楽園からの旅人 | 俺の命はウルトラ・アイ

楽園からの旅人

『楽園からの旅人』

il villaggio di cartone

  映画 トーキー 87分 カラー

 2011年 イタリア公開

 2013年8月17日 日本岩波ホールにて公開

 製作国 イタリア

 製作言語 イタリア語

 

 脚本 エルマンノ・オルミ

 脚本執筆協力 クラウディオ・マグリス

        ジャンフランコ・ラヴァージ

 音楽 ソフィア・グバイドゥリーナ

 撮影 ファビオ・オルミ

 編集 パオロ・コッティニョーラ

 美術 ジュゼッペ・ピロッタ

 衣装 マウリッツィオ・ミッレノッティ

 録音 フランチェスコ・リオタルド

 共同制作 チネマウンディチ

      ライ・チネマ

 制作  ルイジ・ムチーニ

 

 

 

 出演 

 

 マイケル・ロンズデイル(老司祭)

 

 ルトガー・ハウアー(教会堂管理人)

 

 アレッサンドロ・アベル(保安部隊長)

 マッシモ・デ・フランコヴィッチ(医者)

 エルハジ・イブラヒマ・フェイ(救援者)

   イルマ・ピノ・ヴィネ(マグダ)

 ファティマ(ファティマ)

 サミュエル・レオン・デルロイ(吟遊詩人)

 フェルナンド・チロンダ(ケルビム 智天使)

 スレイマン・ソウ(過激派)

 リンダ・ケニー(母親)

 ブレーズ・オウリアン・ングング・エスア

 (父親)

 プロスパー・エリア・ケニー(子供)

 ヘブン・トゥエリド(ミリアム)

 ラシディ・オサロ・サマー(少年)

 

 監督 エルマンノ・オルミ

 

 ◎

 マイケル・ロンズデイル=ミシェル・ロンダール

 ◎

  鑑賞日時 

  2013年10月19日 京都シネマにて鑑賞

 ◎

 イタリアにおいて五十年間人々が集うた

教会が取り壊されようとしている。作業員

は素早く解体工事を為す。キリスト磔刑像

が引き摺りおろされる。 

 老いた司祭にとって略奪と感じる程辛い

出来事であった。

 

 夜に傷を負った技師の男性が不法入国者

の家族を連れて司祭館に現れた。

 アフリカからやってきた人々が教会堂に

来た。

 教会堂に小さな村のような集いが成り立

つ。

 

 一つのグループでは懐妊した女性以外の

メンバーは亡くなった。別のグループでは

過激思想を確かめ暴力で矛盾を糺そうとして

いる。

 技師は言葉の力を大事にする。

 

 少年は難破船で拾ったノートを大切にしてい

る。

 「全ての子は一つの母から生まれた」とい

う言葉が書かれている。

 

 妊娠していた女性が出産する。

 

 老司祭はキリストの誕生を想い起し深謝の

祈りを捧げる。

 

 若者達に恋が芽生えようとしている。

 

 地区の保安警察が不法移民の取締りで現

れる。

 

 司祭は「全ての人に教会は開かれている」

と明言する。

 

 

 ☆老司祭の祈り☆

 

 Ermanno Olmi

 

オルミ師

  エルマンノ・オルミ

 映画監督・脚本家・映画プロデューサー・

  撮影監督。 

 

 

  1931年7月24日イタリアロンバルディー州ベル

 ガモ県生まれ。

  1959年第一回監督作品『時は止まりぬ』 

   Il tempo si è  fermato を発表。

 1961年監督作品『定職』 Il postoを発表。

 1963年監督作品『婚約者たち』 Ifidanzatiを発表。

 1965年監督作品『人、来たれり』 E venneun uomo

 を発表。


 1967年監督作品『若き恋物語』 Raconti di giovani

 amori を発表。

 1969年監督作品『ある日』 Un certo giornoを発表。

 1970年監督作品『回収者たち』 I recuperantiを発表。

 1971年監督作品『夏の間』 Durante l’estateを発表。

 1974年監督作品『状況』 La cirecostanzaを発表。

 

 1978年5月 カンヌ国際映画祭にて監督作品

       『木靴の樹』が公開される。

 

 1983年監督作品『歩け歩け』Camminacamminaを発表。


 1987年監督作品『偽りの晩餐』 Lunga vita alla

signoraを発表。

 

 1988年監督作品『聖なる酔っぱらいの伝説』

 La legendadel santo bevitoreを発表。

 

 1993年監督作品『ボスコ・ベッキオの秘密』 

Il segretodel bosco vechio を発表.

 

 

 1994年監督作品『創世記 天地創造と大洪水』 Gensi:

La creazione e il diluvioを発表。

 

  2001年監督作品『ジョヴァンニ』 Il mestiere delle

armiを発表。

 

 

 2003年監督作品『屏風の陰で歌いながら』 Cantando

dietro i paraventiを発表。

 

 2005年監督作品『明日へのチケット』Ticketsを発表。

 

  2007年3月30日監督作品『ポー川のひかり』Cento

Choidiが公開さる。

 

 2011年監督作品『楽園からの旅人』il villaggio di

cartoneを発表。

 

 2014年11月16日監督作品『緑はよみがえる』

が公開さる。

 

 2018年5月7日 死去。86歳。

 

 

 

 マイケル・ロンズテイル

 Michael Lonsdale

 俳優・舞台演出家

 1931年5月24日フランスに誕生。

 父はイギリス人、母はアイルランド人である。

 1955年フランスにおいて初舞台を踏み、1956 

 年より映画にも出演。

 多彩な芸で世界各国の銀幕で活躍する。200

 本以上の作品に出演したと言われている。

 2020年9月20日フランスにおいて89歳で死去。

 

 マイケル・ロンズデイルとエルマンノ・オルミ

は生年月日が丁度二か月違いである。

 二人にとって八十歳になる2011年に潰される

教会を舞台にして人が集う場を確かめた作品が

生み出された。

 

 主人公の老司祭役をマイケル・ロンズデイル

が重厚な演技で勤めた。その深い存在感に圧倒

された。

 

 キリストの言葉に学ぶ司祭をマイケルが豊か

な芸で生きる。

 

 冒頭の教会取り壊しが悲しい。作業員にとっ

てはせざるを得ない仕事なのだが、司祭にとっ

ては聖人画・装飾が外されキリスト磔刑像が下

ろされ教会自体が無用の物とされてしまう事は

悲痛な出来事なのだ。

 

 2009年9月21日シネ・リーブル神戸で『ポー

川のひかり』を見聞した。

 オルミ監督は当時最後の劇映画として撮りたい

と宣言して演出した。ラズ・デガンの教授が平和

への祈りを語り明日への希望を感じた。

 

 前言を撤回してエルマンノ・オルミは2011年に

『楽園からの旅人』のシナリオを書き撮り発表し

た。

 『楽園からの旅人』の序盤の重く厳しいムードに

心身を挙げて震え緊張した。教会が要らない物とし

て取り壊される。老司祭が傷つく。

 商業主義の流れがキリスト教の場を不要の物とし

て排斥することへの痛みがある。

 

 アフリカからの移民達が集い教会の在り方を司祭

は再発見する。

 司祭が移民たちを受け入れ場所を開いた事は確か

だが、移民達が司祭にキリスト教の集いとしての教

会を教える機会を恵んだと見た。

 

 老いて潰される教会で司祭は来訪者達との交流で

キリスト教を学び直したのである。

 

  典礼儀式や金色に輝く祭壇としての教会ではな

  く、困窮した人々、見捨てられた人々を保護し、

  心の支えとなる「神の家」としての教会だ。

  そのような人々こそ「神の御堂」の真の装飾な

  のである。

  そして、老司祭も生きがいとして、愛徳と友愛

  への新たな道を見出す。

  (『楽園からの旅人』パンフレット 6頁

   エルマンノ・オルミ稿『再生が始まる』

   2013年8月17日発行 岩波ホール)

 

 エルマンノ・オルミは神の家において神の御堂の装

飾の人々を確かめ再生が始まる物語を撮ったことを

確かめている。

 

  現代の私たちは、核を手にした上に、遺伝学によ

  って、この「命の木」にも手をのばしています。

  いったい何をしようとしているのでしょうか。

  (『楽園からの旅人』パンフレット 7頁

   エルマンノ・オルミインタビュー

   2013年8月17日発行 岩波ホール)

 

 エデンの園の「命の木」にまで人間の手が伸びつつ

ある。

 核兵器による破壊にオルミは心を痛めた。

 

 

 『緑はよみがえる』Torneranno i Pratiは2016

年4月23日に日本で公開されたが、エルマンノ・

オルミはメッセージで二度原子爆弾を受けた日本

を「どの国よりも苦痛を味わった国」と確かめ、

命の尊さと平和への道を「日本に教えて頂きたい」

と語った。

 

 2022年7月24日の現代地球においてウクライナ

ではロシアの侵略があり、ファイザー社・モデルナ

社の危険薬品への接種が行われている。

 

 命が傷つけられている。

 

 ウクライナにおける戦争が終わる事を祈る。

 

 ファイザー社・モデルナ社の危険薬品の注射接

種が終わる事を心から祈っている。

 

 致死・重病惹起・チップ・回虫入りの薬品を

ワクチンと称して人々に注射することを直ちに

止めて欲しい。

 

 2022年6月からイタリアではようやくワクチ

ン接種証明書が不要になった。

 

 日本ではコンビニエンスストアでワクチン接

種証明書が発行されるという。

 自分はファイザー社・モデルナ社薬品接種完

全拒絶者でこれからも危険薬品の注射は断る。

 

 日本でコロナ感染が増大したのはワクチンと

称される薬品の接種強要政策が因であることは

明白であろう。

 

 命を潰して金を儲けるという政策に世界の指

導者達が溺れていることが問題の根幹にある。

 

 2013年にエルマンノ・マイケルの二人が演出・

主演した映画の教えに今こそ地球人は学ぶ時な

のだ。

 

 傷つき苦しむ人々が集う場が教会である。

 

 老司祭の教えに学ぶ。

 

 2022年7月29日岩波ホールが閉館する。

 

 世界の映画藝術を伝えて開く場であった。

 

 商業主義の流れのもと岩波ホールが閉じら

れることは悲しい。

 

 

 自分は岩波ホールで鑑賞した作品は『芙蓉

鎮』一本のみである。

 

 だが、神保町岩波ホールで上映された作品

達は日本各地の名画座で上映され、映画ファン

の心に感動を呼び起こした。

 

 『楽園からの旅人』もその一本である。

 

 移民たちは教会での夜を過ごした後、それぞ

れの道を目指して歩んでいく。

 

 教会の取り壊しも近い。

 

 だが、神の家で過ごした事は司祭や旅人達

に命の大切さを実感せしめた。

 

 岩波ホールは29日に閉館しても、世界の映画

藝術を尊ぶ心は出会った人間達の内面で燃え続

ける。

 

 『楽園からの旅人』の教会と日本初上映地

岩波ホールは照応していることを感じる。

 

 「武装で平和は成り立たちません。平和への祈

りによって成り立って行きます」と日本に語った

エルマンノ・オルミ監督の教えに学び日本国憲法

第九条戦争放棄の改変を阻止したい。

 

 厳しく痛ましい出来事に出会いつつ取り壊され

ようとしている教会が神の家であることを老司祭

は見出した。

 

 マイケル・ロンズデイルの祈りの声を心で聞く。

 

 エルマンノ・オルミ九十一回目の誕生日

               2022年7月24日

 

 

                    合掌

 

 

                   セブン