ニュー・シネマ・パラダイス 124分版 | 俺の命はウルトラ・アイ

ニュー・シネマ・パラダイス 124分版

 

 

 『ニュー・シネマ・パラダイス』

 NOUVOU CINEMA PARADISO

kasio

 映画 トーキー カラー(白黒引用映像あり)

 1988年11月17日 イタリア公開

 平成元年(1989年)十二月十六日 日本公開

 124分 国際版

 他に155分版・170分ディレクターズ・カット版が

 ある

 

 製作国 イタリア フランス

 製作言語 イタリア語

 

 製作会社 クリスタルディフィルム

      レ・フィルム・アリアーヌ

      TFIフィルムプロダクション

      RAI3

      フォーラムピクチャーズ

 

 脚本 ジュセッペ・トルナトーレ

 

 音楽 エンニオ・モリコーネ

    アンドレア・モリコーネ

 

 撮影 ブラスコ・ジュラ―ト

 編集 マリオ・モッラ

    

 

 出演

 

 サルバトーレ・カシオ(サルバトーレ・ディ・ヴィータ少年期)

 

 マルコ・レオナルディ(サルバトーレ・ディ・ヴィータ青年期)

 

 ジャック・ペラン(サルバトーレ・ディ・ヴィータ中年期)

 

 アニェーゼ・ナーノ(エレナ 若年期)

 

 ブリジット・フォッセイ(エレナ 中年期)

 

 アントネッラ・アッティエーリ(マリア中年期)

 プぺラ・マッジオ(マリア壮年期)

 

 レオポルド・トリエステ(アデルフィオ神父)

 エンツィオ・カナヴェール(スパッカフィーコ)

 レオ・グロッタ(イグナチオ)

 タノ・チマローサ(鍛冶屋)

 二コラ・ディ・ピント(広場をうろつく男)

 ロベルト・レーナ(リア)

 ニーノ・テルッツオ(ペピーノの父親)

 

 

 

 ジュセッペ・トルナトーレ

 

 フィリップ・ノワレ(アルフレ―ド)

 

 

 監督 ジュセッペ・トルナトーレ

 ◎

 ブリジット・フォッセイ出演シーンは124分

ではカットされている。

 

 ◎

 鑑賞日時場所

 平成二十七年(2015年)五月十一日

 TOHOシネマズ二条

 ◎

 

 海が見える部屋。老母と妹が映画監督

サルヴァトーレ・ディ・ヴィータを思って

いる。母はローマにいる息子に電話をか

けた。

 

 ローマにおいてサルヴァトーレは愛人か

ら、母の電話で「アルフレードが亡くなっ

た」という知らせを聞く。

 

 

 サルヴァトーレはトトと呼ばれていた

幼年期に映画の尊さ映写技師アルフレ―ド

から教わった。

 

 

 幼年時代

 

 トトの父は戦争で亡くなった。

 

 幼児トトは映画に魅せられる。

 

 アルフレ―ドは映写技師の仕事の危険性を

知りつつ、可愛いトトと親しくなる。

 

 神父は上映に当たってキス・シーンをアル

フレードに切らせる。

 

 トトの映写技術は上達するが、事故でアルフ

レードは失明してしまいます。

 

 青年になったトトは、学生時代に友人の美女

エレナに一目惚れし、アルフレードに教わった

方法で口説く。

 

 しかし、兵役と共に別れが来る。

 

 帰還したトトにアルフレードは「映画と人生

は違うぞ。郷愁に浸るな。村を出ろ」と語る。

 

 郷愁を抑えローマに行って映画監督としてトト

は成功した。サルヴァトーレは故郷に帰還しアル

フレードの葬儀に参列して郷里の変貌に言葉を失

う。

 

 映画館は取り壊される。

 

 しかし、村の人々は昔に変わらず元気だった。

 

 アルフレードが遺してくれた形見のフィルムを、

サルヴァトーレは受け取り、ローマにもどって鑑

賞する。

 

 ◎故郷のメロデイ◎

 

 トトことサルバトーレは映画に感動し映画界で

労働したいという夢を抱き、恩師アルフレ―ドの

叱咤を聞き故郷を出て映画監督になるという夢を

達成する。

 

 師の死後残してくれたフィルムを見てその優し

いこころに涙を流し師アルフレ―ドに育てられて

いたことに感謝する。

 

 師弟の交流をフィルムに確かめた。イタリア映

画界の歩みとアルフレ―ド・サルバトーレの交流

が照応する。

 

 ジュゼッペ・トルナトーレ

 Giuseppe Tornatore 

 1956年5月27日イタリアシチリア島バゲリーア

に誕生した。32歳で本作『ニュー・シネマ・パラ

ダイス』を演出発表し世界の映画ファンから絶賛

を受けた。

 

 エンニオ・モリコーネ 

 Ennnio Morricone

 1928年11月10日イタリア王国ローマに生まれ

た。

 

 映画音楽の巨星である。世界各国の映画の音楽

を書き演奏した。モリコーネメロディは観客に生

の喜びを与えてくれている。

 2020年7月6日イタリアラツィオ州ローマにおい

て91歳で死去した。

 

 ジュゼッペ監督は『ニュー・シネマ・パラダイス』

において「新人だった私に対等の関係で接してくれ

た」とエンニオ師匠の優しさに深謝している。

 

 アルフレードは「郷愁に浸るな」と愛弟子サルバ

トーレに注意する。

 ドラマのクライマックスでは削除されたキス・シ

ーン集で観客の郷愁を刺激する。

 

 ジュゼッペ監督は映画における故郷の個性に着目

し、観客にとっての心の拠り所を尋ねる。

 
 心の故郷への郷愁が主題だが、若きジュゼッペは

演出の馬力で押し進んでいる。

 

 観客の心を包み暖めたのはエンニオ・モリコーネの

音楽である。

 

 本作の感動の源はモリコーネ音楽にあると確信して

いる。モリコーネ音楽はトルナトーレ演出も支えてい

る。

 

 ジャン・ルノワール監督作品『どん底』からの引用

が鮮やかに為されている。『どん底』の主役ワシカ・ペ

ペルを演じた俳優はJean Gabin ジャン・ギャバンであ

る。

 1904年5月17日にフランスパリに誕生したジャン・ギ

ャバンはフランス映画を代表する大スタア・大名優となっ

た。『どん底』で初めてジャン・ルノワール映画に参加し

た。1976年11月15日、ジャン・ギャバンは72歳で死去し

た。

 

 ジュゼッペ・トルナトーレは『どん底』を始め世界の

名画からラブシーンを引用し先輩達への敬意を示してい

る。

どん底 Les Bas‐Fonds ジャン・ギャバン主演作品

 『ニュー・シネマ・パラダイス』はジュゼッペ・

トルナトーレ監督作品だが、ジャン・ルノワール監

督『どん底』引用作品でもあるので、テーマJean

Renoirで投稿する。

 

  『ニュー・シネマ・パラダイス』はジュゼッペ・

トルナトーレが若き情熱で驀進して撮った印象があ

る。

 

 記録映画『モリコーネ 映画が恋した音楽家』

はジュゼッペ・トルナトーレが65歳の慎重さを

以てじっくりと丹念に撮ったという印象を受け

た。

 

 将棋で言うならば『ニュー・シネマ・パラダイ

ス』は飛車や香車で攻めまくる指し方の演出であ

り、『モリコーネ 映画が恋した音楽家』は一枚

一枚の歩兵をじっくり動かし成金になって相手の

王将を包むように攻める演出である。

 

 若き覇気と初老の熟成は共に大事なのだ。

 

 

 両者はモリコーネ音楽によって包まれ呼応して

いる。

 

 

 『ニュー・シネマ・パラダイス』は映画の歴史

への感謝が溢れている。

 

 その謝念を奏でてトルナトーレ演出を輝かせ

たエンニオ・モリコーネの音楽に改めて敬意を

表し拍手を送りたい。

 

 

 

                  合掌