本日16:57 BS朝日 新必殺仕置人 問答無用 放送 | 俺の命はウルトラ・アイ

本日16:57 BS朝日 新必殺仕置人 問答無用 放送

 『新必殺仕置人』「問答無用」

   (『新・必殺仕置人』「問答無用」)

 テレビ映画 トーキー 54分  カラー

 放映日 昭和五十二年(1977年)一月二十一日

 放送局 朝日放送系

 再放送 令和五年(2023年)二月二十三日 

     BS朝日






 のさばる悪をなんとする



 

 天の裁きはまってはおれぬ

 

 この世の正義もあてにはならぬ



 

 闇に裁いて仕置きする  

 

 南無阿弥陀仏   

 

 ☆
  演出の考察・シークエンスへの言及・台詞

の引用は研究・学習の為です。


 松竹様・朝日放送(ABC)様におかれましては、

お許しと御理解を賜りますようお願い申し上げま

す。

 

 感想では物語の内容について言及します。

 

 本作及び『必殺仕置人』「お江戸華街未練なし」

『必殺仕業人』「あんたこの結果をどう思う」を

未見の方はご注意下さい。

 ☆

 

 句会が開かれている。

 

 奥に着座している人物が世話役である。

 

 名を虎という。

 

 部下の喜平が進行役を勤めている。

 

 俳諧師の一人には、骨接ぎ師の念仏の鉄が

いる。


 

 

    喜平「それは揚句を頂戴いたしまして本日

       の興行を終わりたいと存じます。

 

       八丁の 堀に中村 主水かな」

 

 鉄はハッとする。 

 

 月例俳諧興行 寅拾番會

 

 この俳諧の会は、仕置人達の集いであり、元締

虎が俳句の中に標的に名を入れて喜平が読みあ

げ、集まった仕置人達が競り落とすという闇の組織

であった。

 

 虎の用心棒の仕置人死神は仕置人の監視と裏

切者を粛清する役目を荷っていた。

 
 

俳諧師達が、競りの声を掛け合う。

 

 「百五十兩」 

 「百三十九両」
 「八十両」

 

  喜平「ございませんね」

 

  虎「この命、八十両にて落札」

 

 八十両で仕置人市郎太が競り落とした。

 

  鉄「八丁掘 中村主水」

 

 中村主水とは南町奉行所定町廻りの同心なの

だが、鉄にとっては、過去に仕置人として組んだ

仲間なのだ。

 

タイトルが現れる。

 

 新必殺仕置人

 

 問答無用

 

南町奉行所門前

 

 長髪の絵草子屋の青年正八が門を見て、門

前の鋳掛屋の職人己代松に語りかける

 

   正八「出てきたよ。」




 

   己代松「あれか」



 

 「おはようございます」の声を役人がかける。

 

 中村主水は「おはようございます」と返事する。

 
 

 門から与力筑波重四郎が現れる。

 

  主水「筑波様!」

 

 己代松が焼けた鍋に水をかけシューと音がし

て煙があがり主水は咳き込みつつも、恩人の筑波

に決意を語る。


 

  

  主水「これより市中見回りに出かけます。」

 

  筑波「ご苦労」

 

 

  主水「例の庄兵衛の一件でございますが」

 

   筑波「何かわかったか?」

 

  主水「いえ、これがまだいっこうに。」

 

  筑波「気にするな。おぬし、中々評判が良

      いぞ。儂も鼻が高い。」

 

  主水「そのように仰せられると面目が立ちませ

      ん。この際一挙に庄兵衛の一件を解明し

      お引き立て下さいました御恩に報いる覚

      悟でございます。」

 

  筑波「しっかりやれよ。」


 

  観音長屋

 

 女掏摸おていが正八の懐から財布をする。



 

 主水は正八に財布を掏られたぞと教え、お

ていを追う。おていの履物は絵草子屋の門前

に有った。主水は絵草子屋の中に入り地下に

通じる部屋に降りてゆく。

 

 絵草子の後ろに坊主頭の男が居た。

 

 鉄だ。

 

 
 

 鉄「しばらくだったな。八丁掘。」

 

 主水「おめえ、未だ生きてたのか。

     裏の稼業は続けてるか?」

 

 鉄「ん」

 

 主水「おめえには会わなかったことにし

     とくぞ。」

 

 主水はおていと己代松を見る。

 

 鉄「ああ、いいんだ、いいんだ。俺の仲間だ。」

 

 主水「仲間か」

 

 鉄「そうすんなり出ていってもらっちゃ困るんだ。

   上にも仲間がいるぞ。」

 

 正八も仕置人で鉄の仲間であった。

 

 鉄「驚くなよ。昨日おめえの命がよ、八十両で

   売られたんだ。」

 

 主水「何だって!?」

 

 鉄は虎の会の傘下に入って仕置をしていること

を報告する。虎の会の掟は厳しく、引き受けた仕置

は必ずやり遂げる組織であることを告げる。鉄が昔

馴染みの主水を思って、守秘義務を破って告げた

ことも、ばれれば粛清されてしまう。つまり鉄は命

賭けで主水に危機を知らせたのだ。

 

 主水は競り落とした仕置人の人相を聞くが、鉄は

競り落とした殺し屋は一人でどんな仲間が居るか

はわからないことを告げる。

 

   おてい「ま、逃げるんだね」


 

  己代松「一旦競り落したからには、頼み人が死ぬ

       か、取り下げる迄終わりにはならねえんだ」

 

   鉄「心当たりはねえのか?金払ってでもおめえを

     殺したいと憎んでる奴が居る筈だ?」

 

   主水「まるで見当がつかねえな」

 

 

 出会い茶屋

 

  筑波が妾にしている女性お兼と逢引している。

 

   筑波「全て手は打った。中村主水は間も無く死ぬ。

       お前との約束は果たしたことになる。嬉しく

       はないのか?」

 

   お兼は目を見開いてじっと聞いている。

 

 絵草子屋

 

  鉄「牢屋同心が定町廻りとはえれえ出世じゃねえ

     か。どういう訳なんだ?」

 

  主水「怪我の功名でな。」

 

 寒い夜、泊まり番であった主水は脱走を企て刀を

奪おうとした囚人矢切の庄兵衛ともみ合って、彼を

斬った。

 

 庄兵衛「おかね」

 

 庄兵衛は「おかね」と叫んで死去した。

 

 

 牢破りを未然に防いだ功績で、主水は定町廻りに

出世し、筑波に激励されている。


 

  主水「俺は赤井剣之介という男と組んで仕事を

      してた。」

 

  鉄は豆を喰う。

 

  鉄「どうしたんだ、その男は?死んだのか?」

 

  主水「うん。俺は剣之介の事を忘れてた。剣之介

      だけじゃねえ。野垂れ死にしていった昔の

      仲間も、俺の手にかかって死んでいった

      連中のことも、みんな忘れてた。この稼業

      に一旦手を染めたら幸せなんて掴めねえ。

      来るならきてみやがれ!叩っ殺してやる。

      ま、俺が生き延びられたら、その時は、又、

      仲間に入れて貰うぜ!」

 

 主水は鉄の背を叩いて、出て行く。

 

 鉄は落した豆の皮を見つめる。

 

 主水が中村家に帰宅し妻りつと姑せんが迎える。

 

 せんとりつは越後屋が御礼にと持ってきた豪勢な

活造りの刺身を見せる。主水は越後屋に押し入った

万引を捕まえたのだ。せんとりつは着物を負けて欲

しいとたのんでくれとせがむ。主水は人の好意につけ

こむことはできないので刺身を食べないといい、せん・

りつも怒り退席する。


 

 主水は入ってきた犬に刺身を与える。きびすを返す

と悲鳴が聞こえた。犬が刺身に入っていた毒で急死

したのだ。驚いた主水は犬の子供の犬を保護する。

 

   「悪いことは言わねえから、中村に話付けて一人

   百両ずつもらって江戸からずらかろうぜ!」

 

 仕置人次郎次は仕置をせずに、主水を脅迫して金

を取って逃げようと仲間の市郎太・未三に持ちかける。

だが、市郎太・未三は死神を恐れて規則からの掟破り

を断る。

 

 「死神が何でえ」と豪語する次郎次は、単身主水に

交渉し、「四日後に三百兩出せ」と脅して金を取ろうと

する。

 

 だが、この言葉を土中に潜んでいた死神が聞いて

いた。

 

 逃走していた次郎次の前に顔の上部に遮光器を

付けた死神が現れた。

 

   死神「虎ハ取引ヲ許サナイ。」

 

 次郎次は怯えて逃げる。だが、死神の裁きは

厳しかった。

 

 鉄が骨つぎで正八に施術している。

 

   鉄「おめえみたいに心が捻じ曲がった奴はな、

     ばらばらにして分解しないと治らないんだ。

     二百文出せ」

 

 正八が嫌がるとおていが払う。

 

 気風の良さに正八が感動すると、鉄は財布を掏られ

たことを正八に指摘する。

 

人混みの中仕置人二人は語り合う。


  鉄「親父、元気でやってるか?」


 主水「夕べ来やがった。手強い野郎だ。

    俺しばらく姿を消すぜ」

 おかねが包丁を隠しつつ主水を凝視する。

鉄「それがいい」

 主水は筑波がお兼を妾として囲っている別宅に行く。

 お兼は主水を狙い会話に聞き耳を立てる。

 主水「中村でございます」

 筑波「何の用だ」

 主水「お休みを頂戴したのであがりました」


 筑波「何処が悪いのだ」

 

 主水「労咳の疑いが有りと言われまして」


 主水は移る事を恐れて目黒近くの林の小屋で

療養すると告げる。お兼がじっと聞いていた。

 己代松が鋳掛け仕事をしながら怒りを露にする。

 鉄「何怒ってんだ?」


 己代松「女は当てにならねえってことよ」

 松はお兼と知り合いで、庄兵衛が斬られたこと

に傷ついていると思い、慰めの言葉をかけようと

したが、庄兵衛を捕らえた筑波を引っ張りこんで

妾になったので、裏切と見て立腹している。

 鉄ははっとして主水が潜む小屋に走る。
 

 小屋にお兼が尋ねてくる。

  主水「むさ苦しいところですが」

 お兼「筑波さまからお見舞の品をことずかって

     参りました」

  主水「有り難く頂戴します」

  主水は茶を入れようと用意する。


 お兼が包丁を取りだし、背後から主水を狙っ

て突き進む。鉄がかけつけた。

 

 

 

 ◎鉄物語 仕置人シリーズ再開◎ 

仕置人 二

 

 山﨑努(やまざき・つとむ)

 昭和十一年(1936年)十二月二日千葉県生まれ。

 山崎努表記あり

 俳優・声優・ナレーター・エッセイスト

 

  『必殺仕置人』 

 テレビ映画 全二十六回

 昭和四十八年(1973年)四月二十一日から十月十三日

 朝日放送・TBS系にて放送

 製作 朝日放送 松竹株式会社

 念仏の鉄役 主演

 

 山﨑努は同じ役を二度演じないという事を

自身に課していた。

 山内久司を始めスタッフは熱心に口説いて遂に

出演承諾を得た。

 

 念仏の鉄/山﨑努が帰ってきた。

 

 『新必殺仕置人』(『新・必殺仕置人』)は昭

和五十二年(1977年)一月二十一日に始まった。

朝日放送・松竹株式会社が製作を担当した。

 「必殺シリーズ」にとって、五年目第十作とい

う記念すべき作品であった。

 

 シリーズ第二作『必殺仕置人』の続編・姉妹編

である。

 

 念仏の鉄シリーズとしては第二作であり最終

作品である。

 

 藤田まことの中村主水シリーズとしては、第

五作に当たる。『助け人走る 同心大疑惑』は

ゲスト出演なので、主水サーガであっても主水

シリーズと呼ぶべきかどうかは検討の余地があ

る。

 

 

 「必殺シリーズ」五十年の歴史において、題

に『仕置人』の言葉が書かれるのは、『必殺仕

置人』と本作『新必殺仕置人』(『新・必殺仕

置人』)の二作品のみである。

 

 『必殺仕置人』においてレギュラーであった

沖雅也・野川由美子・津坂匡章(後の秋野太作)

は、棺桶の錠・鉄砲玉のおきん・おひろめの半次

として後の作品に再登場している。沖の錠は『仕

事人大集合』『年忘れ必殺スペシャル 仕事人ア

ヘン戦争へ行く』、野川のおきん、津坂の半次は

『暗闇仕留人』に出演したが、番組タイトルに「仕

置人」の三字が記されることは無かった。

 

 山﨑努の念仏の鉄、白木万理の中村りつ、菅井き

んの中村せん、藤田まことの中村主水が登場する『

必殺仕置人』『新必殺仕置人』に「仕置人」の三字が

掲げられている。

 二シリーズにおいて主役は山﨑努の鉄であると思

われる。白木万理のりつ、菅井きんのせん、藤田まこ

との主水は、『必殺仕置人』『新必殺仕置人』以外の

「必殺シリーズ」の作品に出演している。

 

 山﨑努が念仏の鉄を勤めた二作品が『必殺仕置人』

『新必殺仕置人』であった。このことからも、『仕置

人』サーガ・シリーズを代表する存在は、山﨑努である。

 主演俳優の役とタイトルが一致したということのみ

ならず、念仏の鉄の壮絶な一生を描ききったという事

を見ても『必殺仕置人』『新必殺仕置人』の主人公とし

ての地位に立っている。

 

 ドラマが製作されるまで、スタッフには幾多の課題が

あった。

 

 

 藤田まことは、『必殺仕置人』『暗闇仕留人』『必殺

仕置屋稼業』『必殺仕業人』で出演者紹介の配役クレジ

ットの序列で留めであったことが不満であった。「留め

やったら主水を降板します」とまでスタッフに語ったと

言われている。昭和六十二年(1987年)の『必殺4 恨

みはらします』の特集番組で、藤田は序列で「留め」で

あったことが不満で、「若年寄にはなりたない」と確認

していた。

 

 『新必殺仕置人』ではオープニングでは最初に藤田ま

ことの主水が登場し、中村嘉葎雄の己代松、山﨑努の

鉄、藤村富美男の虎が登場する。

 出演者紹介の序列では、藤田まことの主水が書き出し

で、山﨑努の鉄が起こしで留めである。

 

 菅井きんがせんのイメージで、実生活も見られること

に心を痛め、ご子息の見合いに迄影響を及ぼしかねない

と危惧し降板を申しいれ、スタッフは慰留を懇願し長

い時間をかけて説得し出演の承諾を得た。

 

  第一話「問答無用」の主役は中村主水である。牢屋

同心として厳しい日々を送っていたが、庄兵衛の牢破り

を防いでこれを斬った功により、南町奉行所定町廻りと

成り、引き立ててくれた与力筑波重四郎の知遇に応え

ようと職務に情熱を燃やし、乾坤一擲の闘魂でお役目

を勤めている。だが、その筑波に命を狙われ、利用され

使い捨てにされかかったことを知り、深い悲しみを覚え

る。

 

 昔の仲間念仏の鉄と再会し、命を何者かに狙われて

いることを告げられ、ドブ川に女房歌とともに斬り死に

した仲間赤井剣之介を想起し、仕置人・仕業人が人並

の幸せを夢見ることは無理だと確かめる。

 

 一度人の命を奪った殺し屋が堅気の人間として生きる

ことが難しく、犯した罪はずっと問われることが抑えら

れている。

 

 「来るならきてみやがれ!叩っ殺してやる。」の台詞を

語る藤田まことは熱い。これ程熱い藤田まことは中々見れ

ない。『暗闇仕留人』『必殺仕置屋稼業』『必殺仕業人』の

主水は殺し屋チームのリーダー・元締・軍師を兼ねる存在

で、仲間を弟妹のように見守っていた。

 だが、山﨑努の鉄が帰ってくると、熱気が凄まじい。演

技合戦の情熱が熱いのだ。

 ライバル心と良い意味での対抗意識が強烈に燃え盛る。

 

 自分の身替りで犬が毒殺され、子犬のコロを育てること

を決める。『新必殺仕置人』の主水には罪の意識や詫び

の心も語られる。

 

 お兼に狙われ命の危機を感じるが、彼女が筑波に騙さ

れたことを思い悲しみを感じる。

 

 第一話の野上龍雄脚本は複雑で難解である。一度視

聴しただけでは中々物語を理解することは難しい。推

理の展開が緻密に描かれている。だが、繰り返して見

て聞くとその深い構造にどきどき緊張する。

 

 寅の会の句会が語られる。元締虎の重厚な存在感と用

心棒死神の鋭さが強烈だ。仕置人達が俳諧師として登場

し、仕置を競り落とすが、裏切・違約・掟破りは許され

ず、裏切者は粛清される。

 

 殺し屋達が組織の掟に震え戦きながら闇の稼業を為す。

 

 この恐怖感の中で展開する物語が、『新必殺仕置人』の

ドラマの特徴なのだ。

 

 殺し屋としての生き方を清算し、同心として再起しようと

した主水が、闇の世界の足を洗えず、結局は殺し屋として

の道から逃れられないという筋には、苦さがある。

 

 悲しみのヒロインお兼を美人女優二宮さよ子が勤める。

 

 

 筑波重四郎を名優岸田森が勤める。冷酷非情な与力を

強烈な存在感で見せる。妾の女さえも利用する冷たさを

鮮明に演じ切る。

 

 

 主水と筑波の戦いは第一話のクライマックスである。

 

 「斬れ!来い」は岸田森の声か、藤田まことの声か、

議論になるが岸田森の声と判断している。

 

 

 遠山欽の庄兵衛と二宮さよ子のお兼が、画面で競演

しないまま、愛し合っているという筋にも、野上脚本

の素晴らしさがある。

 

 庄兵衛の役名は、『必殺仕置人』「いのちを売って

さらし首」における大滝秀治の闇の御前こと長次郎実

は浜田屋庄兵衛と呼応している。

 主水とせんとりつに、活造りの刺身を送ったのは越

後屋だが、「いのちを売ってさらし首」においても反

物を扱う店として越後屋の名が出て来る。

 

 『新必殺仕置人』が『必殺仕置人』に続く物語であ

り、前作と応じ合っていることは、両作品の第一話を

描いた野上龍雄の筆によって成り立っている。

 

 主水と鉄の再会シーンは、静かである。

 

 『暗闇仕留人』「集まりて候」(昭和四十九年六月

二十九日放映)において、主水はおきん・半次との再

会を喜ぶ。

 

 だが、「問答無用」において鉄と再会したこにとは

落ち着いた姿勢で応ずる。鉄も落ち着いている。

 

 『必殺仕置人』の時代は鉄・主水が若く、『新必殺

仕置人』の時期には中年となったという見方もある。

 

 だが、私はこの静かな描写の奥に秘められた心にこ

そ、『新必殺仕置人』のいのちがあると思うのだ。

 

 鉄にとって、寅の会の掟を破り、守秘義務に反して

仕置の競りの情報を標的とされている主水に知らせる

ことは、命がけであり、ばれれば処刑されてしまうと

いう危機的状況である。鉄は自身が、虎に仕置される

かもしれないという危険をくぐって、松・おてい・正

八の協力を得て主水救出に挑む。

 

 第一話から鉄が寅の会を裏切るという展開もハード

であり危険に満ちた環境である。

 

 

 自分自身が斬られることも覚悟して、仲間主水の

生命を救おうとする。そのこころを秘めてにやりと

笑う。

 

 ここに仕置人念仏の鉄の熱き義がある。

 

 高鳥都著『必殺シリーズ秘史 50年目の告

白録』(令和四年九月十九日発行 立東舎)

は山﨑努とスタッフ達が『必殺シリーズ』を

熱く語った大インタビュー集であり、貴重な

映像史記録である。

 

 石原興は麻雀中に野上龍雄から「あの台詞

は徹夜で考えたからカットするなよ」と注意

されたことを語っている。

 

 山﨑努は幼年期に赤い襦袢を着ていたお乞

食さんに恐怖感を抱いていたが、靴を川に落

とした時にそのお乞食さんが拾ってくれた事

を確かめる。

 

 お乞食さんは鉄役演技のモデル・原風景であ

るようだ。

 
 

 萩原健一が熱心に『新必殺仕置人』を視聴し

感想を山﨑努に伝えたことがインタビューで語

られている。

jidaigekihasinazu

時代劇は死なず ちゃんばら美学考 伊藤大輔画像出演作品

 

 藤田まことが『必殺仕置人』で用いた刀が

映る。

 山根貞男はインタビュー出演し『幕末剣史

長恨』における伊藤大輔の壮絶な殺陣を讃えて

いる。

 

 伊藤大輔に学んだ松野宏軌は『新必殺仕置人』

において監督として活躍している。

 

 工藤栄一は昭和五十二年(1977年)『犬神家

の一族』と『新必殺仕置人』の二大傑作の監督を

担当した。

 

 強靭な体力に感嘆する。

 

 今年は番組四十六歳の年である。

 

 第一話「問答無用」は仕置人二人鉄・主水の再

会物語であり、競いながら義を確かめ合う男気が

光っている。

 

 

 

 キャスト

 

 

 藤田まこと(中村主水)

 

 

 中村嘉葎雄(己代松)


 

 火野正平(正八)

 

 

 中尾ミエ(おてい)



 

 河原崎建三(死神)

 

 

 二宮さよ子(お兼)

 灰地順(喜平)

 

 大林丈史(市郎太)

 阿藤快(次郎次)

 島米八(未三)

 

 



 

 藤村富美男(元締虎)

 


 

 井関一(闇の俳諧師)

 瀬下和久(闇の俳諧師)

 阿井美千子(闇の俳諧師)

 

 

  藤沢薫(闇の俳諧師)

 原聖四郎(闇の俳諧師)

 堀北幸夫(闇の俳諧師)

 遠山欽(矢切の庄兵衛)


 

 浜田雅史(書き役)

 小林加奈枝(おかみ) 

 松尾勝人(職人)

 美鷹健児(職人)


 

 中村敦夫(赤井剣之介)

 

 岸田森(筑波重四郎)


 

 

 菅井きん(中村せん)

 

 白木万理(中村りつ)

 

 

 

 

 山崎努(念仏の鉄)


 

 

 スタッフ
 

 プロデューサー   山内久司

              仲川利久

              櫻井洋三


 

 脚本          野上龍雄


 

 音楽          平尾昌晃

 編曲          竜崎孝路

 

 撮影          石原興

 製作主任       渡辺寿男

 

 美術          川村鬼世志

 照明          中島利男

 録音          木村清次郎

 調音          本田文人 

 編集          園田弘一


 

 助監督        高坂光幸

 装飾         玉井憲一

 記録         杉山栄理子

 進行         黒田満重

 特技         宍戸大全


 

 装置          新映美術工芸

 床山結髪       八木かつら

 衣装          松竹衣裳

 小道具         高津商会

 現像          東洋現像所


 

 制作補         佐生哲雄

 殺陣           美山晋八

               布目真爾

 題字           糸見渓南

 

 ナレーター       芥川隆行

 

 オープニング 

 ナレーション作     早坂暁

 予告編ナレーター   野島一郎

 

 主題歌          あかね雲

 作詞           片桐和子

 作曲           平尾昌晃

 編曲           竜崎孝路

 唄             川田ともこ

 東芝レコード


 

 制作協力        京都映画株式会社

 

 監督           工藤栄一




 

 制作            朝日放送

                松竹株式会社

 

 

 ☆☆

 中村敦夫は引用映像の静止画像で出演、

ノークレジット

 

 山崎努=山﨑努

 

 早坂暁・野島一郎はノークレジット

 

 ☆☆

 「己代松」の表記は本編字幕に

依った

 ☆☆



 

  (画像出典

  『新必殺仕置人』DVD vol.1)

 

                    文中敬称略



 

                   南無阿弥陀仏