新必殺仕置人 助人無用 | 俺の命はウルトラ・アイ

新必殺仕置人 助人無用

『新必殺仕置人』「助人無用」 

(『新・必殺仕置人』「助人無用」)

  テレビ映画  トーキー 54分 カラー

   昭和五十二年(1977年)四月八日

  朝日放送系放映

 

 令和五年(2023年)三月十三日十六時五十七分

 BS朝日再放送

 

 

 製作国 日本

 製作言語 日本語

 

 オープニングナレーション

 のさばる悪を なんとする

 天の裁きは 待ってはおれぬ

 この世の正義も あてにはならぬ

 闇に裁いて 仕置する

 南無阿弥陀仏

 

 念仏の鉄は深川料理茶屋たちばな屋で

下足番の老人男性の鞍三から、「鉄っち

ゃん。あんたまだ女極道が足りん」と注

意され、「うるせえ、爺」と怒る。店の

女性おこのに惚れて鉄は通っているのだ

が巧くいかない。おこのは鞍三に惚れて

いる。年齢差のある夫婦で二人は仲睦ま

じい。

 

 たちばな屋の女将が首を吊って死亡す

る。深川の実力者七福神の富五郎は女将

の子供にたちばな屋の権利を売るように

と迫る。おこのは怒るが患っている労咳

で倒れる。治療薬の朝鮮人参は二十両と

高額だ。おこのの支援を鉄に託した鞍三

は元締虎に死神に面談する。虎は鞍三に

頭を下げる。

 

  「虎やん。久しぶりやな。」

 

 鞍三はかつて「天狗の鞍三」と呼ばれた

仕置人で虎にとって先輩の殺し屋であった。

 

 二十両の代金を稼ぎたいので七福神の

富五郎を仕置したいと鞍三は申し出る。

 殺された女将は鞍三にとって昔の妻だ

った。女敵討ちの課題もこめて富五郎に

対して鞍三は闘志を燃やす。

 

 だが、仕置人を引退した鞍三が久々に

「殺しの現場」に復帰するという事態に

弟分であった虎は心配を抱く。かつての

兄貴分鞍三の殺し屋の顔を立てない訳に

もいかない。一計を着想した虎は、内々に

鉄を呼び鞍三を影から支援し助けてあげ

て欲しいと頼む。

 

 ◎アラカン劇場◎ 

 

 嵐寛寿郎は明治三十五年(1902年)十二

月八日京都府に誕生した。本名は高橋照

一である。歌舞伎界を経てマキノプロダ

クションに入り、活動大写真において大

佛次郎作『鞍馬天狗』鞍馬天狗を演じて

時代劇大スタアとなった。日本映画を支え

たスタアである。

 昭和五十五年(1980年)十月二十一日、

七十七歳で死去した。

 

 

 中村勝行の脚本は今回も完璧である。昭

和十七年(1942年)十一月十四日生まれの

中村勝行は「必殺シリーズ」を支えたシナリ

オライターである。兄は中村敦夫は第一話「問

答無用」で赤井剣之介役で引用映像で登場し

た。中村勝行は令和四年(2022年)三月十一

日に死去した。

 

 第十一話「助人無用」は銀幕大スタア嵐寛

寿郎の貫禄を示す傑作である。

 

 若い女房おこのから愛される老下足番鞍三

はアラカンを想定して書かれた役であろう。

 念仏の鉄に対して「まだ女極道が足りん」と

叱責をして遊びが足りてへんなと青年扱いす

る風格はアラカンでないと出せない。

 

 アラカン自身女性からモテるスタアだった。

新しい恋愛をして別れる際には女性に全財産を

渡すという在り方をしていた。豪快な歩みを

した映画スタアであった。

 

 ヒロインおこのに白川和子、悪役富五郎に

田口計、源七に志賀勝とゲストの存在感も

光っている。

 

 

 元凄腕の仕置人でかつての弟分元締虎を「虎

やん」と呼べる重みもアラカンでないと出せな

い。

 藤村富美男が緊張していることも窺える。

河原崎建三の両親四代目河原崎長十郎・河原崎

しづ江と嵐寛寿郎は、山中貞雄名画に出演し活

躍した。

 

 監督大熊邦也、撮影石原興共に大御所アラカン

を讃えていることが窺える。

 

 銀幕大スタアへの敬意を示すドラマ作りに感嘆

する。

 

 主演山﨑努は「存在感などという言葉は

使いたくないが、やはり存在感」と令和四

年(2022年)五月十七日のツィッターで

アラカンの大きさを絶賛している。

 

 キャスト

 

 

 藤田まこと(中村主水)

 

 

 中村嘉葎雄(巳代松)


 

 

 火野正平(正八)

 

 

 中尾ミエ(おてい)


 

 河原崎建三(死神)

 

 白川和子(おこの) 

 田口計(七福神の富五郎)

 志賀勝(源六)

 

 

 

 藤村富美男(元阪神タイガース)(元締虎)

 

 

 

 

 松村康世(おせい)

 黛康太郎(源七)

 玉川由利子(お千代)

 柳川清(医者)

 石原須磨男(老人)

 丸尾好広(富五郎の配下)

 東悦史(富五郎の配下)

 横堀秀勝(富五郎の配下)

  

 

 

 嵐寛寿郎(天狗の鞍三)

 

 

 

 菅井きん(中村せん)

 

 

 白木万理(中村りつ)

 

 

 

 

 山崎努(念仏の鉄)


 

 

 

 制作      山内久司(朝日放送)

         仲川利久(朝日放送)

         桜井洋三(松竹)

 

 脚本      中村勝行

 

 

 音楽      平尾昌晃

 編曲      竜崎孝路


 


 撮影          石原興

 製作主任       渡辺寿男

 

 

 

 美術          川村鬼世志

 照明          中島利男

 録音          二見貞行

 調音          本田文人 

 編集          園井弘一

 

 

 

 助監督        高坂光幸

 装飾         玉井憲一

 記録         杉山栄理子

 進行         黒田満重

 特技         宍戸大全

 

 

 

 装置          新映美術工芸

 床山結髪       八木かつら

 衣装          松竹衣裳

 小道具         高津商会

 現像          東洋現像所

 

 

 制作補         佐生哲雄

 殺陣           美山晋八

               布目真爾

 題字           糸見渓南

 

 

 

 ナレーター       芥川隆行

 

 

 


 オープニング 

 ナレーション作     早坂暁

 予告編ナレーター   野島一郎

 

 

 


 主題歌          「あかね雲」

 作詞           片桐和子

 作曲           平尾昌晃

 編曲           竜崎孝路

 唄            川田ともこ

              東芝レコード

 

 

 監督       大熊邦也


 

 制作協力 京都映画株式会社

 

 制作      朝日放送 

          松竹株式会社

 

 ☆

 藤田まこと=はぐれ亭馬之助

 

 中村賀津雄→中村嘉葎雄

 

 二瓶康一→火野正平

 

 中尾ミエ=中尾ミヱ

 

 白木万理=松島恭子=白木マリ

 

 

 

 嵐寛寿郎=嵐長三郎

 

 山崎努=山﨑努

 

 

  山内久司=松田司

 

 中村勝行=黒崎裕一郎

 

 平尾昌晃=平尾昌章

 ☆

 

      

            文中一部敬称略

 

             南無阿弥陀仏