新正午浅草 荷風小伝 | 俺の命はウルトラ・アイ

新正午浅草 荷風小伝

 

『新正午浅草 荷風小伝』
演劇
作・演出 吉永仁郎
演出補 中島裕一郎
出演 水谷貞雄(永井荷風)
   
   松田史朗
   梶野稔
   佐々木研
 
   田畑ゆり
   白石珠江
  
   伊藤孝雄(永井久一郎)
 
平成三十一年(2019年)四月二十二日 
十三時三十分。紀伊国屋書店サザンシアター。
民藝の仲間409号。
 
  水谷貞雄は粋であった。飄々とした芸で永井
荷風の波瀾の人生を演じた。
 
 
  明治・大正・昭和の激動の時代に、永井荷風は
フランス文学に親しみ、沢山の女性達と恋愛をし
て放蕩無頼に遊びをなし妖艶な物語・文章を書い
た。
 
 舞台は、昭和三十二年千葉県市川市の自宅で
釜飯を作る荷風先生が、訪ねてきた昔の愛妾
お歌と歩みを確かめる。
 
  二十四歳で落語家三遊亭夢之介として修行し
ていたら厳格な父久一郎から、「アメリカに行
け」と命じられる。
 
 久一郎は、夢之介こと壮吉・荷風に「永井家
の家名を汚すな。女遊びも男の甲斐性だから
してもいいが、玄人と遊べ」と厳しく教えた。
 
 八十五歳の水谷貞雄が、永井荷風の二十四
歳から七十九歳の日々を、渋く爽やかにしなや
かに勤めたことに感嘆した。
 
 日中戦争を悲しみ、戦前は芸術院会員を断る
気概を持つものの、戦後年金欲しさに文化勲章
をもらい、ストリップ小屋に通う。
 
 「おっぱ× 触ってもいいわよ」という遊里
の女性達の艶やかな声が荷風先生の心に響く。
 
 その人間味は豊かで魅力的である。
 
 ラストは孤独な環境で急死する荷風の最期を
描く。
 
 
 
 伊藤孝雄の父久一郎の重厚さに圧倒された。
 
 
 水谷貞雄は昭和八年(1933年)十一月二十
六日生まれで現在八十九歳で今年九十歳にな
られる。
 
 伊藤孝雄は昭和十二年(1937年)一月三十一
日生まれで、本日八十六歳誕生日である。
 
 二人は驚異の若さで舞台に活躍している。
 
 
 

 平成三十一年(2019年)二月十八日(月曜日)

紀伊国屋サザンシアターにおいて『正造の石』を

鑑賞した。

 

 田中正造役で伊藤孝雄、福田英子役で樫山文枝

を客席で見た。

 

 全身で震えた。

 

 映画・テレビの名演を子供のころから拝見して

きた方々だが、ご本人の迫力・存在感は凄かった。

 

 

 

 

 標拓郎を演じた方伊藤孝雄。

 その人が田中正造・永井久一郎の役を舞台で

生きている。

 

 オーラや輝き等と言うものではない。

 

 伊藤孝雄は芸の鬼だ。

 

 田中正造・永井久一郎という全く違った人物を

鮮やかに演じ勤めておられた。

 

 伊藤孝雄八十代で若々しくて逞しくてカッコい

い。

 

 
 2019年4月22日。舞台鑑賞の後は中央線で移動
して十七時十分 ラピュタ阿佐ヶ谷において「錦之
助祭り」で『清水港の名物男 遠州森の石松』(映
画 トーキー 98分 カラー 東映スコープ
昭和三十三年(1958年)六月二十九日公開。
製作 東映京都 主演 初代中村錦之助後の
初代萬屋錦之介監督 マキノ雅弘後のマキノ
雅広)を鑑賞し錦兄の石松の男気に痺れ悲劇に
胸が熱くなった。
 
 名人マキノ雅広は石松の最期まで描かず斬
られるであろうと想像させるところで幕を閉
じる。
 
 近いうちに錦兄石松物語の感想記事を発表したい。
 
 「血湧き肉躍る任侠映画」企画を応援する。
 
 シネ・ヌ―ヴォにこのまま来て欲しい。
 
 『新正午浅草 荷風小伝』を教えて下さった
梶野稔様、ありがとうございます。
 
 伊藤孝雄様
 
 八十六歳お誕生日
 
 おめでとうございます。
 
 
               文中一部敬称略
 
                   合掌