ウルトラセブン 水中からの挑戦 | 俺の命はウルトラ・アイ

ウルトラセブン 水中からの挑戦

『ウルトラセブン』「水中からの挑戦」

テレビドラマ 30分 トーキー カラー

昭和四十三年(1968年)七月十四日放送

 

製作国 日本

製作言語 日本語

放送局  TBS系

 

監修 円谷英二

 

プロデューサー 末安昌三

脚本 若槻文三

 

撮影  永井仙吉

美術  岩崎致躬

照明  新井盛

音楽  冬木透

 

録音  松本好正

効果  西本定正

編集  柳川義博

助監督 山本正孝

制作主任 高山篤

 

 

特殊技術

撮影 鈴木清

美術 池谷仙克

操演 平鍋功

照明 小林哲也

光学撮影 中野稔

助監督 円谷粲

製作主任 熊谷健

 

東京現像所 

キヌタ・ラボラトリー

TBS映画社

 

出演者

 

中山昭二(キリヤマ隊長)


森次浩司(モロボシ・ダン)
菱見百合子(友里アンヌ)


石井伊吉(フルハシ・シゲル)
阿知波信介(ソガ)
古谷敏(アマギ)  

 

上田忠好(川中)

梅津栄(竹村)

大村千吉(伊集湖の釣り人)

佐藤正(鶏農家の男)

 

池島美樹(テペト星人)

春原貞雄(テペト星人)

松島映一(テペト)

西京利彦(テペト)

 

田浦正己(角谷)

宮川和子(藤島玲子)

上西弘次(ウルトラセブンスーツアクター)
浦野光(ナレーター)

 

特殊技術 高野宏一

 

監督 満田Kazuho.svg

 

制作 円谷プロダクション

    TBS

 ☆

 森次浩司→森次晃嗣

 

 菱見地谷子→菱見百合子→ひし美ゆり子

 

 石井伊吉→毒蝮三太夫

 

 満田Kazuho.svg→満田かずほ

 ☆

 台詞の引用・ストーリーの要約・

シーンの考察は、研究・学習の為

です。

 円谷プロ様・TBS様におかれまし

ては、何卒ご寛恕・ご理解を賜り

ますようお願い申し上げます。

 ☆

 伊集湖人は釣り人は釣り糸を水面深く

垂らしていた。

 怪しい生物が水面から出てきた。釣り

人は恐怖で逃げる。彼は河童を見たと思

った。

 近くの養鶏所では大量の鶏が何者かに

連れ去られた。主人は河童が鶏を強奪し

て食べたと確信する。

 

 日本河童クラブの漫画家川中・料理屋

「河童」の主人竹中・SF作家角谷・キャ

メラマン藤島玲子は伊集湖に集まった。

 長年関心を抱いている河童を捕獲する

ことが成り立つかもしれない。四人は釣り

人から証言を聞き、河童の存在に熱い好奇

心を抱いた。

 

 四人は夜に伊集湖において河童らしき

生物を見る。

 追いかけて捕獲したら、モロボシ・ダン

とフルハシ・シゲルであった。

 ダンとフルハシは日本河童倶楽部四名に

早く帰ったほうがいいと注意する。

 

 ウルトラ警備隊は伊集湖の異変を調査

していた。

 

 川中はウルトラ警備隊は河童を調査して

いると見る。角谷は河童と思われている存

在は宇宙人だと冷厳に述べる。だが、川中

は河童は存在すると確信している。

 

 河童らしき生物の動きがあった。竹中は

「ご苦労さん」と声をかけた。四人の周囲

に動く影があった。

 

 玲子はカメラで影を撮った。

テぺと

 河童らしき生物が映っていた。

 

 モロボシ・ダン、友里アンヌ、フルハシ・

シゲルは野営していた。

 

 伊集湖周辺に飛び跳ねるような動きを為す

生物が居るとダンは直感した。

 

 竹中が頸動脈を何者かに斬られて殺害され

た。ウルトラ警備隊がかけつけた。

 怪しい影を見る。ウルトラ警備隊は追うが

取り逃がした。

 

 地球防衛軍作戦室でソガ隊員はキリヤマ隊

長に河童倶楽部男性が河童を追って犠牲にな

った事を報告する。

 

 キリヤマは湖に飛び込んだ犯人は河童では

なくて人間の可能性があると指摘する。ソガ

は湖に魚が居なくなったことを報告した。キ

リヤマは部下に湖を調査させることを決める。

 

 ダン・アンヌはボートで湖を調べた。水面

深く潜ろうとしたダンは何者かに足を引っ張

られた。

 湖からは気体が出て来る。アンヌは基地に

危機を知らせる。

 

 ダンを引っ張った存在はテペト星人であっ

た。外見から日本河童倶楽部メンバーは彼ら

を河童と思い込んでいたのだ。

 

 フルハシはキリヤマにダンとアンヌの行方が

分からなくなったことを告げた。キリヤマはす

ぐに向かうことを伝えた。

 

 ホーク3号でキリヤマとソガはかけつけた。

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 湖から巨大な卵型の物体が現れた。ホーク3

号は卵型物体を攻撃する。卵が割れた。

 怪獣テペトが姿を現した。

 水中に拉致されていたダンはウルトラ・アイ

でウルトラセブンに変身した。

 

 ウルトラセブンは湖に現れテペトと戦う。

 

テペトも逆襲しウルトラセブンを苦しめる。

 

 テペトはウルトラセブンの猛攻に怯え合掌し

許しを乞い土下座する。

 テペトはウルトラセブンが気を緩めた

隙に皿からビームを放った。

 

 ウルトラセブンは両手で顔を抑える。

 

 だが、立ち直った。テペトはウルトラセブン

の攻撃に怯え逃げる。

 ウルトラセブンはィアイスラッガーを投げた。

 テペトはアイスラッガーで斬られた。

 

 テペト星人はフルハシとアマギ隊員に倒さ

れた。

 

 ボートにはアンヌが気絶して横たわってい

た。湖の水面から手が伸びた。

 

 ダンとアンヌはボートを操縦し水路を進む。

アンヌは水中から現れたダンに救出されたの

だ。

 

 日本河童俱楽部の三人は車で三井大橋を通

る。

 運転しているのはキャメラマンの玲子であ

る。

 角谷は河童は存在せず、宇宙人が河童の姿を

見せていたのだと持論を主張する。

 

 川中は我々が見たのは宇宙人だったが、河童

は他にいると力説した。

 

 玲子は角谷に対しても、川中に対しても、「そ

うかもしれないわね」と述べた。

 

 ◎水中の激戦◎

  

 

 森次晃嗣(もりつぐ・こうじ)

 本名 森次浩三

 旧芸名 森次浩司

 

 映画俳優・テレビ俳優・舞台俳優・

歌手・声優・ファッションモデル・ナレーター・

レストランオーナー。

  昭和十八年(1943年)三月十五日北海

道滝川市に誕生。

 昭和四十二年(1967年)十月一日から

昭和四十三年(1968年)九月八日に全四

十九回に渡って放送されたテレビドラマ

『ウルトラセブン』において主人公モロボ

シ・ダン・ウルトラセブンの声・薩摩次郎を

勤める。

 第四十一話においてはアンヌの危機に登場

しボートを鮮やかに操縦するダンの活躍が映

される。

 

 

 ひし美ゆり子 

 昭和二十二年(1947年)六月十日東京都

中野区に誕生した。

 出生名は菱見地谷子である。北野中学校・

藤村女子高等学校を経て、ミス東京セニョリ

ータ準ミスに選ばれ、東宝ニューフェイス

となる。

 昭和四十二年(1967年)芸名を本名の菱見

地谷子から菱見百合子に改名した。

 「水中からの挑戦」においては、ボートに眠

るシーンに菱見百合子の美貌が光っている。

 

 古谷敏(ふるや・びん)

 本名 古谷敏(ふるや・さとし)

 昭和十八年(1943年)七月五日生まれ。

テペト星人を撃つシーンにアマギの凄みがある。

 

 

 円谷英二(つぶらや・えいじ)

 

 本名 円谷英一(つむらや・えいいち)

 

 明治三十四年(1901年)七月七日生まれ。

 

 昭和四十五年(1970年)一月二十五日死去。

六十八歳。

 

 『ウルトラセブン』においては全四十九話

の監修を担当しドラマ全体を牽引した。

 

 

 満田Kazuho.svg 

 満田かずほ

 (みつた・かずほ)

 昭和十二年(1937年)八月二十日生まれ。

 テレビドラマ監督・映画監督。

 『ウルトラセブン』の名監督満田かずほは

アクション演出に冴えを見せる。本作におい

ては水面・水中の劇を鮮やかに描写している。

 

 番組では宇宙人デザインを募集した。約三

万人から十万点の応募があったという。円谷

英二・成田亨が審査員を勤め、テペトとガイ

ロスが第四十一話・第四十二話のゲスト怪獣

に決まった。

 

 釣り人の大村千吉が恐怖を眼光で鋭く表現

する。

 

 河童倶楽部メンバーを田浦正己・宮川和子・

上田忠好・梅津栄が演じる。豪華な配役が組

まれた。

 

 

 テペト星人は河童に似ている。

 

 テペトも魚のような姿を見せている。

 

 共に愛嬌があって憎めないキャラクターに

見える。

 だが、そんなテペト星人が愛嬌ある飛び方

をしながら深夜に川中を刺殺する展開は怖い。

 

  森次 『セブン』裏話としちゃ、この回の

     マムシさんは最強だろう。

 

  ひし美 シュワッチ事件ね。マムシさんが、

      待ち時間にお酒を飲み過ぎて、へべ

      れけで「俺はウルトラマンだ~、シ

      ュワッ!って店の二階から飛び降り

      てね(笑)

 

  森次 飛ぶかね(笑)。しかもマムシさんは

     現場に戻ってセリフもあったんだけど、

     ろれつが回らなくて、僕のセリフに振り

     返られた。最近会ったら、さすがのマム

     シさんも覚えていたよ(笑)

  

 (『ダンとアンヌとウルトラセブン

  ~森次晃嗣&ひし美ゆり子が語る

   見どころガイド~』88‐89頁

  2021年2月25日発行 小学館)

 

 石井伊吉後の毒蝮三太夫の飲酒エピソードは

豪快である。強かに酔って台詞のシーンでは、呂

律が回らなくなり、森次浩司に振り替えされた。

 

 『ウルトラセブン』のドラマは命を探求して

いる。

 宇宙人や怪獣の侵略から地球と地球人を守る

防衛戦においてウルトラセブンは自身が正義な

のかと自問し悩む事が多い。

 演出には神秘と幻想が光っている。そうした

深く華麗なドラマ作りのシリーズで第四十一話

は、ゆったりとしたムードがある。深刻に自問

自答することを視聴者に呼び掛けるだけでなく、

興奮のアクションドラマを重視する。こういう

エピソードがあることも『ウルトラセブン』ド

ラマの特徴である。

 

 テペトが水中激戦でウルトラセブンに圧倒さ

れて、手を合わせて謝罪し油断させて襲うという

人間味豊かな攻撃を見せる。このエピソード等

は後の『ウルトラファイト』の原型ではないかと

思われる。

 

 ウルトラセブンとテペトの湖の中の決戦には、

満田かずほのアクション演出が光っている。バト

ル撮りの名人と言えば、満田かずほである。

 

 ボートで水路を走るダンとアンヌは無言に愛を

確かめ合っていることが窺える。

 夏の恋人達の光景は次作「ノンマルトの使者」

の前章なのかもしれない。

 

 河童は居るのか、居ないのか?

 

 角谷は冷厳で、川中は熱い。不在か実在かは分

からない。

 
 玲子は二人の言葉に「そうかもしれないわね」
と共に述べている。
 
 若槻文三脚本が謎を大事にしていることを確か
めておきたい。
 
 ◎
 今回の記事ではHGシリーズのテペトソフビを
用いた。造型と言い色合いと言い、本篇のスーツ
を想起させてくれる名ソフビである。
 
 画像は十七枚掲げた。デジタルカメラとスマ
ートフォンを共に用いた。
 
 酷評されることが多い第四十一話であるが、
水中挌闘シーンの迫力は豊かで見応えがある。
 
 息を抜いてほっとするエピソードもシリーズ
には必要である。
 
 ラストカットを飾るぬいぐるみは視聴者の
心を和ませてくれる。
 
 
               文中敬称略
 
                 合掌 
 
               

              南無阿弥陀仏

                 

                  セブン