新必殺仕置人 休診無用 | 俺の命はウルトラ・アイ

新必殺仕置人 休診無用

『新必殺仕置人 休診無用』

(『新・必殺仕置人 休診無用』)

 テレビ映画  トーキー 54分 カラー

  昭和五十二年(1977年)四月二十二日放映

 朝日放送系

 

 

 製作国 日本

 製作言語 日本語

 

 オープニングナレーション

 のさばる悪を なんとする

 天の裁きは 待ってはおれぬ

 この世の正義も あてにはならぬ

 闇に裁いて 仕置する

 南無阿弥陀仏

 

 中村主水は深夜の見廻りで盗賊銀蔵一味

と対決し頭領銀蔵に傷を負わせたが取り逃

がした。

 

 鉄の療治で腰痛はかなり良くなったがり

つは夫主水に医師寺岡玄庵の診療を受ける

ように勧める。

 

 貧しい患者から医療の代金を取らない玄

庵先生は町の人々から尊敬されている。

 

 だが、妊娠中の女性おしんは包丁を持っ

て玄庵を襲う。己代松はおしんを諫め訳を

聞いた。

 

 お腹の子の父親は大工で痛みを覚えて

玄庵の診療所に入って死んだんですとお

しんは語る。彼女は玄庵が西洋医術の実験

に夫の肉体を用いて見殺しにしたと思い

こんでいる。

 

 手負いの銀蔵は配下の喜三郎・弥平とと

もに玄庵の部屋に押し入り彼を妻志津を人

質に取る。玄庵に「傷を治せ」と銀蔵は命

じる。弥平は志津に乱暴しようとするが、

医療器具の刃物を銀蔵に突きつけて玄庵は

「この男がどうなってもいいのか?」と逆

襲する。

 

 寅の会では玄庵の命が競りにかけられ鉄

が落札する。

 

 おしんは産気付き、己代松は玄庵に応急

の手当を頼む。

 

 ◎二枚目初老医師◎

 

 第十三話は二枚目大スタア上原謙がゲスト

で出演した。

 上原謙は明治四十二年(1909年)十一月

七日東京府に誕生した。本名は池端清亮(いけ

はた・きよあき)である。平成三年(1991年)

十一月二十三日、八十二歳で死去した。

 昭和十年代から美男スタア名優として活躍し

魅力を銀幕に輝かせた。

 

 昭和五十年(1975年)元クラブ歌手大林雅美

(大林雅子)と再婚した。

 

 第十一話の鞍三が若い妻と仲睦まじい設定は

演者嵐寛寿郎を想定した設定だと思われるが、

本作の玄庵が若い妻志津と仲が良いのは上原謙

をスタッフが初めから想像して役の設定を為した

のではないか?

 

 現代では加山雄三の父として有名かもしれな

いが涼やかな二枚目の魅力は六十代後半において

も光っていたことを玄庵役の名演は示している。

 

 志津役には渡邊祐介作品で大活躍したひろみど

りが繊細な芸を見せる。

 

 左時枝がヒロインおしんの怒りと悲しみを熱く

演じる。玄庵はおしんの夫を治療したかったが、

間に合わなかった事を述べる。二人の心が通じた

時に弥平の刃がおしんを襲い彼女は犠牲になる。

 

 逃走する犯罪者が民間人の家に立て籠り住民を

人質にする。ウィリアム・ワイラーの『必死の逃

亡者』や深作欣二の『脅迫』に通じる構成である。

 

 江幡高志・浜田晃・堀勝之祐の悪役存在感は光

っている。

 

 

 鉄は玄庵の無実を確信し銀蔵一味と戦う。

 

 事件解決の後玄庵が主水に夫婦の関係性について

「仲睦まじい事ですな」と声をかける。

 上原謙と藤田まことの呼応に痺れる。

 

 虎が鉄に仕置料を払い「貰っておけ」と勧める。

 

 藤村富美男の笑顔と山﨑努の驚きの表情に感嘆

した。

 

 エンディングで野上龍雄作のナレーションが芥川

隆行によって語られる。

 

 『必殺仕置人』と同じナレーションだが、語られ

るのは本第十三話のみであり、このナレーションが

ない版が再放送されることもある。

 

 キャスト

 

 

 藤田まこと(中村主水)

 

 

 中村嘉葎雄(巳代松)

 

 

 火野正平(正八)

 

 

 中尾ミエ(おてい)

 

 河原崎建三(死神)

 

 

 左時枝(おしん)

 江幡高志(銀蔵)

 

 浜田晃(喜三郎)

 堀勝之祐(弥平)

 ひろみどり(寺岡志津)

 

 

 藤村富美男(元阪神タイガース)(元締虎)

 

 

 

 北村光生(吉蔵)

 柳原久仁夫(同心)

 浜田雄史(同心)

 瀬賀敏夫(小太郎)

 小林加奈枝(商家の女房)

 伊波一夫(患者)

 大迫ひでき(下っ引)

 

 

 

 瀬下和久(闇の俳諧師)

 藤沢薫(闇の俳諧師)

 原聖四郎(闇の俳諧師)

 堀北幸夫(闇の俳諧師)

 沖時男(闇の俳諧師)

 

 

 上原謙(寺岡玄庵)

 

 

 菅井きん(中村せん)

 

 白木万理(中村りつ)

 

 

 山崎努(念仏の鉄)

 

 


 スタッフ
 

 制作        山内久司(朝日放送)

           仲川利久(朝日放送)

           桜井洋三(松竹)

 

 脚本        中村勝行

 

 

 音楽          平尾昌晃

 編曲          竜崎孝路

 

 撮影          石原興

 製作主任        渡辺寿男

 

 美術          川村鬼世志

 照明          中島利男

 録音          二見貞行

 調音          本田文人 

 編集          園井弘一

 

 助監督        松永彦一 

 装飾         玉井憲一

 記録         杉山栄理子

 進行         黒田満重

 特技         宍戸大全

 

 装置          新映美術工芸

 床山結髪       八木かつら

 衣装          松竹衣裳

 小道具         高津商会

 現像          東洋現像所

 

 制作補         佐生哲雄

 殺陣          美山晋八

             布目真爾

 題字          糸見渓南

 

 ナレーター       芥川隆行

 

 オープニング 

 ナレーション作     早坂暁

 エンディング作     野上龍雄

 予告篇ナレーター    野島一郎

 

 主題歌          「あかね雲」

 作詞           片桐和子

 作曲           平尾昌晃

 編曲           竜崎孝路

 唄            川田ともこ

 東芝レコード

 

 

 制作協力        京都映画株式会社

 

 監督           渡邊祐介

 

 

 

 制作            朝日放送

               松竹株式会社

 

 

 ☆

 藤田まこと=はぐれ亭馬之助

 

 

 中村嘉葎雄=中村賀津雄

 

 

 二瓶康一→火野正平

 

 中尾ミエ=中尾ミヱ

 

 河原崎建三=河原崎健三

 

 

 江幡高志=江波多寛児=江波多寛志

 

 

 

 白木万理=松島恭子=白木マリ

 

 山崎努=山﨑努 

 

 

 

 山内久司=松田司

 

 中村勝行=黒崎裕一郎

 

 

 平尾昌晃=平尾昌章

 

 早坂暁・野上龍雄・野島一郎はノークレジット

 ☆

 

            南無阿弥陀仏