ウルトラセブン   必殺の0.1秒 | 俺の命はウルトラ・アイ

ウルトラセブン   必殺の0.1秒

『ウルトラセブン』第36話「必殺の0・1秒」

テレビ トーキー 30分 カラー

放映日1968年6月9日

 

製作国 日本

製作言語 日本

放送局 TBS系

 

監修 円谷英二

 

プロデューサー 末安昌美

脚本 山浦弘靖
 

撮影  永井仙吉

美術  岩崎致躬

照明  新井盛

音楽  冬木透

録音  松本好正

効果  泉典彦

編集  柳川義博

助監督 山本正孝

製作主任 高山篤

 

特殊技術

撮影 鈴木清

美術 池谷仙克

操演 平鍋功

照明 小林哲也

光学撮影 中野稔

助監督 円谷粲

製作主任 熊谷健

 

東京現像所 

キヌタラボラトリー

TBS映画社


出演


中山昭二(キリヤマ隊長)

 

森次浩司(モロボシ・ダン)
菱見百合子(友里アンヌ)

 

石井伊吉(フルハシ・シゲル)
阿知波信介(ソガ)
古谷敏(アマギ)  

 

大橋一元(ヒロタ)

 

辻村真人(ペガ星人 声の出演)

ピエール・デューカス(リヒター博士)

宮川洋一(マナベ参謀)

 


上西弘次(ウルトラセブンスーツアクター)
浦野光(ナレーター)

 

特殊技術 高野宏一

 

監督 野長瀬三摩地

 

制作 円谷プロダクション

    TBS

森次浩司→森次晃嗣

菱見百合子→ひし美ゆり子

石井伊吉→毒蝮三太夫


  台詞の引用・シークエンスへの考察は、

研究・学習の為です。

 円谷プロダクション様・TBS様におかれ

ましては、ご寛恕を賜りますようお願い申

し上げます。

 ☆
 射撃大会。

 

 ソガ隊員は見事な腕前を発揮し、999点の

高得点をマークする。アンヌ・フルハシも喝采

を送る。

 決勝は、ソガと彼の同期生で参謀本部のエ
リートヒロタの二人が争うこととなった。

 
 試合では、ソガは何故か躓いてしまい、

肝心のところでミスを犯してしまい、ヒロタ

が優勝カップを獲得する。

  ダン・アマギ・アンヌ・フルハシの四人が、

ソガのもとにかけつける。

 

 

 

  フルハシ「ここ一番でミスするなんて
       お前らしくないじゃないか。」

 

 

 

  アンヌ「残念だわ、折角優勝祝いの準備
      までしてたのに。」

 

  
  ソガ「やあ、すまん。なんでミスったのか
     自分でもわからないんだ。」

 

 

 

 

  アマギ「まあ、勝負は水もんだ。来年を目
      指せばいいよ。」

 

 

 

  ダン「そうですよ。」

 


 ヒロタが優勝カップを持って現れる。
 

 

 

  ヒロタ「すまんな、ソガ。勝ちを譲っても
      らって。」

 

 

 

 

  ソガ「いや、あれが実力さ。優勝おめでと
     う。」

 

 

 

  ヒロタ「ありがとう。この優勝カップになり
      かわって礼を言うよ。おかげでウル
      トラ警備隊みたいな殺風景なところ
      にいかずにすんだからな。
      じゃ、失礼。」

 

 

 

  アンヌ「いやな感じ。いくら参謀本部のエリ
      ートだからってあれじゃ人間的にも
      最低よ。」  

 


  ソガ「あれでも人間的にはいい奴なんだ。ただ
      俺達の友情を邪魔しているのはこれ(ピ
      ストル)さ。」

 

 


 共に射撃で天才的な実力を持っているソガと
ヒロタ。二人はライバルなのだ。

 

 

 夜。ヒロタの部屋。

 

 

 声が彼にささやく。

 

 

  声「優勝おめでとう。」

 

 


  ヒロタ「お前は夕べの」

 

 

 

  声「そう、夕べ君は『優勝できるなら友達
    を裏切っても、魂を悪魔に売っても』
    と言った。」

 

 

 


  ヒロタ「うん、俺はそういった。お前は
      俺の何が欲しいのだ?」

 

 

 

 参謀室

 

 

 マナベ参謀・キリヤマ隊長は、地球防衛軍が

秘密裡に進めている人工太陽の研究者である

ゼムラー教授とその仲間達が殺害されたことを

告げ、来日が予定されている研究プロジェク

トの最高責任者リヒター博士の警護を、ソガ・ヒ

ロタに命じる。


 空港


 車にリヒター博士が乗り込む。移動中、博士が
乗る車は黒ずくめの男達に襲撃を受け、ソガが刺
客の一人を撃っている間に、博士が殺害されてし
まう。


 後悔するソガも何者かに撃たれ、なんとか一発
撃ち返す。顔を負傷した狙撃犯の男は走り去る。

 

 

 ソガが覚醒すると、側にアンヌ・ダン・アマギの
三人がいる。

 

 

 

 

  アンヌ「気分はどう?」

 

 

 


  ソガ「ここは何処だ?」

 

 

 

  アマギ「基地のメディカルセンターだ。お前
      って奴は本当に運の良い奴だなあ。
      手当が遅かったらあの世行きだぞ。」

 

 

 


  ソガ「俺の命が何だ。俺は任務に失敗したん
     だ。博士を死なせてしまったんだ。と
     ころでヒロタは?」

 

 

 

  ダン「参謀室で緊急対策会議です。」

 

 

 

 

  ソガ「じゃ、奴は無事だったのか?」

 

 

 


  ダン「ええ、スパイのミナミ隊員と相撃ちだ
     ったんですが、幸い軽傷です。」

 

 

 

  ソガ「ミナミ隊員がスパイ?」

 

 

 


 ソガはベッドから起き上がり歩こうとする。

 

 

 

  ダン「どうかしたんですか?」

 

 

 

 

  アンヌ「無理しちゃ駄目よ。」

 

 

 

ソガの傷が激しく痛む。

 

 

 

 参謀室

 

 

 

  ソガ「隊長、ミナミ隊員がスパイだったという
     証拠は見つかったんですか?」

 

 


  キリヤマ「今のところ、ヒロタ君の証言が唯一の
       手がかりなんだが」

 

 


  ソガ「ヒロタ、間違いないんだな?」

 

 

 

  ヒロタ「残念ながら事実だ。奴は俺が怖くて
      応戦して逃げた。いや、博士だけじゃ
      ない。この俺まで殺そうとしたんだ。」

 

 

 


  ソガ「しかし、俺が現場に戻った時に、お前の
     姿はなかったが。」

 

 


  ヒロタ「もう一人の犯人を追っていたんだ。
      だが、途中で見失ってしまってね。」

 

 


 ヒロタの顔には、傷があった。

 

 

 

  フルハシ「殺されたリヒター博士は変装した情報
       部員だったそうだ。」

 

 

 

 

  マナベ「本物のリヒター博士は明日到着されるそ
      うだ。ウルトラ警備隊も全力を挙げて博
      士を守る。」

 

 

 

 


 ヒロタの部屋

 

 

 
 ソガが入室する。

 


  ソガ「実は君に聞きたいことがあってね。」

 

 


  ヒロタ「どんなことだ?」

 

 

 

  ソガ「なあ、ヒロタ。お前、何か俺に隠して
     いるんじゃないのか?」

 

 

 


  ヒロタ「隠す?馬鹿を言え。」

 

 

 

  ソガ「しかし、お前の態度はどうも、何時もと
     違うようだ。俺達は同期じゃないか。何
     か悩みがあったら、素直に話してくれな
     いか。」

 

 

 

 


  ヒロタ「うるさい!貴様に話すことなど、何も
      ない。さ、出てってくれ。」

 

 

 

 

  ソガ「仕方がない。俺の方から言おう。あの時、
     俺を撃ったのはお前だろう?」

 

 

 

 

  ヒロタ「何?」

 

 

 

 

  ソガ「いや、俺だけじゃない。お前はあの男
     達とグルになってミナミ・スズキの両
     隊員を殺したんだ!」

 

 

 

 

  ヒロタ「何を証拠にそんな言いがかりをつける
      んだ?」

 

 

 


  ソガ「証拠はその傷だ、その傷は俺に撃たれて
     できたものだ。」

 

 

 

 ヒロタは銃を抜くが、一瞬早く抜いていたソガが
ヒロタの腹に銃口を当てていた。

 

 

 


  ソガ「銃を捨てろ、早く。」

 

 


 だが、ソガはウルトラ警備隊に電話連絡を取ろうと
すると突然苦しみだし、倒れる。

 

 


  ヒロタ「ハッハッハ。」

 

 


  深夜。ヒロタが運転する車が円盤の中に入る。

 

  ソガが覚醒すると、彼の両手・両足は縛られ
身動きが取れない。

 

 ヒロタが謎の宇宙人と一緒にいる。この宇宙人
は、決勝の後、ヒロタに語りかけていた者だ。

 

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 宇宙人「ようこそ、ソガ隊員。」

 


  ソガ「貴様、何者だ?」

 

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 宇宙人「アルファケンタウリー第13惑星に住む
      ペガ星人。」

 

 

 

ソガ「それが地球に一体何のようだ?」

 

 

 

 

  ペガ星人「勿論、人工太陽開発計画を妨害

 

 

        する為だ。」

 


  ソガ「じゃ、最近起こった一連の事件は?」

 

 


  ペガ星人「そうだ、我々に命令された地球人の
       やったことだ。このヒロタ君もその
       一人だ。彼は特殊催眠術により、我
       々の命令通りに働くものだ。」

 

 


  ソガ「しかし、何故地球人を利用するんだ?」

 

 

 

  ペガ星人「我々は残念ながら、地球の気圧に
       耐えられない。君が、今、何を考
       えているかわかっている。君も私
       の命令通りに動く人間になっても
       らう。しかし、私はこの円盤の中
       から外には出ない。」

 

 


  
  ソガ「俺はそんな催眠術にはかからん。
     かかってたまるか!」

 


 空港

 


 リヒター博士が乗っている車にはヒロタ・フル
ハシが警護役として同乗している。その車を守る
為、ソガ・ダン・アマギが乗るポインターが後送
している。


 
 ヒロタは、不審を感じたフルハシを狙撃して
傷を負わせた後、車から煙を放ち、博士の拉致を
企て、ポインターを迷わせる。ダンはシークレッ
トロードが作られていることを推測し追跡を試み
るが、ソガが制止する。


  
 
  ソガ「人工太陽はペガ星人の円盤が地球に入る
     コースを塞いでしまう。」

 

  アマギ「それじゃ、お前は?」

 

 


  ソガ「そうだ、俺はペガ星人の為に。」

 

 

 ソガはダンに襲いかかり、ダンはソガを気絶
させてアマギと共にヒロタの車を追い、発見する。

 

 


  ヒロタ「うるさい奴等だ。」

 

 


 ヒロタはダイナマイトを投げ、衝撃でダン・ア
マギが気絶し、ソガは覚醒し、洗脳からも解放さ
れる。

 

 


  ソガ「ダン・アマギ、俺は一体何をしようと
     していたんだ?今までペガ星人の催眠
     術に。行く先はわかってるんだ。」

 

 

 

 ソガはヒロタの車のタイヤを撃って停車させる。
ヒロタはリヒター博士を人質として拉致しつつ車外
に出て、博士の頭部に銃口を突きつける。ソガは
何とか親友を説得しようと試みる。

 

 

 

 

  ヒロタ「動くな、ソガ!博士の命は無いぞ。」

 

 

 


  ソガ「ヒロタ、お前はペガ星人の催眠術にかか
     ってるんだ!目を覚ますんだ!」

 

 


  ヒロタ「フン!騙されるもんか!」

 

 

 

  ソガ「騙されてるのはお前のほうだ。その拳銃
     を捨てろ!」

 

 

 


  ヒロタ「どうしても博士を助けたかったら、
      俺と勝負しろ!
      今から五つ数える。数え終わったら
      撃つ!いいな!一つ!」

 

 


  ソガ「ヒロタ!」

 

 


  ヒロタ「二つ、三つ、四つ、五つ」

 

 


 ヒロタ・ソガの銃口から弾丸が放たれ、銃声が響く。
ソガの弾丸が0.1秒早かった。ヒロタは崩れつつ倒れ
込む。ソガはかけよる。

 

 


  ソガ「ヒロタ!」

 

 

 

 ペガ星人の円盤が姿を現し、ソガはリヒター博士を
救出し、円盤の攻撃から博士を守る。ダンはセブンに
変身して円盤に応戦する。

 

 

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 セブンは円盤に入り、ペガ星人を説得しようとする。

 

 

  セブン「ペガ星人、お前の星に帰れ!」

 

 

 


  ペガ星人「地球は我々の太陽系侵略の
        基地になるのだ。
         帰ることは出来ない。」

 

 

 

  セブン「もう一度言う。お前の星に帰れ!」

 

 


 

  ペガ星人「うるさい!」

 


 ペガ星人は、執拗にセブンを攻撃する。

 

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 セブンは、エメリウム光線でペガ星人を殺す。

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 円盤から出たセブンは、ワイドショットで円
盤を爆破し、ダンに戻る。

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 アマギ「ソガは?」

 

 ダンは、ソガのいる方向を指す。

 

 

 野心と名誉欲に迷って、優れた技量を持ちな
がらも、結果的には破滅してしまった親友ヒロ
タ。

 

 

 

 ソガは、ヒロタの遺体に、二丁の拳銃を置く。

 

 ☆友と戦う男☆

 

 

 『ウルトラセブン』は放映開始から41年の歳
月が経たったが、現在も世代を超えて数多くの
視聴者から深く愛されている番組である。『セ
ブン』の魅力の根は一体何であろうか?


 一万人のファンがいれば、一万の答えがある
だろう。

 とても統一した回答・結論など出せるもので
はない。

 だが、人それぞれの心に通底するものとして、
『セブン』から感じた「切なさ」があるのでは
なかろうか?

 人は、否、生物はそれぞれのいのちを懸命に
生きている。どれほど頑張っても、救いや理解
や和解が成り立たず、涙を流さずにはおれない
機会は、どんな存在の上にも起こることだろう。

 

 1967-68年という激動の時代において流れて
いた「悲しみ」の感情と、『セブン』のドラマの「切

 

なさ」は、呼応していたことが窺える。


 「必殺の0.1秒」と次作品「盗まれたウルトラ
アイ」は、この「切なさ」を極めた二大傑作であ
る。


 山浦弘靖脚本と野長瀬三摩地演出は、「引

き裂かれた友情」のドラマを熱く描ききった。

 

 

 射撃の天才ヒロタはライバルソガに勝ちたい
功名心と野望から、「思い通りにしてやるぞ」
と甘く囁きかけるペガ星人の誘いに乗って、
魂を売ってしまう。

 

 


 クリストファー・マーロウの戯曲『フォース
タス博士の悲劇』において、主人公フォースタ
ス博士は、「24年間、あらゆる欲望を叶えてや
る変わりにお前の命をもらうぞ」と悪魔メフィ
ストフェレスの誘惑に乗って、後に破滅する。


 フォースタス博士はメフィストフェレスの魔
力に乗って24年間の快楽の生活の果て、死

期が迫って短絡的だった決断を後悔し、苦し

み抜く。

 だが、ヒロタには、フォースタスのような弱
さはなく、魂を売ったことも認めているし、ペ
ガ星人の操り人形になって、リヒター博士の

命を狙うことや地球防衛軍の同僚を殺したこ

とにも一点の後悔もない。


 運命的なライバルソガに勝ちたい一心が、

彼から、優しさや暖かさを奪ってしまったの

だ。


 ペガ星人は魅力的な悪役である。女性の

ファッションから着想を得たと言われるスー

ツは青い色彩が個性的だ。


 話法や物腰も丁寧で紳士的だ。催眠術

でヒロタやソガを幻惑し、自分の傭兵とし

て使う、という狡猾さも印象的だ。


 第5話「消された時間」においてユシマ博

士を洗脳して操るビラ星人の声を、辻村真

人が巧みに演じたが、ペガ星人の声も辻村

が担当し、知的な悪役を今回も鮮やかに演

じきった。


 自身の肉体は、地球の気圧に耐えられ

ないので円盤の内に在って、地球人の屈

強な若者を催眠術で洗脳して刺客として

働かせる。


 
 大詰めの対決において、ヒロタは「騙されるも

んか!」と言い放つ。自分自身を冷静に見れる

自分が、他者に、ソガに騙される筈がない、と

いう傲慢さである。

 

 洗脳されてる存在は、「自分は騙されるよう

 

な愚者ではない」というプライドがある。この奢

りに浸りきって、自分を内省する営みを放棄し

てしまう危険性を、このドラマは教えてくれてい

るのだ。


 人生に於いて、他者から裏切られ、騙され

るという悲しみは、ある意味避けられないこと

かもしれない。

 勿論、「騙されて当たり前」という傲慢な詭

弁は許し難い暴論だし、騙されたり、洗脳さ

れたりしない縁に出会う事が一番ありがたい

事なのだが。

 大切なことは、騙されたり、裏切られたりし

た時に味わった痛みを、自身の人生における

試練と受け止めることが成り立つか否かであ

る。


 誤解のないように申し上げたいが、私は、

裏切りや騙しの被害にあった際に泣き寝入

りを他者に勧めるような暴論を述べているの

ではない。被害に会えば、糾弾は当然すべ

きだ。ただ、同時に痛みにあったことを契機に、

「悲しみ」を知った自身となったことも意義深

いのではないか、と言いたいのである。

 

 ソガは、最後の最後まで説得を諦めなかっ

 

たが、その誠実な心は友に通じなかった。

 
 任務の為、傲慢不遜な親友を撃ち殺さね

ばならぬソガの悲しみ。

 クライマックスシーンは、視聴者の感涙を

呼ぶ。

 

 この「説得」という営みも、「必殺の0.1秒」の
特徴と言えよう。セブンもペガ星人の円盤に

 

あって平和主義を忘れずに、「お前の星に帰

れ」と説得を為そうとする。


 

 だが、この願いも踏みにじられ、攻撃してきた

ペガをセブンは倒さざるを得ない。

 

 ペガ星人もヒロタも、又、「野望」と「傲慢さ」の
犠牲者でもある。

 


 ソガ役の阿知波信介と、ヒロタ役の大橋一元の
演技合戦が、熱い。阿知波は、ヒロタの部屋のシ
ーンでは、目の演技で、ヒロタを説得しようする
友情を見せる。

 

 ポインターにおいて、洗脳されている場面では
目にも冷たさを浮かべ、喋り方も無機質なトーン
にしているのも見事だ。

 


 洗脳が解け、博士を拉致するヒロタを覚まそう
とする時の表情にも、深く悲しみが浮かんでいた。


 ヒロタを射殺したソガは、大声で号泣せず、冷
静な態度を崩さない。その姿勢が、ソガの内面

の涙を一層篤く訴えるものとなっている。


 

 野心家として生ききり、死にきったヒロタの胸に

拳銃を置くソガ。ここにソガの敬意と追悼の心が

ある。

 

 

 

 阿知波信介の表情には、優しさがあった。


 

                         文中敬称略

 

 

 

 

参考資料 『ウルトラセブン』DVD.vol.9

 

☆2008年10月6日記事に2020年5月9日再編しました☆

 

                              合掌