宮本武蔵 (二) 青春の悩み | 俺の命はウルトラ・アイ

宮本武蔵 (二) 青春の悩み


akemi


『宮本武蔵』

 映画 トーキー 110分 

 イーストマンカラー 東映スコープ

 昭和三十六年(1961年)五月二十七日公開

 製作国  日本

 製作会社 東映京都

 配給    東映

 製作 大川博

 企画 辻野公晴

     小川貴也


 原作 吉川英治

 脚本 成沢昌茂

     鈴木尚之


 助監督 山下耕作  

       富田義治

       杉野清史

 


 出演


 中村錦之助(新免武蔵)


 

 木村功(本位田又八)

 木暮実千代(お甲)

 浪花千栄子(お杉)


 風見章子(お吟)

 入江若葉(お通)

 丘さとみ(朱実)


 

 監督 内田吐夢



  ☆☆☆

 中村錦之助→初代萬屋錦之介

 ☆☆☆


 お通はじっと本尊の仏像を見た。

 

 新免武蔵之霊・本位田又八之霊と書いた

紙を壁に貼っている。


 武蔵の姉のお吟が合掌する。


 お吟はお通に又八さんの夢を見ると聞く。

お通は頷く。お吟も弟武蔵の夢を見ている

ことを語る。


 お杉婆がやってきて、新免武蔵之霊・本

位田又八之霊の紙をはがし破る。


   「縁起でもない。うちの倅を唆して戦に

   連れ出したのはここの武蔵じゃ。お吟

   殿。武蔵は本望じゃろうがな、うちの又

   八はな、本位田家の大事な跡取りじゃ。

   死なしてなろうものかいな」


 お杉は息子又八を溺愛している。


 又八は足の傷の激痛に苦しむ。


 武蔵は、郷士に戻ろうと語り、「お婆にもお通

さんにも俺が謝るよ」と決意を語る。


 お甲が帰ってきて、又八の手当をするという。

 

  「焼酎で洗うんだよ。お前、向こうへ行って

   朱実の手伝いをし!」


 お甲は武蔵に命じた。   


 武蔵は小屋から出され、褌をしめただけの

裸の赤ん坊のような姿で朱実と顔を合わせ、

二人は談笑する。


 お甲は又八の足の傷口を吸って手当をする。

焼酎で洗い、又八は激痛を感じる。


 お甲は我慢するように説く。


   「おかみさん」


  又八が語った。


 お甲は又八の足を治療しながら妖艶な笑み

を見せる。


 ☆☆若者たちの悩み☆☆


 お通は又八をずっと思っている。


 お吟は弟武蔵を心配している。


 恋人たち・姉弟の絆は感動的だ。


 烈しい怒りを示しながら息子への愛を語る

お杉の心も熱い。


 武蔵と朱実の心の交流は、悩みの中に確か

めた光であると思う。


 清涼な絆に男女の友情を思った。


 錦兄・さとみさんの二人は綺麗だ。


 又八の激痛を治してあげるお甲。


 親切な行為である。だが、このシーンの凄

まじい迫力は観客を圧倒する。


 又八に着眼したお甲は、傷の手当から彼に

対する好意を次第に広げて行く。


 傷の手当を受ける又八は「おかみさん」と哀

願するように語るが、中年女性お甲の色香に

迷っていく。

 

 木村功が若者の苦悩を熱演する。


 木暮実千代の色気は強烈である。


 お甲の色気に又八は嵌ってしまい、結果的

にお通を裏切ることになってしまう。


 武蔵・又八・お通・お甲・朱実の五人の関係

を吐夢は鋭く見つめ重厚に描写する。何時突

然変化するかわからない状況に武蔵・お通・

朱実は放り込まれ、時代の激流に流されつつ、

愛する人を思い、それぞれに懸命に道を求め

る。


 若者達の繊細な悩みが語られる。



                        合掌