戦争と人間 完結篇 後半 ノモンハン事件 俊介「天皇に聞けよ」
白黒映像・染色映像有り
昭和四十八年（1973年）八月十一封切
製作国 日本
製作言語 日本語
中国語
ロシア語
製作会社 日活
出演者
芦田伸介（伍代喬介）
荒川常夫
粟津鯱（フルヤ）
飯島正明
石井弘三（島貫武治）
伊豆見英輔（おたふくの客）
市原久（民間企業代表 フルヤに面会に来る父親）
市村博（中国人兵士）
伊藤孝雄（標拓郎）
井上博一（種田）
井上正彦（東條英機）
上田耕一（憲兵）
江原真二郎（灰山浩一）
大庭泉
近江大介
萩原実次郎（植田憲吉）
小沢弘治（兵士）
笠井一彦（運転手）
加地健太郎（中隊長）
桂小かん（おたふく主人）
川副博敏
加藤嘉（雨宮公一郎）
金親俊雄（兵士）
柿沢英二（憲兵）
河合英二郎（中国人）
神部作蔵（寺田雅雄）
木島一郎
北大路欣也（伍代俊介）
北上忠行（兵士）
木俣定雄
久遠利三（萩洲中将）
倉田地三
小林尚臣（星野二郎）
小林亘（苫の同僚）
小杉勇二（伍代産業調査室員）
小宮山玉樹
佐々木雄二
佐藤正夫（小島正一）
佐藤了一
里見たかし
沢田正
島村謙次（苫の同僚）
清水幹生（カラサワ）
下川辰平（特高刑事）
白井鋭
菅原義雄（おたふくの客）
鈴木瑞穂（田島）
千歩憲生
高橋明（稲田正純）
高橋悦史（伍代英介）
高橋英樹（柘植進太郎）
高山彰
滝沢修（伍代由介）
谷文夫（隊長 兵士）
田畑善彦（憲兵）
田村幹人（労務係）
長弘（岩畔豪雄）
露木護（秘書）
手塚実（片桐衷）
中平哲什（耕平の上官）
西島悌四郎（陸軍大佐）
野村隆（上官）
畠山麦（兵士）
波多野憲（武井弘通）
原田清人（少佐）
久松洪介（結婚披露宴出席者）
百良雄（服部半四郎）
氷室政司（兵士）
藤岡重慶（板垣征四郎）
藤原釜足（苫の父）
アドルフ・ヒトラー
裕仁
古川信勝（兵士）
細井雅男
松井石根
三上剛（伍代産業社員）
三浦威
水木京一（郵便局配達員）
三宅康夫
ベニート・ムッソリーニ
村岡章
八代康二（小松原道太郎）
山本圭（標耕平 ノモンハン事件死体）
山本麟一（辻政信）
吉田勇雄（中国人）
吉田真
吉田次昭（標耕平 少年時代）
吉田朗人
力石民穂
和田昌治（磯谷康介）
渡部猛（関東軍参謀）
浅丘ルリ子（伍代由紀子後に雨宮由紀子）
市川亜矢子（芸者ウメヨ）
絵沢萠子（女給）
大谷木静子（仲居）
片桐夕子（女学生）
加納愛子（結婚披露宴客 中国人女性）
佐藤萬里（伍代順子 少女期）
堺美紀子（雨宮公一郎夫人）
坂巻洋子（美容師）
佐川明子（美容師）
高山千草（苫の同僚）
田中筆子（苫の母）
夏純子（苫）
二篠朱実（看護師）
水戸光子（滝）
茂木みゆき（中国人少女）
山科ゆり（喬介秘書）
吉永小百合（伍代順子後に標順子）
協力
俳優座
文学座
劇団民芸
ナレーター 鈴木瑞穂
監督 山本薩夫
原作 五味川純平
企画 大塚和
武田靖
宮古とく子
脚本 山田信夫
武田敦
照明 熊谷秀夫
録音 古山恒夫
美術 横尾嘉良
大村武
編集 鈴木晄
音楽 佐藤勝
助監督 岡本孝二
佐藤俊夫
製作担当者 天野勝正
青木勝彦
色彩計測 田村輝行
軍事指導 木島一郎
協力監督 河崎保
二キタ・オルロフ
協力 アエロフート
ソ連航空
現像 東洋現像所
☆
アドルフ・ヒトラー、裕仁、ベニート・ムッソ
リーニ、松井石根は引用映像出演。
山本圭は、耕平の他にノモンハン事件の死体
役で出演したとインタビューで語っている。
井上博一の役名は資料にとっては谷田もある。
☆
鑑賞日時場所
平成二十七年（2015年）九月七日
シネ・ヌーヴォ
☆
台詞の引用、シークエンスの考察は研究・学習
の為です。
日活様におかれましては、ご寛恕を賜りますよう
お願い申し上げます。
本篇に従い「支那」の用語を引用します。本篇通
り差別用語「ちゃんころ」「を引用します。ご了承
下さい。
感想文では物語の核心に言及します。
未見の方は御注意下さい。
☆
東條英機は財界人を集めソビエト・支那二方面
の戦闘を開始すべきと戦略を語る。
伍代家で英介は父由介が東條発言を軽率と評し
た事に落胆する。アメリカに様々に依存している
日本は中ソとの戦争は無理と由介は警告する。
日独手を組んでソ連を叩くと英介は強硬に述べ
る。
雨宮公一郎はソビエトは甘くないようですよ
と注意し俊介君の分析からも戦争は無理でしょ
うと英介に注意する。俊介は非国民ですと英介
は弟を軽侮する。
由介は馬鹿な奴だが数字に変わりはないと次
男が出した研究は評価する。
英介は貴方の考えは日本人として失格で欧米
的で一日も早く引退し僕に任せませんかと父に
迫る。
耕平の所属する襲撃し中国人と戦い耕平は中国
人兵士を殺傷し苦悩する。負傷した種田は戦争だ
からやむを得ないと語る。
セツルメント活動を為す順子の元に姉雨宮由紀子
が現れ、「此処は貴女の居るところじゃないわ」と
告げお父様はああいう方だから口に出さないけれども
「順ちゃんの事を心配しているのよ」と伍代家帰還
を促す。
順子は女の子と語り合い、姉にあの子のお父さん
は工場で働いていて機械に挟まれて死んだのと告げ
勤務先の会社は本人過失として補償はおろか一銭も
払っていないのと嘆く。
「酷い会社ね」と由起子も怒る。
「その会社、伍代産業よ」という妹の言葉に
由起子も愕然とする。
昭和十三年（1938年）十一月三十日
山西省玉朋関。
耕平の所属する舞台は中国人が居住する部落を
襲撃し民を虐殺し女性を強姦する。強姦殺害され
た女性の遺体を日本兵が川に捨てる。
老人男性と孫娘らしき少女が銃で狙われる。老人
は抗議し殺される。耕平は少女を殺せと命じられ
撃たない。
「貴様。それでも帝国軍人か！」と上官は耕平に
殴る蹴るの暴行を加える。だが上官は撃たれる。
八路軍が侵略者裕仁統帥軍隊から人々を救出に
来たのだ。
耕平は気を失って倒れる。
俊介は徴兵された。「天皇陛下からお借りした
銃」は大切にしろと上官に注意される。
中隊に呼び出された俊介は柘植進太郎少佐と再
会する。
柘植は立派な兵隊になったねと俊介の勤務を讃
える。
伍代家で由紀子は父由介に実家伍代に帰ってい
いと頼む。順ちゃんが羨ましいのと語る。
「順子もきっと帰ってくる」
由介は貧乏人を救う等と冷笑する。
秘書武井はソビエト・満州で何かが起こりそう
ですと由介に報告する。
伍代由介は階段を昇り長女由起子に「雨宮の人間
だ」と彼女の嫁ぎ先を確かめ「帰りなさい」と告げ
て実家帰還を拒否し別室に入った。
順子は耕平の死亡通知を受け取り深く悲しんだ
が、憲兵隊に乱入され、耕平写真を強奪されそう
になり、兵隊から耕平が日本軍を脱出したことを
聞き、歓喜する。
昭和十四年（1939年）五月満州国とモンゴル共
和国国境ノモンハンで大日本帝国とソビエト連邦の
対立紛争が起こった。緊張関係の中辻政信は「関東
軍司令官は満州の防衛に任ずべしという大命」を
ソビエト連邦軍を叩いて日ソ全面戦争は回避する
と作戦を立てる。
伍代喬介は辻にこれだけの衝突ならば局地戦争
であるから精鋭の第七師団を派遣して一挙にソビ
エト連邦軍を叩くべきだと強硬に述べる。
「戦争は我々に任せて頂きたい」と辻は笑み伍
代さんにはトラック等の物資の支援をお願いした
いと望む。
板垣征四郎が「関東軍の好きにさせればよい」と
語った事で辻の作戦は認められる。
伍代俊介は部隊で銃の整備をする。同僚の兵隊
が可愛い顔したいいケツして胸のでかい女給とも
う一発やりてえと猥談をする声を聴く。仲間の兵士
にその女は新京まで大金持ちの男を追ってやって
きたがあんないい女を振った男の気持ちがわから
ねえと語り、同僚の兵士は俺を連れていけよと笑
う。
俊介は苫が他の男に抱かれた事に悩みつつ
苦悶振り払うかのように銃の整備を続ける。
苫は女給として働いている。
上官から「ちゃんころみたいな負け犬根性見
せやがると承知しねえぞ」と俊介は注意される。
七月日ソの対立緊張は激しくなる。俊介は戦場
に派遣される。
苫は入院し治療を受ける兵士の介護を為し、一
人の負傷兵から「伍代さん。助けてくれた。」と
いう言葉を聞き俊介の生存を確かめる。
柘植進太郎少佐は戦争の拡大は危険であると
進言するが軍の上層部は全く聞かない。
八月のノモンハンで日ソの戦いは更に激化
する。
進太郎と俊介は戦地で再会する。「苦労し
てるんだな」と進太郎は俊介を気遣う。
「明日の事は分からんが、できれば東京
の伍代邸で又会いたいもんだな。死ぬ
なよ。」
進太郎は俊介に再会の夢を語り合い命を大
事にしろと伝える。
大日本帝国軍隊とソビエト連邦軍隊の激闘
が展開する。
伍代俊介は壮絶な戦闘をくぐりながら命の
危機を突破することに全力を尽くす。
☆戦争の真っただ中で命を生きる☆
山本薩夫監督は明治四十三年（1910年）
七月十五日鹿児島県に誕生した。
活動大写真に燃える青春を過ごし早稲田
高等学院在学中から左翼運動にも情熱を燃
やした。
伊藤大輔の勧めで成瀬巳喜男に学んだ。
反戦平和の物語を撮る巨匠として活躍した。
第三部は中国戦線とノモンハン戦線に
焦点をしぼり、戦争のもたらす悪を徹
底的に描き、中国に於ける侵略、その
中で行った日本軍の大虐殺。この歴史的
事実を忠実に再現、その侵略戦争で誰
がもうけたか？ひとにぎりの軍閥と資
本家の利益のために何百万人の命が失
われた戦争をお互いに反対を叫びたい
（『戦争と人間』三部作DVD
解説ブックレット56頁）
本作のパンフレットに収録された監督の
意図がDVDブックレットに再録されている。
裕仁統帥大日本帝国軍隊が侵した中華民
国市民の大虐殺を歴史的事実に忠実に描き
糾弾する。
日中戦争・ノモンハン事件で儲け莫大な
利益を軍閥と資本家が得たことを明らかに
する。
民は塗炭の苦しみを味わい男は戦場に送
られ外国人兵士との殺し合いを為す。
女は最愛の人と引き裂かれ帰還を待つ。
ノモンハン事件と呼ばれているが実際は
大日本帝国・ソビエト連邦の国境戦争であ
る。
戦場で標耕平は中華民国市民を殺せない。
上官から叱られ殴られても中華民国市民の
命を奪い殺害することは耕平にはどうしても
できないことであった。
殺し合いの戦争の中で殺し合いを拒否し
命を尊ぶ。
これは五味川純平が求めた道であり、山本
薩夫も尋ねた事柄であろう。
殺し合いを強いられる環境で「殺すな」の
精神を貫く。
山本圭が体当たりで耕平を熱演する。
東條英機はソビエト・支那に方面の戦争が必
要と財界人に訴え英介は共鳴し、由介は慎重に
なる。英介は父に引退を求め伍代社長を要求す
る。
息子に引退をせまられて悠々と受け流す由介
を滝沢修が重厚に演じる。
戦闘で耕平は遂に中華民国市民の命を奪って
しまい苦悩する。平和を願っても平和に生きれる
とは限らない。種田の言葉を聞いても耕平の悲
しみは深い。
浅丘ルリ子と吉永小百合の二大スタアの姉妹
共演は迫力豊かだ。
順子は労働で大怪我をした労働者を父由介体
制の伍代産業が見捨てたことを姉由紀子に告げ
る。
122分を経て高橋英樹が登場する。アメーバ
ブロガーとしても大活躍されている。公開当時
二十九歳の若さで堂々たる風格を見せる。
高橋英樹と三十歳北大路欣也の美男若手スタア二
人が極限状況で生を確かめ合う平和主義者の二軍人
を深く勤める。
戦争を止めたくても止められず巻き込まれ戦い
を余儀なくされる。
滝沢修が伍代家当主由介の厳格さを重厚に見せ
る。由起子の実家帰還を拒絶し雨宮家に帰りなさ
いと告げるシーンが最後の出番になった。
愛娘が帰り新たに夢中になれるものを探したい
と夢を語る心を察しつつ財閥の友雨宮への義理も
あり心を鬼にして雨宮家に帰るように説く。
明治三十九年（1906年）十一月十三日東京府に
誕生した滝沢修は平和・人権の運動に尽力した演劇
人で映像においても沢山の名演を発表した。
本名は滝沢脩である。戦争中は左翼平和運動で投
獄されたこともある。
平成十二年（2000年）六月二十二日九十三歳で
死去した。
大日本帝国の戦争を支える財閥伍代由介役を
重厚深遠な芸で勤め気品と風格を見せた。
『戦争と人間』全三部作を支えるものは主演滝
沢修の大いなる名演である。
憲兵役は若き日の上田耕一のようだ。
虐められる順子役の吉永小百合と虐める憲兵役
の上田耕一は共に日本国憲法第九条戦争放棄守護
に取り組んでいる。
非国民・脱走兵・裏切者と憲兵に嘲られても順
子は最愛の夫が生きていることに感激する。
「耕平さん」と順子が叫ぶシーンには吉永小百
合自身の平和希求の精神と呼応している。
辻政信や板垣征四郎は突撃の観念でソビ
エト連邦との戦いを決めてしまう。日ソ全
面戦争回避の為の戦いと掲げながら日ソの
兵士の尊い命が戦いで奪われる。
藤岡重慶が凄み豊かに板垣征四郎を演じ
る。
好戦主義者の伍代喬介は一気に精鋭第七
師団でソビエト連邦を叩くべきと進言する
が辻政信は作戦を任せて頂きたいと告げる。
芦田伸介は大正六年（1917年）三月十四
日に誕生した。平成二十一年（1999年）一
月九日、八十一歳で死去した。
本名は蘆田義道（あしだ・よしみち）であ
る。
強硬論の政商喬介においても、関東軍作戦に
疑問を覚える心理を芦田伸介が繊細に演じる。
第三部においては野心家喬介にも老いが訪
れていることが確かめられている。
本作の舞台版『伍代家の滅亡』を企画したと
DVDブックレット所収のインタビューで芦田伸
介は語っている。
山本麟一が老獪な辻政信を粘り強く演じ
る。
柘植進太郎と伍代俊介が東京伍代邸での
再会を約すシーンに死を前にする兵士の生
への願いを学んだ。
ノモンハン事件の戦闘シーンは凄まじい。
山本薩夫監督と二キタ・オルロフ監督の演
出により、恐るべき戦場の殺し合いの凄惨さ
が重厚に描かれる。
ソビエト連邦軍戦車が歩み日本軍兵士が塹
壕で轢き殺される。
日本軍兵士が火炎瓶や爆薬を投げ戦車が炎
上する。
八月二十九日の戦場。
雨宮由紀子が伍代邸でピアノを弾く。
柘植進太郎は戦場で突撃する。
浅丘ルリ子と高橋英樹が戦争で引き裂かれて
も心と心で通じ合う恋人達の絆を深い芸で現す。
昭和十五年（1940年）七月二日浅丘ルリ子
は満州国に誕生した。本名は浅井信子である。
昭和二十一年（1946年）に引き揚げ、昭和二
十九年（1954年）に映画『緑はるかに』ヒロイ
ンルリコ役に応募し役に選ばれルリコ役から浅
丘ルリ子の芸名を与えられ映画は昭和三十年（
1955年）に公開された。
山本薩夫監督のメロドラマ演出の美は三部作
において極りを見せているが、東京伍代邸の
由紀子のピアノ演奏とノモンハンの進太郎激闘
の照応シーンは恋愛名場面の決定版だ。
ノモンハンの戦場で戦友と再会した俊介はマ
キシム機関銃で水を得て渇きを癒す。
「これからどうなる」という戦友の問いに「天
皇に聞けよ」と統帥者裕仁の責任を糾弾する。
山本薩夫は日中戦争・ノモンハン事件の責任者
は天皇裕仁であることを確認し、裕仁を糾弾する。
北大路欣也が地獄の戦場を生き残り猛暑の中
水を求めて歩む俊介を体当たりで演じる。
昭和十八年（1943年）二月二十三日、北大路
欣也は京都府に誕生した。本名は淺井将勝（あさ
い・まさかつ）である。
父淺井善之助は市川右太衛門の芸名で活躍した
映画スタアである。
昭和三十一年（1956年）映画デビューを果た
す。
早稲田大学において演劇を学ぶ。
二十八歳・三十歳で『戦争と人間』二・三部で
平和主義者伍代俊介を体当たりで演じた。
初登場時は剣道胴着を着た美青年で最後のシーン
では髭だらけで水を渇望する兵士である。
伍代家御曹司として生まれたが平和主義を捨て
きれず軍隊に召集され殺し合いを強いられてその
極限状況で平和を求める。
俊介の苦闘を北大路欣也が探求する。
山本薩夫監督はノモンハン事件における壮絶
な戦闘を描いた。
日本映画の歴史において戦争映画を代表する
大傑作である。
完結と名付けたものの第四部を製作し東京裁
判で戦争犯罪者を追求したいという夢をパンフ
レットで語っている。
滝沢修・芦田伸介・浅丘ルリ子にとって戦争の時代
の苦闘を確かめ戦争の恐ろしさを演技で伝えるという
課題があったのではなかろうか？
伍代由介/滝沢修
伍代喬介/芦田伸介
伍代英介/高橋悦史
伍代由紀子後に雨宮由紀子/浅丘ルリ子
灰山浩一/江原真二郎
板垣征四郎/藤岡重慶
武居弘通/波多野憲
お滝/水戸光子
柘植進太郎/高橋英樹
九人は三部作一人一役で出演している。
舞台鑑賞で伊藤孝雄・五代目中村勘九郎後の
十八代目中村勘三郎を客席から見た。
俊介と苫のように偶然戦地で再会し短時間に
愛を確かめあった恋人達もいるかもあしれない。
ノモンハン事件という残酷な戦いの後日中戦
争は続き太平洋戦争という新たな猛火が広がっ
ていく。
山本薩夫は天皇・軍閥が起こした戦争が
地球人を殺した事を糾弾した。
その勇気に学び、新たな戦争を止めたい。
本作封切十年記念日の昭和五十八年（1983年）
八月十一日に山本薩夫は七十三歳で死去した。
山本薩夫監督の戦争反対・平和希求の願いは
『戦争と人間』三部作映像の中に熱く燃えてい
る。
『戦争と人間 完結篇』公開五十年
山本薩夫没後四十年・四十一回忌命日
令和五年（2023年）八月十一日
合掌
