関ヶ原 第二話 さらば友よ(二)「あの男は女子に評判が良い」
『関ヶ原』
テレビ トーキー カラー(一部白黒) 390分
昭和五十六年(1981年)一月二・三・四日放送
第一話 夢のまた夢 二日放送
第二話 さらば友よ 三日放送
第三話 男たちの祭り 四日放送
放送国 日本
製作局 TBS
原作 司馬遼太郎
脚本 早坂暁
音楽 山本直純
演出 高橋一郎(一・三話)
鴨下信一(二話)
第二話「さらば友よ」
原作 司馬遼太郎
脚本 早坂暁
音楽 山本直純
演出 鴨下信一
出演 加藤剛(石田三成)
三國連太郎(本多正信)
京塚昌子(阿茶局)
三田佳子(茶々)
宇野重吉(豊臣秀吉)
森繁久彌(徳川家康)
語り 石坂浩二
ナレーター「スペインで作家フェルナンデスが『ドン・キホ
ーテ』の構想を練っていた頃、日本では時の
権力者豊臣秀吉が死んだ。時に十六世紀の
終わりが近づいた1598年。」
秀吉の辞世の句を聞いた奉行石田三成は主家を守り
抜く事を誓う。
しかし、五大老筆頭徳川家康の巧妙な陰謀は豊臣家を
脅かした。
秀吉子飼の武将達が三成を憎み襲撃した。三成が身を
隠したのは、伏見家康屋敷であった。
三成は湯漬を食べながら、「家康は儂をどうするか?」と
自問する。
家康は、愛妾阿茶局・家臣本多正信を謀略を語り合う。
家康「三成はどうしておる?」
正信「湯漬を所望して食べました。」
家康「あの男も考えたな。事もあろうに、儂の所へ
逃げこんでくるとは。」
正信「顔に似合わず度胸というか。」
阿茶「本当に御顔に似合わず。」
家康「見ぃ、正信。あの男は女子に評判が良い。
女子は面食いよ。」
☆☆謀議の笑み☆☆
三成は大胆不敵に家康の邸に匿ってもらうことを頼
んだ。湯漬を食べながら家康の対応を待つ三成。加藤
剛の笑顔が印象的だ。家康がこの時自身を殺せぬ事
を熟知しているだけに、三成は相手の対策を余裕すら
持って待つことが成り立っている。俎板の上の鯉になる
ことを楽しむ余裕がある。
逃げ込んできた三成をどうするか?家康はその大
胆さに驚く。正信は顔に似合わず不敵な男と驚嘆する。
阿茶も美男の御顔に似合わぬことをされる方と讃
える。
家康はその言葉を聞き、美男の三成が女子に評
判が良いことを語り笑み、女子は面食いと述べる。
三成の智恵は見事だが、謀略では家康のほうが
一枚上手という筋が巧みである。
森繁久彌が家康の老獪さをじっくりと勤める。
加藤剛は美しい。
宇野重吉百四歳誕生日
平成三十年(2018年)九月二十七日
合掌
