六・七・八日 二十一時ラピュタ阿佐ヶ谷 必殺仕置人 人間のクズやお払い 上映 | 俺の命はウルトラ・アイ

六・七・八日 二十一時ラピュタ阿佐ヶ谷 必殺仕置人 人間のクズやお払い 上映

 

『必殺仕置人』「人間のクズやお払い」

 テレビ映画 トーキー 55分 カラー

 昭和四十八年(1973年)五月十二日 朝日放送系放送

 

 令和五年(2023年)七月六・七・八日二十一時

 ラピュタ阿佐ヶ谷上映

 

 製作国 日本

 製作言語 日本語

 

 

 のさばる悪をなんとする
 

 天の裁きは待ってはおれぬ

 

 この世の正義もあてにはならぬ

 

 闇に裁いて仕置する



 南無阿弥陀仏

 

 天狗の面

 

 その下でやくざが抗争を繰り広げ、斬り合って

いる。

 

 聖天の政五郎は凄腕の野心家え残虐非道を為す。

配下の武助・条吉・猪太郎らと共に敵対するやく

ざ達を斬殺する。

 

 

 政五郎は斬ったやくざの遺骸の口に銭を銜えさ

せる。

 

 髪結床で半次は居眠りをしていたが、いきなり

現れた政五郎がやくざの口に銭を銜えさせて、喉

笛を剃刀で斬って殺した惨劇を見て、「はあー!」

と驚愕する。


 

 鉄は骨接ぎで半年かかった老婆の腰痛を治して

ほっと安堵する。

 

 そこへ、半次が激走しながら現れ老婆にぶつか

り、髪結の惨劇を大声で語る。

 

 老婆は新たに腰を痛めた!

 

 鉄は半次を殴り「てめえ、俺の一年の苦労を台

無しにしやがって!」と怒鳴る。

 

 女郎屋

 

 遊女お仲は馴染みの男弥七に煙管を渡す。

 

 二人は深く愛し合っているのだが、何故か弥

七はお仲と所帯を持つことに消極的だった。

 

  

 お仲は息子のター坊・弥七と三人で暮らす為の

貯えの金も稼いでいた。

 

 弥七は「俺とおめえは、こうしてめえ日会って

るんだ。それでいいじゃねえか」と現在の幸を確

かめる。

 

 弥七は隻腕で右腕が無かった。
 

 鉄は博奕で弥七に負けたことに雪辱したがって

おり再戦を挑むが拒絶される。

 

 弥七は錠の家に行き、殺されたやくざの名を聞

くが、錠は棺桶を作ることのみは職務で被害者の

名は知らぬことを告げ、深川の良い顔であったと

いう噂を伝える。

 

 おきんが現れて弥七は逃げる。

 

 弥七に惚れているのだ。

 

 錠は「弥七さんにはお仲さんが」といることを

確認し諦めるように諭すが、おきんの恋心も燃え

ていた。

 

 牢内で天神の小六は配下の留造と共に、政五郎

の殺戮に悩んでいた。

 

 小六には鰹の刺身の膳が運ばれるが、吸い物の

中に銭が入っていた。

 

 小六は牢番を呼び「御取調べの願い」を出し中

村さんを指名する。

 

 主水は小六の苦悩を察している。三途の川の渡

し賃とされている銭を送られ小六は動揺している。

 親分も先は長くねえなと主水は冷たく解説し小

六はよしてくれと頼む。町方では政五郎の殺戮を

知っているがやくざどうしの争いは人間のクズの

殺し合いで減ってくれればいいのだと冷たく主水

は解説する。もっとも親分は俺の大事な金蔓だか

ら死なせる訳にはいかねえと主水は小六救援の課

題を宣言する。

 

 

 政五郎との会談場所に赴いた小六は、銭につい

て「どういう了見なんだ?」と問う。政五郎は野

望を隠さず隠居しろと命じる。

 小六は「娑婆にはおめえみてえな剽軽者が居てう

るさくってかなわねえからな」と牢内で活動する

ことを明言する。

 

 「てめえは娑婆で暮らすのが怖えんだ」と政五

郎は小六をからかい「強え奴が弱え奴に勝って、弱

え奴は強え奴にその場所を譲らなきゃならねえ」と

脅す。

 

 小六は「いい気になってると今に火傷するぜ」

と警告する。

 政五郎は怒るが、主水が現れ十手を掲げて現れる。

 

 十手持ちの出現に流石の政五郎も手を出せない。

 

 

 昼

 

 鉄がお島やお仲に念仏流味噌の寄せ鍋を作ってあ

げている。

 

 半次は親分衆が集まっていることを報告する。

 

 政五郎の残虐な仕打ちに怒りを持つ親分吉五郎・

文蔵達が会合を開いていると、役人が踏み込んで会

合の趣旨を問う。

 

 吉五郎は頼母子講と説明するが、役人は怒り奉

行所に連行することを告げて文蔵から刀を奪う。

 

 役人は猪太郎の変装だった。

 

 刀を奪われて連行されようとした親分達は襖を

開け階下の様子を見て驚愕する。

 

 政五郎は一階の人々を斬殺していた。

 

 吉五郎・文蔵は抵抗するが、政五郎一味に斬

殺される。

 

 

 誰かが戸を叩いた。

 

 政五郎が戸を開けさせると頑是ない幼子がいた。

 

 ター坊だった。

 

 母お仲を尋ねてきたのだった。

 

 政五郎とター坊の目と目が合う。

 

 ター坊は恐怖から逃げるが猪太郎に抱き留められ

室内に拉致される。

 

 政五郎はター坊に対する態度を即決する。

 

 

 

 

 キャスト

 山崎努(念仏の鉄)


 

 沖雅也(棺桶の錠)


 

 野川由美子(鉄砲玉のおきん)


 三島ゆり子(お島)

 伊藤栄子(お仲)


 

 津坂匡章(おひろめの半次)


 

 杉山昌三九(吉五郎)

 江幡高志(留造)
 五味龍太郎(武助)

 

 

 高松英郎(天神の小六)


 

 玉生司朗(文蔵)

 山本一郎(猪太郎)

 内田勝正(条吉)

 

 三田一枝(老婆)

 藤川準(牢番)

 森内一夫(やくざ)


 

 黛康太郎(市助)

 西崎健(長次)

 吉田聖一(仁造)
 

 

 林隆三(弥七)

 

 

 黒沢年男(聖天の政五郎)

 

 

 藤田まこと(中村主水)


 


 

 スタッフ

 

 プロデューサー 山内久司

         仲川利久

         桜井洋三


 

 脚本  野上龍雄

 

 

 音楽  平尾昌晃

 撮影  石原興

 

 美術  倉橋利韶

 照明  中島利男

 録音  二見貞行

 調音  本田文人

 編集  園井弘一

 

 助監督 家喜俊彦

 装飾  稲川兼二

 記録  野口多喜子

 進行  黒田満重

 特技  宍戸大全

 

 

 装置 新映美術工芸

 床山結髪 八木かつら

 衣装 松竹衣装

 現像 東洋現像所

 

 

 制作主任 渡辺寿男

 殺陣   楠本栄一

 題字   糸見溪南

 

 

 主題歌「やがて愛の日が」

 作詞 茜まさお

 作曲 平尾昌晃

 編曲 竜崎隆路

 唄   三井由美子

 ビクターレコード


 

 オープニングナレーション作 早坂暁

 エンディグナレーション 野上龍雄

 

 

 ナレーター   芥川隆行

 

 制作協力 京都映画株式会社



 

 監督  三隅研次


 

 制作  朝日放送

     松竹株式会社


 

 ◎

 山崎努=山﨑努

 

 

 伊藤栄子→伊藤榮子

 

 津坂匡章=津坂まさあき→秋野太作

 

 山本一郎→結城市朗

 

 黒沢年男→黒沢年雄

 

 藤田まこと=はぐれ亭馬之助

 

 山内久司=松田司

 

 平尾昌晃=平尾昌章

 

 

  早坂暁・野島一郎はノークレジット


  野上龍雄はエンディングナレーション

  ノークレジット

 

 

 野上龍雄は昭和三年(1928年)三月二十八日

東京府に誕生した。

 平成二十五年(2013年)七月二十日、八十五

歳で死去した。二十世紀・二十一世紀の日本映画・

日本テレビドラマの歴史において数々の傑作脚本

を書いた。

 必殺シリーズは『必殺仕置人』から参加し第一

話・本作第四話・エンディングナレーションを執

筆した。

 

 

 三隅研次は大正十年(1921年)三月二日に

誕生した。

 日活京都に入り、昭和十七年(1942年)招

集され滿洲配属となり昭和二十二年(1947年)

までシベリアで抑留生活を送る。

 戦後大映に入り、衣笠貞之助や伊藤大輔に学

んだ。時代劇巨匠として数々の傑作を発表した。

秀麗な映像で妖気を描いた。

 昭和五十年(1975年)九月二十四日、五十四

歳で死去した。

 

 脚本野上龍雄・監督三隅研次による本第四話

は完璧な傑作である。

 

 野望に燃えるやくざ聖天の政五郎はライバル

達を次々と斬殺し天神の小六も威嚇する。

 

 極悪非道の暴走は止まらない。

 

 二枚目スタア黒沢年男が極悪人政五郎を熱演

する。

 

 昭和十九年(1944年)二月四日生まれの黒沢

年男は東宝で活躍した。現在の芸名は黒沢年雄

でアメーバブロガーでもある。

 

 林隆三(はやし・りゅうぞう)は昭和十八年

(1943年)九月二十九日に誕生した。豪快さと

繊細さを兼ね備えた名演で日本の映画・テレビ

の歴史を支えられた。

 平成二十六年(2014年)六月四日、七十歳

で死去した。

 

 弥七は愛するお仲の大切な存在を守りきれな

かったことを悲しみ強敵政五郎にいのちがけで

謝罪を求める。

 

 麗らかな陽光を受けた林で政五郎が弥七と対決

し怒りの刃を抜く。

 

 三隅研次の名場面に感嘆する。

 

 乾分の武助・猪太郎・粂吉も剣客で野心家で

あることに着眼した鉄・錠・主水が一家の内紛

を起こさせる作戦に震える。

 

 大詰では極悪人政五郎が苦しめられ、彼もた

った一つの尊い生命を生きている存在である事

が確かめられていく。

 

 極悪人を苛め抜いて苦しみ抜いてじっくり

ゆっくりネチネチと苦痛を味あわせて致命傷

を負わせて行く。

 

 仕置人達の余りの残酷な制裁に放送当時から

様々な意見があった。

 

 殺された被害者の無念と痛みを思う心が仕置

人達の制裁の原点になっている。

 

 大ヴェテラン名優杉山昌三九は伊丹万作の名画

『赤西蠣太』に出演している。

 

 政五郎の座を狙う乾分三人衆を悪役名優五味竜

太郎・結城市朗・内田勝正が凄み豊かに演じてい

る。

 

 江幡高志が珍しく仕置人側の人物留造を軽やか

に演じている。

 

 伊藤榮子が悲憤の心を無言の演技で厳かに示

す。

 

 『必殺仕置人』は全二十六話傑作という偉業を

成し遂げたテレビ映画シリーズだが怨念物語とい

う事柄において本第四話はシリーズを代表する大

傑作である。

 

 

               南無阿弥陀仏