入江若葉様 七十六歳お誕生日おめでとうございます | 俺の命はウルトラ・アイ

入江若葉様 七十六歳お誕生日おめでとうございます

 入江若葉(いりえ・わかば)

若葉様

 昭和十八年(1943年)五月十二日、田村直美氏・入江

たか子氏の娘様として東京都港区に誕生されました。

 内田吐夢監督は昭和三十六年から四十年の五年に

おいて、吉川英治の小説『宮本武蔵』の全五部作映画

化の企画を東映に打ち出します。

 ヒロインお通に、若葉さんを熱望されます。

 

 母上たか子さんは無声時代からの映画界の大スタア

で、慎重な姿勢でしたが、吐夢監督が熱意で出演交渉

で口説ききりました。

 

   「吉川英治先生の原作をよく読んでおくように」

 

 吐夢監督が若葉さんに指導で強調されたのはこの

事だったそうです。

 

 「成程」と思います。

 

   「娘は演技が初めてなので日舞でも習わせまし

   ょうか」

 

 巨匠内田先生の超大作に娘様がヒロインで出演する。

たか子さんは心配になって日舞のお稽古の許可を、吐

夢に問いました。

 

   「そういう事は一切止めてくれ。」

 

 全ての演技指導は、俺の剛腕で成し遂げる。

 

 吐夢の言葉は強いです。

 

 女優さんの演技や話法や所作の全ての指導を為し

得る。

 吐夢だから語れる言葉でしょう。

 

  『宮本武蔵』 1961・5・27

  『宮本武蔵 般若坂の決斗』 1962・11・17

  『宮本武蔵 二刀流開眼』 1963・8・14

  『宮本武蔵 一乗寺の決斗』 1964・1・1

  『宮本武蔵 巌流島の決斗』  1965・9・4

 

 

 

製作発表

 初代中村錦之助後の初代萬屋錦之介の

 新免武蔵後の宮本武蔵

 

 入江若葉のお通

 

 錦兄

 お二人は完璧な美男美女であり、剣士武蔵と笛奏者お通の

求道と愛を深く明かされました。

 

 吐夢が原作の精読を求めた。原作を熟読しているからこそ、

吐夢・鈴木尚之が脚本で大きく改変した事柄が、若葉さんの

言葉によって語られ、観客の胸に響きます。

 

 その事は『宮本武蔵 巌流島の決斗』の感想で尋ねたいと

思うのですが、吉川先生の原作を尊重するが故に現れた

改変であると自分は考えています。

 

 お通は剣の殺し合いを武蔵に止めて欲しいと願う。

 

 武蔵は剣一筋が自己の道で悩みながらも歩まざるを得ない。

 

 ここに吐夢の着眼がありました。

 

 若葉さんのお通は永遠です。

 

 七十六歳お誕生日。

 

 おめでとうございます。

 

 

                               合掌