必殺4 恨みはらします | 俺の命はウルトラ・アイ

必殺4 恨みはらします

『必殺4 恨みはらします』

 

映画 131分 トーキー カラー
昭和六十二年(1987年)六月六日封切
製作国 日本
製作言語 日本語
製作 朝日放送
   松竹株式会社
配給 松竹
 

制作   山内久司

     櫻井洋三

 

脚本   野上龍雄

     深作欣二

     中原朗       

 

音楽      平尾昌晃

        中村啓二郎

撮影      石原興

照明      中島利男

美術      太田誠一

編集      園井弘一

監督捕      津島勝 

助監督     原田徹

        原田真司

         酒井信行 

 

 出演
 
 

 藤田まこと(中村主水)

 

 村上弘明(鍛冶屋の政)

 かとうかずこ(便利屋お玉)

 ひかる一平(西順之助)

 

 三田村邦彦(飾り職人の秀)

 
 西田健(鬼塚)
 山内としお(田中)

 

 菅井きん(中村せん)

 白木万理(中村りつ)

 

 倍賞美津子(おふく)

 

 相楽ハル子(おみつ)

 岩戸隼人(長次)

 森田美樹(小姓)

 森永奈緒美(小姓)

 斉藤絵里(お弓)

 

 堤大二郎(神保主税)

 崎津隆介(多羅尾新八)

 誠吾大志(加賀爪久馬)

 高良隆志

 西田真吾

 甲斐道夫

 

 

 真田広之(奥田右京亮)

 

 

 石橋蓮司(安田小兵衛)

 草野大悟(楽屋番) 

 古舘ゆき(夜鷹)

 藤岡重慶(長尾監物)

 藤木孝(老蔭間)

 長坂しほり(将軍愛妾)

 小林ひとみ(お菊) 

 藤川聡

 稲田龍雄

 山田智之

 沢田祥二

 土井健守

 栗原敏

 峰蘭太郎

 伴勇太郎

 小峰隆司

 小船秋夫

 森下祐巳子

 岩尾正隆(目付)

 中村錦司(将軍)

 

 室田日出男(平野弥兵衛)

 本田博太郎(杉江伊織)

 笹野高史(安吉)

 阿波地大輔(不動)

 蟹江敬三(九蔵)

 

 成田三樹夫(酒井雅楽頭)

 岸田今日子(弁天)

 

 千葉真一(わらべや文七)

 

 

 監督 深作欣二

 

 ◎

 深作欣二=ふかさくきんじ

 

 原田眞=藤田まこと=はぐれ亭馬之助

 

 相楽ハル子=相楽晴子 

 

 真田広之=下澤広之=下沢広之

    =真田宏之=玉川大輔

    =デューク・ヘンリー・サナダ

 

 前田禎穂=千葉真一

    =JJ Sony Chiba

    =Sonny Chiba

    =和千永倫道

 

 

 ◎

 公開当時京都市内映画館(恐らくピカデ

リー)において鑑賞

 ◎

 南町奉行所で乱心した与力安田小兵衛

が奉行長井監物を刺殺した。同心中村主

水は厳しく咎められ半年扶持減額を命じ

られる。

 

 美男の新任奉行奥田右京亮は主水に冷

たい言葉をかける。

 

 居酒屋の主人おふくに惚れている主水は彼女

に愚痴を聞いてもらう。

 傾奇者の扮装をした神保ら旗本若者集団が

おけら長屋を荒し彼らに注意し子供を救おう

とした老浪人平野弥兵衛が死亡する。

 

 遺体には手裏剣が刺さっており主水は不審

に思う。だが右京亮は主水の訴えを退ける。

弥兵衛の娘お弓は深く悲しむ。

 

 仕事人元締弁天は身を売って父の怨みを

晴らしたいと望むお弓の依頼を受け神保ら

三人の成敗を課題にして引き受ける仕事人

を探す。

 

 義理の子供達を連れる仕事人文七と主水

が受けた。

 

 手裏剣を使う鋳掛屋九蔵を派遣し奥田は

殺しを為して野望の計画を進める。

 

 文七は主水と争いつつも義理の娘おみつに

噛まれ彼女から父ではなく男として意識され

ていることを語る。

 

 奥田の陰謀でおふくは殺される。

 

 文七は九蔵と戦って相討ちになり死亡する。

 

 老中酒井の陰謀により長屋の人々は犠牲

になった。酒井の部下として働き悪事を犯し

た奥田は下剋上を為して主人酒井をも牙に

かける。

 

 主水は奥田に戦を挑む。

 

 ◎まこと欣二チームの実現◎

 

 藤田まこと(ふじた・まこと)。本名原田眞。

別芸名はぐれ亭馬之助。映画俳優・テレビ俳優・

舞台俳優・歌手・司会者。

 昭和八年(1933年)四月十三日東京府東京市

生まれ。

 昭和四十八年(1973年)四月二十一日から

十月十三日に放送されたテレビ映画『必殺仕置

人』に中村主水役で出演する。以後テレビ・映

画・舞台でこの役を演じ当たり役とする。

 平成二十二年(2010年)二月十七日死去。

 七十六歳。

 

 

 深作欣二は昭和五年(1930年)七月三日茨城県

東茨城郡に誕生した。

 日本大学芸術学を経て昭和二十八年(1953年)

に東映に入社した。

 昭和三十六年(1936年)六月九日初監督作品

『風来坊探偵 赤い谷の惨劇』が公開される。

 

 スピーディーで鋭いリズムが作さんの写真に溢

れている。素早く鮮やかに物語を語る。

 アクションのリズムとテンポは光っている。凄

惨な暴力を描いて逆説的に暴力への痛みを語った。

 昭和四十・五十年代は東映のエース監督として

数々のやくざ映画の大傑作を発表し日本映画を牽引

した。

 『必殺仕掛人』一・二・二十四話を監督し、山

内久司・野上龍雄と『必殺仕置人』企画相談を為し

演出予定があったが、『仁義なき戦い』シリーズ

の契約の為監督を降板した。作さん自身も大いに

乗って希望していたテレビ映画演出であったが実現

せず、代役は工藤栄一が勤めた。

 平成十五年(2003年)一月十二日深作欣二は七

十二歳で死去した。

 

 

 真田広之は昭和三十五年(1960年)十月十二

日東京都生まれ。子役として活躍しジャパンアク

ションクラブで美男アクションスタアとして

活躍した。世界のスタアとして現在ハリウッド

で活動している。アル・パチーノを尊敬している。

 人気絶頂の二十六歳で初の悪役右京亮を勤め

悪の華を絢爛と咲かせた。

 

 前田禎穂は昭和十四年(1939年)一月二十二日 

福岡県に生まれた。

 昭和三十四年(1959年)東映に入社した。千葉

真一の芸名でテレビ・映画に出演する。前述の『風

来坊探偵 赤い谷の惨劇』を第一回主演作品とする。

アクションスタアとして世界の銀幕で大活躍を為し

た。

 令和三年(2021年)八月十九日千葉県にて死去

した。八十二歳。

 

 『必殺シリーズ』生みの親である深作欣二がシリ

ーズ十五年記念映画に監督として帰ってきた。作さ

ん自身希望していた『必殺仕置人』演出は無理であ

たが、仕置人中村主水役者藤田まこと主演作品を

映画版『必殺4』で演出することとなった。

 

 

 冷酷非情の美男奉行右京亮の陰謀に中年男性

仕事人文七・主水が挑むが弾き返される。おじ

さんや老人の老獪さに熱い若者が翻弄されやられ

ねじ伏せられるというドラマを作さんは得意にし

ていた。

 

 老獪な若者右京亮に中年文七が挑んで結果的

に倒される。これを弟子の真田広之と師の千葉

真一の演技で語ったことは興味深い。

 

 前述の通り真田広之は冷酷な魅力が光って

いる。

 

 千葉真一の凄みは流石であった。

 

 悪役美少年小姓の扮した森永奈緒美の妖しさ

は光っている。

 

 『必殺仕掛人 仕掛けて仕損じなし』で奉行

伴野を憎たらしさ全開で豪快に演じた室田日出

男が、新奉行奥田や九蔵に殺される優しき浪人

平野を渋く演じる。

 

 倍賞美津子が主水の憧れの人で、室田日出男・

石橋蓮司・藤岡重慶・草野大悟・岸田今日子・

成田三樹夫が出演と聞き、少年時代のわたくし

の胸はときめいた。

 

 前作の映画『必殺!Ⅲ 裏か表か』で成田三樹

夫演ずる舛屋仙右衛門は仕置されなかったので

再度この役を演じて貰えるだろうと予測した。

 「室田日出男・石橋蓮司・藤岡重慶・草野大悟

と過去の必殺シリーズで悪役名演を見せた人達が

出るということは強烈悪役軍団が結成されるだろ

う」と勝手に想像を膨らませた。

 『傷だらけの天使』で名チームを見せた岸田

今日子と深作欣二が組むことも嬉しかった。

 

 だが、本篇では前述の通り室さんは善人弥兵衛

役で蓮司・重慶・大悟の出番は僅少で落胆した。

 

 岸田今日子の元締弁天は流石に迫力があるが

この方の出番も短い。

 

 成田三樹夫は舛屋とは別人の老中役であった。

勿論迫力はあるが奥田に食われる役で巨悪で見た

かった。

 

 文七と九蔵の決闘場面はスタアサニー対悪役敬

三の激突で白眉であった。

 結局本作はこの激闘に尽きる。

 

 『必殺シリーズ』初作品『必殺仕掛人』「仕掛け

て仕損じなし」の流動芸術・「暗闘仕掛人殺し」の

重い切なさ・「士農工商大仕掛け」の殺しの喜劇

ドラマの鮮やかさは永遠の輝きを見せている。

 

 深作欣二企画相談テレビ映画『必殺仕置人』は全

二十六話が大傑作である。

 

 九蔵が鋳掛職人であることは『新必殺仕置人』に

おける中村嘉葎雄の己代松を想起させ、作さんも

シリーズ集大成を企図したと談話で語っていた。

 

 だが、『必殺仕掛人』『必殺仕置人』の無限の輝き

を思うと本作は遠く及ばない。

 

 『新必殺仕置人』「解散無用」を1977年11月4日

に視聴し全身で震えた。テレビ映画の命が燃えた。

 

 『必殺4 恨みはらします』は程よい小佳作であり、

藤田まこと主演、野上龍雄脚本、深作欣二監督作品

としては物足りない。既に朝日放送・松竹に本気で

『必殺』を撮る気力が無くなっていることを痛感し

た。

 

 内山聖子製作・東山紀之主演『必殺仕事人』シリ

ーズ等問題外以前の愚作で時間の無駄でしかない。

有害番組制作は止めて頂きたい。

 

 『必殺シリーズ』は1977年11月4日に終了し、藤田

まこと主演、野上龍雄脚本、深作欣二監督で関連作品

を製作撮影すべきだったのだ。

 

 

                  南無阿弥陀仏