41光年先の溶岩惑星に「大気が存在」か、最有力証拠をJWSTで発見
太陽系から約41光年と比較的近い距離にある岩石質の太陽系外惑星を取り巻く大気を、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)を用いた観測で検出した可能性があるとする研究結果が発表された。
この系外惑星かに座55番星E(55 Cancri E)はヤンセン(Janssen)とも呼ばれ、現在のところ、太陽系外の岩石惑星の周囲に大気が存在することを示すこれまでで最も有力な証拠だ。
だが、灼熱の地獄のような惑星のため、「第2の地球」ではまったくない。
■「スーパーアース」
ヤンセンは、太陽に似た恒星を公転することが知られている5つの惑星の内の1つで、直径は地球の約2倍で密度もやや高く、系外惑星の「スーパーアース」か「ミニネプチューン」に分類される。
科学誌Natureで発表された最新論文には、ヤンセンが大気を維持している可能性があることを示す観測データが記載されている。
液体のマグマの海(マグマオーシャン)を持つ可能性が高い、超高温の溶岩惑星であるにもかかわらずだ。
太陽系にあるどの惑星とも異なり、ヤンセンは公転周期がわずか18時間と、主星の極めて近くを公転しているため、強烈な放射線を受けている。
研究チームを率いた米航空宇宙局(NASA)のジェット推進研究所(JPL)のレンユー・フーは「この惑星は非常に高温なので、溶岩の一部は蒸発するはずだ」と指摘する。
■惑星内部からの脱ガスによる大気である可能性
研究チームは、JWSTの近赤外線カメラ(NIRCam)と中赤外線観測装置(MIRI)を用いて、ヤンセンの昼側(主星に面した側)から発せられる赤外光と、ヤンセンが主星の背後に隠れる二次食間の赤外光の両方を測定した。
赤外光の分析により、ヤンセンは一酸化炭素か二酸化炭素の大気に包まれている可能性があることが明らかになった。
この大気は、惑星内部からの脱ガスによる二次大気である可能性が高い。
さらに裏付けが得られれば、今回の研究成果は、大気を持つ可能性のある惑星の範囲を大きく広げることになる。
だが、ヤンセンほど高温の惑星で生命の痕跡が見つかるとはまったく期待できない。
■謎めいた系外惑星
論文の共同執筆者で、スイス連邦研究能力センター(NCCR)惑星研究所(PlanetS)の研究員でもあるスイス・ベルン大学の宇宙居住性センター(CSH)のブライス・オリビエ・デモリーは「過去10年間に多数の地上および宇宙の設備を用いて膨大な観測時間が得られたにもかかわらず、その本質は今日まで依然として捉えられていないままだ」として、ヤンセンを「最も謎めいた系外惑星の1つ」と表現している。
過去にマグマオーシャンに覆われていたと考えられている初期の地球、金星、火星に関する洞察を、ヤンセンから得られる可能性があると期待されている。
JPLのフーは「最終的には、岩石惑星がガスを豊富に含む大気を維持するのを可能にしているのはどのような条件なのかを解明したいと考えている。濃い大気は生命存在可能な惑星の鍵となる要素だ」と述べている。
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