下町の太陽 (二) | 俺の命はウルトラ・アイ

下町の太陽 (二)

 『下町の太陽』

下町の太陽

 映画 トーキー 86分 白黒

 1963年4月18日公開

 製作国 日本

 製作   松竹

 監督   山田洋次

 ☆

 2012年8月22日南座にて鑑賞

 ☆

 

 町子「百万円なんて誰が買うのかしら?」

 

 毛利「買う人がいるから売ってるんだろう」

 

 

 

 町子と毛利は東京を歩み、広告を見つめなが

 

 

ら語り合います。

 

 町子は石鹸工場の女工、毛利は社員昇格を

 

夢見る事務職員です。

 

 知的で落ち着いている毛利と愛し合っている

 

町子。

 

 二人の仲は順風満帆に進むのかなと思います。

 

 

 ところが町子が工員北竜介に熱く見つめられる

 

ところから物語が大きく動き始めます。

 

 北はじっと町子の美しい顔を凝視します。町子

 

は怖くなります。

 

 彼は鉄工所で働いている青年です。

 

 

 北は町子を追いかけて、「付き合ってくんねェ

 

か?」と直截的に告白します。

 

 町子は怖がって逃げてハンドバックを落とします。

 

 

 北はハンドバックを拾って、町子に渡そうとしま

 

すが、町子は「触らないで、不潔!」と怒って走り

去ります。

 

 山田洋次監督は、「恋することはみっともないこ

 

とで、恥ずかしいことなんだ」とよく語っておられま

す。

 

 北の求愛はストレートで激しくカッコいいものでは

 

ありません。

 

 町子がはじめストーカーと思ってしまったことも

 

無理はないと申せましょう。

 

 しかし、一途で一本気な想いから、みっともない

 

振舞に走ってしまいつつも、町子を真剣に愛して

いる真心が次第に、彼女に伝わって行きます。

 

 

 

 山田洋次監督が描く「純真な男」の不器用な生き

方を北は明かしているとも申せましょう。

 

 倍賞千恵子・早川保・勝呂誉の三人が、恋の三角

 

関係という複雑な関係性の中において生ずる感情を

深く表現されています。

 

 

 

                             合掌