ウルトラセブン 第四惑星の悪夢 | 俺の命はウルトラ・アイ

ウルトラセブン 第四惑星の悪夢

『ウルトラセブン』「第四惑星の悪夢」

テレビドラマ 30分 トーキー カラー

 

昭和四十三年(1968年)七月二十八日放送

平成二十八年(2016年)十二月六日京都文

化博物館フィルムシアター上映

 

製作国 日本

製作言語 日本語

放送局  TBS系

 

監修 円谷英二

 

プロデューサー 末安昌三

脚本 上原正三
   川崎高

撮影  永井仙吉

美術  岩崎致躬

照明  新井盛

音楽  冬木透

 

録音  松本好正

効果  西本定正

編集  柳川義博

助監督 安藤達己

制作主任 高山篤

 

特殊技術

撮影 鈴木清

美術 池谷仙克

操演 平鍋功

照明 小林哲也

光学撮影 中野稔

助監督 円谷粲

製作主任 熊谷健

 

東京現像所 

キヌタ・ラボラトリー

TBS映画社

 

出演者

 

中山昭二(キリヤマ隊長)


森次浩司(モロボシ・ダン)
菱見百合子(友里アンヌ)


石井伊吉(フルハシ・シゲル)
阿知波信介(ソガ)
古谷敏(アマギ) 

 

成瀬昌彦(ロボット長官)

森塚敏(ロボット署長)

愛まち子(アリー)

小野川公三郎(ギオ)

川田勝明(アリーの弟)

実相寺昭雄(射撃手)

 

上西弘次(ウルトラセブン スーツアクター)
浦野光(ナレーター)

 

 

特殊技術 高野宏一

 

監督 実相寺昭雄

 

制作 円谷プロダクション

    TBS

 ☆

 川崎高=実相寺昭雄=万福寺百合

 

 上原正三=泉崎敬太=木原光

 

 冬木透=蒔田尚昊

 

 森次浩司→森次晃嗣

 

 菱見地谷子→菱見百合子→ひし美ゆり子

 

 石井伊吉→毒蝮三太夫

 

 実相寺昭雄は俳優としてはノークレジット。

 上映会場鑑賞日時場所

 平成二十八年(2016年)十二月六日

 京都文化博物館フィルムシアター

 台詞の引用・ストーリーの要約・

シーンの考察は、研究・学習の為

です。

 円谷プロ様・TBS様におかれまし

ては、何卒ご寛恕・ご理解を賜り

ますようお願い申し上げます。

 

 台詞の中に精神を病む人を傷つける

表現がありますが、作品の歴史的価値

を鑑み放映版の通りに引用します。ご

了承下さい。

 ☆

 

  ナレーター「地球防衛軍は長距

        離宇宙ロケットス

        コーピオン号を完

        成させた。」

 

 テスト飛行に成功すれば太陽系を遥に

飛び銀河系の惑星にも行けることが予測

された。

 

 地球防衛軍作戦室ではテストパイロッ

トに選ばれたソガ隊員が占星術に集中し

ている。

 

  ソガ「今度の宇宙ロケットはスコー

     ピオン」

 

 蠍の名が宇宙ロケットに付けられたこ

とにソガは注意する。宇宙飛行のロケッ

トは科学技術で作られたからソガの占い

なんて関係ないとフルハシは大笑する。

 

  アマギ「頼りねえパイロット!」

 

 アンヌも微笑んだ。

 

  ソガ「占星術を馬鹿にしちゃいかん

    よ!」

 

 万物は須らく天体の動きに影響されながら

生きていることをソガは強調し、科学万能の

時代になればなるほど、我々は宇宙の神秘と

向き合ってみる必要があるんじゃないのかと

仲間達に問うた。

 

 キリヤマ隊長はスコーピオン号に乗るソガ

とダンが眠っている間に計器が全てをやって

くれることを解説する。

 航路からロケットの状態を計器がはじき出

し、データを地上に送る。地球防衛軍では計

器から送られたデータを基に地上からスコー

ピオン号を操縦する仕組みである。

 

 ダンとソガはパイロットとしてスコーピオン

号に乗った。二人は二十日間の睡眠を取る。電

子計算機が二人の睡眠の間に航行する。

 

 スコーピオン号を遠隔で操縦しようとした

アマギは、テスト飛行でコースから外れて飛

んでいることをキリヤマに報告する。キリヤ

マはダンとソガに連絡しようとするが、二人

は二十日間睡眠状態にあって通じない。

 

  アンヌ「今頃夢を見ているわ、きっと。」

 

 ダンとソガを乗せたスコーピオン号は星に

着陸した。二人は覚醒した。スコーピオン号

から出て見ると地球の風景であり、日本にい

るようだ。

 

 地球防衛軍作戦室からスコーピオン号に連

絡しようと試みたが全く通じない。

 

 ダンとソガが街の人々に話しかけるが冷た

く無視された。

 

 自転車に乗る少年が車に轢かれそうになっ

た。ダンとソガは少年を介抱した。

 

 少年は礼を言い、「おじさん達は何処から

来たの?」と問うた。ソガは地球防衛軍と答

えた。

 

 ジープがやって来て停車して軍服を着た男

性が降りた。ダンは車が少年を轢こうとした

から逮捕して下さいと頼んだ。軍服姿の男は

車の運転手に落ち度はなくて人間が悪いと述

べた。

 

 少年は「逃げて!早く」とダン・ソガに頼

む。

 

 軍服姿の男は少年を打擲する。

 

 ダンは少年虐待に抗議する。

 

 軍服の男は「お前達を逮捕する」とダン・

ソガに宣言した。男はダン・ソガを総合セン

ターに連行した。司法・立法・行政、その他

学校・病院・新聞・テレビと全ての団体やメ

ディアがこの総合センターに総括されている

ことを軍服男は解説する。

 

 テレビスタジオでは射撃手たちが連行され

た人々を銃撃した。ソガはドラマ撮影と感じ

る。軍服男は口中で何かを噛んでいるようで

大きな音を立てていた。

 

  「この親父、頭おかしいんじゃないか?」

 

 ソガはダンに問うた。軍服の男はダン・ソ

ガを長官室に案内した。「長官に逮捕したと

伝えてくれ」と軍服の男性は美貌の女性人間

アリーに伝えた。秘書アリーは上司の長官に

伝えた。

 

 長官が現れ、ダン・ソガに「遠路はるばる

ようこそ」と挨拶した。

 

  「お前達が来るのを首を長くして待って

   いたんだ。」

 

 長官は述べた。「我々の事を?」とダンが問

う。長官は、お前たちのロケットを誘導してこ

の惑星に呼び寄せたと伝える。この星は地球と

そっくりだが、地球から約120万億キロ離れて

いる第四惑星であると長官は解説する。

 

 この惑星は始め人間が支配統治していたが、

ロボットにとって代わられたと長官は伝えた。

更に長官は後頭部をアリーに開けさせた。頭

部の中身も機械であった。ロボットを産み出

した人間は怠け者になり、ロボットが下剋上

で人間を支配するようになったと長官は告げ

た。

 

 長官は顔に手を当てて目の当たりの部位を

外す。中身は機械である。彼はロボット長官

であり、軍服姿の男はロボット署長であった。

 

 ダンはロボット長官の頭部を見てソガとと

もに驚く。

 

 長官は不気味な笑いを浮かべる。

 アリーが長官に珈琲を入れた。長官は一口

啜った。

 

  「ぬるい!砂糖が多い!」

 

 ロボット長官は激怒しアリーを打擲した。

アリーは謝罪する。

 

  「どうも人間は物覚えが悪くていかん。

   珈琲の味が毎日違うんだからな。」

 

 長官は顔に手を当てて目の当たりの部位を

外す。中身は機械である。彼はロボット長官

であり、軍服姿の男はロボット署長であった。

 

 アリーはダンとソガに危機を伝える。

 

   ソガ「おい、此処精神病院か何かじゃ

      ねえのか?」

 

   ロボット署長「おい!何やってる?」

 

 長官は、並べられた人間達が、射撃手達に銃を

向けられている光景を、ダンとソガに見せる。

 

   「人間どもの死刑だ」

 

 長官は冷厳に言い放つ。ソガは死刑囚と呼ば

れている人々はどんな罪を犯したのですかと問

う。

 

  「人間もロボットらしく生きるべきだと

   主張する連中でね」

 

 長官はロボットに虐げられた人間達が平等の

権利を求めた事を最大級の政治犯犯行であると

厳しく咎める。

 

 コンピュータールームで長官は政策方針から

ロボット市民20万の健康管理までをそろえたデ

ータをむこう500年ぶん管理していると述べた。

 

  ダン「我々をこの惑星に誘導した目的は何

     ですか?」

 

 長官はコンピューターの計算によれば、第四

惑星の人間達は向こう500年のうちに滅亡する

運命だが、人間は我が国にとって大切な資源で

あると述べた。「そこで僕達を?」と問うダン

に対して長官は「お前達地球人は立派なエネルギ

ー源になれることが判った」と確かめ、「地球

を植民地にすれば30億の人間が確保できる計算

だ」と野望を語る。

 

  ソガ「どうやって地球を植民地にするんだ?」

 

  長官「我が国の戦略部隊が間もなく地球に

     向かう事になっておる。」

 

 ソガは悔しがる。長官はコンピューターは間違

いをしないものであり、いつも冷静だと解説する。

 

 総合センターのテレビスタジオで射撃手達の銃口

は並んだ人間達を撃つ。人間達は倒れる。

 

 ソガは撃たれた人間達が死んでいることを知り

愕然とする。

 

  ダン「ドラマじゃなかったんですか?」

 

  長官「あくまでもドラマだ。ドラマは真実を

     要求されておるからなあ。」

 

  ダン「そのために実弾を!?」

 

  長官「左様。地球のドラマ作りはそうではな

     いのかね?」

 

 ダンとソガは隙を見て逃げる。アリーは二人を

助けて脱出させた。

 人間達が暮らす団地にダン・ソガは着く。四つ

の月が見える。アリーは人間達にダン・ソガを匿

うように頼む。だが、露見すればロボット達に処刑

されるので人間達はひるむ。

 

 ロボット長官・ロボット署長がジープで追いか

けてきた。

 

 長官はダン・ソガを逃がした罪でアリーを咎め

る。アリーの弟と恋人ギオはアリーを守ろうとす

る。

 

  「娘を処刑にしろ。」

 

 長官は冷厳に言い放つ。アリーの恋人ギオは彼

女を守ろうと奮戦し彼自身も長官から処刑命令を

受ける。

 

 公開処刑場で射撃手たちからアリーとギオは銃

口を向けられる。ソガとダンがウルトラ・ガンを

撃ち射撃手を撃ち、アリー・ギオを助ける。

 

 長官はダン・ソガの捕縛を部下に命じる。

 

 第四惑星から円盤が飛び立ち地球侵略に向か

う。

   

  長官「地球は間もなく我が掌中に落ちるの

     だ。」

 

 ソガは抵抗し、長官部下に撃たれ負傷する。

 

 射撃手たちはダンを撃つ。ダンはウルトラ・ア

イでウルトラセブンに変身する。

 

 ウルトラセブンは総合センターを始め宇宙船発

射場や軍事基地を攻撃し粉砕する。

 

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 ダンとソガは無事に地球に帰還した。地球
防衛軍作戦基地でキリヤマ隊長・アンヌ・フ
ルハシ・アマギは二人を労う。
 
 
  アンヌ「第四惑星って本当にあったの?」
 
ダンは頷いた。
 
  アンヌは夢か幻ではなかったかと問う。
 
 「夢じゃない」とダンは答えた。キリヤマは
スコーピオン号テスト飛行成功を契機にして地
球防衛軍は全機構を電子計算機システムに切り
替えると発表する。ソガはそんなことをしたら
第四惑星みたいになると警告する。フルハシが
制止する。
 
  ソガ「俺は見たんだ。ロボットの長官。処
     刑される人間。」
 
 
 キリヤマはダンとソガに静養を命じた。
 
 堺橋を散歩するダンとソガは自然の緑に感嘆
する。ソガは地球の自然が削られて行くことに
悩む。
 
 「明日の天気は」とダンが問い、ソガは「晴
れだ」と思い、ダンは「雨ですよ」と予想した。
 
 ソガは下駄を放り投げる。仰向けに下駄は倒
れた。雨の予報が出た。二人は大笑する。
 
 ☆夢 悪夢 幻☆
 

 実相寺昭雄は昭和十二年(1937年)三月二十

九日東京に誕生した。

 平成十八年(2006年)十一月二十九日東京の

病院で死去した。六十九歳。

 中国青島に育った昭雄は早稲田大学第二文学部

フランス文学科を卒業後TBSに入り『ウルトラシリ

ーズ』において数々の作品を演出した。幻想の傑

作は時を越えて視聴者を魅了する。

 

 

 上原正三は昭和十二年(1937年)二月六日、沖

縄県に生まれた。別名義に泉崎敬太・木原光があ

る。

 令和二年(2020年)一月二日死去。八十二歳。

『収骨』で芸術祭第一公募脚本に入選し、賞を取

ればシナリオ執筆の仕事をあげると約束していた

円谷一は正三の熱意に答えた。

 ウルトラシリーズにおいては『ウルトラQ』の時

代からシナリオを執筆している。

 『ウルトラセブン』ではシリーズ後半予算難の

厳しさから制約が多くなり、厳しい状況は重いム

ードをスタッフに感じさせていたようだ。

 『ウルトラセブン』の過去作品にも遡って宇宙

人や怪獣達を沢山登場させてウルトラセブンと戦

わせるという大作を考案しシナリオ化した。

 「宇宙人15+怪獣35」である。脚本上原正三・

特殊技術高野宏一・監督実相寺昭雄のスタッフで

企画は立てられた。沢山の宇宙人・怪獣に苦しめ

られるウルトラセブンを黄金怪獣ゴートが救う。

 この超大作の企画は没になりお蔵に入った。

 

 怪獣が全く登場しないシナリオ「第四惑星の悪

夢」を上原正三が書いた。

 

 作戦室でスコーピオン号が軌道を離れて何者か

に誘導される。この恐怖のシーンでアンヌの静かな

表情を実相寺監督は映し出す。落ち着きつつ不安

を感じているアンヌのこころが清らかな瞳に映って

いる。鋭くて重い演出である。

 

 ソガとダンはスコーピオン号に乗り星に到着す

る。地球と思われた星は人間達が冷厳なロボット

に苦しめられ、処刑されている。

 

 ロボット長官は科学力でスコーピオン号を呼び

寄せ、ダンとソガは人間資源として拉致したこと

を述べる。

 

 長官が目の当たりの部位を開け身体の機械部分

を見せる。

 

 このシーンは怖かった。

 

 実相寺昭雄監督がルネ・クレールやマルセル・

カルネに学び、物語に浪漫を光らせ印象的なカッ

ト・ショットを撮ったことは「狙われた街」や「遊

星より愛をこめて」から窺えるが、本作はジャン

=リュック・ゴダールにも学んでいる。

 

 スタジオの風景でロボットが人間達を捕え並べ

銃で狙撃し処刑する。

 このシーンも震えた。

 

 本放送リアルタイム視聴の記憶は昭和四十二年

(1967年)七月二十五日生まれのわたくしには

勿論ない。昭和四十五年(1970年)の再放送で

衝撃を受け心身共に興奮し熱くなった。昭和四十

年代ウルトラシリーズは再放送が多かった。

 

 何時の再放送かは記憶が定かではないのだが、

ある光景を場に位置付けつつ、別の世界を映し

出していることを子供心に直感した。

 

 実相寺昭雄演出と上原正三演出と高野宏一技

術は地球日本のドラマスタジオを場所として映

して、人間を管理し抑圧するロボットの星を鋭

く描き出した。

 

 ロボットが人間を虐げる。

 

 冷厳で残酷な社会である。ロボット長官は冷酷

非情である。珈琲の味が拙いとしてアリーをぶつ。

ロボットと平等にして欲しいと権利を主張する人間

を処刑する。

 

 ロボット長官が治める第四惑星は独裁体制を描

いている。

 

 裕仁統治の大日本帝国は中華民国や韓国を苦しめ

た。アドルフ・ヒトラー率いるナチス・ドイツも独

裁体制であった。ヨシフ・スターリンはソビエト連

邦において独裁体制を敷いた。

 

 世界各地で残酷な独裁政治は行われている。

 

 番組放送五十六年後の現代地球社会を見る

と、AI技術が発展し人間は冷遇されている。

沢山の職業は人間を不要としてロボットに任

せたいとする権力者の声は多い。ロボットに

人間は管理され苦しめられる。これは現実に

起こりつつある出来事である。

 ダボス会議はmRNA薬品を全ての地球人

に注射させると世界各国の政府に命じている。

わたくしはコロナワクチン名義のmRNA注射

を拒否する者だが、2024年5月に日本政府が

パンデミック条約を締結したり、日本国憲法改

変緊急事態条項・地方自治法改正が強行される

と、mRNA薬物注射を強要されるかもしれな

い。

 例え義務化されても、わたくしはmRNA

薬物注射に抵抗する。

 

 mRNA薬物にはチップが混入されているよ

うだ。これも権力者が民を管理するためであろう。

 

 「第四惑星の悪夢」は、放送56年後の2024

年の地球社会も予測していたのであろうか?

 

 だからSFドラマは現代劇であるだけではなく

て未来劇でもある。

 

 ダンとソガが地球に帰還したことを受けて、キ

リヤマは地球防衛軍の全機構を電子計算機システム

にすることを喜々として述べ、ソガは反対する。

 

 機械に全てを任せていると人間は機械に虐げられ

支配される。

 

 「第四惑星の悪夢」は科学技術の発展の果てに驕

る人間が自然や宇宙に対する畏敬の念を失い、自ら

産み出した技術の産物に取って変わられ捨てられる

ようになることを警告しているのではないか?

 

 

 成瀬昌彦は大正十三年(1924年)九月三十日、

東京市に誕生した。平成九年(1997年)十一月

に七十三歳で死去した。

 ロボット署長役の森塚敏は盟友である。二人

は昭和二十九年(1954年)に旗揚げされた青年

座の創立メンバーである。成瀬は初代座長を勤め

た。

 知的で冷酷な演技は映像史上に輝いている。

気品に溢れた悪の表現は芸の美として不滅の光輝

を放っている。

 ロボット長官の冷酷非情は視聴者・観客を本気

で怖がらせる。

 

 森塚敏(もりつか・びん)は大正十五年(192

6年)十月一日に東京市に生まれた。本名は森塚

敏(もりつか・とし)である。

 平成八年(2006年)六月十九日に七十九歳で

死去した。

 口の中でカチャカチャと音を立てながら、人間

を虐めぶつロボット署長の憎たらしさは圧巻であ

る。

 

 愛まち子は昭和十九年(1944年)六月十九日

に誕生した。本名は渡辺伸子である。アリーの

優しさを繊細に探求した。

 

 

  森次 秘書に暴力をふるったり、内容がサデ

     ィスティックなところは監督の趣味な

     んじゃないかな。ラストシーンはふた

     りが下駄を履いている。ただの靴じゃ

     面白くない。服装も下駄に合うバンカ

     ラなものになっている。

  (『ダンとアンヌとウルトラセブン

  ~森次晃嗣&ひし美ゆり子が語る

   見どころガイド~』95頁

  2021年2月25日発行 小学館)

 

 第四惑星テレビスタジオにおいて実弾による死刑

を撮る長官は「ドラマは真実を要求されておるから

なあ」と確かめる。「処刑シーンを撮るならば本物

の処刑を撮ってみるか」ということをドラマの中で

仮定として大胆に問うたとも見れるだろう。

 

 天才実相寺昭雄の壮大な問いだ。勿論実相寺昭雄

本人は現実の暴力には強く反対し命を殺傷すること

への悲しみか常に確かめていた人である。

 

 ドラマはあらゆる空想や予測が成り立つ。この

ことを実相寺昭雄は秀麗な悪夢・恐怖表現で伝え

たのだ。

 

 アリーを殴り、捕縛した人間達を射殺するロボ

ット長官の冷血に、森次晃嗣は実相寺昭雄の趣味

を想像している。

 

 実相寺昭雄は冷酷・残忍さを鋭く探求し映し

出した。

 

 悪夢・夢幻の映像は視聴者・観客の心に焼き付

いて離れない。

 

 実相寺昭雄の表現は永遠である。

 

 

                     合掌

 

                 南無阿弥陀仏

 

                    セブン