宮本武蔵(十)潜伏の日 | 俺の命はウルトラ・アイ

宮本武蔵(十)潜伏の日



武蔵

 『宮本武蔵』

 

 映画 トーキー 110分 

 イーストマンカラー 東映スコープ

 昭和三十六年(1961年)五月二十七日公開

 製作国  日本

 製作会社 東映京都

 配給    東映



 製作 大川博



 企画  辻野公晴

      小川貴也

 

 原作 吉川英治

 

 脚本 成沢昌茂

     鈴木尚之

 


 撮影 坪井誠

 照明 和多田弘

 録音 野津裕男

 美術 鈴木孝俊

 音楽 伊福部昭

 編集 宮本信太郎


  記録 石橋茂子

 装置 上羽峯男

 装飾 宮川俊夫

 美粧 林政信

 結髪 桜井文子

 衣裳 三上剛

 擬斗 足立伶二郎

 進行主任 植木良作


 助監督 山下耕作  

       富田義治

       杉野清史

 

 


 出演


 中村錦之助(新免武蔵)

 


 浪花千栄子(お杉)

 風見章子(お吟)


 花沢徳衛(青木丹左衛門)

 阿部九州男(渕川権六)

 

 

 小笠原章二郎(七宝寺の和尚)

 有馬宏治(村人)

 梅沢昇(村人)

 大崎史郎(村人)

 長島隆一(村人)

 高松錦之助(村の老人)

 浜田伸一(村人)

 中村錦司(村人)
 遠山金次郎(村人)

 片岡半蔵(村人)

 河村満和(木戸役人)

 近江雄二郎(木戸役人)

 


 石丸勝也(炭焼の男)

 源八郎(村人)

 菊村光志(村人)

 大浦和子(村人)

 鈴木金哉(木戸役人)

 五里兵太郎(役人)

 波多野博(使者)

 

 伊藤克彦(村人)

 野間勝良(役人)

 春路謙作(寺男)

 岡島艶子(その妻)

 



 三国連太郎(宗彭沢庵)

 


 入江若葉(お通)


 

 監督 内田吐夢

 



 ☆☆☆

 中村錦之助=初代中村錦之助

         →初代萬屋錦之介

 

 三国連太郎=三國連太郎

 ☆☆☆

  台詞の引用・シークエンスの考察は、

研究・学習の為です。
 東映様にはおかれましては、ご理解・

ご寛恕を賜りますようお願い申し上げ

ます。

 ☆☆☆

 平成五年(1993年)一月四日

 京都文化博物館映像ホールにて鑑賞
 ☆☆☆

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  宮本武蔵(九)功徳の一善




  新免武蔵は岩石の影に身を隠した。落

ち武者狩りの責任者青木丹左衛門が部下

の兵士を引き連れ、「どけどけ、ええい」と

村人を威嚇し、本堂前に立ち、武蔵狩りを

宣言し、寺を詰所とすると決める。



    「そやつは新免無二斎の遺児にして

     て関ヶ原の戦いでは宇喜多方に組

     したとわかっておる。いやしくも匿い

     立て等致しては厳罰に処する!」


 当の武蔵が近くにいることを丹左は知らな

い。


 お通・お杉は、本位田家の理解者である権叔

父こと渕川権六を尋ねる。


   お通「権叔父さん」

 

   お杉「権六。又八は帰ったか?」


   権六「知らんわい」


   お杉「あの悪童め!一人帰ったか!?」


   お通「もしや、お吟様の家?」


 お杉も姉弟の情から武蔵がお吟のもとに居る

かもしれないと思い、夜にお通を伴って尋ねる。

 お吟は杉婆とお通に一礼する。


   お杉「悪蔵が戻って来たら此処に呼んで

       おくれ。」


   お吟「悪蔵とは?」


   お杉「武蔵じゃわい。」


 外で乱闘が起こる。武蔵はやはり最愛の姉を

尋ね、落ち武者狩に来た青木の部下達と乱闘

する。


 逞しい武蔵は沢山の青木勢を圧倒する。


 お杉は帰宅を決める。


 お吟は提灯を用意しますと申し出る。


   お杉「本位田の婆はな、年は取っても提灯

       持たねばならぬ程耄碌せんわいの!」


  ☆☆☆逃走の日☆☆☆


 初代中村錦之助が新免武蔵の恐怖と危機感と

野獣性を熱演する。


 岩石の影に身を置き、秘かに恋するお通や親

友の母お杉や尊敬する沢庵の無事を確かめた

武蔵は、速く又八の事を知らせたいという思いが

あった。だが逃亡者・脱走兵として追われる身で

あり、姿を出せない。青木一党が寺に乱入し本

堂を乗っ取るように居座るシーンは、花澤徳衛

の粘りが光る。


 灌仏会の平和な日に自然が生き生きと輝き、

緑が色を魅せる。その時にも、関ヶ原合戦直後

という重い現実がのしかかる。落ち武者は勝者

にとって危険人物で狩り出すべき存在である。

 関所で青木の部下を傷つけた武蔵は、捕まれ

ば死罪は免れない。

 

  錦之助の眼光が鋭い。


  入江若葉のお通が可憐で美しい。又八を一途

に慕い、武蔵のことも案じている。



 阿部九州男が温厚な権叔父を重厚に勤める。


 風見章子のお吟の優しさが暖かい。


 浪花千栄子のお杉の執念は圧巻である。


 闇に乱闘する武蔵。若き青年の野獣の荒々しさ

を錦之助が熱く演じる。





 小川錦一

 初代中村錦之助

 初代萬屋錦之介

 没後二十年・二十一回忌御命日


 

         平成二十九年(2017年)三月十日


                          合掌



                    南無阿弥陀仏



                         セブン