新必殺仕置人 悪縁無用
『新必殺仕置人』「悪縁無用」
テレビ映画 トーキー 54分
カラー（一部白黒）
昭和五十二年（1977年）三月十八日放映
朝日放送系
のさばる悪を なんとする
天の裁きは 待ってはおれぬ
この世の正義も あてにはならぬ
闇に裁いて 仕置する
南無阿弥陀仏
おりくは深川で美人と評判になる女性だった。
彼女を描く浮世絵は大人気を博している。
彼女を気に入る旦那衆も多いが、おりくは首
肯しない。
ある夜、無宿人の音吉に追われたおりくは、
己代松の家に逃げ込んだ。匿った松は一目惚れ
する。
寅の会で音吉の命が競りにかかり鉄が落札し
た。
正八はおりくについて聞いていた男を語り、そ
の人物が首に傷のある男音吉と聞き、松は「俺に
殺らせろ」と仕置を希望する。
音吉は瓦版屋の長次と組み、おりくには文太とい
う隠し子の息子がいることを暴き、店を辞職させ、更
には文太を拉致した。文太を誘拐しおりくを絵師雅泉
堂に描かせるという作戦だ。
音吉たちに苦しめられておりくは松に過去を語る。
六年前地廻りの音吉に身体を奪われたおりくは、
美人局に協力させられた。
音吉を刺そうとしたが果たせず入牢し、音吉の息子
文太を出産した。
寅の会では音吉に加え、雅泉堂と長次の命も競り
にかけられた。
松の怒りの竹鉄砲が音吉に火を噴く。
☆松の恋の銃撃☆
中村嘉葎雄が松の片思いを熱演する。美女おりくに
一目惚れして彼女の窮状を聞き何とか助けようとする。
一途な片思いは熱い。
大関優子後の佳那晃子が美しい。
早川保は色悪の悪の名優だが、音吉役の凄みは光っ
ている。女を食い物にして骨までしゃぶろうとするワルを
憎たらしさたっぷりに表現する。それでいて男の色気も
光っている。
夜の堀で、音吉を怒鳴りつけて銃殺する松は怖い。
恋の銃弾が炸裂する。
おりくの大敵・自身の恋敵音吉を仕置するが、お
りくの幸を祈り、松は身を引く。その心が切ない。
ラストのおりくと文太の母息子の絆が心に迫る。
保利吉紀の繊細な脚本、松野宏軌の重厚な演出
が男の一途な愛の物語を繊細に語った。
キャスト
藤田まこと（中村主水）
中村嘉葎雄（己代松）
火野正平（正八）
中尾ミエ（おてい）
河原崎建三（死神）
大関優子（おりく）
園田裕久（長次）
北村英三（雅泉堂）
松井加容子（おうめ）
近江輝子（おせん）
藤村富美男（元締虎）
北村光生（吉蔵）
尾崎弥栄（小娘）
吉田隆之（文太）
入江慎也（秋田屋）
八代郷子（居酒屋女将）
大橋紀子（おみつ）
小林加奈枝（婆さん）
藤川準（世話役）
瀬下和久（闇の俳諧師）
藤沢薫（闇の俳諧師）
原聖四郎（闇の俳諧師）
堀北幸夫（闇の俳諧師）
沖時男（闇の俳諧師）
早川保（音吉）
菅井きん（中村せん）
白木万理（中村りつ）
山崎努（念仏の鉄）
スタッフ
制作 山内久司（朝日放送）
仲川利久（朝日放送）
桜井洋三（松竹）
脚本 保利吉紀
音楽 平尾昌晃
編曲 竜崎孝路
撮影 石原興
製作主任 渡辺寿男
美術 川村鬼世志
照明 中島利男
録音 二見忠行
調音 本田文人
編集 園井弘一
助監督 松永彦一
装飾 玉井憲一
記録 杉山栄理子
進行 黒田満重
特技 宍戸大全
装置 新映美術工芸
床山結髪 八木かつら
衣装 松竹衣裳
小道具 高津商会
現像 東洋現像所
制作補 佐生哲雄
殺陣 美山晋八
布目真爾
題字 糸見渓南
ナレーター 芥川隆行
オープニング
ナレーション作 早坂暁
予告編ナレーター 野島一郎
主題歌 あかね雲
作詞 片桐和子
作曲 平尾昌晃
編曲 竜崎孝路
唄 川田ともこ
東芝レコード
制作協力 京都映画株式会社
監督 松野宏軌
制作 朝日放送
松竹株式会社
☆
藤田まこと＝はぐれ亭馬之助
中村嘉葎雄＝中村賀津雄
二瓶康一→火野正平
中尾ミエ＝中尾ミヱ
大関優子→佳那晃子
白木万理＝松島恭子＝白木マリ
山崎努＝山﨑努
☆
早坂暁・野島一郎はノークレジット
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☆
「己代松」の表記は本編字幕に依る
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南無阿弥陀仏