狼火は上海に揚る 春江遺恨 | 俺の命はウルトラ・アイ

狼火は上海に揚る 春江遺恨

 『狼火は上海に揚る 春江遺恨』

 映画 トーキー 白黒

 1944年12月28日公開

 

 日本 中国 合作

 

 制作 大映 中華伝影公司

 

 製作責任者  永田雅一

 脚本      八尋不二

 音楽      西梧郎

          梁楽音

 撮影      岡崎宏三

 

 出演

 

 阪東妻三郎(高杉晋作)

 月形龍之介(五代才助)

 石黒達也(倉之助)

 水野浩(弥四郎)

 香川良介(平六郎)


 

 演出      岳楓

          胡心靈

 

 演出監督  稲垣浩

 

 2001年9月30日 京都市北文化会館にて

鑑賞。

 

 昭和十九年年末・昭和二十年お正月の日中

合作映画である。

 

 ロシアにおいて発見された映像が21世紀の

京都映画祭で上映された。

 

 国策映画なので、戦後に見ると戦意高揚を

煽っていると思われる点は多い。

 

 既に日本の敗色は濃い時代である。

 

 故国を日本に侵略され、日本の国策に協力を余

儀なくされた中国スタッフ・キャストの心情を思うと

辛いものもある。

 

 だが、その事情を確かめつつも、映画の迫力

を学ぶことも大事である。

 

 高杉晋作と五代才助が上海に学び、西洋列強

の亜細亜侵略の暴挙を知って、中国人レジスタン

スと協力して英米の横暴に抵抗する。

 

 これがこの映画の軸にある。

 

 八尋不二の脚本は緻密で緊張感豊かだ。

 

 岡崎宏三の撮影は重厚である。

 

 戦後においても日本映画を支え続けてた大撮影

監督だが、戦中から迫力豊かな映像を撮っておられ

たことを実感した。

 

 岡崎と仕事をしたスタッフから聞いた話では、妥協を

されない方だったらしい。

 

 阪東妻三郎の高杉晋作は堂々たる存在感で

志士そのものである。

 

 月形龍之介の五代才助も存在感が重く、殺陣も

輝いている。

 

 妻さん・ガタさんの風格と貫録が光る名画である。

 

 日中戦争に深い悲しみを抱いているが、日中映画

人が様々なこころを内に秘めつつ、映画で協力した

作品もあることを確かめたい。


 

 戦争悲嘆・反対。

 

 稲垣浩監督の演出が渋い。


 

                            合掌