウルトラセブンはゴーロン星人をエメリ
ウム光線で倒した。
ゴーロン星人の遺体はバラバラになり、
首が地に乗った。
真山博士と女性助手はキリヤマ隊長・
ソガ・アマギ・フルハシ・アンヌ・ダンに
助けられ、意識を取り戻した。
猿たちの瞳は円らで光っていた。
◎ゴリーの片想い◎
第44話は何と言っても猿人大男ゴリー
が美しいアンヌに恋して振られる片想い
が特徴と見るべきだろう。
菱見百合子の可憐な美しさは輝いている。
ゴーロン星人に洗脳されたとはいえ、無残に
警官達を殺したゴリーは殺人犯である。
そのゴリーの心に怪我を手当てしてくれ
た優しい美女アンヌへの恋が生まれる。
滝恵一は昭和五年（1930年）一月二十四
日に誕生した。本名は成川正樹である。純粋
な恋を抱きつつストーカー・殺人鬼でもある
ゴリーを凄み豊かに探求した。
殺人鬼大男が美女に惚れて追い回す。野獣が
美女に惚れる。上司の博士や助手に逆らっても、
親分のゴーロン星人に背いても、アンヌへの想い
に全てを賭ける。
ゴリーに切なさと浪漫を感じる。
上原正三・市川森一の親友どうしの緻密なシナ
リオはサスペンスと片想いのドラマを鮮やかに書
いた。
鈴木俊継監督の演出も重厚である。
西朱実の美人助手が鞭でアンヌを脅かすシーン
は怖い。
第7話『宇宙囚人303』でキュラソ星人に怯え
る水島夫人を演じたひとである。
昭和五年（1930年）六月十三日生まれの西朱
実の本名は西野潤子である。鞭打ちの助手は怖か
った。
ウルトラシリーズを児童向け特撮番組と見做す
方が多い。
1970年再放送に衝撃を受けたわたくしめは事実
児童だった訳だが、子供のみならず大人も衝撃を
受けるような描写が、『ウルトラセブン』には映
っていたのだ。
増田順司は大正四年（1915年）十月二十五日に
誕生した。
文学座を経て東宝・松竹で活躍した。木下惠介
監督の反戦ドラマの名作『わが恋せし乙女』にお
ける主人公の恋敵になる野田役の知的な魅力が忘
れられない。
平成元年（1989年）五月二十五日、七十二歳で
死去した。
ゴーロン星人に洗脳され操られる時の真山と助
手は冷酷非情さを見せる。西朱実と増田順司がふ
たつの顔を見事に表現する。
真山と助手はウルトラ警備隊に救われるが、ゴ
リーはストーカー猿人としてフルハシに射殺される。
その悲しい最期が一層彼の純真な片想いを感じさせ
る。
上原正三・市川森一・鈴木俊継は殺人鬼ストーカー
に宿った純情を映し出した。
ゴーロン星人は首魁だがコミカルな味を見せる。
セブンとのバトルもおおはしゃぎで奮闘する。
ゴーロンはセブンを引きずるところまで力を見せ
る。
バトルシーンは迫力豊かであった。
セブンのエメリウム光線に倒され首が地につく
ゴーロン星人は強敵の存在感を見せた。
両者のバトル中に猿たちの可愛い顔がインサート
される。
鈴木俊継監督のカット割りは絶妙である。
愛知県犬山市のモンキーパークがロケ地であっ
た。
ひし美 ゴーロン星人はインパクトのある
宇宙人ね。
森次 ああ、ダンはゴーロン星人に相当
苦しめられたな。
（『ダンとアンヌとウルトラセブン
～森次晃嗣＆ひし美ゆり子が語る
見どころガイド～』97頁
2021年2月25日発行 小学館）
ひし美ゆり子と森次晃嗣はウルトラセブンの
強敵であったゴーロン星人の存在感を確かめて
いる。
第44話は恐怖と切なさのドラマとして輝いて
いる。
合掌
南無阿弥陀仏
セブン