沖雅也六十五歳誕生日 女王蜂 神山繁共演 | 俺の命はウルトラ・アイ

沖雅也六十五歳誕生日 女王蜂 神山繁共演

沖雅也

 沖雅也(おき・まさや)

 本名 日景城児(ひかげ・じょうじ)

 出生名 楠城児(くすのき。じょうじ)

 昭和二十七年(1952年)六月十二日

 大分県生まれ。

 俳優・声優・歌手として、映画・テレビ・

 音楽の世界で活躍。

 昭和五十八年(1983年)六月二十八

 新宿京王プラザ最上階から飛び降り

 自殺。満年齢三十一歳。

 

 皆様こんばんは。

 2017年6月12日です。

 

 沖雅也さんの65歳のお誕生日です。

本日は助演で出演された1978年の映画

『女王蜂』の多門連太郎役を尋ねたいと

思います。

 本年1月3日に89歳で死去された神山

繁さんも出演されています。

 お二人の演技の爽やかさや凄みを確か

め、語りたいです。

 文体を敬体から常体にします。


大道寺智子

 『女王蜂』

 映画 139分 トーキー カラー

 昭和五十三年(1978年)二月十一日公開

 製作国 日本

 製作  東宝映画

 配給 東宝

 

 製作 馬場和夫

     田中収

 

 原作 横溝正史

 

 脚本 日高真也

     桂千穂

     市川崑

 

 音楽 田辺信一

 撮影 長谷川清

 編集 小川信夫

     長田千鶴子

 美術 阿久根厳

 録音 矢野口文雄

 照明 佐藤幸次郎

 チーフ助監督 西川常三郎

 協力監督(B班監督) 松林宗恵

 

 出演

 

 石坂浩二(金田一耕助)


 

 岸恵子(神尾秀子)


 

 司葉子(蔦代)

 

 

 高峰三枝子(東小路隆子)

 

 

 沖雅也(多門連太郎)

 中井貴恵(大道寺智子)

 

 

 草笛光子(お富)

 坂口良子(おあき)

 萩尾みどり(大道寺琴絵)

 

 加藤武(等々力警部)

 神山繁(九十九龍馬)

 小林昭二(木暮刑事)

 大滝秀治(加納弁護士)

 

 佐々木勝彦(日下部仁志)

 佐々木剛(駒井泰次郎)

 中島久之(赤根崎嘉文)

 高野浩幸(文彦)

 石田信之(遊佐三郎)

 冷泉公裕(黒沢)

 武内亨(大道寺鉄馬)

 花上晃

 沼田カズ子(お富の母)

 白石加代子(速水るい)

 

 伴淳三郎(山本巡査)

 三木のり平(嵐三朝)


 

 仲代達矢(大道寺銀造)

 

 

 監督 市川崑

 

 ☆☆☆公開当時映画館(恐らく京都

宝塚)で鑑賞している☆☆☆

 

 昭和七年。天城月琴の里。学生服の

男二人が歌い、着物姿の女性と道を

歩んでいる。

 男達は友人関係にあり、名を大道寺

銀造・日下部仁志と言う。

 女性は大道寺家の娘琴絵である。京都

在住の銀造は源頼朝ゆかりの地に来れた

ことを日下部と感謝し、琴絵に「京都に来て

下さい」と誘い、彼女の家庭教師神尾秀子

によろしく伝えて欲しいと頼む。

 

 二人の男は共に琴絵を愛し、彼女と結ば

れた男は日下部であった。

 だが、日下部は転落死してしまった。琴

絵は日下部の子を身籠っていた。

 銀造は彼女が日下部の子を妊娠している

ことを知って求婚する。

 琴絵は智子という娘を出産する。銀造と結

婚したものの、月琴を離れなかった。銀造は

大道寺家の小間使い蔦代を愛人にして、彼女

との間に文彦という男児を得た。

 琴絵は娘智子が十五歳になった時代に病

死した。

 

 昭和二十七年(1952年)。

 智子は十九歳の誕生日に銀造の京都の家

に引き取られることとなっていた。銀造は「智子

を引き取るな」という脅迫状を何者から送られ

ていた。

 美人に成長して智子との結婚を、遊佐三郎

・駒井泰次郎・赤根崎嘉文といった青年達が

望んでいた。

 銀造が義娘智子を迎えに月琴の里にやって

きた。

 智子は時計台で三郎が無惨に殺害されて

居る光景を見て、悲鳴をあげる。

 親子二代で家庭教師を勤める秀子や蔦代

や銀造はその凄惨な事件に驚く。

 智子の近くに多門連太郎という青年が現れ

て去る。

 蔦代の兄で強烈な存在感を出す中年男九

十九龍馬が現れ、智子に「おとっつまとおっか

さま」の秘密を知っていることを暗に示唆する。

 彼は心霊の研究者であった。

 

 金田一耕助が現れ、昭和七年の事件と遊佐

殺害事件が関わっていると推理する。

 耕助は智子の亡父仁志の母が元公爵家の

東小路隆子であることを調べる。

 隆子主催茶会に銀造・秀子・蔦代・智子・赤根

崎・龍馬が出席するが、智子が立てた茶を服し

た赤根崎が苦しみだして死亡する。

 
女王蜂

 茶に青酸カリが仕込まれてたが、智子には

身に覚えないことであった。

 龍馬は父母の秘密を知っていることを利用

して、かねて狙っていた智子を自身の家の密

室に誘い出し、迫り催眠術で眠らせる。何者

かが天井裏を開けてその様子を見ていた。

 龍馬が眠る智子の身体を奪おうと、近付いた

瞬間、天井から何者かが投げた刀を背に受け

出血して死ぬ。

 智子は耕助とかけつけた義父銀造に救出さ

れる。

 耕助は昭和七年に仁志が転落死ではなく、

何者かに撲殺されたことを推理する。

 

 大道寺家において、銀造・秀子・蔦代・智子・

文彦・等々力らのらの関係者を集めて、耕助

は、「犯人はあなたです」とある人物に語りか

けた。

 

 ☆☆☆女王蜂の令嬢☆☆☆

 

 昭和七年・二十七年に起こった琴絵・智子の

母子美人を巡る殺人事件を、金田一耕助が追う。

 自分は昭和五十三年二月公開間もない時期

に大叔母に連れられて、この映画をリアルタイ

ムに映画館鑑賞した。

 当時原作は未読だった。映画版を見て、失礼

な言い方になるが、深く感動しなかった。

 

 子供心に超豪華キャストに興奮した。新聞広

告で石坂浩二・岸恵子・司葉子・高峰三枝子・

仲代達矢が茶会で並ぶ写真を見て興奮したも

のだ。

 

 高峰が『犬神家の一族』、岸が『悪魔の手毬

唄』で大役を勤めたことは知っていた。

 『獄門島』で司が重要な役を勤めたことは、公

開当時映画館で見て確かめている。

 市川崑監督にとって、金田一耕助シリーズの

集大成にしようとしたことが窺える。

 

 

 カネボウとの協力で新人中井貴恵がデビュー

作品の本作で「女王蜂のくちびる」という広告

がヒットした。

 佐田啓二の遺児で女子大生の中井が市川

崑の大作でヒロインを演じ話題になった。

 「中井貴恵は可愛いが令嬢の品が無い」と

いう酷評の声もあるが、自分は「可愛いお姉さ

ん」と思い、それほど厳しくいう事はないと思って

いる。

 沖雅也の連太郎と中井貴恵の智子の清潔な

ロマンスは素敵だった。

 

 謎の美青年連太郎を、沖雅也が逞しく勤めた。

中井貴恵は映画初出演で緊張もあったと思う。

だが前述の通り、自分は令嬢の気品はあったと

考えている。

 

 犠牲者に佐々木勝彦・石田信之・中島久之と

言った二枚目俳優が出演し、琴絵・智子に惚れた

ことで狙われる男達の悲劇を鮮やかに勤められ

た。

 

 だが、美女に群がる男達が次々と狙われ葬ら

れていくというミステリーの王道になる筈の物語

を、市川崑監督がいじり過ぎて却ってわかりにくに

してしまった。

 

 後に大人になって原作を読み、智子が毛糸に

託した耕助へのメッセージや蝙蝠のような人物

の生き方等、ゾクゾクした。

 

 若き美女を狙う男達が争い、何者かに狙われ

次々と殺されていくという物語は、『犬神家の一

族』の二番煎じ的なところがあるのは否定しない。

 

 だが原作『女王蜂』はヒロイン智子が入浴

して浴槽でお湯で泡を起こし足元をくすぐったり

龍馬を笑顔で完全に虜にしてしまうセクシーな

描写があり、野々宮珠世が冷徹な美を魅せる

『犬神家の一族』とは決定的に違うのだ。

 

 市川崑監督には、いじらず、ストレートに智子

を巡る人間関係を撮って頂きたかった。

 

 仲代達矢の銀造は流石に迫力があった。銀

造と岸恵子の秀子とのロマンスは確かに説明

不足で、映画版は切なさが少ない。

 

 岸恵子の神尾秀子は知性的で当たり役だ。

これは強調したい。嵌り役と言えば、ある意味

『悪魔の手毬唄』の青池リカよりも、秀子先生

のほうが、知的な岸の芸風に合っていると思う。

 

 

 三郎を演ずる方は石田信之。現在闘病されて

いるが、舞台に精力的に取り組んでおられる。

 石田さん、応援しています。

 

 この映画は『ミラーマン』の石田、『バロム1』『

ウルトラセブン 円盤が来た』の高野浩之、『仮面

ライダー』の佐々木剛が脇役で出演していること

も興味深い。

 

 耕助役の石坂浩二は『ウルトラQ』『ウルトラマ

ン』前半のナレーターである。

 

 

 若い美女を追い回して夢が叶いそうで破滅

する中年男の悲劇は強烈であった。

 
神山繁
 神山繁が龍馬を演じた時の年齢は四十九

歳。今、自分がその年齢になって、三十九年

前の先輩方は大人だったと痛感する。

 

 脚本に緩さがあり不満も述べたが、豪華キ

ャストの力を引き出したことは、流石巨匠崑

先生だ。

 

 『悪魔の手毬唄』のような感動は無いが、迫力

はある作品である。

 

 失敗作とまでは言わないが、惜しい大作なの

だ。

 

 だが公開時より役三十九年四か月経っても

心に残っているシーンが多いことは強調したい。

 

 沖雅也様

 六十五歳お誕生日

 おめでとうございます。


 

                         合掌